絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

なつまつり

ゆかてんで夏祭り。
8月中に書いて、8月中に保管しときたかったのです。
もう少し濃い内容か、甘くしたかったですが。糖分20%くらいかな。
 
「わっ! 紫、何あれ!?」
「金魚すくいも知らないの?」

 天子の質問に対し、馬鹿にしたような口調で返す紫。
 そんな紫の態度に、天子はかちんとくる。だが、知らないものは知らない。何も斬り返せ無かった。

「むむむ……紫のいじわる。私、お祭初めてだもん」
「はいはい、金魚すくいっていうのは……」

 紫の説明に、ふぇ~と興味深そうに相槌をうつ。
 そんな天子を見て、紫は小さく笑う。

 紫と天子、二人は人里の夏祭りに来ていた。祭りを知らないという天子に、紫が案内する約束をしていたのだ。
 ちなみに、紫は浴衣を着用しておらず、いつもの格好ではあるが、天子はちゃんと浴衣を着用している。
 天子の浴衣は、紫がプレゼントした物で、天子の髪と同じ色、青を基調とした浴衣だった。帯は紫色で、浴衣には淡い水色の水玉模様が点々と付いている。明るく感じさせるような、天子に似合う浴衣だった。天子の長い髪は、今だけ、首にかかるかかからないかくらいの長さに纏めてあり、いつも着用している桃の付いている帽子は着けていない。
 まだ少しだけあどけなさが残った表情は、浴衣姿ということもあって、よりいっそう可愛らしく見える。

「んー……金魚を飼うの、面倒そうね」
「あなたには無理でしょうね」
「な、何ですって!」
「三日世話出来たら、良い方ですわ」
「いちいち人を馬鹿にして~」
「あら、少なくとも私から見れば立派な馬鹿よ。おめでとうございます」
「嬉しくなーいっ! もう良い! 一人でお祭回る!」

 見るからにご機嫌ななめといった態度で、紫から離れて歩こうとするが――

「初めてのお祭、浮かれて迷子、多くの人が居るからぶつかってばかり、財布落として涙目……」
「な、何よ?」
「いえ、そんな未来が見えただけですわ」

 紫は、ニコニコと意地悪い笑みを浮かべている。
 天子は考える。悔しいが、そうなる可能性は充分にあった。既に今現在、突っ立っているせいで、人とぶつかっていたりする。

「ふ、ふん! せっかく来たんだから、最後まで一緒に居てあげるわよ」
「はいはい、我侭お姫様」
「な、何ニヤニヤしてるのよ! 別に不安だからとかそういうのじゃなくて……」

 顔を赤くして、うーうーと唸る天子。
 それを見て、紫はさらにニヤニヤする。

「だからニヤニヤするなー!」
「はいはいっと、ほら天子」
「えっ!? わわっ!」

 紫が天子の手を引っ張り、己の胸へと抱き寄せた。
 突然の行為に、天子は慌てる。

「な、何!?」
「人の邪魔になってたのよ、ほら」

 天子が紫の胸に埋まったまま、顔だけをさっきまで自分が居た方向へ向ける。すると、ぺこりと頭を少しだけ下げて、人が渡って行った。

「ね、もう少し周りをちゃんと見なさいな」
「ん、分かったわよ」

 そう言って、紫から離れようとした瞬間――

「あら、こんな大勢の前で抱き合って……そういう関係だったの?」

 わたあめ片手に咲夜が話し掛けてきた。隣りには霊夢もいる。
 慌てて離れる天子に対して、至って冷静な紫。
 ちなみに、咲夜はいつものメイド服、霊夢もいつもの巫女服だった。浴衣が多いため、大勢の流れる人の中でも非常に目立つ。

「違うわよ!」
「でも珍しい組み合わせですわ。八雲紫に天人のあなた」
「そちらこそ、珍しい組み合わせじゃない? 霊夢にあなた、そういう関係?」

 天子が、顔を赤くして否定の声を上げる。
 咲夜の言葉に、紫も斬り返す。
 咲夜はいつもと同じような態度だったが、霊夢は明らかにぶすっとした不機嫌そうな表情を浮かべていた。

「えぇ、実はそういう関係」
「……咲夜、蹴り飛ばして良い?」
「蹴り返しても良いならね」
「……はぁ。こいつがレミリアから休暇を出されたらしいのよ。お祭だしたまには休め、ってね」
「お嬢様は来ないのですかと尋ねたら、『妹が行けないのに、姉が行くわけ無いだろう』と。私も残ろうとしたけど、良いから休めって追い出されちゃったわけ」

 フランドールは多少自由になったとはいえ、万が一のことに備えて外出はほぼ禁止なのだ。特に、お祭のような一般人が大勢居る場所には連れて行けない。
 だからこそ、レミリアも来ない。
 なるほど、といったように頷く紫。天子は、フランドールのことを知らないため、頭に疑問符状態だった。

「なるほどね。でも、何で霊夢?」
「唯一暇そうで、かつ私の友人だから」
「いつからあんたは私の友人になったのよ」
「あぁ、間違えましたわ。私の恋人だから」
「……潰す」

 霊夢が顔を赤くして針を投げるが、咲夜は身体を少しだけずらして避ける。
 そのせいで、咲夜の後ろを歩いていた人の背中に針が刺さるが、誰も気にしない。

「とまあ、こういう風にからかってみると楽しいから。それに一緒に居て楽しいのよ」
「……ふん」
「それじゃあ、また。行きましょう、霊夢」
「あ、こら! 手引っ張るな!」

 がるると唸る霊夢と、案外お祭を楽しんでいる様子の咲夜は、手を繋いで人込みに消えた。なんだかんだで完全に拒否しないあたり、霊夢も満更では無いのだろう。ただ、素直じゃないだけで。
 再び、二人になる。

「さ、とりあえず私たちも行きましょう」
「……」
「どうしたの、天子?」

 天子は黙ったまま、ジッと霊夢たちが消えた方向を見つめていた。
 紫は最初、何故天子が見つめていたまま動かないのか分からなかった。

「んー……あぁ、もしかして」

 そう小さく呟いて、何かに気付いたような表情を浮かべた。

「天子、手」
「え?」
「あなたがはぐれたら、捜すの面倒そうだからね。予防線よ」

 そう言って、手を差し出す。
 天子はほうけたまま、動かない。
 しばらくして、顔に紅葉を散らした。随分と遅い反応だった。

「なっ!?」
「あぁもう、ほら」
「~っ!」

 いつまでもフリーズしたままでは埒があかない。そう考えた紫は、少し強引に手を握った。
 たったそれだけで、天子は俯いてさらに赤くなってしまう。紫の手から伝わる温かさ、柔らかい肌、綺麗な指が鼓動を高鳴らせた。

「さぁ、行きましょう。まだまだ見たいものがあるでしょう」
「う……うん」

 そう言って、二人並んで歩く。

 しばらく歩いているうちに、慣れてきたのか、少しずつ天子は調子を取り戻していた。

「紫、あれ何? さっき咲夜が持ってたけど」
「わたあめね。食べる?」
「うん!」

 天子はわたあめ屋の人に頼んで、手にまいて貰った。歩いてる最中、そんな子どもを見たから試しにやってみたのだ。
 天子の右手が、真っ白いわたあめに包まれている。

「えへへ~どうよ!」
「……子どもね」
「んなっ!?」
「ま、美味しいけど」
「あ、ちょ!? 勝手に食べないでよ!」
「もくもく」
「こら、やめてってば!」

 天子のわたあめを、はむはむもくもくといったように食べる。
 右手が使えない天子は、わたわたと暴れることしか出来ない。

「ん?」
「ちょ!? それ指だから!」
「はむはむっ」
「ひゃあ!? くすぐった……あはは! やめてってば!」

 さすがに周りから見られ始めたため、食べるのをやめた。
 わたあめは軽く半分以下になってしまっていた。

「紫のいじわる!」
「私が払ったのだから、私が食べちゃいけない理由はありませんわ」
「う~……はむっ」

 残ったわたあめを、はむっと食べる。甘くて口の中で溶ける感覚が、新鮮だった。
 ただし、目は紫を睨んでいる。
 そんな天子に紫は、腹が立つほど爽やかな笑みを返した。

「紫、その顔気持ち悪い」
「あなたの顔にわたあめまいてあげましょうか?」
「すみませんでした。とてもウツクシイです」
「美しいの部分だけ片言なのが気になるのだけれど?」
「いふぁいいふぁい!」

 天子の頬を、両手で伸ばす。予想以上に柔らかかった。良く伸びる。

「あ……」

 そんな時、大きな花火が上がった。
 耳に響く高い音とともに空へと上がり、大きな音を立てて闇夜に花を咲かす。

「凄い……」
「あれが花火よ」

 ふざけることをやめて、ただ見上げる。
 色鮮やかな花が、次々に打ち上げられている。
 それらは、ほんの数秒で散ってしまうけれども、刹那を美しく輝かせて、見る者に感動を与えていた。
 また、大きな音とともに、打ち上げられた種が開化する。
 天子は、左手でなんとなく紫の手を握った。
 今、大勢と一緒に見上げているのに、天子には何故か二人だけで見上げているように感じられた。

「紫、えと、その……ありがとう」
「んー?」
「お祭、連れてきてくれて」
「どうしたの? 素直な天子なんて、お酒を飲まない翠香より気持ち悪いわ」
「失礼ね! 私はただ、天から見下ろすだけじゃあ見られなかったものを見て、感謝してるのよ」

 いつもは見下ろすばかりだった天子が、今は見上げていた。
 空を明るく、綺麗に飾る花火を、二人で見上げている。

「どういたしまして」
「ん……」

 握る手を、ギュッと強くした。
 ギュッと握って、ギュッと握り返される。
 そんな、子どもみたいなことをして、花火を見上げ続けた。
 心地良いくらいの夏の風が、ふわりと二人の髪を撫でていった。






東方SS | コメント:2 | トラックバック:0 |
<<8月を振り返って | ホーム | 書き書き~>>

コメント

やだ・・・なにこのバカップルvv
ゆかりんに遊ばれつつも愛されてる天子が幸せそうで、読んでるこっちも幸せになってきました。
もう天子全身わたあめにしちゃいなよ!そしてゆかりんにはむはむしてもらいなよ!

ところで、針が刺さった人が無事なのか気になって仕方ありませんw
2009-09-01 Tue 23:42 | URL | ひの [ 編集 ]
楽しんでもらえてなによりです。
全身わたあめw想像したら物凄く可愛かったですw
そしてゆかりんにぱっくんちょですね!
針が刺さった人は……お祭だから多分お祭パワーでなんとかw
2009-09-02 Wed 01:10 | URL | 喉飴 [ 編集 ]

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

| ホーム |