絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

あやとり

文と椛。
1年以上も前の作品。保管してないことに気付き、慌てて保管。以前の作品ですので、ダブスポ設定はないです。
「あの、射命丸様……」
「何ですか椛」
「私、仕事中なんですが……」
「そうですか、大変ですね。頑張って下さい。私は椛を応援しますよ」

 私はいつもどおり見張りをしている。と言っても妖怪の山へ侵入する愚か者など滅多にいないからあまり意味が無いのだが。
 その私に、後ろからのしかかるように抱き付いてきた射命丸様。ぶっちゃけ仕事の邪魔だ。身動きとれない。

「射命丸様、離れて下さい」
「椛分が足りないんですよ」
「は?」
「椛分が足りないんですよ。今補給中なんですから邪魔しないで下さい」
「え、あ、すみません。って何で私が怒られてる立場なんですか!?」
「はいはい、犬走犬走」
「どんな宥め方ですか!」

 にぱにぱと笑顔を向けてくる射命丸様。どうやら解放してくれる気は全く無いようだ。

「重いです」
「失礼な。私の体重は蟻さん一万匹分ですよ」
「基準が分かりません」
「椛はもう少し勉強した方が良いですよ? 脱衣将棋ばっかりやってたら駄目です」
「やってません」
「じゃあ今度やります? 脱衣将棋。ルールは簡単ですよ。負けた椛が脱いでいくというルールです」
「射命丸様は?」
「私の肌が見たいんですか? おぉいやらしい」

 射命丸様との会話は難しい。大抵は私がからかわれてしまう。というか頭に顎を乗せないで欲しい。地味に痛いから。

「射命丸様、仕事の邪魔です」

 とりあえずハッキリと言ってみることにした。

「椛の仕事は?」
「侵入してきた者を威嚇、私の手に負えないレベルならば上に報告することです」
「なら私は居るべきですね」
「は?」
「もし椛の手に負えないレベルの相手が来ても、すぐに私が行動出来ますし」
「いや、しかし侵入者なんて滅多に来ませんよ」
「あら、侵入者が来ないなら私が居ても仕事の邪魔にはならないですね」
「むぅ……」

 どんな理由でも射命丸様には通用しないようだ。というか何故私に絡んでくるんだろう。同僚の者曰く、「射命丸様と親しい下っ端は椛だけ」だそうだが。

「どうしました椛? 持病の複雑骨折ですか?」
「持病でそれだったら私は下っ端にすらなれませんよ」
「大丈夫、椛の良いトコは私が良く分かってますよ」

 む、あまり他人から褒められることなんて無いから少し嬉しい。

「椛の良いトコは、あやとり上手なトコですよ」

 泣いた。心の中で泣いた。あやとりしたことないし。

「あやとりしたことないです」
「あやややや、そうでしたっけ? 今してるじゃないですか?」
「え?」
「私、つまり文とやりとりを。略してあやとり」
「……」

 今日は寒い。多分気温のせいだけじゃあ無いだろう。射命丸様がもし上司じゃなかったら、今頃私は射命丸様に斬り掛かっていたかもしれない。

「あやや、つまらなかったですか?」
「いえ、最高でしたよ。無意識に手がグーになるくらいに」
「あはは、椛は短気ですねぇ」

 もうなんか面倒になってきた。溜め息を吐いてしまう。
 本当に何の用事で来たのだろうか、この方は。

「結局用事は何なんですか?」
「あぁ! 忘れてました! これを椛に渡そうと思って」

 射命丸様がどこからか小さな包みを取り出す。そしてそれを私に渡してきた。なんだろうか。

「これは?」
「私が今日取材に行って来た甘味処の饅頭です。お土産に丁度良いかと思いまして」
「はぁ……でも、何で私に?」
「饅頭嫌いですか?」
「いえ、嫌いでは無いですが……」

 射命丸様の考えていることは良く分からない。私の様な下っ端にお土産を買ってくるなど、普通の烏天狗はそんなことはしないだろう。下っ端をこき使い、労いの言葉すらかけない。天狗の社会は厳しいものなのだ。

「なら良いじゃないですか。あ、他の子たちにはナイショですよ?」
「はぁ……」

 悪戯っぽい表情でウインクしながら私に言う射命丸様。
 しかし、本当に理解出来ない。天狗の中で変わり者だと有名なこの方を。私に何かを求めているわけでもないだろうし。

「あの、射命丸様」
「なんですか? 下剋上ですか?」
「そんな力量ありません。というか何で射命丸様は私に絡んでくるんですか?」
「迷惑でしたか?」
「質問に質問で返さないで下さい」
「う~ん、そうですね……何か楽しいから、ですかね」
「は?」
「それに私、結構椛のこと気に入ってますよ?」

 そう言ってもらえるのは非常に嬉しいが、何故だろう。

「何故ですか? 下っ端のこの私何かを」
「質問ばっかりですね、椛は」
「だって気になることは気になりますし」
「まず椛は一つ勘違いしてます。私は椛自身を見ているのです。下っ端とかは関係ありません」
「ですが……」
「あーもーいちいち煩いですね」
「ひゃっ!?」

 射命丸様がまた抱き付いてきた。今度は正面から。温かい、良い匂いがする。

「とにかく、椛は私に抱き締められてれば良いんです」
「理不尽です」
「あ~和みます。もふもふふかふかわっふわふって感じです」
「……話聞いてませんね」

 ギュ~っと抱き締められ、身動きがとれないままでいた。まぁ、上司に逆らってはいけないから、このままでいよう。
 うん、決して射命丸様に抱き締められると心地良いからとかそう言う理由では無い。決して、無い。

 結局、同僚が見張り交代に来るまで抱き締められていた。もちろん後日、同僚たちに質問責めにあったのは言うまで無かった。わふっ。




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