絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

お泊りから始まるもの――前編

プチ投稿作品、パチュアリ。






「あら、アリスいらっしゃい。ご飯にする? お風呂にする? それとも、か・か・し?」
「読書」
「かかし?」
「読書」
「かかし?」
「……かかし」
「え……アリス、頭大丈夫? ブレインブレイン言ってるから頭の軸ブレたんじ
ゃないの?」

 アリスが勢いよく回し蹴りを放つが、パチュリーは素早くしゃがんで避ける。
 その際に見えたアリスの下着を脳内知識に速攻加えるパチュリー。

「すぐ怒らないの。だからお前は未熟だというのよ」

 アリスがかかと落としを放つが、パチュリーは軽く右に避ける。
 その際に見えたアリスの下着を写生する小悪魔。

「もう、冗談じゃない。私とアリスの仲でしょ」
「はぁ……どんな仲よ」
「恋仲?」
「不仲」
「ねぇアリス、『仲』っていう字をずっと見つめてたらなんか違和感を覚えない?」
「何の話よ!?」
「仲仲仲仲仲仲仲」
「止めなさい! なんか色々と不安定になりそうだから!」

 無表情で話すパチュリーは、何を考えてるのかすら分からない。
 それなのに、アリスがわざわざパチュリーの元へやってきたのは、パチュリーのその膨大な知識は本物だと認めているからである。そして、その知識を求めているからだ。

「パチュリー、聞きたいことがあるのだけれど、いいかしら?」
「えぇ、もちろん」

 二人は随分親しくなった。
 最初は、接点のない者同士だったが、博麗神社での宴会などを通じて、それなりに話すようになっていった。
 しかし、話すようになったといっても、最初は不仲。
 アリスを魔法使いとして未熟者だと見下すパチュリー。
 その態度にプライドを傷付けられただけでなく、なにより人形たちを馬鹿にされているように感じたアリスは、パチュリーが嫌いだった。
 だが、それはアリスの勘違い。
 パチュリーは確かにアリスに対して、未熟者という言葉のレッテルを貼ったが、それは性格に欠点があるという意味で言っていたのである。
 詰めが甘い、本気を出さない、などといったアリスの部分を、パチュリーは未熟者という言葉で表したのだ。
 人形を扱う技術、トリッキーな戦略、そこらへんはパチュリーも認めていた。

 そして、勘違いというものは時間が解決してくれる。
 会う機会を重ねるうちに、アリスもパチュリーも、互いの不仲は解消されていった。
 そして、パチュリーの図書館へと普通に来れる程、アリスは親しくなり、現在に至る。

「ねぇ、アリス」
「んー?」
「今更だけれど、私とアリスの魔法価値観は違うのだから、あまり私の言うこと全てを参考にしない方がいいわよ」
「んーでも、やっぱり知識の差は大きいから。例えば私が一を知っていても、パチュリーはその一を十にも百にもする方法を知っているわ。それはとても凄いことだと思うの」
「だけど、それじゃあ私には勝てないわよ?」
「そこは自分流にアレンジして、策略を練るわ」

 確かにパチュリーから教えて貰った知識を、そのまま使うとなるとアリスの魔法価値観に合わないだろう。だが、アリスはその得た知識を、自分色に染め上げ、発展・応用させる。
 それは生半可な実力では、出来ることではない。それ相応の実力やセンスが問われる。

「そう……ならいいけどね」

 だがアリスにはそれがある。それはパチュリーも認めていることだ。だからパチュリーは何も言わない。

「うん、ありがとうパチュリー」

 ニコッと笑顔を浮かべるアリス。

「……死ねばいいのに」
「なんでよ!?」

 パチュリーなりの照れ隠しであった。





◇◇◇





 陽も沈み欠け、茜に空が染まる時刻。紅魔館の近くにある湖までもが、茜に染まり、輝いていた。

「さて、そろそろ帰るわ」
「そう……泊まっていけば?」
「遠慮しとくわ。そんな急ぎの研究でもないし」
「……もう暗くなるから危ないわよ」
「そう簡単にやられないわよ」
「いや、危ないわよ。過去に私は手と足を持っていかれたわ」
「初耳よ!? ていうか今普通に手足あるじゃない! 明らかに嘘でしょう!」
「その手足を取り戻すために私は賢者の石を求めて……」
「あんたはどこの錬金術師よ!」
「とにかく危険よ」

 こんなやりとりをしているうちに、完全に陽は沈んでしまった。先程まで見られた、茜に染まった空も、湖も、今は黒になっていた。

「ほら、いつの間にか夜よ。危険よ」
「あんたのせいじゃない!」
「人のせいにするなんて、未熟な証ね」
「とりあえず帰るわ」
「死ぬわよ? あなたの場合、私と違って全身持ってかれるかもよ?」
「なんなのよ。何? 私に泊まって欲しいの?」

 アリスは半分以上冗談のつもりでそう言ったのだが、パチュリーは顔全部を本で隠してしまって、無言になった。

「えーと、パチュリー? 何で顔隠してるの?」
「隠してなんかないわ。ちょうど気になるページだったからのめり込むように読んでしまってるのよ」
「真っ暗よ?」
「私レベルになると余裕で読めるのよ」

 普段の知的なパチュリーと違って、何故か子どもっぽい言い訳にしか聞こえない。
 そんなパチュリーの背後に忍び寄る影。

「なーに恥ずかしがってんですか、パチュリー様」
「ひゃぅん!?」

 突然、背後から肩に手を置かれて、おかしな声をあげた。パチュリーが慌てて振り向くと、ニマニマした小悪魔が立っていた。ロイヤルフレアが直撃した。小悪魔は砕け散った。

「はぁ……はぁ……」
「ちょ!? 小悪魔ー!」

 パチュリーは頬を紅く染めながら、息荒くしている。不調、というわけでもないが、万全というわけでもない微妙な体調では、ロイヤルフレアは堪えたらしい。

「小悪魔なら大丈夫よ。お湯かけて3分経つと自然回復するから」
「そんな存在なの!?」
「咲夜ー」
「なんでしょう?」
「うわっ!」

 パチュリーが咲夜の名を呼ぶと、アリスの横に咲夜が現われた。

「お湯とタライを」
「分かりましたたたたた」
「どうしたの咲夜!?」

 バグったみたいな声をあげる咲夜だが、すぐに再び現われて、お湯とタライを渡した。
 パチュリーがありがとうと言って、咲夜はウフフグフフと返事して消えた。時を止めて移動したのだろう。もうアリスは驚かなかった。
 倒れている小悪魔をタライに入れて、お湯をかける。

「熱い熱い熱い!」
「えぇっ!? 大丈夫なのこれ!?」
「大丈夫、小悪魔は今自己再生中」
「熱いですって! 降参降参! パチュリー様! にゃあぁぁぁ!」


 ~少女熱湯中~


「はい、復活」
「物凄く嫌な気分なんだけど」

 復活までの3分、熱い熱いやめてくださいとか喚く声が響いていたのが、アリスにとって苦痛だった。

「あはは、とりあえずアリスさん」
「なんであんたは笑ってられるのよ」
「泊まっていきます? なんだかんだで外真っ暗ですし、パチュリー様も泊まっていって欲しいみたいですし、ネ」
「え?」

 悪戯っぽく笑う小悪魔に、またロイヤルフレアを放つパチュリー。しかし、今回は避ける小悪魔。小悪魔、ちょっと強くなりました。

「う~ん、迷惑じゃないかしら?」
「部屋ならたくさんあるわ。なんなら私の部屋を使わせてあげるわ」
「いや、流石にそれは……」
「まぁまぁ、パチュリー様自身が許可なされてるわけですから」
「……なら、よろしく」
「えぇ、歓迎するわ。小悪魔、準備をしておいて」
「かしこまりまりまりしたたたー!」
「どうした小悪魔!?」

 小悪魔は笑顔で去って行った。普段は良い子の小悪魔だが、たまに分からなくなる、とアリスは感じていた。

「えと、パチュリー」
「んー何?」
「お世話になります」
「律義ねぇ」
「そうかしら? 普通じゃない?」
「その普通が欠けてる白黒鼠だっているのよ」
「あ、あはは……」

 パチュリーがいつも以上に無表情、というか不機嫌な表情になった。思わずアリスは苦笑いを浮かべる。

「そういえばパチュリーの自室って何処にあるの?」
「あら? 私の部屋を把握してどうするつもり? まさか夜に忍び込んで……」
「違うわよ!」
「まぁ分かってるけど。自室に戻るのは数ヶ月振りね……」
「は?」
「私、大体はココから動かないし」

 パチュリーの自室は、館内にあるにはあるのだが、図書館から全く動かないために、実質使うことは少ない。
 今では、図書館内に簡易的な自室がある。
 図書館には研究室、膨大な数の本、それはパチュリーにとっては、自室へ戻ることをしなくなる程に魅力的なものだった。

「だ、大丈夫なの?」
「だから小悪魔が今片付けているのよ。正直、私どんな部屋だったか忘れかけてるわよ」
「……パチュリー、食事はちゃんとしてる?」
「一日一食しっかりと」

 パチュリーの言葉に、アリスは自分の額に手をあて、呆れたように溜め息を吐く。

「貴女は体が弱いんだから、しっかりと食事をとりなさい」
「あら、説教?」
「違うわよ。ただ純粋に心配してるの」
「っ!?」
「あのね、研究や読書も良いけれど、パチュリーはまず体を第一に考えなきゃダメでしょ? って聞いてるの?」
「…………アリスのバカ」
「何でよ!?」

 心配だと本気で言われて、パチュリーは紅くなる頬を本で隠す。

「空気読まずに小悪魔参上です!」
「うひゃぁっ!?」

 そんなパチュリーの背後に小悪魔。驚いて、可愛らしい声を上げてしまう。

「部屋の整理完了しました」
「……分かったわ。行くわよアリス」
「あ、うん」

 小悪魔を軽く蹴飛ばし、アリスの手を引いてパチュリーは数ヶ月振りの自室へ向かう。

「……」
「……」

 先ほど可愛らしい声を上げてしまったという恥ずかしさから、早く逃れたいた
めに急いで出たが、一つ気まずいことがある。
 それは、今、手を繋いで歩いていること。
 柔らかく温かい、心地良い手のひら。普段こんなことしたことが無いため、恥ずかしい。
 なのに、互いに手を離さない。

「えと、パチュリー」
「な、何かしら?」
「け、結局自室は何処にあるの?」
「も、もうすぐよ」
「そう……」

 なんてことない会話で、無理矢理間を繕う。
 あと少しで、パチュリーの部屋に着く。
 けれども、二人はまだこの感覚に少し溺れていたい、などと思っていた。
 その意思を表すかのように、どちらともなく握った手を強く、より強く、握る。
 二人の間に、もう会話は無い。
 ただ、顔に紅葉を散らした様子だ。
 幸いにも廊下には、妖精メイドすら居なかったから、誰も目撃をしていない。

「あ……ココよ」
「そ、そう」

 部屋の前に立つ。
 強く繋がっていた、手が離れる。

「あっ……」
「な、なにアリス?」
「ううん、何でもない!」
「じゃあ入りましょうか」
「うん」

 扉を開き、中に入る。
 中はかなり広く、壁際には大きなベッド、木製の本棚、窓からは星の光が差し込んでいた。

「それじゃあ、改めて。ようこそ私の部屋へ」
「じゃあ私も改めて。お世話になるわ」

 冗談っぽい口調で会話をかわす。
 何となくおかしくて、互いにクスッと笑った。
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