絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

正体不明とからかさお化けは良いコンビ?

ぬえと小傘ちゃんでどたばた。コメディちっくです。


 

「う、うらめしやーはいりませんかー? うらめしやーはいりませんかー?」
「何をやってんだお前は!」
「目が痛いっ!?」

 目潰しされた小傘が、ごろごろと地を回る。その情けない姿を見て、大きなため息と呆れた顔のぬえ。
 しばらくして、回復した小傘がキッとぬえを睨む。

「いきなり何するのさ!」
「それはこっちのセリフだ。お前は何をやってるのよ」
「人を驚かそうとしてただけだよ!」
「ちなみにここは?」
「魔法の森」
「驚かす方法は?」
「う、うらめしやーはいりませんかー?」
「馬鹿か!」
「きゃうんっ!?」

 ぬえの綺麗な回し蹴りが、小傘の小さなお尻にクリティカルヒットした。
 お尻をさすりながら、小傘は涙目で唸っている。
 魔法の森に好き好んでやってくる人間など、普通はいない。もし来るような人がいたら、それは相当度胸のあるものだ。そんな人物に向かって「うらめしやーはいりませんかー?」などといったわけのわからないことを言ったところで、驚かれるはずがない。
 ぬえは最初小傘を見かけたとき、無視して行こうとしたが、あまりにもツッコミどころが満載だったので無意識に登場してしまった。

「うぅ……痛い」
「黙れマゾ」
「酷いっ!」
「いいか? お前はもうちょっと頭を使え。そんなんで驚くと思うの?」
「むー別にぬえには関係ないじゃん」
「まぁそうだけどさ。見ててなんか蹴りたくなるのよ、あんた」
「やめてよー。それに私を批判してるけど、ぬえなら良い驚かし方思い付くの?」
「そりゃあ、あんたよりはね。これでも正体不明の存在だし――って」

 小傘よりは良い驚かし方を思い付く。
 そう言った次の瞬間、小傘がまるで純粋な子供のように瞳をきらきらさせていた。その眼差しに、うっと詰まるぬえ。何やら面倒なことに巻き込まれる気がしたようだ。
 踵を翻して、その場を去ろうとしたが――

「めっ!」

 ぎゅっとスカートの裾を掴まれてしまった。
 ぐいぐい。
 じたばた。

「えーい離せっ! 何が、めっ、だよ!」
「やーだっ! お願い協力してよぬえ~。ぬえしか頼れる人いないの~! 友達でしょ~!」
「いつ友達になった!?」

 二人は知り合いだが、友達というほど親しいかと言われると、微妙だった。
 何度か顔を合わせたことはあるものの。一緒につるんだりしたことは一度もない。
 ぬえは必死に暴れるが、小傘の手は離れる気配が無い。

「わっ!? 馬鹿、離して! スカート破れるって!」
「大丈夫、私は気にしない!」
「気にしろ馬鹿! あーもう分かったから! 手伝ってやるから離して!」

 さすがに服が破けてしまうのは嫌だ。結局勝敗は、小傘の根気勝ちだった。
 素直に手を離す小傘。ぬえはもう逃げることは考えていない。今考えていることは、どうやったら人を驚かすことが出来るかということだけだ。

「やっぱり手っ取り早いのは、正体不明の種かな」
「正体不明?」
「そ、正体不明のものに生き物は本能的に恐怖を覚える。たまに例外もいるけどね。それで、その種を小傘に植え付ける」
「するとどうなるの?」
「人によってどう見えるかは変わるけど、多分驚く。あと見る者の恐怖対象に見えるように、少し弄っておこう」





 ~少女準備中~





「こんなもんかな」
「これ、変わってるの? 何も変わってないように見えるけど」
「私と小傘以外には、ちゃんと小傘って分からないようになってるはず。とりあえず、人里行こうか」
「えぇっ!? 人里で騒ぎ起こしたら、なんか守護者みたいなのが退治しに来るって噂だよー?」

 人里内で何か問題があった場合、慧音が現れる。
 正直、小傘は戦闘に関してはあまり得意ではないという自覚はあった。弱くはないが、特別強いわけでもない。ゆえに、今まで人里は避けていた。

「大丈夫、私もいるし」
「……え、うん」
「何よ、その頼りないなーみたいな目」
「ううん、別になんでもない」

 小傘の視線に、言いたいことは色々あったがもう何を言うのも面倒だったので、何も言わないでおいた。
 人里へは、そう遠くはない。
 とりあえず、向かうことにした。





◇◇◇





「さて、着いたはいいけど、最初に言っておくぞ」
「ん? 何?」
「驚かすのは一回だけ。守護者が来る前に、速攻逃げること。分かった?」
「えー……」
「ほどほどが一番なの。まずいと思ったらもう手遅れ、なんてことにはなりたくないでしょう?」
「うー……分かった」

 小傘からすれば、たった一度だけというのは不満だ。しかも、上手く驚かせられるかも分からないというのに。だが、ぬえは調子に乗りすぎないうちに退散が一番良いと思っている。慧音が何処からやってくるかも分からない。もし、速攻見つかったらとにかく逃げるしかない。
 そして、二人は人里に足を踏み入れた。
 一応ぬえ自身にも正体不明の種が植え付けてあるから、二人の正体は分からない。
 だが、騒ぎにならぬよう、とりあえず二人は物陰に隠れることにした。

「さっさと終わらせて帰ろう。ほら、そこにいる男で良いんじゃない?」

 ぬえの視界の先には、男が歩いている。
 小傘はそれを見て、笑顔で走って行った。

「さて、どうなることやら」

 ててて、と男の方へと走る小傘。
 そして、男の背後から――

「うらめしやー!」

 台詞はいつもと同じ、古臭いものだった。

「ぎゃああああああああああああああああああああああ!? ば、化け物! うわああああああああ!?」

 だがしかし、男には恐ろしい何かに見えたようで、恐怖のあまりに腰を抜かしてしまった。
 小傘は、久し振りにお腹が満たされるのを確かに感じた。

「おー成功してる。うらめしやーうらめしやー!」
「ぎゃああああああああああ!? い、命だけは! ごふぁっ!?」
「吐血!?」

 何故か男は吐血して倒れた。
 その騒ぎに、人がなんだなんだと集まってくる。
 これはまずい。そう思ったぬえはすぐさま飛び出して、小傘の手を引っ張り、走りだすことにした。

「早く逃げるぞ!」
「ぬえーあの人吐血までしたけど、私が何に見えたんだろう……なんか、驚くというより怖がられてる方が大きくて、ちょっと複雑」
「知るか! 今はさっさとここから去らないと……」
「ちょっと待て、そこのお前ら!」

 大きな声に、びくっと体を震わせるぬえ。恐る恐る振り返ると、そこには案の定、慧音が立っていた。
 ぬえは何度かこっそりと人里に来たことがあるので、すぐに慧音だと分かった。だが、小傘はそんなこと知らない。慧音という人里を守る存在は知っているが、実際には見たことが無い。
 ぽかんとしている小傘の手を強く引く。

「ねーぬえ、あれも驚かしちゃおうよ」
「は? 馬鹿お前――」
「うらめしやー!」

 ぬえの手をすり抜けて、慧音の方向へと走って行く小傘。
 慧音からすれば、化け物が走ってきているように見える。慧音は、すぐさまスペルカードを取り出した。

「あの馬鹿っ……」

 ぬえは小傘の方へと駆ける。
 既に慧音のスペルはセットされている。国符「三種の神器 剣」の発動により、慧音の手には剣が握られている。

「化け物、覚悟っ!」
「ひゃわわっ!?」

 振り上げられた剣に、思わず目を瞑ってしまう小傘。避けなければいけないということは分かっているが、体が動かなかった。
 そして、剣が直撃するその瞬間――

「ったく、本当に馬鹿だな! 避けろっての!」
「ぬ、ぬえ~……」

 ぬえが小傘と慧音の間に入り、持っている三又槍で防いだ。互いの武器による金属音が、大きく響いた。

「なっ!?」
「よし、小傘! 援護!」
「ほいさ!」

 慧音は防がれるとは思わなかったのか、一瞬の隙を見せた。
 そして、その隙を逃すぬえじゃない。

「必殺驚かし七つ術の一つ! 膝かっくん!」
「お前ふざけんな、こら!」
「うおぉ!?」

 小傘の膝かっくんがクリティカルヒット。
 慧音はその場に倒れた。

「嘘っ!? ま、まあいいや。逃げるよ、小傘!」
「うん!」

 いつの間にか増えていたギャラリーたちが、ざわめいている。慧音が倒れたことに、皆慌てる。

「慧音せんせー! ちくしょう、仇を取るしかない!」
「そうだそうだ!」
「私もやるわ!」
「うおおおおおおお!」

 そして、里の人間たちが一致団結した。
 なんと強い精神を持った者たちだろう。それぞれが武器を持ってくる。少ししてから、慧音は起き上がり再び構える。
 既に走りだしている小傘とぬえ。

「大丈夫、これなら逃げ切れるはず」
「ぬえー! 後ろ後ろ! すっごい怖い!」
「何が――って怖っ!?」

 ぬえが後ろを向くと、数十人の里の者が鍬を振り回してこちらへ向かって来ている。先頭には慧音が勇ましい表情で、追っかけてきている。
 それ自体は、さほど怖くない。恐ろしいのは、里の者たちの鍬捌きだ。皆が皆、まるでペン回しをするかのように鍬を振り回して奇声を上げて走ってくるのだ。この光景は、そこらへんの妖怪より遥かに怖い。

「やっば! あれ絶対追いつかれたらやられるって!」
「どうしよう、ぬえ!」
「とにかく走る! というか、スペルカードルールどこいったし!?」

 そのぬえの叫びを聞いて、慧音がふむと唸った。
 そして、追うのを止め、加勢してくれた皆の方を振り向く。

「みんな、これはスペルカードルールではない!」
「安心してくだせえ、慧音先生。これ、スペルカード、農具『洩矢の鉄の鍬』ですから!」
「なら安心だ! よし、行こう!」
「絶対嘘だ! 今考えただろ!」

 飛んで逃げてしまえばいいのだが、軽くパニック状態の今ではその考えが思い付かない。とにかく走る。
 背後から大量の武器を持った集団。このプレッシャーが、より体力を削る。
 しかし、集団はかなり密着して走っている。すると、どうなるか――それは、振り回した武器で味方を巻き添えにするはめになる。ぎゃあ、という声を上げて、走れば走るほどどんどんと人が減っていく。ちょっとした惨劇状態だ。唯一、先頭にいる慧音だけには当たらない。
 そして、気が付くとなんやかんやで慧音一人になっていた。

「くっ! よくも皆を! 許さんぞ!」
「いやいやいや!? 明らかに自滅じゃん! 人のせいにするなよ!」
「ぬえ、口動かしてる暇があったらしっかりと走ろうよ!」
「あ、ごめん……って原因お前だよ! そうだよ、元の原因お前じゃんか! なんで私が謝らなくちゃならんのさ!」
「ぬえ、危ない!」
「え?」

 背後から慧音の弾幕。レーザーが雨のように降り注ぐ。
それに気付いた小傘は、ぬえをその場から突き飛ばす。そして見事、ぬえに大量のレーザーが被弾した。

「ぐあ……お前が突き飛ばしたせいで被弾したじゃんか!」
「こういうシチュエーションって憧れるから、つい」
「確信犯かよ!? あーもうっ、ふざけてる暇無いってのに! こうなったら、こっちからも仕掛けるか」

 くるりと踵を翻し、慧音の方へと向く。
 そして、スペルカードを取り出す。それを見て、小傘も同じようにスペルカードを取り出した。
 慧音はそんな二人を見て、急ブレーキし、身構える。

「小傘、私に合わせろ! 正体不明『赤マント青マント』」
「了解! 虹符『オーバー・ザ・レインボー』」
「むっ……!」

 小傘のスペルカードがまるで津波のように慧音を襲い、その避けた先にはぬえの高速で迫る弾幕の雨。
 さすがの慧音も、これには慎重に一つ一つを見極める必要がある。避けきれないものは剣で弾き、多少のかすりは目を瞑る。最大限、被害を抑えるベストな避け方に徹する。

「よし、逃げるぞ小傘!」
「え? 戦うんじゃ……」
「これで上等よ。相手は攻撃できる隙がない。この隙に逃げるのよ! 私たちの目的は無事に里から出ることであって、あいつを倒すことじゃない」
「ん、分かった!」
「くっ、待て……っ!」
「よそ見してると、被弾しちゃうよ。それじゃあね」

 ぬえの言う通り、慧音には避けることで精一杯だった。
 どんどんと遠ざかって行く。
 こうして、無事にぬえと小傘は逃げ切ることが出来た。

「はぁっ! つ、疲れた……」
「私も……けど、お腹いっぱいだー」

 再び森の中。
 仰向けに倒れ込む二人。
 汗が酷く、服がぐっしょりとして気持ちが悪い。走りすぎて体も痛い。けれでも、小傘は満足しきった表情だ。

「ぬえーありがとね」
「もう手伝わないぞ……こんな面倒なこと」
「えー……私、ぬえが手伝ってくれないとひもじい」
「知るか。勝手にしてよ。私は疲れた」
「でもさ、私たちって良いコンビだと思うよ」
「お前、そんな恥ずかしいことよく言えるな」
「ほえ? 恥ずかしいかな?」

 何かおかしなことを言っただろうか、と疑問符を浮かべる小傘に、ぬえはただため息を吐いた。
 本当なら、軽く蹴りでも入れてやりたい気分だが、もうその体力さえ無かった。

「ま、ある意味充実した日だったよ」
「じゃあ、また今度も――」
「だが断る!」
「うわあああん!?」
「……せめて人里はもうやめよう。それだったら、まぁ暇があれば付き合ってやる」
「本当!? わーい、ぬえありがとー!」
「わっ、馬鹿! 重い! 抱きつくなって、こら! なんでお前そんな元気なんだよ!」
「ぬえのお陰だよ~久し振りにお腹膨れたから、まだ元気なのさ!」
「あー鬱陶しい! は~な~れ~ろ~!」

 横になったままのぬえに、全力で抱きつく小傘。
 体力を使い切ったぬえと違って、小傘はまだ少し元気があるようだ。
 抵抗しようにも、力が入らないぬえ。
 二人のじゃれ合うような声が、普段は静かな魔法の森に響いていた。



投稿時のあとがき~
 
きゃっきゃうふふしてるぬえと小傘を書いていたはずが、いつの間にかどたばた劇になってました。
どうも、喉飴です。
ぬえと小傘は相性良いと思うんですよ。ダメな小傘をぬえがため息吐きながらも放っとけなくてサポートしてあげちゃうみたいな、そんな関係。
そんなこんなではありますが、少しでも楽しんでくださったら、嬉しいです。





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