絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

成長して彼女は変わった

プチ投稿作品。ほんわか紅魔館話。




「パチュリー!」

 図書館の扉が大きな音を立てて開く。
 音を立てた犯人のフランドールは、額に玉の汗をかいていて、息も荒い。急いで駆け込んで来たのが伺える様子だった。

「妹様? どうしたの?」
「あ、あれ? パチュリー体調崩して倒れたんじゃ……」

 フランドールはパチュリーが倒れたと聞き、急いで来た。しかしどうだ、目の前の人物はいつもと同じ様に、無表情に本を読んでいるだけで特に変わった様子は見られなかった。
 フランドールは肩透かしを食らった様な気分になる。

「私は元気よ」
「え、あれ?」
「ほら、私の読書の邪魔をしない。レミィにでも遊んでもらいなさい」

 フランドールは呆然としたまま、追い出されてしまった。しかし、図書館の扉の前からは離れようとしない。そっと耳を澄せ、中の音を聞き取る。
 すると中から、苦しそうな咳をする音が聞き取れた。

「パチュリー!」

 再び扉を開けると視界に入ってきたのは、ぐったりとして顔色の悪いパチュリーだった。

「ほら、やっぱり体調悪いんじゃん。ちゃんと横になってなきゃ駄目だよ! 小悪魔手伝って!」
「は、はい」

 二人でパチュリーを自室のベッドまで運ぶ。
 運び終わると、小悪魔はまだ仕事があるらしく直ぐに戻って行ってしまった。
 部屋に静寂が訪れる。フランドールは、ふと部屋を見渡すと、自分には理解出来無いような書物や、何かを書き綴った用紙が机上に置いてあったのが目に入った。

「ねぇパチュリー」
「妹様」

 静寂を破ったのは二人同時だった。気まずい空気が流れる。

「パチュリーから先に言って、何?」

 先に話す権利をパチュリーに譲る。前だったら自分の主張を先にしていただろうフランドールがこういう配慮を出来るようになったのは、やはり成長している証なのだろう。
 パチュリーは少し起き上がろうとしたのをフランドールに制される。そのまま楽な体勢で話せということなのだろう。

「何で私が体調不良だって分かったの? 小悪魔にだって黙ってたのに」
「お姉様がね、教えてくれたの」
「レミィが?」
「うん。後で来るって言ってたよ」

 運命を視たのだろう。パチュリーは納得がいった。

「それで、妹様は何を言おうとしたの?」
「あ、そうそう。パチュリー、最初なんで嘘吐いたの?」

 最初パチュリーは、体調が悪いのを否定して、さっさとフランドールを追い返した。それを疑問に思ったのだろう。少し考えてみれば分かることだが、そこはまだいくら成長したといっても、フランドールの根本にある幼い部分があるのだろう。

「いちいち私の体調が崩れる度に迷惑をかけてたら仕方無いでしょう」

 素っ気無い感じで言う。その言葉に、フランドールはムッとした表情になる。

「迷惑なんかじゃないよ。体調が悪いのはしょうがないじゃん」
「それでも、他人に迷惑かけたり気を使わせるのは好きじゃないわ」
「迷惑だなんて思ってるわけないよ!」

 突然の大声にパチュリーは目を丸くして驚く。フランドールの表情を見ると悲しそうな顔をしていた。

「そんな、他人だなんて言わないでよ……」
「え?」
「だって、パチュリーは仲間……っていうかもう家族じゃん。咲夜もお姉様もメイドも小悪魔も美鈴もパチュリーも、みんな家族だよ」

 パチュリーは驚いていた。まさか、フランドールがこんなことを言うなんて思っても無かったから。

「ごめんなさい妹様」

 だから純粋に心から謝った。すると、フランドールはすぐ笑顔になった。

「じゃあ私が今日は看病するから」
「ええ、分かったわ」
「何か栄養のある物作って来てあげる!」
「……分かったわ」

 フランドールは料理なんてしたことない。不安いっぱいのパチュリーだったが、笑顔のフランドールにそんなこと言える筈もない。

「待っててね!」

 フランドールは早速走り去って行く。フランドールが出て行った次の瞬間に、パチュリーの横には咲夜が居た。

「私が妹様を手伝って来ましょうか?」

 どうやら話しを聞いていたらしい。パチュリーは首を横に振る。

「妹様の好意を無下にしちゃいけないわ」
「そうですか」

 扉が開く。レミリアが入って来た。

「どうパチェ?」
「いつもと同じよ。すぐ治るわ」
「そう」

 レミリアはパチュリーのベッドにポフッと座る。

「レミィ、妹様は随分変わってたわ」
「ええ、私も思うわよ」

 壊すことしかしらなかったフランドールが、今は家族というものを守ろうとしている。そして、前より明るくなった。

「そういえばフランがここに来る途中、キッチンを爆発させてたわよ」

 ニヤニヤ意地悪な笑みを浮かべて言うレミリア。

「……咲夜、胃薬だけ用意しといて」
「妹様の好意を無下にしたくないのでは?」

 咲夜もレミリアも意地悪だ、とパチュリーは思った。
 大きく溜め息を吐くパチュリー。

「……覚悟しとくわ」
「頑張ってパチェ。ちなみに私にはいろんな運命が視えてるけど結末は一緒よ」

 咲夜もレミィも笑った。パチュリーも溜め息を吐いた後、微笑を浮かべた。
 この後、フランドールの料理をみんなで仲良く食べた。笑って食べた。フランドールも笑っていた。フランドールの笑顔は純粋で、見ている者も幸せになる。
 願わくば、フランドールのこの笑顔が、ずっと続きますように――と、みんなが思った。
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