絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

仲直りしましょう

レミフラ。
 
「はろーお姉様」
「はろーフラン」

 よっこらせ、とどこか年寄りくさい言葉を言いつつ、ベッドから出ようとするレミリア。
 そんなレミリアの腕を、フランドールはがっしりと掴む。

「ちょっとフラン、もう起きなきゃ駄目。いくら私に甘えたいからってこれ以上寝ていちゃ――」
「違うよ! なんで私のベッドの中にいるのさ!?」
「ちょっと待ちなさい、フラン。このベッドは本当にフランの物? 名前が書いてあるわけじゃあないでしょう? つまり、このベッドは誰がいつ使っても良いはずよ」
「ここは私の部屋だよ、こんちくしょう」

 子どもじみた言い訳をする己の姉に、呆れを通り越して小さな怒りを覚える。自然と、掴んでいる力を強めていた。みしみしと、生き物の体から発してはならないような音が聞こえ始める。
 レミリアの腕が、変色してきている。

「フラン、痛いわ。離してちょうだい」
「私に言うことあるでしょ? ちゃんと言ったら、許してあげる」
「ふむ、フランに言うこと、か。……愛してる。好きだ。好きよ。好きです――あ」

 レミリアの腕が、本来立ててはいけない音を立てた。
 笑顔のフランドール。無邪気なその顔が、今はとてつもなく恐ろしい。レミリアには、フランドールの背後に黒いオーラが見えた。思わず、引き攣った笑みを返す。すると、フランドールはますます可愛らしい笑みを浮かべる。
 こんな状況でなければ、レミリアはフランドールを抱きしめて、大きく笑い声を上げながら幻想郷5周はしたい気分だった。
 もちろん、今そんなことが出来るわけもない。

「あーフラン。腕に力が入らないのだけど……」
「ん? 折れたからじゃない?」
「あ、やっぱりそうよね」
「うん、そうだよ。あはは」
「あはは」
「あはは」
「あはは」
「あはは」
「あはは――って笑えるかっ!」

 レミリアがそう叫ぶと、折れていたはずの腕が治った。やはり吸血鬼の再生能力はそこらの妖怪とは比べ物にならなかった。
 そして、その勢いのまま、物凄い形相でフランドールの顔を見た。
 フランドールはニコッと返した。
 レミリアの形相はすぐにへらっとなった。

「あーもう可愛いわね……って違う! フラン、私は一体さっき何を言えば正解だったの!? 私の愛よりも大切なことがあるとでも!?」
「まずはベッド忍び込んだことに対する謝罪が欲しかったよ」
「その発想はなかったわ」
「うん、是非あって欲しかった」
「いや、まあ良いじゃない。ほら、姉妹だし」
「うーん、まあそうだけどさぁ……」
「姉妹といえば、一緒に寝たり、手を繋いだり、遊んだり、一日ベッドで愛を確かめ合ったり、誓いのキスをしたりするのが普通でしょう」
「今すぐ図書館行って『普通』の意味を調べて来た方が良いよ」

 レミリアの言うことが普通なら、世界中の姉妹がとんでもないことになっていることになる。
 もちろん、そんなことが常識のわけがない。

「お姉様はなんでそんな性格なの?」
「姉妹なんだから、フランと似ているのさ」
「え!? 私そんな性格!?」
「まあ、嘘だけど。私がこんな風になるのはフランの前だけだから安心しなさい」
「わーお迷惑」
「ちゃんとフラン以外にはエニグマ溢れる私だから」
「えーと……もしかしてカリスマのこと?」
「そうそう、それ」
「マしか合ってないじゃん!」
「はいはいカリスマカリスマ」
「なんで私が宥められてるのさ!?」

 レミリアはフランドールのツッコミを軽く無視して、そのまま部屋を出てゆこうとする。
 よくみたら、フランドールがパジャマなのに対し、レミリアはいつもの服装だった。ところどころしわが出来ていることから、そのままフランドールのベッドに潜り込んでいたことが分かる。

「お姉様、何処行くの?」
「ん? 今日は一日暇だからね。神社にでも行こうかと思うわ」

 レミリアのその何気無い言葉に、フランドールは一瞬、体をぴくっと反応させた。
 そして、もやもやとした感情が、少しずつフランドールをむしばむ。レミリアがパジャマではなかったのは、起きたらそのまま神社へ行くためだったのだろうか、と考える。そんなことを考えるせいで、その胸に抱いた感情は、より加速する。

「ふーん、そっか」

 そう呟いた声は、フランドール自身も驚くほどに低い声だった。しかし、その驚きを表面に出すことはない。
 その声に、レミリアは振り返る。そこには、先ほどまで可愛らしい笑みを浮かべていたのに、今ではぶすっとした表情を貼り付けているフランドールがいた。

「ん? どうしたフラン?」
「べっつにー。さっさと神社行けば?」

 ぷいっ、という効果音が聞こえそうな感じで、そっぽを向く。
 そんなフランドールの姿が、あまりにも珍しくて、思わずきょとんとするレミリア。
 見るからに、不貞腐れています、不機嫌です、といった態度。どうしてこうなったのか、レミリアは考えて、答えはすぐに出た。神社へ行く、と言ってからのこの態度は、つまり――

「あぁもうっ! 可愛いなフランは!」
「わわっ!? 抱きつかないでよ! さっさと神社行ってくればいいじゃん!」

 あまりにもやきもちを焼く姿が可愛くて、思わず抱きつく。そして、思い切り蹴られる。吸血鬼の身体能力はかなり強力。今の蹴りで、レミリアの肋骨が粉砕骨折した。10秒で治った。さすがは吸血鬼だ。
 さてどうするか、と考える。こんなフランドールは初めてで、どうやって機嫌を直してもらおうか、といろいろ思考をめぐらす。



  ~レミリアの思考~

 1.素直に謝る。
 2.その小さくて柔らかい膨らみにそっと触れる。
 3.その小さくて柔らかい膨らみをそっと舐める。
 4.不夜城レッド。
 5.逃げる×8。

「ふむ、5はないな。4もありえない。私がフランを攻撃するわけがない。となると、残りは3つ……これは悩む」
「何ぶつぶつ呟いてるのさ?」
「いや、ちょっと待ってフラン。そうだ……逆転の発想!」

 そのとき、レミリアに雷が落ちたかのような衝撃が走った。
 そう、逆転の発想。
 レミリアは思ったのだ。何故選択肢の中から1つだけしか選んではいけないのか。誰も1つだけとは言っていない。つまりそれは、いくつ選んでも良いということ。そう、解釈した。
 フランドールは、一体何を呟いているのかと首を傾げる。
 次の瞬間、レミリアはフランドールを抱きしめた。

「フラン、私が悪かったわ。この通り、許して欲しい。神社なんかより、あなたの方がよっぽど魅力的よ」
「……本当?」
「ええ、本当よ」
「ん……」

 それを聞いて、フランドールはレミリアの薄い胸に顔を埋める。どうやら機嫌を直してくれたようだ。
 しかし、レミリアは止まらない。ここで止まっておけば、問題はなかった。

「ふにゃあっ!・」
「む……服の上からでも分かる柔らかさ」
「い、いきなり何するのさ!?」
「フランの機嫌を直そうかと……ふむ、ずっと触っていたい心地良さね」
「ちょ、もう不貞腐れてないから! やめ……っ!」

 ぷるぷると震え、制止の声を上げるフランドール。
 だが、レミリアは止まらない。わきわきと動いた手は、止まることをしらない。

「さて、次は舐め――」
「~っ! お姉様の馬鹿ぁ!」
「ぶふぉあっふ!?」

 ほぼ零距離、羞恥で抑えがきかなくなっているパワー、そして素晴らしいまでの右ストレート。
 これらが重なり、レミリアは意識を失った。





◇◇◇





「おおレミィよ、死んでしまうとは情けない。あなたにもう一度機会をあたえましょう」

 レミリアが目を覚ますと、そこは図書館の簡易ベッドだった。

「今なんか、パチェの声が聞こえた気がするんだが……パチェー?」
「ああ、目が覚めたのね、レミィ。びっくりしたわよ、突然妹様がやってきて、ボロボロのあなたをここに捨ててったのよ。この馬鹿姉を教育しといてくれって、ね」
「そう、か……」

 どこか落ち込んだ様子のレミリアに、フランドールと何かあったのだろうと悟る。
 パチュリーは溜息を吐いて、レミリアの横になっているベッドに腰掛ける。

「何かあったのね」
「いや、まあ」

 歯切れの悪い返事だった。
 これは、何かあったことを肯定しているのと同じだ。

「レミィ、あなたは不器用だから、妹様を知らないところで傷付けてしまったのかもしれないわ。私でよければ、話を聴いてあげるけど? ちょうど今は小悪魔も休憩でいないわ」
「パチェ……ありがとう」

 味方になってくれる親友に、素直に感謝を述べる。
 そんなレミリアに、パチュリーは小さく笑った。
 そして、レミリアは話し始める。フランドールの機嫌を損ねてしまったこと。その原因が自分の何気無い発言ということ。その後、仲直りをしようと行動をして、怒らせてしまったこと。
 全てを聴き終わったパチュリーは、とても笑顔だった。
 笑顔で、ロイヤルフレアの構えをとっていた。

「ちょ!? パチェ、それはまずい! 私気化しちゃう!」
「一回くらい気化してみる? その馬鹿みたいな思考も消えるかもよ?」
「ほ、ほらパチェさっき言っていたでしょう!? 私は不器用だから!」
「不器用の域を超えているわ」

 パチュリーは、さっきよりも大きい溜息をわざとらしく吐いた。そして、スペルカードをしまう。どうやら本気でロイヤルフレアを発動させる気は無かったようだ。

「レミィ、妹様にもっとちゃんと向き合ってあげなさいよ」
「む……これでも真面目に――」
「親友に嘘が通用するとでも? どう接していいか、分からないのでしょう?」
「……そんなことはない」

 目をそらして、そうぽつりと零す。

「嘘もつけない。本当、不器用ね」
「どうせ上手くついても、パチェには通用しないんだろう?」
「ええ、もちろん」
「どうすれば、良いと思う?」

 レミリアは悩んでいた。
長い間ずっと閉じ込めていた妹が、初めて自分から地下室を出たいと望み、笑顔を見せるようになった。良いことだ。そう、とても良いことだ。だが、そう変えたのは博麗霊夢と霧雨魔理沙という、二人の存在。レミリアでは、無かった。
 フランドールは普通に接してくれるが、レミリアには自分がどうすれば良いか分からなかった。何をしてやれば良いのか、分らなかった。

「何をしてやれば、良いと思う?」
「レミィはどうしたいの?」
「え?」
「妹様に、何をしてあげたいの?」
「私が、してあげたいこと……?」

 レミリアは考える。
 ただ純粋に、何をしてやれば良いかではなく、何をしてあげたいか、ということを。
 目を瞑り、思考をめぐらす。
 すると、答えは1つだった。
 それは、とっても単純なこと。

「――愛してあげたい。空虚に刻まれた時を取り戻すことは出来ないけど、これから充実した時を刻むことは、まだ遅くない。だから、ただ愛してあげたい」
「ん、それでいいんじゃない? 私はレミィでもないし、妹様もないから、結局は何が正解かなんて分からない」
「……行ってくるわ」
「ええ、行ってらっしゃい」

 そう言葉を交わした後、レミリアは起き上がり、図書館を出て行った。
 パチュリーはその後ろ姿が見えなくなると、また溜息を零してから、読書を再開することにした。




◇◇◇





「フラン、私よ。開けてちょうだい」
「ただいま留守にしております。御用のある方は、ピーという音の後に無言でお帰りください」

 フランドールの声が返ってくるが、明らかに拒絶の意を示す言葉だった。
 重い扉には鍵がかけられていて、開けることは出来ない。
 しかし、レミリアは退散するわけにはいかない。

「フラン、お願いよ。私が悪かったから。今ならあなたに、ちゃんと言いたいことを、本当に言いたいことを、言えるわ」
「……ふーん、何を言いたいのさ?」

 耳を傾けてはくれるが、扉を開けてはくれないようだ。
 出来れば面と面、向かい合って話したかったが、今の状況ではこれ以上を望むのは贅沢になるだろう。聴いてくれるだけでも、ありがたい。そう、レミリアは思った。

「フラン、愛している」
「薄っぺらな言葉だね」
「ああ、私もそう思うよ。だが、私はパチェ曰く、どうも不器用らしい。そんな私には、これ以上の言葉が見つからないんだ」

 フランドールから言葉は無い。
 二人を隔てるこの扉のせいで、レミリアには今、フランドールがどんな表情をしているか分からない。呆れた表情かもしれないし、笑顔かもしれない。プラスにもマイナスにも想像が出来る。
 しかし、フランドールからは何も返ってこない。

「こりゃあ、嫌われたかしらね……」

 マイナスの方が正解か、と言葉を零す。
 次の瞬間、扉が開いた。

「……ん」
「へ?」
「早く入って!」
「は、はい!?」

 俯いたままのフランドールに手を引かれて、部屋へと入る。
 邪魔な扉を越えたが、俯いているためにその表情を窺うことは出来ない。

「えーと……フラン?」
「おねーさまは馬鹿だ」
「む……」
「でもね、嫌いじゃないよ」
「え?」
「嫌いじゃないって言ったの! 確かにお姉様は馬鹿だしデリカシーとかもないし、おまけによくふざけてくるけど……」

 この短時間に馬鹿と2回も言われたことが、ぐさりとレミリアの心に突き刺さる。妹からのその言葉は、銀のナイフ並みに痛かった。いや、妖怪は精神ダメージの方がきついから、銀のナイフ以上かもしれない。
 ちょっと、いや、かなりへこむレミリア。

「でも! 嫌いじゃない。それでも、私の大切なお姉様なの」
「フラン……ごめんなさい」
「ん……」

 レミリアは恐る恐るフランドールを抱きしめた。ふわりと、柔らかい。そして、心地良い。
 こんな自分を好いてくれている。その事実だけで、どんなに幸せな気持ちになれるか。きっとこの子は知らないだろう。そう思いながら、レミリアは背中に回した手に少し力を加えた。
 フランドールは、顔を見せないように、レミリアの薄い胸に顔を埋めていた。

「フラン」
「なにさ?」
「……いや、なんでもないよ」
「ふん、おねえさまのばーか……」

 そう、ぽつりと呟くフランドール。
 レミリアには、今フランドールがどんな表情しているのか分からない。胸に顔を埋めたままだから、見えるわけがない。
 それでも、なんとなくだけど、今は笑みを浮かべてくれているだろうということが、分かった。
 



2010年2月22日のあとがき~
過去で学んだ良いところを活かしつつ、今の作風を織り交ぜながら書いてみました。
ちょっと久し振りすぎて、詰め込みすぎたかなーと思ったり。



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