絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

飴玉パニック~やごころを、君に

東方創想話投稿作品。
ギャグ話ですが、当初の予定とは違った方向へ行ってしまって、少し自分でも戸惑ってしまった作品です。





「出来たわ!」

 珍しく大声を上げる永琳に対して、一体何が完成したのだろうかと首を傾げ、疑問符を浮かべる鈴仙。

「師匠、一体何が出来たんですか?」
「子ども」
「うえぇぇぇ!?」
「まぁ嘘だけど」
「ですよねー」
「ねー」
「ねー」
「ねー☆」
「ねー☆」
「ウドンゲ、貴女頭大丈夫?」
「突然の突き放しですか!?」

 はぁ、と大きな溜め息を一つ。毎回からかわれて、もう大分慣れた鈴仙は、あまり気にしなくなった。

「で、本当は何が出来たんですか?」
「キャンディー型の年齢変更薬」
「年齢変更薬?」
「そう、この薬の名前は『やごころを、君に』よ」
「はぁ……そうですか」

 もう正直軽く流しとけばいいだろう、と鈴仙は思っていた。
 そんな鈴仙に気付かず、永琳は興奮した様子で薬の説明をする。

「この赤いキャンディーを舐めると若返り、青いキャンディーを舐めると元に戻れるわ」
「あれ? 逆に年をとることは出来ないのですか?」
「女性が老けてもいいことなんて無いわよ!」
「は、はいっ! すみませんでしたっ!」

 子どもが大人になったりしたら楽しいだろうになぁ、なんてことを思っていただけなのに、物凄い勢いで怒られた鈴仙は、少しヘコんだ。

「若返りの薬、最高の薬だと思わない? ウドンゲ」
「は、はい、思います」

 テンション上がりきって、阿波踊りを始めた永琳に、鈴仙は少し悲しい気持ちになった。

「話は聞かせてもらったわ。面白そうじゃない?」
「え?」
「貰っていくわね」

 突然、隙間が現れてキャンディー型年齢変更薬の入った瓶を、ひょいと持って消えた。
 しばしの沈黙。
 鈴仙ハラハラ。
 永琳ポカーン。
 さらに数秒後。

「あぁぁぁぁ!? あの隙間妖怪なんてことを!?」
「し、師匠落ち着いて!」
「あれには副作用があるのよ!」
「えぇ!?」
「早く八雲紫を捜さなきゃ! 行くわよウドンゲ!」
「は、はい師匠!」





◇◇◇





「ふふ、若返りの薬ねぇ……面白そうじゃない」

 透明のガラス瓶の中にあるキャンディーを見つめながら、妖しく笑う紫。

「確か赤い飴玉だったわよね……」

 瓶から赤い飴玉を取り出す。
 手のひらに乗せ、少しの間じっと見つめる。
 そして、それを口に運んだ。

「んっ!?」

 尋常じゃない甘さが口の中に広がり、思わず吐き出してしまいそうになる。
 だが、吐き出したらそこで試合終了ですよ、という言葉が頭をよぎり、なんとか噛み砕いて飲み込む。舐めてなんていられなかった。

「んっ……体が、熱い。骨が溶けてるみたい……あぁっ!」

 胸の鼓動が激しくなり、体が熱い。
 そして数秒後、そこには小さくなった紫がいた。
 見た目は、萃香よりちょっと小さいくらいだ。体が小さくなってしまったため、服がぶかぶか状態。

「きゃぅっ!」

 一歩を歩こうとしたが、ぶかぶかになってしまったスカートで転んでしまった。しかもいつも被っている帽子が視界を遮っている。

「本当に……若返った。というか小さくなったわね」

 とりあえず、服から抜け出す。
 下着までもがサイズに合わないため、現在紫は自室で全裸という状態だ。

「とりあえず藍を呼んで服を用意して貰おうかしら。ちょっと藍~!」

 大声で叫ぶ。
 しばらくして、藍が自室前までやって来るのが足音で分かる。
 そして、

「何ですか紫様。今は忙しいのですが――」

 小さくなった紫を見て、藍の時間が止まった。
 動かなくなった藍を不思議そうに見つめる紫。紫の方が小さいため、自然と上目遣いになる。

「ねぇ、ちょっと藍? 大丈夫?」
「はっ!」

 声を掛けられて藍は正気に戻った。そして現状を再び認識する。
 紫が全裸。
 紫が幼女。
 紫が上目遣い。
 藍は倒れた。

「ちょ!? 何で、藍! らーん!」
「……」

 突然倒れた藍を心配して、紫は藍を揺さぶる。

「ぅ……ゆ、紫様」
「良かった……大丈夫?」

 藍が目覚めて安心したのか、柔らかい笑みを浮かべる。全裸で。

「ふ、服を……着て下さい」
「らーん!?」

 藍は、完全に意識を失った。
 仕方無く、藍をそのまま寝かすことにする紫。風邪を引いてはいけないからと、紫は自分の服を藍に被せとくことにした。

「何で藍は倒れたのかしら……」

 不思議そうに首を傾げる様子は、普通に可愛らしい。

「とりあえず早く服を着ないと……でも藍は倒れてるし。あ、そういえば確か隙間に……」

 隙間に手を突っ込み、なにかを探している。
 そして、目的の物を掴んだようだ。

「あったあった。子ども服と下着」

 何故そんな物が隙間にあるのか、それにツッコミを入れる者はこの場にいない。
 せっせと下着を穿く。慣れない感触に、少し違和感があるが、仕方無い。続いて服を着る。服はただの着物だ。

「さて、どうしようかしら。今日一日くらいは遊んでいたいわね」

 せっかく小さくなったのだから、誰かのトコへ行こうかと考える。

「霊夢のトコへ行こうかしらね」

 隙間を開いて、移動する。
 目指すは博麗神社だ。
 紫は霊夢がどんな反応をするか、楽しみだった。



「えっ!? キモッ!」

 紫は軽く泣けた。
 霊夢に会って第一声がそれだったからだ。

「ちょっと、酷くない?」
「いや、だって紫でしょ? いくら外見が可愛くなっても中身紫でしょ?」
「何か酷い言われような気がするわ……」
「それに私は綺麗でカッコいい紫の方が……」

 なにやら小さく呟く霊夢だが、紫には聞こえなかった。

「とりあえず、お茶頂戴な」
「図々しい性格は変わらないわね」

 お茶を入れてきた霊夢から、紫はお茶を受け取り、啜る。

「熱っ!」
「ちょっと、大丈夫?」

 口に含んだお茶が熱くて、紫はヒリヒリした舌を出して冷ましている。行動まで、少し幼い。
 それを不覚にも霊夢は、可愛いと思ってしまった。

「うぅ~ちょっと舌が痛いわ」
「……ねぇ、そういえば訊くの明らかに遅いけどさ」
「ん?」
「何であんた小さくなってんの?」
「あら、いまさらね」

 出会ったから、なんだかんだで霊夢は訊いて無かった。訊かれなかったから、紫も何も言わなかった。

「実はねぇ、あの薬師が面白そうな薬を作っていたから、こっそりいただいて来たのよ」
「無断なのね」
「で、それを使ったら小さく、若返り」
「むしろ幼女じゃない。ていうか元に戻れるの?」
「この青い飴玉を舐めれば」

 紫は青いキャンディー型年齢変更薬を取り出し、口に含む。
 絶対に慣れないであろう甘さに、やっぱり吐き出したくなるが、なんとか我慢する。
 すると、胸が熱くなる。
 そこで、紫は慌てて服を脱ぎ出す。

「ちょ!? 紫何してんのよ!?」

 体が元に戻った時、この小さい服を着ていたら恐ろしいことになるのを予想しての行動だった。
 無事、服を全て脱いだ瞬間、紫の体は元に戻っていた。全裸だが、仕方無い。

「ほら、戻れるでしょう?」
「分かったから! 服着ろ馬鹿!」

 霊夢に言われ、今度はまた赤い飴玉を舐める。相変わらずの甘さでクラクラするが、我慢。
 紫はまた小さくなった。そして先ほど脱ぎ捨てた服と下着を再び着る。
 霊夢は顔を真っ赤にしていたが、紫は平然としていた。

「八雲紫!」
「ふぇ?」
「は?」

 突然声が響いた。
 声がした方向を振り向くと、そこには息を切らした永琳と鈴仙。

「あら、薬師さんじゃない。どうしたのかしら?」
「白々しいわね……返しなさい! あのキャンディー型年齢変更薬を!」
「どうでもいいけど神社で暴れないでよ」
「師匠、帰りたいんですけど……」

 紫は妖しく笑い、永琳は焦った様子、霊夢は欠伸、鈴仙は溜め息。
 どうやら紫は簡単に返そうとはしないようだ。

「ねぇ、八雲紫。それには副作用があるのよ」
「副作用? 私に異常は無いわよ」
「いいえ、気付いてないだけ……貴女は既に副作用を受けている筈よ」
「そんなハッタリ……」

 紫はハッタリだと思っているが、永琳が哀しそうな顔をしているため、少し不安になる。
 鈴仙は霊夢とお茶を飲んでキャッキャッしている。

「八雲紫、貴女はその飴玉を赤青含めて何回使用した?」
「……三回ね。今は二度目の若返り状態よ」
「なら、もう副作用は起きているわ。二回までなら大丈夫だったのに……」
「一体何よ?」
「口に含んだ時、どう感じたかしら?」
「ただ、異常に甘かったくらいよ」

 それを聞いて、永琳は溜め息を吐きながら手で顔を隠す。
 それを見て、紫の不安は少しずつ高くなる。

「副作用は……」
「ふ、副作用は?」

 緊迫する空気。
 風が、やけに煩い。
 木の上からこっそり眺めている某烏天狗も、やけにうっとうしい。
 キャッキャッウフフな時間を過ごしている鈴仙と霊夢は、尋常無くうざったい。
 紫が唾を飲む。永琳は目を瞑り、その重たい口を開いた。



「貴女、糖尿病よ」



 時間が、止まった。

「う、嘘よ……」
「嘘じゃないわ。あの甘さは人体に毒よ」
「う……嘘」
「現実を受け入れなさい。八雲紫、貴女は糖尿病になったのよ!」
「いやぁぁぁぁぁぁ!」

 紫は、膝から崩れ落ちた。
 悔しさやら情けなさやらで涙が出る。

「わ、私はどうしたら……」

 もう、どうしていいか分からない。そんな状態に一筋の光が、

「大丈夫、私が治す」
「え?」
「だから、安心しなさい。八雲紫、絶対に貴女を治してあげる」
「八意永琳……ありがとう」

 ギュッと永琳に抱き付く。永琳も、優しく抱き締め返す。
 そして、永琳は笑顔で、

「計画通り」

 と小さく呟いた。

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