絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

家庭教師パチュリー

二か月振りの紅魔館らしいです。
2010年むきゅーの日SS!


 

「家庭教師のクライから来た、パチュリー・ノーレッジよ」
「なんか嫌な家庭教師だね」
「それじゃあ、始めるわね」
「うん、よろしくお願いします」

 フランドールは深々と礼をする。
 今日の二人の関係は、いつもと違う。今は、一人の教師と教え子という関係だ。
 きっかけは、ちょっとしたことからだった。フランドールが魔法について学びたいと言い出したことが、きっかけだ。純粋な破壊力なら、フランドールの方がパチュリーよりも断然大きいが、細かい技術の部分、魔力の流れなどを操るような技術に関してはパチュリーの方が上だ。
 そして、学ぶのはその技術。
 もし魔力の流れを上手く操作することが出来たなら、それが破壊衝動を抑える術にもなりえるかもしれない。そういうことを思っての行動だった。

「では妹様、魔力を扱うにおいて重要なことはなんだと思う?」
「うーん、力を理解することかな?」
「そうね、それも大切。けどね、理解することが扱えることに直接繋がるわけではないの」
「どういうこと?」
「理解しても、それを扱うための力が必要。そして、その力は二種類よ。一つは魔力。これは大前提ね」
「じゃあ、もう一つは?」
「それこそ、私にあって妹様に足りないものかもしれないわ。それは、集中力よ」

 パチュリーが何処からかホワイトボード(賢者の石製)を取り出した。そして、宙に浮いているそのホワイトボードに文字を書き連ねていく。
 フランドールはおとなしくそこに書かれた文字を見る。
 ホワイトボードには、大きく「集中力大事」と書かれた。

「詠唱魔法系は特にそうね。少しでも精神を乱したら、失敗する可能性が高い」
「けど――」
「そう、妹様にはあまり詠唱系は関係ないわね。それでも、精神力や集中力は大事よ。乱されない強い心を持てば、それだけでかなりの武器になるわ」
「そっか、うん。で、どうすれば集中力が付くの?」

 肝心なのは、それをどうやって身に付けるかだ。
 フランドールは軽く首を傾げ、訊ねた。
 もちろんパチュリーにとって、その質問は想定内である。何も言わずに、再びホワイトボードに何やら説明を書いていく。
 少しして、簡単に箇条書きにされた説明を書き終える。

「えーと……?」

 1、目を瞑る。
 2、周りの妨害に耐える。 
 3、目を開いたら負け。

「どういうこと?」
「つまり、いかに周りで音をたてられたり邪魔をされても、精神を落ち着かせたまま目を瞑っていられるかどうか、ということよ。これを続けていって、最終的に周りで何をされても動じなくなったら、とても強い精神力を身に付けた証拠ね」
「ふみゅ、それをやればいいんだね?」
「そういうこと。じゃあ、目を瞑ってくれるかしら」
「うん」

 フランドールは言われた通り、目を瞑る。手は膝の上だ。少し大きな木製の椅子に、小さなお尻を預けてちょこんと座っているその姿は、どこか可愛らしい小動物を連想させるものだった。

「レミィがいたら、突撃しそうね」
「え? 何?」
「いいえ、なんでもないわ。それじゃあ、始めるわね。何があっても動じないこと。いいわね?」
「う、うん」

 少し緊張しているのか、そわそわとした雰囲気が伝わってきた。
 これではすぐ動じてしまうだろう、とパチュリーは予想した。

「……」
「……」

 最初の試練、とにかく無言。
 まるで空間が切り取られたのではないかというくらいに、何の音もしない。パチュリーは、ただただフランドールを見ているだけ。言葉も発さなければ、ぴくりとも動かず、服が擦れる音さえ出さない徹底ぶりだ。
 それからしばらくすると、フランドールに変化が現れる。それもそうだ。さっきまで話していた相手が突然の無言な上に、目を瞑っているせいでいるのかどうかすら分からない。
 なんとも言えない妙な不安が、襲ってくる。

「え、ねぇ、パチュリーいる?」

 とうとう我慢できずに、声を掛けてしまう。
 だが、返事はない。

「い、いないの?」

 少し震えた声で訊ねるが、やはり返事はない。

「うぅ~もう我慢出来ないよっ!」

 そして、目を開いてしまった。
 パチュリーの姿を確認して、早くこの不安から解放されたかったのだ。

「ふむふむ、お姉様と遊べなくて寂しいよぉ……か」
「って勝手に人の日記読まれてるー!?」

 目を開くと、そこにはフランドールの日記を読んでいるパチュリーが居た。
 返せこら。
 うふふ、奪ってごらんなさーい。
 どかーん。
 へぶちっ。



 ~少女修復中~



「甘い、甘いわ妹様。ハバネロの三倍は甘い」
「それ辛くない? とりあえずやっといてなんだけど、血拭きなよ」
「大丈夫、賢者の石と私の魔力があれば……ほらね」

 みるみるうちに血で真っ赤だったパチュリーが、元の姿へと戻った。賢者の石万能説万歳である。
 日記は無事、フランドールに返された。フランドールは顔を赤くして、ぎゅっと日記を胸に抱えている。

「じゃあ試練を乗り越えられなかった妹様のために、レベルを下げてあげる」
「まだやるんだ」
「あら、言い出したのは妹様よ? それとも逃げる?」
「む……」

 分かり易い挑発だ。
 もちろん、フランドールにだってそれくらい分かっている。
 だが――

「いいよ、続けよう」

 あえて、その挑発に乗ってみた。
 自分から言い出したことは事実であるし、なによりパチュリーにこのまま逃げたと認識されるのは癪だった。

「よし、さすがは妹様ね。さっきと違って、レベルの低い妨害からいくわ。レベルはどんどんと高くなっていくけど、今回は三つ耐えられたら合格ね」
「ん、分かったよ」

 再び、目を瞑る。
 それを確認したパチュリーは、大きく息を吸う。
 そして、叫ぶ。

「火事よおおおおおおおおおおおおお!」
「っ!」

 嘘には驚かないが、突然のパチュリーの大声にびくっと震えた。けど、目を開いてはいない。
 この程度なら、楽勝だ。

「ごはっ……ふ、は、慣れないことしたから喘息関係無く呼吸が……う」

 フランドールよりも先に、パチュリーがリタイアする可能性の方が一気に高くなった。

「えーと、大丈夫?」
「ま、魔女に不可能の文字は書けないわ」
「それ普通は、不可能の文字は無い、だよね。書けないだったら、基本的な漢字を学習し直せとしか言えないよ」
「次、いくわ」

 大丈夫なんだろうかと、自分よりもパチュリーのことで不安になるフランドール。
 しかし、パチュリーは余裕だと言い放ち、次の行動へと移る。
 パチュリーが指を鳴らすと、小悪魔がどこからともなく現れた。十数体も。みんな通常の小悪魔よりも、遥かに小さい手のひらサイズだ。

「チビ小悪魔ーズ、妹様を囲みなさい」

 指示された通り、フランドールを囲むように散らばるチビ小悪魔たち。
 一体何が始まるのか、とフランドールは少し警戒をしている。

「さあ、一斉攻撃よ!」

 パチュリーの掛け声と共に、チビ小悪魔たちが鳴き始めた。

「こあー」
「こあー」
「こあー」
「こあー」
「こああー」
「こあっ」
「こあこあ?」
「こあっきゅ」
「はいはいこあーこあー」
「COREー」
「こあんっぁ!?」

 普通に鳴く者、微妙に方言の混じった者、やさぐれている者、無駄にダンディなヴォイスで発音の良い者、何故か頬を赤く染めつつびくんと体を震わせて息が荒い者など、鳴き声一つで皆個性的だった。
 そして、これは想像以上に鬱陶しい。
 フランドールは今すぐにでも「うるさーい!」と言って蹴散らしたい気分だが、なんとか耐える。せめて耳を塞ぐことが出来たなら、どんなに良いだろうか。
 その後、数分ほどその鳴き声攻撃が続いた。

「みんな、御苦労様。戻っていいわよ」

 その言葉に、チビ小悪魔ーズは笑顔で帰って行った。
 フランドールは、なんとか耐え抜いた。あと一つ、耐えることが出来れば合格だ。

「妹様、さすがね。なら、これならどうかしら」

 パチュリーが不敵に笑うと、部屋の扉が開かれる。

「レミィ召喚」
「えっ!?」
「フランが頑張ってると聞いて飛んできた」
「~っ!?」

 こんな状況に、姉がやってくるというのは、中々に恥ずかしいものだ。目を瞑っていて分からないが、確かにレミリアの声だ。
 レミリアは、フランドールの横に立つ。次に、帽子を奪った。そして、偉い偉いと言いながら、頭を優しく撫でる。

「は、恥ずかしいんだけど……」
「これが試練よ。レミィには好きにして良いって言ってあるから。レミィの行動に耐えられたら、合格」
「い、いきなり難易度跳ね上がりすぎだよ!」
「ほら、フラン頑張れ」
「うぅ~……」

 最初の一分は頭を撫でられ、次の一分は後ろからぎゅ~っと抱きしめられた。レミリアは、意地悪そうに頑張れーと言いながら、フランドールの首をこしょこしょと人差し指でくすぐったりと、ちょっかいを出す。

「やっ、こしょばい……」
「あーもう可愛いな、我が妹よ」
「レミィ、暴走しないようにね」
「分かってるって。そうだな、次の行動でラストにしよう」

 それを聞いて、フランドールの表情が明るくなる。やっと解放される、といった顔だ。

「まずは全部服を脱がして――」
「我慢出来るかぁっ!」
「ごふっ!?」

 きゅっとしてどかーん。
 レミリアが見事に吹っ飛んだ。

「じょ、冗談だったのに……ぅ」
「妹様、残念ね。最後の最後で集中力乱しちゃったわね」
「いやー難しいね、集中するの。ところでさ」

 何故か笑顔のフランドール。
 可愛らしいのに、どこか恐ろしい。
 レミリアもパチュリーも、思わず背筋がぞくっとなった。

「二人はどれだけ冷静なのか、私に見せて欲しいなー」
「な、何故スペルカードを取り出すの、フラン?」
「妹様、ここは平和的に話し合いましょう? 大体ほら、妹様が教えて欲しいって言い出したじゃない、うん。そうだ、せめてハンデで私とレミィはスペルカードあり、妹様はえーと全裸で」
「どんなハンデさ!? ま、私がお願いしたのは事実だけどさ、やりすぎってこともあるよね。さ、覚悟は良い、二人とも?」
「覚悟なんてないわ!」
「レミィに同じく!」
「よし、まとめて吹っ飛んじゃえ」

 約一分後、紅魔館の上、空高くに吹っ飛ぶレミリアとパチュリーが門番をしていた美鈴に目撃された。





あとがき
6月9日はむきゅーの日!
前回の作品のコメントで言われるまで気付いてなかったなんて言えない。
パチュリーさん良いですよねパチュリーさん。いつかいつも書くのとは違う真面目なパッチェさんを書きたいと思ってます。
久し振りにパチュリーさん書いたなあ、うん。
さて、そんなこんなではありますが、少しでも楽しんでもらえたなら、嬉しいです。
喉飴でしたー。


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