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絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

よろしくね!

去年の12月31日に仕上げた年越し作品。
 
「今年もあと一時間だね」
「あと一時間なのに、図書館で時間を費やすのかしら?」
「ぶぅ、だってお姉様は神社行っちゃうし、美鈴も咲夜もお仕事だし、一人じゃあつまらないし」

 図書館には数自体は少ないが、小説や漫画といったジャンルも置いてある。一人、部屋で籠っているよりは、パチュリーが居る図書館で何か読んでいた方が楽しいという判断だった。
 もう頻繁に訪れるため、パチュリーもいちいち出て行けとは言わない。

「ま、良いけどね。何か飲む? 紅茶くらいなら淹れてあげるけど」
「あれ? パチュリーが淹れてくれるの?」

 いつもは小悪魔に任せっきりのパチュリーが、珍しく立ち上がり、フランドールにそう言った。
 フランドールは、あまりの珍しさに少し驚く。

「小悪魔には休暇を出したわ。年末だから帰郷もしたいでしょうから」
「え!? 小悪魔帰郷したの?」
「えぇ、なんでも大変らしいわよ、小悪魔の故郷。なんか、第五次チラリズム大戦の真っ最中らしいわ」
「何その争い!?」
「チラリズムしながら弾幕勝負をするという戦いよ。負けた時は脱がされた時という、過酷なルール」
「それに小悪魔参戦しに行ったの!?」
「えぇ、そうよ。まぁそんなことより、何飲む?」
「え、や、じゃあ紅茶」
「分かったわ」

 フランドールは、紅茶を淹れるパチュリーの様子を目で追う。正直なところ、パチュリーが自分で紅茶を淹れる場面など見たことが無かったため、不安があったのだ。
 だが、それは無駄な心配に終わることとなる。

「ふぁ~……パチュリー、なんか格好良いね」
「そう? 普通に淹れているだけよ?」

 雰囲気や姿勢で、なんとなく上手に淹れるだろうということが分かった。例えば、咲夜が紅茶を淹れる時のような、そんな空気。そういうものを、フランドールは感じとった。
 そんなフランドールの目の前に、パチュリーが今淹れたばかりの紅茶が置かれる。

「いただきます」
「どうぞ」

 それに手を伸ばして、ゆっくりと口に運ぶ。
 一口含むと、思わず感嘆のため息が漏れるような、そんな味。

「パチュリー、美味しいよ」
「久し振りに淹れてみたけど、そう言ってもらえると安心だわ。まぁ、咲夜には敵わないけどね。ありがとう」

 フランドールの言葉に、パチュリーは素直にありがとうと返す。
 咲夜には敵わないと言うが、充分な味だった。

「まさかパチュリーにこんな特技があるなんて」
「特技って程でも無いわよ。知識で美味しい淹れ方というのを、学んだことがあるだけよ」
「良いなぁー私も何か学んでおこうかなー」
「知識は役に立つわよ。そうね、妹様には性の知識を……」
「いらないよ!?」
「じゃあ、吸血鬼の特殊な吸血プレイの知識を……」
「だからいらないってば!」
「我侭ねぇ。ならとっておきの知識、胸が大きくなる知識を」
「え? そ、それはちょっと知りたいかも……」
「ただし、一度膨らんだら止まらない。結果、爆発するわ」
「怖っ!? 絶対嫌だよ!」
「我侭すぎよ、妹様!」
「なんで私が怒られるパターン!?」

 何故か怒られたフランドール。
 紅魔館の知識人は、無駄な知識まで知っているようだった。
 フランドールは、とりあえず落ち着くために、紅茶を口に運ぶ。相変わらず、紅茶は美味しかった。それにより、少し落ち着くことが出来た。

「そういえば妹様」
「んにー?」
「年越し蕎麦食べる?」
「あ、食べようかな」
「用意してないけどね!」
「なら言わないでよ」

 図書館に紅茶はあっても、さすがに蕎麦までは無かった。
 はぁ、とため息を吐くフランドール。

「そんなため息吐いても、蕎麦は出ないわよ」
「いや、いらないよ。紅茶だけで充分」
「そう。おかわりいる?」
「あ、いるー」

 紅茶を飲んで、適当に会話して、本を読む。
 ただそれを繰り返す。
 残り少ない時間が、少しずつだが、確かに減っていた。

「ねぇ、パチュリー」
「ん?」
「一年、いろいろあったね」
「そうね」
「なんだかんだで、楽しかった」
「えぇ、私も同じ意見だわ」

 二人とも、視線は本から離さずに、会話する。
 別に仲が悪いわけでもない。
 ただ、これが二人にとっては普通なだけ。

「あと何分で年明け?」
「一分も無いんじゃない?」
「アバウトだね」
「そりゃあそうよ。いちいち正確な時間なんて確認してられないわ。たかが一年に一度訪れる出来事、騒ぐこともない」
「むぅ……パチュリーは冷めてるなぁ」
「魔女だからね」
「意味が分からないよ」

 そんなやりとりをしている内に、年は呆気なく明ける。
 特に騒がしいこともなく、ただ静かに時が過ぎた。

「パチュリー」
「んー?」

 本から目を離さなかったさっきとは違い、今度はパチュリーの方向へとしっかり向く。
 パチュリーも、本を閉じてフランドールの方向へと向いた。

「明けましておめでとう! 今年もよろしくね!」

 笑顔で、元気良くそう言った。
 えへへ~、と可愛らしい笑顔だ。

「ん、こちらこそ。今年もよろしくね、妹様」

 普段あまり笑わないパチュリーが、穏やかな笑みを浮かべながら、そう返した。
 互いに、なんとなく握手を交わす。
 新しい年が、始まった。
 



あとがき的ななにか~
とにかく間に合わせるのに必死でした。
タイトルとか10秒で考えましたw
内容をもうちっと増やしたかったです。
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