絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

名前で呼んで!

久しぶりのムラいちですよー!
朝4時まで書いてましたよー! もうテンションのまま書ききりましたよー!
日記更新は余裕がありませんが、作品保管くらいなら出来ることに最近気付きました。
 
「ちょいと一輪さんや、お茶をいただけますかのぉ」
「はいはい、村紗さん、お茶ですよぉ」

 わざとらしい年寄り口調での会話。
 一輪は、水蜜に熱いお茶を手渡す。あちち、と言いながらも、それを受け取り、音を立てて啜る。そして、ほぅっと一息吐いた。

「平和だねぇ」
「平和ねぇ」

 一輪も水蜜も、居間でゆったりまったりとしていた。
 特に大きな問題も無く、やるべき日課も済ませているので、することが無かった。
 訪れる客は、白蓮や星が自ら相手することが多く、水蜜や一輪まで役目が回ってくることは滅多に無い。
 ゆえに、二人は向かい合って座り、ほのぼのとして体を休めている。椅子にではなく、床に正座という状態ではあるが。

「村紗、何か面白いことないかしら?」
「うーん……あ、面白いかどうかは分からないけど」
「お? 何かあるの?」

 一輪が湯飲みを置いて、水蜜を見る。
 水蜜は、頬を人指し指で掻きながら、言った。
 ただ一言だけ、言ったのだ。

「一輪ってさ、私のこと下の名前で呼んでくれないよね。なんでかなーって思ってたんだけど……距離を感じるというか」

 水蜜からすれば一輪という存在は、白蓮救出のためにずっと長い間協力してきた、大切な仲間のようなもの。そんな相手から、いつまでも名字の方で呼ばれていたら、なんとなく距離を感じてしまう。
 好きだからこそ、距離を詰めたいと考えるのである。

「えーと、いやぁ……あ、あはは」
「なんで目を逸らすの?」
「いやー……そ、そんなことより村紗! あっちむいてホイしましょう!」
「何その露骨な話題の逸らし方。しかも話題転換下手すぎ」

 向かい合っているというのに、目を合わせようとしない一輪。明らかな作り笑いも、また怪しい。一輪とは長年一緒に居た水蜜だが、ここまでおかしい一輪を見たのは初めてだ。
 水蜜にとっては、さっきの一言は何気ない一言だった。
 だが、一輪にとっては、非常に言われたくないことだった。
 何故なら、一輪は今まで意図的に水蜜を名前で呼ばなかったのだから。

「あ、私そういえば呼ばれてたんだったー」

 いきなり棒読みで立ち上がり、その場から去ろうとする。
 もちろん、そんなことを水蜜が許すわけもなく、あっさりと腕を掴まれる。

「は、離して村紗」
「怪しすぎ。大体誰に呼ばれてるの? 誰も呼んでないでしょう?」
「……う、雲山が呼んでるのよ。ほら、村紗には雲山が何を言ってるか分からないでしょ?」
「雲山なら今日は聖たちのお手伝いでしょ」
「うっ!?」
「さぁ、座って一輪。何故逃げようとしたのか、じっくり教えてね」

 笑顔の水蜜。
 水蜜のステータスに、Sの称号が加わった。
 一輪の腕は掴まれたままだ。水蜜は意外に力が強い。そう簡単には、逃げ切れないだろう。
 だから、一輪は奥の手を使うことにした。

「村紗! 後ろに幽霊がいるわよ! 逃げてぇぇぇ!」
「いや、私も霊だし……」
「あ……」
「まずそんな子ども騙しに引っ掛かる人、今時いないよ」

 奥の手失敗により、可哀相なものを見るかの生暖かい視線を浴びることになった。

「くっ……流石は村紗。手強いわね」
「いや、普通だって。それにさ、一輪」
「ん?」
「私は、どうして一輪が名前を呼ばないのか訊いただけで、別に一輪を苛めたいわけじゃないの」
「村紗……」
「ちゃんと理由を言ってくれれば、納得するから。話して、一輪。私たち、親友でしょう」

 えへへ、と照れくさそうにはにかみながら言う。
 水蜜のステータスから、Sの称号が削除された。

「そうよ、ね……何逃げようとしてたんだろ私。村紗なら、理解してくれるわよね」
「私を信じて」
「うん……実はね、私」

 一旦深呼吸をする一輪。
 水蜜は、ただ言葉を待つのみ。
 そして、少ししてから、一輪が言葉を発した。

「私、名前呼ぶのが恥ずかしいのよ……」
「はい?」
「だ、だから、人を下の名前で呼ぶのが、なんだか恥ずかしくて呼べないの。特に、親しくなってから下の名前で呼ぶなんて、恥ずかしすぎるの!」

 後半は、もう勢いで言い切った感じがあった。
 そう、一輪は恥ずかしかった。何故かは分からないが、感覚的に相手を下の名前で呼ぶことが、恥ずかしくて仕方無かったのである。
 意外すぎる真実に、水蜜はぽかんとしてしまった。
 いつもはサッパリとした態度の一輪が、こんなことで少し顔が赤くなるくらい、恥ずかしがっている。
 その事実に、水蜜の中で何か黒い感情が沸き上がってくる。

「そっか、そうだったんだ……」
「えぇ、そうなの。だから今まで通り、村紗は村紗で――」
「だーめっ! 納得出来ないもの。私は一輪って下の名前で呼んでるのに、私は呼ばれないなんて不公平だと思うの」
「え? む、村紗? さっきは納得してくれるって……」
「気が変わっちゃいました」
「え、ちょ!?」

 笑顔で、そう物凄い良い笑顔で酷いことをさらりと言う水蜜。
 水蜜のステータスに、ドSが加わった。
 信じていたのに、まさかの展開に一輪は動揺を隠せない。

「というわけで、私の名前言ってみて?」
「ぇ、あっ、ぅ……」

 一輪は混乱した。
 一輪は逃げ出した。
 しかし、回り込まれた。

「一輪は、私のこと嫌い?」
「そんなわけないじゃない! 長い間、ずっと一緒に過ごしてきた仲間でしょ!」
「なら、言って?」
「ぐっ……それは」
「やっぱり嫌いなの?」

 水蜜の、相手の良心に訴える攻撃。
 一輪に大ダメージ。

「う……にゃー!?」
「きゃっ!?」

 一輪が突然奇声を上げて、暴れ出した。
 突然の行動に、思わず掴んでいた腕を離してしまった。

「ごめん村紗! 耐えられない!」
「ちょ、一輪待ってよ!」

 一輪は走って部屋を飛び出した。
 水蜜はそれを追う。
 命蓮寺の廊下に、ドタバタと二人の足音が響き渡る。

「こら、騒がしいぞ。どうしたんだい?」

 あまりの騒がしさに、ナズーリンが現われた。

「ナズーリン! 一輪を止めて!」
「は?」
「どきなさい、ネズミ!」

 ナズーリンに迫り来る、恐ろしい形相の一輪。それを追いかける水蜜。
 これは危険だ。そう判断したナズーリンは、その場から逃げた。
 それた、とても潔い逃げっぷりだった。
 小さな賢将は、やはり賢い。

「即逃げたし!?」
「よし、逃げれる!」

 邪魔者は消えた。
 このまま逃げ切れる。
 そう思った一輪だったが――

「何事ですか?」

 白蓮が現われたことにより、一輪に動揺が走る。
 あまりにも騒がしいため、星に任せて白蓮が原因を探りにきたのだ。

「聖お願い! 一輪を止めて!」
「姐さんお願い! そこを退いて!」
「え、えぇっ!?」

 白蓮に物凄い勢いで迫る一輪。
 それを追いかける水蜜。
 この展開についていけない白蓮。

「姐さん退いてぇぇぇぇぇ!」
「ごふぁっ!?」

 もう一輪の体は止まらなかった。
 その勢いのまま、白蓮の腹部に全力で突撃した。
 綺麗な放物線を描き、吹っ飛ぶ白蓮。
 ぶつかったおかげで、一輪は停止した。しかし、代償は白蓮と、あまりにも大きかった。

「ひ、聖ー!?」

 身体強化系の魔法を使えばダメージを軽減出来たかもしれないが、あの慌ただしい状況で咄嗟に対応出来なかった。
 倒れている白蓮に水蜜が駆け寄るが、見事に気絶していた。

「わ、私なんてことを……」
「とりあえず運ぶよ!」
「え、あ、分かったわ」

 二人で気絶した白蓮を運ぶ。
 二人で運んでいるのは、決して白蓮が重いわけではない。
 そう、決して重いわけではないのだ。
 確かに最近、白蓮は復活記念パーティーで星や水蜜の手料理をたくさん食べることになった。食べきれない量でも、白蓮は笑顔で食べきった。
 だが、重くなったわけではない。





「うん、私も弄りすぎたね。ごめんね、一輪」
「いや、私こそ平常心を失いすぎたわ。後でちゃんと姐さんに謝らなきゃ」

 白蓮はちゃんと白蓮の部屋に寝かせておいた。
 今は水蜜の部屋だ。
 女の子らしい人形やらといったアイテムは、特に無い。あるのは木製のタンスや、小さなテーブル、それに少し古びたベッドくらいだ。
 二人はベッドに腰掛けている。

「その時は私も一緒に謝るよ。私も悪いんだし」
「ん、あんがと」

 互いに無言。
 水蜜はふざけすぎたと反省し、一輪は白蓮を気絶させたことにヘコんでいた。

「あ……えと、一輪」
「ん、何?」
「本当にごめんね、ふざけすぎた」
「いや、私こそ……」
「いや私が悪い」
「いや私だって」

 根は真面目な二人だから、互いに譲らない。
 長い付き合いだから、そんなことも分かっている。だから、どちらともなく、また黙ってしまう。
 過去にも、何度かこういう気まずい空気になったことがある。長い間一緒に居れば、喧嘩の一つくらいしてもおかしくない。そして、こういう時、先に口を開くのは決まって水蜜の方だった。
 それは今回も同じ。
 水蜜が、言葉を発した。

「あ……もう呼ばなくても良いから、さ」
「え?」
「名前、もう無理に呼ばせようとしない。一輪が恥ずかしいって言うなら、私は今まで通り村紗で良いよ」

 えへへ、と笑う。
 一輪はそんな水蜜を見て、安心した。ドSな水蜜は、もうそこには存在しなかった。
 水蜜のステータスから、ドSが削除された。

「でも、村紗は私を名前で呼んでくれているのに……」
「恥ずかしいなら仕方無いって。無理しないで」
「……いえ、良い方法を思い付いたわ」
「え?」

 一輪は考えた。
 そもそも、水蜜は距離を感じるから名前で呼んでみて欲しいと言った。距離を縮めるための手段として、それを提案したのだ。つまり、根本は距離を縮めることであって、名前を呼ぶことではない。だから一輪は、距離を縮める別の方法を考えたのだ。
 水蜜はそんな一輪の考えを知らないため、首を傾げる。

「みっちゃん」
「っ!? え、ちょ、ぅえ!?」
「名前は恥ずかしいけど、あだ名なら。それに、距離も感じないし、良い方法でしょ?」

 一輪は笑顔でそう言うが、水蜜は顔が赤い。
 水蜜には、予想外すぎたのだろう。わたわたと慌ただしく手を上下して、落ち着きが無い。

「一輪、これは私が恥ずかしいかも……」
「え、そう?」
「私は今まで通り、村紗で良いよ」
「だーめっ! これからは、みっちゃんって呼ぶわね」
「うぁ……恥ずかしい。村紗で良いのに」

 恥ずかしそうな水蜜を見て、一輪は絶対にみっちゃんと呼び続けてやろうと決心した。

「みっちゃーん」
「やぁーもう! 恥ずかしいってばー!」

 赤くなって叫ぶ水蜜を、楽しそうにあだ名で呼ぶ一輪。
 一輪のステータスにSの称号が加わった。



以下投稿時のあとがき


名前で呼ぶのって恥ずかしくないですか?
どうも喉飴です。
あだ名は大丈夫だけど、親しい相手ほど改めて呼ぶのは恥ずかしかったりします。私の場合ですけど。
今回糖分は特にないです。
久しぶりのドタバタで、ちょっといつもとは違う感じかもしれませんが、少しでも楽しんでくれたら、嬉しいです。
ではでは、喉飴でしたー。


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