絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

悪くはなかった

リクエスト作品。
さとりと霊夢。
 
 さとりが燐や空に地上へ誘われたのは、一週間前だった。
 だが、なるべく他人との関わりは避けてきたさとりが、ただ誘われたくらいで動くわけがない。
 ペットたちの誘いを断る日々が一週間は続いた。
 燐も空は、私たちがついてますから安心してください、と言うが、さとりはそんな二人の純粋な好意からきていることが分かる行為に、嬉しく思いながらも、やんわりと断っていた。
 ごめんね、私は一緒に行けないわ。どうしてですか、あたいたちが一緒でも、不安ですか。私、強くなったんですよ。神様から力を授かったんですから。さとり様を絶対に守ります。約束します。それでも、不安ですか。ううん、とても心強いわ。二人が居たら、私は安全よ。でも、ごめんね、私は行けないわ。本当に、ごめんね。
 優しく微笑みながらも、本当に申し訳なさそうな声に、二人はそれ以上誘うことが出来なかった。さとりが本当に嫌なら、無理強いは出来なかった。しかし、二人はさとりと違って、相手の心が読めるわけではない。本当に嫌なのかは分からず、あくまで推測だ。
 もし多くの人に会うのが嫌なら、少数なら大丈夫なのではないか。何も地上に出ることはない。安心できる場所が地霊殿なら、地霊殿で会話を、人と関われば良い。
 二人がそう考えたのは、二日前。
 そして、実行に移したのが今日。

「さとり様、今日はお客さんを連れて来ました!」
「あたいが紹介! 名前は博麗霊夢! 神社の巫女さんで、とっても強くて、ついでに黙ってると結構可愛かったり――痛い痛い! 耳はやめてぇ!」
「誰が黙ってなきゃ残念フェイスよ!」
「そんなこと言ってないよ! 痛いって!」

 連れてきた霊夢をハイテンションに紹介する二人。
 燐の余計な一言にお仕置きをしている霊夢。。
 燐をいじめるなぁ、と核を零距離で放とうとして、「あたいまで消し飛ぶからやめて!」と叫ぶ燐。
 そして、そんなどたばたとした光景を、ぼーっと眺めているさとり。 突然のことに、何がなんだか理解していないようにも見える。

「えっと、何故あなたがここに?」
「知らないわよ。私はこの二人に無理矢理連れてこられただけ」
「神社は、留守にしていても大丈夫なんですか?」
「あー……ま、誰も来ないし大丈夫でしょ。貴重品も特に無いしね。うん」

 巫女がそんなことで良いのだろうか、とさとりは思う。

「さとり様、私たちがついてますから! それに地霊殿ですよ! これなら話せますよね!」
「えーと……」
「大丈夫、あたいも居ますから! 安心してください!」

 まるで子供のように、目をきらきらと輝かせて霊夢とさとりをじーっと見つめる二人。
 なんだか、とてつもないプレッシャーがのしかかる。

「おくう、お燐」
「はい! なんですか!」
「悪いけど、席を外して貰える?」

 さとりが申し訳なさそうにそう言うと、二人は落雷が落ちたかのような感覚に陥った。効果音を付けるなら、まさに『ガーン!』というチープかつベタなものが付きそうだ。

「……分かりました、私はいらないのですね」
「あたいもですね。さとり様とは離れたくありませんが、さとり様がそう言うなら仕方ありません。これからはおくうと一緒に暮らします」
「え!? ちょ、そういう意味じゃあ――」

 さとりが言い終わるよりも先に、燐と空はダッシュで部屋を飛び出した。
 ぽかーんと口を開いて、止まったままの霊夢とさとり。
 しばし、静寂。

「……あー、何か飲みます?」
「追いかけなくて良いの?」
「あの子たちのことだわ、お腹が空いたら戻ってきますよ、多分。万が一、中々戻ってこなかったら、探しに行きます。それに、招いていないとは言え、一応お客さんである貴女を放って置くわけにもいきませんし」
「あら、もてなしてくれるの?」
「あの子たちが無理矢理に連れてきたようですし、せめてものお詫びに最低限のもてなしはします。麦茶とメロンソーダ、どっちが良いですか?」
「何その二択。麦茶で」
「分かりました」

 しばし、部屋に一人残されることになった霊夢。
 きょろきょろと辺りを見る。淡い紫のソファやピンク色のクッションなどが目に入った。落ち着いた雰囲気の部屋ではあるが、少し暗い。ここがさとりの部屋なのだろうか。そう、思った。

「ええ、ここは私の自室ですが、何か?」
「む、びっくりするじゃない」
「驚いた様子には全然見えませんが」

 いつの間にか、さとりが戻ってきていた。
 手に持っているお盆には、二つのコップが乗せてある。霊夢がそれを一つ受け取った。

「ソファ、使わないのですか? 地に直では、冷えるでしょう」
「んーそうね、使わせてもらう」

 霊夢がソファに座る。柔らかくてふかふかとした感触が、お尻に伝わった。
 そして、さとりもソファに腰掛ける。ただし、霊夢と一人分くらいの距離を置いて。

「……」
「……」

 無言が、さとりには少し辛かった。
 霊夢の心は、麦茶美味しいなぁ、くらいのことしか考えておらず、どう対応すべきか分からなかった。
 何を話せばいいのだろうか。そもそも、会話をする必要はないのではないか。いや、それでは気まずい。どうにかしないと。そんな思考が、さとりの頭の中をぐるぐると回っていた。

「あ、あのっ!」
「んー?」
「しゅ、趣味はなんですか?」
「……は?」

 くはっ、やっちまったぜベイべー。さとりは心の中で無駄にワイルドにそう叫んだ。
 これではまるでお見合いである。
 質問としては悪くないかもしれないが、あまりにも唐突すぎた。

「えーと、特には無いかしら。あ、お賽銭箱覗くこと!」
「それは趣味と言えるんですか?」
「失礼ね、立派な趣味よ。ベタに読書や音楽鑑賞なんて言うよりは、よっぽど真実味あるでしょ?」
「リアルすぎて、ちょっとどうかと思いますけど」

 さとりの脳内には、お賽銭箱を覗く霊夢の姿がハッキリと浮かんでいた。
 思わず、苦笑いしてしまう。
 だが、霊夢は質問に乗ってくれた。普通なら、あの流れではおかしいと思われても仕方ないのに。とりあえず、一安心する。

「あんたってさ」
「はい……って!? な、何を考えてるんですか!」

 霊夢が次の言葉を言う前に、さとりには読めてしまった。――意外に可愛いのね。という言葉が。
 突然かつ予想外の言葉に、思わず大きな声を出してしまう。

「いや、さっきの態度も、いかにもやっちゃったーみたいな顔してたり。正直、もっと無愛想でねちねちっとしたタイプかと思ってたわ」
「……そんな風に思われてたんですね。いえ、仕方ないですが」

 ちょっとへこむと同時に、そう思われても仕方ない、納得出来るという思いもあった。

「だから、意外だったわ。あんたのそういうところが見れて、面白かった」
「面白がらないでくださいよ。私は私なりに、必死だったんですから」
「必死に考えた結果が、あの質問?」
「むぅ……貴女は意地悪ですね」
「あら、とっても優しいわよ、私」
「私をからかって遊んでます」
「何を根拠に」
「心」

 霊夢の心から伝わってくるのは、明らかなからかい。さとりを弄って、その様子を見て、楽しんでいる感情。
 それを、指摘する。

「そう、前から思ってたんだけどさ、あんたって本当に心読めるの?」
「……はい?」

 さとりからすれば、あまりにもありえなさすぎる質問で、一瞬停止してしまった。
 今さら何を言っているのだろうか。もしかしてこの人は、本当に頭が春で一杯なのではないか。そんなことを思う。

「当たり前でしょう。貴女は残念な人なんですか? 一度弾幕ごっこをした時、その身をもって体験したでしょう?」
「いやーでも、あれだけじゃあ分からないわよ。そうだ、今から私が考えてることを当てて。そうしたら、信じるわ」
「良いでしょう……望むところです」

 そこまでこの忌み嫌われた能力を体験し、認識したいのなら、そうさせてやる。そして、二度と近寄らなくなってしまえばいい。その方が、気楽だ。そんな考えのさとりに対し、霊夢は目を瞑って何かを考えだした。
 そして、その考えがさとりに伝わる。――とりあえず、右ストレートで。そんな言葉と、霊夢が右手を突き出す映像が伝わった。

「え? うひゃあうあっ!?」
「おー凄い。本当に分かったのね」

 そいやぁ、という霊夢の声と共に、それなりの速度の右ストレートがさとりを襲ったが、一応あらかじめ分かっていたさとりは、即座に体を後ろに反らして回避した。
 分かっていても、いきなりの右ストレートはかなり焦る。
 嫌な汗が額を伝った。

「な、何するんですか! 当たってたらどうする気だったんですか!」
「当たってたら嘘吐いた罰みたいな。当たらなかったらおめでとう、さとりは正直者だった。そんな感じで」
「どんな感じですか――って、最初から信じてましたね?」

 霊夢の心に、微かに浮かんだ思考。それは、最初からさとりの能力が嘘じゃないということを信じていたということ。
 からかわれていた。
 そのことに気付いたさとりが、ジト目で霊夢を睨む。

「あーごめんごめん。話題に困ってたみたいだから、ついね」
「つい、じゃないでしょう」
「それにほら、当たっててもあんた妖怪でしょ。人間の一発なんて、平気でしょ」
「それでも、痛いものは痛いのですよ? 妖怪は確かに丈夫ですが、痛覚が無いわけじゃあないのですから」
「はいはい、ごめんごめん。あ、麦茶おかわりね」
「全然反省してないですよね!?」
「冗談よ冗談。博麗式ジョークの一つよ」

 そんなことを言い、麦茶を飲む霊夢。
 そんな霊夢に対しさとりは、なんて自由な人なんだろうか、と大きなため息を一つ零した。慣れないことばかりで、疲労もたまってくる。そのことに気付き、またため息一つ。

「お疲れのようね」
「えぇ、主に誰かさんのせいで」
「あぁ、お燐たちが気になるのね。大変ね、飼い主っていうのも」
「貴女のせいで疲れてるんですが……はぁ。そういえば、まだ戻ってこない……そろそろ、捜しに行かなきゃいけないかな」
「そ、じゃあ私は帰らせてもらうわ」
「あ、はい。あ、出口分かります? 分からなかったら、案内しますが」
「あー大丈夫大丈夫。勘でなんとなーく分かるわよ」
「そうですか。今日はお燐たちが無理矢理連れてくるなんて行動に出て、迷惑をかけてしまったことを謝ります」

 ソファから立ち上がり、深々と一礼をするさとり。
 霊夢は、慌てて立ち上がる。

「ちょ、頭下げなくても良いわよ。別に用事があったわけでもないし。それにね」
「それに?」

 あー……と、よく分からない声を出しながら、霊夢は人差し指で頬を掻く。
 首を傾げるさとり。
 心を読んでも、何かを言うのに詰まってる、ということしか分からない。その何か、を霊夢自身もまだ探しているようで、読めなかったのだ。

「うん、楽しかったわよ」
「……へ?」
「イメージ変わった。あんたの。私の周りに知ってるやつらの中でも良識人の方だし、からかってみると面白かったり可愛かったりするし、うん、楽しかった。そう、楽しかったって言葉が一番しっくりくるわね。さっきまで、なんて言えば良いのか分からなかったけど」
「え、と……その」

 そんなことを言われたのは初めてで、戸惑うことしか出来ない。

「嘘、ですよね?」
「む、あんた心読めるんでしょ? なら嘘かどうか、読んでみなさい」
「……物好きというか、変というか」
「な!? 失礼な」
「実際、私なんかと一緒に居て楽しいなんて人、ほとんど居ませんよ」
「あっそ、でもね……」

 さとりの方を向き直り、ジッと視線を交わす。
 霊夢の方がほんの少しだけ身長が高く、さとりは見上げるほどではないが、ちょっぴり顔を上へ動かす。

「私の周りはそんなやつらばっかりよ」
「はい?」
「さとりのこと、きっと気に入るやつらばっかりよ。そりゃあ全員に好かれるなんてことは、ないでしょうけど。あんたと仲良くなってみたい、ってやつは誰かしら一人は居るでしょうね。だから、次の宴会、良かったら来なさい」
「え……」
「今度は私がもてなしてあげる。ただーし!」

 人差し指を、さとりの眉間に突きつける霊夢。
 突然の行動までは読めないさとりは、それに驚き、びくっと震えた。
 霊夢は、割と本気に、けれども笑いながら――

「あんたには後片付け手伝ってもらうからね」

 と、言った。
 ぽかんとするさとり。

「は?」
「どいつもこいつも飲み食いするだけしといて、後片付けしないで帰るのよ! 咲夜とかアリスはたまに手伝ってくれるけど、それでも人手が足りないくらいに散らかし帰っていくの……あー思い出したら腹立ってきた!」
「ちょ、暴れないでください!」

 暴走しかけた霊夢の行動を先読みして、宥める。
 おかげでなんとか、霊夢は落ち着いた。

「はぁ……ま、そういうことだからさ。強制じゃないけど、考えておいてくれると嬉しいわ」
「……はい、分かりました」
「ちなみに、来てくれると私が嬉しい」
「それは何故?」
「さとりみたいな可愛い子が来てくれたら、私感激しちゃう」
「本音は?」
「もちろん後片付け手伝い候補捕獲のため!」
「ふふっ、だろうと思いました」

 嘘を吐かない、というよりは自分に正直な霊夢に、思わずくすりと笑ってしまう。
 霊夢が、なぁに笑ってるのよ、とさとりの頬をぐにぐにと引っ張った。さとりは、いふぁいですいふぁいです、と言葉になっていないながらも、痛みを訴えた。
 パッと手を離され、頬をさするさとり。ひりひりほっぺ。

「う~……」
「はいはい、そんな恨めしそうな目で見ない。さてと、それじゃあ帰るわ。宴会の日程とかは、お燐とかに知らせるから。どうせあいつは神社によく来るし」
「あ、はい。分かりました。行くかは分かりませんけど」
「ん、それじゃあ」
「はい」
「またね、さとり」
「またがあるかは分かりませんけどね」
「会うわよ。私の勘が告げているもの」

 そう言って、霊夢は帰って行った。
 さとりは一人になった部屋で、ふぅ、と一息吐いた。
 そして、少し休憩してから、燐と空を捜しに行こう、と考える。

「疲れた……けど」

 悪くはなかった――そう、小さく呟いて、目を瞑った。
 




あとがき――
うーん、なんというか、もちっと練れた気がします。
夜中は頭があまり回らないので、そういうのがちょっと困りますね。
少しでも楽しんでもらえたら、嬉しいものです。






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