絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

本当に仕方の無い

レイアリ。糖分はないです。ほのぼのです。



 
「匿って」
「……は?」
「よし、匿ってくれるのね。ありがとう」
「え、ちょ、何!?」

 突然アリスの家へやってきた霊夢。しかも、訪れた理由が匿って欲しい、などというよく分からない理由。
 扉を開けたまま、ぽかんとしていたアリスだが、霊夢が勝手に室内へと足を踏み入れたため、慌てて我に戻った。
 肩を掴み、これ以上の侵入を防ぐ。

「いきなり何よ?」
「痛いよ、アリス……肩、痛い」
「え、あ、ごめん」

 顔を歪めて痛みを訴えられ、咄嗟に手を離す。
 アリスは、そんなに力を込めたつもりでは無かったが、アリスは妖怪で霊夢は人間。もしかしたら、力の加減を間違えてしまったのかもしれない、とアリスは思う。
 だが、手を離したその瞬間、霊夢は妖しい笑みを浮かべた。

「くぁー! ふかふかベッドが私を待っているー!」
「えぇっ!?」

 そんなことを叫びながら、走ってゆく。さっきのは、演技だったようだ。
 そして、とある部屋の前でぴたりと止まった。

「ここね! 私の勘が告げている!」

 ドアノブに手を掛けて、回す。
 その室内には、たくさんの人形に裁縫道具。そして、一人では少し大きすぎるくらいのベッド。
 つまりそこは、寝室だった。

「やっぱり寝室だったわね!」

 ぼふっとベッドに突っ込む霊夢。

「こらっ! 一体何なのよ、もう」
「ぅあー」

 ベッドに俯せになっている霊夢の襟辺りをぐいっと掴み、ベッドから引き剥がす。
 まるで小動物のような扱いだ。実際、霊夢が変な鳴き声を上げたので、本当に小動物のようだった。

「ねーかーせーてー」
「理由をちゃんと言いなさいよ」
「うぅ、面倒」
「このまま外に捨ててやろうかしら」
「いーやー!」

 掴まれているので、ぷらーんと宙に浮かされたまま、ジタバタと暴れる。実はアリスは、結構力が強いため、これしきのことでは外れない。

「分かった。言うからとりあえずは降ろして」
「うん、よろしい」

 ぽふんとベッドに降ろされる霊夢。

「私の神社には今、天狗と小鬼とスキマが居ます」
「ふむふむ」
「大量のお酒もあります」
「ほうほう」
「ちなみにやつらは、三日前から居ます」
「あれね、それだけの情報で一体何があったのか、どうしてここへ来たのか、結構分かるものね」

 最初は霊夢も楽しく飲んでいた。
 だが、相手は天狗に鬼にスキマ。
 人間である霊夢が、付き合いきれるはずが無かった。
 これ以上はまずい。そう思い、飲むのをやめようとするが、あの場のメンツにブレーキなど無い。このままでは、潰れてしまう。
 だから、霊夢は逃げてきたのだった。正直、飛行もお酒のせいでふらふらだったため、ここまで無事だったことは運が良かった。

「なるほどね。事情は分かったけれども、なんで私?」
「魔理沙なら、面白がって神社へ戻すだろうから休めないのよ」
「紅魔館は? あんた、レミリアから好かれてなかったっけ?」
「あそこはゆっくり休むには向いて無さそうじゃない。メンバー的にフリーダムが多すぎるわよ」
「あぁ、まぁそうね」
「万全な状態ならともかく、お酒飲んでふらふらな状態な今、襲われたりしたら勝ち目無いもの。危険が多すぎよ、あそこは」
「私がここぞとばかりに、あんたを襲って倒すかもしれないわよ?」
「アリスはそんなことしないでしょ。私の知っている人物の中じゃ、かなりまともな部類だし」
「私、一応妖怪なのだけど……」

 アリスは大きなため息を吐く。
 もし、アリスが本気で襲いかかったなら、睡眠不足やら酔いやらで万全では無い霊夢は勝てないだろう。
 しかし、霊夢は信頼していると言う。
 そのよく分からない信頼は、一体どこから湧いているのか。そう思うアリスだが、悪い気はしなかった。

「というわけで私、寝るから」
「ちょっと、まだ許可も何もしてないでしょう」
「起こしたら潰すからね」
「永眠させるわよ?」

 アリスの言葉を無視して、霊夢はあっさりと眠ってしまった。よっぽど疲れていたのだろう。

「あぁもう、風邪引くわよ」

 布団をかけて、ちゃんと寝かせる。
 霊夢は穏やかに眠っている。

「さて、私はどうしようかしら」

 時間的には、もうお昼。

「ふむ、とりあえず食事にしましょう」

 アリスは別に食事や睡眠をとる必要は無いのだが、そこに楽しみを感じているため、とることにしている。
 何を作ろうかと考えていると――

「私の、分もー……」
「こいつ、眠りながら食事まで要求してくるなんて。ある意味凄いわ」

 霊夢は確かに眠っているのに、裾を掴んでいて離さない。
 アリスはその手をほどこうとするが、中々ほどけない。

「ちょ、離しなさいよ!」
「私の分ー……」
「分かったから! あんたの分も作るから!」
「んぁー」

 アリスがそう言うと、霊夢の手から力が抜けた。
 確かに眠っているはずなのに、恐ろしい無意識だった。
 これは博麗の巫女としての力なのか、霊夢自身の力なのか、多分後者だろうなぁ。などとアリスは考えた後、料理をしに台所へと向かった。


「さて、何を作ろうか。霊夢は和食の方がやっぱり好きなのかな……って何私霊夢を第一に考えてるのよ! あんな招かざる客のことなんて、考慮しないで良いわよね。うん」

 一人でツッコミを入れながら、エプロンを着けるアリス。
 そして、一呼吸置いた後、気合を入れて料理を開始した。





◇◇◇





「んぁー? 良い匂いがする……」

 霊夢が目をこすりながら起き上がると、何やら美味しそうな匂いを感じた。
 その匂いにつられるように、ふらふらと寝ぼけた足取りで歩き出す。危ない足取りだ。
 それでも、なんとか躓いていない。ただ、いつ躓いてもおかしくないのは明らかだ。

「あんた、本当にいろんな意味で凄いわね……まさかご飯出来上がると同時に起きて来るなんて」
「……ご飯ー?」
「あっ!? こら、危ない!」

 ふらりと体がよろけて倒れそうになる霊夢を、慌てて抱き抱えるアリス。

「もう、まだ寝ぼけてるの?」
「眠くて眠くて……」

 アリスは自分の胸の中で欠伸をする霊夢を見て、まだ疲れているんだろうということが分かった。
 霊夢を支えながら、とりあえず椅子に座らせた。
 テーブルには味噌汁に白米、そして焼き魚という洋食とはかけ離れた食事がある。

「いや、たまたま材料があっただけで霊夢のためとかそういうわけではなく……うん、たまたまよ」
「アリス、何ぶつぶつ呟いてるの?」
「え!? な、なんでもないわ。というか、食べられるの? 寝ぼけてるみたいだけど」

 アリスの問いに、霊夢は口ではなくお腹のくぅという空腹を訴える音で返事した。
 どうやらお腹は空いているようだ。

「食べる~」
「……大丈夫なのかしら。それじゃあ、いただきます」
「いただきます」

 手を合わせて、いただきます。
 頭をふらふらとさせながらも、口に料理を運んでいる霊夢。
 それを見て、ハラハラしながらアリスも食べる。
 互いに無言。
 だが、別に心地が悪い空気ではない。元から二人とも、食事中に言葉を発したりするタイプではなく、黙々と食べるタイプである。

「ご馳走さまでした」
「んー、ご馳走さまでした」

 そうなると、自然と食べ終わるのが早い。
 二人はほぼ同時に、食事を終えた。

「あぁもうっ。口の回り汚れてるわよ」
「んに」

 アリスは身を乗り出して、霊夢の口の回りを拭く。霊夢は特に抵抗もせず、ただ目を細めている。
 はぁ、と大きくため息を吐くアリス。

「これじゃあ霊夢、ただの子どもみたいじゃない……」
「それほどリラックスしてるのでしょう」
「紫!?」

 小さく呟いた独り言に、返事が返ってきた。
 アリスが返事のした方を向くと、紫がスキマから顔だけ出していた。子どもが見たらトラウマになりそうなシーンである。
 霊夢は既に再び睡魔に襲われているようで、ふらついていた。放っておいたら、そのまま椅子に座ったまま眠ってしまいそうだ。

「霊夢を連れ戻しに来たのかしら?」

 目線は紫から逸らさず、気付かれないよう、右手のみで人形へ合図を送る。
 紫は口元を扇で隠しながら、小さく笑う。

「ふふっ、そんなに構えなくてもいいわよ。大丈夫、連れ戻したりはしないですわ。本当に疲れているようだし」
「……そう」
「しかし、あなたも甘いわねぇ。どうせ霊夢が無理矢理やって来たんでしょう? なのに、わざわざ庇おうとするなんて」
「っ!? いや、別に庇おうとしたわけじゃ……」

 慌てて否定するが、紫はただ笑うだけ。
 なんとなく心地悪さを感じたアリスは、思わず目を逸らしてしまう。

「ま、居場所を確認しに来ただけだし、私は帰ろうかしらね」
「ちょ、ちょっと待ってよ! 霊夢持って帰ってよ! あんたのスキマなら一発でしょう?」
「いーやっ!」
「はぁ!?」
「だって、こんなに心地良さげに寝ているのよ? それほど、この家が心地良いのでしょう。邪魔したくないもの」
「私に迷惑でしょ!」
「本当に迷惑かしら?」
「っ!?」

 それじゃあね、と紫が嫌な笑みを浮かべながら、スキマに引っ込んだ。

「ちょ、どういう意味よ!」

 アリスが叫んで手を伸ばすが、間に合わなかった。
 再び、霊夢と二人きりになってしまう。
 アリスは、ちらりと霊夢の方を向く。すぅすぅと穏やかな寝息をたてながら眠る姿は、博麗の巫女とか関係無く、ただの年相応な女の子にしか見えない。

「もう、仕方無いわね」

 一つ、ため息を吐く。
 そして、座ったまま眠っている霊夢を起こさないように、ゆっくりと抱える。膝の後ろと首に手を回して、優しく抱えた。所謂お姫様抱っこだ。

「軽いわね。さて、ベッドに運んでやるか。人間は脆いから、風邪引いても困るしね」
「ん……」

 一人呟くアリス。
 霊夢の体は予想よりも華奢で、温かい。
 良い夢でも見ているのか、ふにゃりとした笑顔を浮かべている。
 アリスはそれを見て、ため息混じりに小さく微笑んだ。
 






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コメント

最高かよ
2017-02-02 Thu 02:45 | URL | [ 編集 ]
>>最高かよ
ありがとうございますっ。
2017-02-02 Thu 22:12 | URL | 喉飴 [ 編集 ]

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