絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

たまにはこんな奇跡はどうですか?

東方創想話3度目の投稿作品。『たまにはこんな奇跡はどうですか?』
個人的に気に入ってる作品です。クリスマスSS、ジャンルはほのぼの、メインは早苗と霊夢。
オチを思い付いたのがきっかけで、そこから物語を構成していったのを覚えてます。





「クリスマス?」

 聞き慣れない言葉に、顔をしかめて疑問符を浮かべる。

「はい!」

 文はそんな霊夢の様子に対して笑顔で返事をする。

「何よそれ?」

 今日はいつもと同じ様に境内を箒で掃いていた。落ち葉を集め終え、少し一息つこうとした矢先に、文が風を纏いながら飛んでやってきた。
 すると、どうなるか。当たり前の結果、集めた落ち葉は再びそこら中に散ってしまった。霊夢が文句の一つでもぶつけてやろうとした瞬間に、文が冒頭のクリスマスと言う単語を発した。

「外の世界である祝い事みたいなものです。というかお祭みたいなものです」

 そして肝心の説明は、随分といいかげんな情報だった。こんなものに落ち葉は再び散らされてしまったのかと思うと、霊夢は再び苛々感が湧いてきた。

「で?」
「はい?」
「だから、何でそんなくだらないことをわざわざ私の元へ伝えに来たわけ?」
「折り入ってお願いがありまして――」
「却下」

 霊夢はバッサリと文の言葉を斬り捨てた。一度不機嫌になると、そのまま引きずるというのは博麗の巫女と言えど歳相応の幼さか。

「ちょ、せめて最後まで聞いて下さいよ!」
「落ち葉、集める、あんた、やれ」
「何で片言!?」

 それ以降無視を続ける霊夢に、小さく溜め息を吐いた文は仕方無く、落ち葉を集めるべく箒を手に取り、掃きだした。自業自得ではあるのだが。
 文が掃除をしている間、霊夢は縁側でお茶を啜っていた。文がサボらないよう監視しながら。

「はぁ……終わりましたし、話を聞いてくれますか?」
「そのお願いとやらを了承するかは別だけどね」
「実は外の世界ではクリスマスの日には、クリスマスパーティーとやらがあるらしいのです」
「どこからの情報なのよ」
「東風谷早苗さんです」

 霊夢は納得がいった。幻想郷に突然クリスマスなどというものが出てくる訳が無かったが、早苗は外から来たばかりの人間だ。外の文化を知ってるのは当たり前だし、それをネタ好きな文が聞き出していない訳が無かった。

「んで、用件は何よ?」
「急かしますねぇ。この神社をクリスマスパーティーとやらの舞台に――」
「却下。さっさと帰って部下の奴と軍人将棋でもしてなさい」
「大将棋です。それと何故断るのですか?」

 霊夢は溜め息を吐く。目の前の文に分かるくらいわざと大きく。
 文は断る理由が全く分からないといった表情を浮かべてはいるが、霊夢からすればいい迷惑だ。

「大体何で神社なのよ?」
「皆が集まる場所じゃないですか。それに宴会と大して変わりませんよ?」
「そりゃあ……そうかもしれないけれど」

 霊夢が渋ったが、先程よりはマシな反応だと感じた文は、ここぞとばかりに叩きこみに入る。

「ほら、食材とかお酒とかは他の人に提供させますし」

 ピクッと霊夢の肩が反応した。勿論、文はその反応を見逃さなかった。

「私もとびっきり素晴らしい食材やお酒持って来ますよ?」
「むぅ」
「お願いしますよ! 忘れられない一日にしますから」

 最後の言葉は別に要らないんじゃないだろうかと霊夢は思った。が、魅力的な話ではあった。場所提供をいつもの宴会と同じ様にするだけで、お酒やら食材やらで楽しめるのだから。
 別に生活苦な訳では無いが、贅沢な暮らしをしている訳でも無い。つまり普通程度の暮らしだ。そういう者にとって無料で食事にありつけるのは有り難いものなのだ。

「しょうがないわね。許可するわよ」

 誘惑に負けて、霊夢は許可を出した。

「ありがとうございます! 早速皆さんに伝えてきますので、今日はこのへんで」

 無駄に颯爽として飛び去る文。そして、また集めて置いといた落ち葉が綺麗に散った。
 霊夢は、文に次会う時、恐ろしい目に遭わせることを決意した。



◇◇◇



 そして当日、時間は夕刻過ぎ。既に様々なメンバーが神社に集まっていた。

「あ、霊夢さんどうですか? 約束通り皆さんお酒も食材をちゃんと持って来てますよ」

 文が笑顔で霊夢の元へやって来る。それを霊夢は笑顔で対応し、文の眼球に指をストン。

「痛い! 何をするんですかぁ!?」
「この間の恨み」
「はぁ?」

 訳が分からないといった様子の文に、さらに二度三度指を突く。

「痛い痛い! 動物虐待だぁ!」

 嘆きながら霊夢の側を去る文を見てとりあえず霊夢は満足した。
 ふと、改めて周りを見渡す。
 周りには様々な食材やお酒を持って来ている者が集まっている。高級そうな血に限り無く近い色をしたワインを持つ紅魔館組、萃香は秘蔵のお酒だと自慢しているし、紫は何やら大きな白い箱を持っている。
 よく見ると、目立たない端の方ではアリスがパチュリーと会話をしている。耳を澄ませるが、魔法のことに関しての話なのだろう、霊夢には理解出来なかった。幽々子はいつもと同じ様に、妖夢とじゃれていた。魔理沙は文と一緒に居た。宴会幹事と今回の発案者というこういうのが好きな者同士、何か通じるところでもあるのか分からないが、楽しげに話していた。

「霊夢さん」
「あ、早苗」

 縁側から皆を眺めていた霊夢は、ふと呼ばれた方を振り向くと早苗が居た。早苗はいつもの巫女服を着て、何やら苦笑いを浮かべながら立っていた。

「すみません霊夢さん。私がクリスマスの話をしたせいでこんなことに……」

 苦笑いを浮かべていたのは責任を感じていたからだった。しかし、霊夢からすれば宴会を神社で開くのは日常の一部だ。それがクリスマスパーティーという名称に変わっただけのようなものだった。なので、霊夢は特に不快感を感じてなどいなかった。

「別にいいわよ。いつものことだし」
「あはは、すみません。横座っても良いですか?」
「好きにしなさい」

 霊夢の横に腰掛ける早苗。特に話すことも無く、ただ目の前を見ていた。
 目の前では、既に勝手にパーティーが始まりつつあった。萃香は既にお酒を飲んでいるし、レミリアは咲夜にワインをグラスに注いでもらっている。
 永遠亭組も何やら騒いでいる。輝夜が妹紅に絡んでいたり、てゐが鈴仙に追いかけられていたり、その様子を眺めて微笑を浮かべている慧音と永琳。
 そして空も黒に染まり、星のみが灯の役目を果たす時刻になった時にやっと正式にパーティーが始まった。

「メリークリスマス!」
「メリクリー!」
「メス!」

 掛け声と共に、クリスマスパーティーが開催した。明らかに最後のは略しすぎて意味がおかしくなっていたが、この大勢の中、誰が言ったか分からないからか誰もツッコミを入れなかった。
 あちらこちらでわいわい騒いでいる。その様子はやっぱりさほどいつもの宴会とは変わらなかった。
 霊夢は小さく溜め息を吐く。

「本当にただの宴会と変わらないじゃない」
「あ、あはは」

 苦笑いを浮かべる早苗。目の前の状況を見る限り否定出来ないからだ。

「でも」
「ん?」
「私は、こんなに楽しいクリスマスパーティー初めてです」

 霊夢が早苗を見ると、早苗は笑顔だった。
 冬の冷たい風が、身体を包む。風に吹かれ、早苗の横髪がなびいていた。

「あんたは外の世界で本当のクリスマスパーティーとやらを知ってるんでしょう」
「実は、私やったこと無いんですよ。クリスマスパーティー」
「は?」

 予想外な答えに、霊夢は思わず変な声を発した。早苗は笑顔のままだったが、先程より少し寂しげな笑顔に見えた。
 だが、霊夢は少し考えれば分かることだと納得した。
 早苗の力は幻想郷からすれば、さほど珍しいものでは無い。
 しかし外の世界、つまり早苗の居た世界ではどう思われていたか。どう扱われていたか。もしかしたら酷く罵られたかもしれないし、その力を利用しようと考えた者も居たかもしれない。はたまた早苗を通じて神を視た気になって、早苗という存在をただの媒体と見た者だって居たのかもしれないのだ。そんな者たちと楽しい時間を過ごせる訳が無い。

「ま、どうでもいいわ」

 だからこそ霊夢は何も訊かないことにした。
 もしかしたら、さっきのは全て霊夢の杞憂なのかもしれないが、霊夢は己の勘に従った。

「どうでもいいんですか?」
「そ、どうでもいいの。そうね、一つ訊くなら早苗は今、楽しい?」

 一瞬霊夢の質問にキョトンとした表情をしたが、すぐに早苗は笑顔に、そう、先程見せた寂しげな笑顔じゃなく本当の笑顔で――

「はいっ!」

 返事をした。
 霊夢はそんな早苗を見て優しく微笑んだ。

「私、このクリスマスパーティーを来年もしたいです」
「それも良いけど他にもいっぱい行事はあるわよ」
「え?」
「それらも楽しまないと、損じゃない?」

 少し悪戯っぽい笑みを浮かべて、霊夢は早苗に尋ねる。早苗はクスッと笑う。

「そうですね。私、もっともっと楽しみたいです。そして、好きになりたいです。この幻想郷を」
「なら楽しむ為の努力をしないと」
「楽しむ為の努力?」

 楽しむのに努力が必要なのか、疑問を浮かべる早苗に対して霊夢は優しく微笑んで言う。

「もっと肩の力を抜きなさい。それが今のあんたに一番必要よ」

 そう言われた早苗は、苦笑いを浮かべて、努力します。と言った。早苗の性格では肩の力を抜くのは難しそうだった。

「ほらお二人さん早く来なよ!」

 いつの間にやら萃香が目の前に居て、突然話しかけてきた。

「何よ、どうかしたの?」
「紫がクリスマスケーキを持って来てたんだよ。早く行かなきゃ食べられちゃうぞ」

 白い箱はケーキの箱だったようだ。外の世界からの物かは分からないが。

「じゃあ行きましょうか早苗」
「はいっ!」

 紫たちの元へ合流し、ケーキ片手に皆で笑い合う。こんな日がいつもと変わらない日常ではあるが、変わって欲しくない日常でもある。

「ケーキにワインやお酒、これで雪でも降れば完璧ね」
「雪?」

 紫の言葉に反応する霊夢。何故雪が必要なのか、ただでさえ寒いのに、という疑問からくる反応だった。

「雪が降るとホワイトクリスマスと言って乙なものなのよ」
「でもいくらなんでもそんな都合良く雪は降らないわよ」
「そうね。外の世界でも最近は降らないらしいわ……ってあら?」

 紫が空を見上げる。
 空から無数の白い送り物が静かに降っていた。

「……雪だ!」

 誰かが言う。それにより、騒ぎ出す一同。皆の興奮は頂点に達した。

「こんな都合良く降るなんて、奇跡みたいね」
「ん?」

 紫の奇跡という言葉に霊夢は引っ掛かった。そして考えた。

「早苗、あんたもしかして……」

 早苗の方へ向くと、今日一番の笑顔をしていた。それを見て霊夢は確信した。
 早苗がこの雪を降らせたのだろうと。

「楽しむ為の努力、ですよ」

 早苗は子どもっぽい笑みで言った。
 霊夢は周りを見る。
 雪に興奮して、遊んでいる者。雪を眺めながらケーキを食べる者。その他全ての者、皆含めて笑顔だった。本当に楽しそうだった。それを見て霊夢も自然と優しい笑みになる。

「ま、たまにはこんな奇跡も良いかもね」
「はいっ!」

 未だに降り注ぐ雪は、その場にいる者全てに幸せを与えていた。
東方SS | コメント:0 | トラックバック:0 |
<<ふわぁっ!?+拍手レス | ホーム | 心模様>>

コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

| ホーム |