絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

小悪魔様がみてる

プチ投稿作品『小悪魔様がみてる』
パチュアリです。地味に気に入ってます。




「あら、貴女がここに来るなんて珍しいわね」
「ちょっと調べたいものがあってね」
「でも私に許可無く入ってくるのはどうかと思うわ」

 パチュリーは手元の本からは目を離すことなく、アリスに言う。

「じゃあ、今訊くわ。調べものをさせてくれないかしら」
「許可するわ」

 アリスは、あまりの呆気ない許可に少し肩透かしをくらったような気分になる。

「いいの?」
「どっかの馬鹿みたいに盗まなきゃ別にいいわよ。貴女は私の知る中でも数少ない良識人。だから許可」
「そ、そう。ありがとう」

 アリスはパチュリーがそんな風に思っていてくれて、少し嬉しかった。
 正直、あまり良い印象は持たれて無いだろうと思っていたのだ。
 なにせ、アリスとパチュリーは互いにあまり交流は無い。宴会でも、アリスは誰とも絡まずチビチビ飲むタイプ。それに対してパチュリーも端っこ辺りで少量飲む程度。消極的な二人が交わることはほとんど無かった。

「ここで読んでもいいかしら?」
「どうぞ。私の邪魔をしなければいいわ」

 実に感情の無い素っ気無い返事。
 そして、アリスは一つ気付いた。小悪魔が居ない。

「そういえば小悪魔は?」
「あの子は私の実験台になって爆発したわよ」
「ちょ!? 何してんのよ!」
「大丈夫、召喚すれば完全回復で出て来るわ」
「じゃあなんで召喚してないのよ」
「……たまにはあの子にも休暇を与えてあげなきゃ」

 どんな休暇のあげ方だ、とアリスは思ったが口には出さなかった。

「まぁいいわ。それじゃあ勝手に読ませてもらうわよ」
「好きになさい」

 アリスは、パチュリーの向い側の席へ座り、目的の本を読み始める。

◇◇◇

 しばらくして、アリスは思った。気まずい、非常に、と。
 本を読んでいるから当たり前だが互いに無言。ただパチュリーとの交流があまり無いためか、なにかムズムズしていた。
 かといって、話しかけたら読書の邪魔になるかもしれない。そういう思いがこの沈黙を破れずにいた。
 本を読みに来たのだから読んでいればいいのだが、目の前にパチュリーが座っているという状況が、普段長時間、人と居ることが無いアリスには集中出来なかったのだ。
 チラっとパチュリーに目をやる。
 紫色の長髪に、アメジストのような色と深みを帯びた瞳。
 『綺麗』という言葉がとても似合う。純粋にアリスは見惚れていた。

「何か言いたいことでもあるの?」
「ふぇ!?」

 突然パチュリーから声を掛けられ、見惚れていたアリスは驚き、情けない声をあげてしまった。

「じっと見つめられちゃ、気になるわ」

 どうやら見ていたのに気付いたらしい。あれだけ見つめられては当たり前だが。

「いや、その、あのね」
「何慌ててるのよ? もしかして何か良からぬことでも企んでたのかしら?」
「ち、違うわよ! ただパチュリーが綺麗だなぁって見惚れてただけ! ……あ」
「なっ!?」

 アリスの爆弾発言。
 パチュリーは慣れない言葉に顔が真っ赤に染まり、アリスは己の言った発言に対して自己嫌悪していた。
 結果、先程とは別の理由で気まずくなった。
 互いに無言。
 アリスはチラリとパチュリーの方を見る。するとパチュリーも丁度アリスをチラリと見て、二人の視線がぶつかる。目と目が合わさる。
 思わず恥ずかしくて、慌てて互いに下を向く。

「貴女はもっと、クールなタイプだと思ってたわ」

 パチュリーが下を向きながら言う。

「なのに、いきなり口説き落とそうとするなんて……」
「いやいやいやいや! 違う! 断じて違うわ!」
「じゃあ、綺麗って言ってくれたのは嘘?」
「それは嘘じゃないわよ。純粋にただ綺麗だったから――って、また私恥ずかしいこと言ってる!?」
「意外にプレイガールなのね」
「違う!」

 墓穴を掘っていくアリスに対して、段々自分のペースになってきたパチュリーは次第にアリスがどういう性格なのか掴めてきて、面白がっていた。

「貴女、からかい甲斐があるわね」
「な、なによ! そっちだってさっきまで赤くなってたくせに!」

 その言葉にパチュリーはクスッと笑った。

「ええ、さっきはとても嬉しかったわよ。だから」

 身を乗り出して、アリスの方へ手を伸ばす。そしてその手はアリスの顎を上に上げさせー―

「お返しに、今度は私からアリスを真っ赤にさせてあげるわ」
「なっ!? ちょ、ちょっと何!」
「ほら、目を閉じなさい」

 パチュリーの顔がどんどん近付く。
 アリスは突然の展開に、逃げるという選択肢を忘れ、目をギュッと閉じてしまう。
 パチュリーの匂いが、手の温もりが、感じる。
 しかし、いくら待っても来ると予想していた感触は来なかった。
 アリスはそっと目を開けると、そこには笑いを堪えているパチュリーがいた。

「あ、アリス……貴女本当にからかい甲斐があるわ」
「なっ!?」

 アリスは自分がからかわれていたと分かると、真っ赤になる。それは羞恥の赤か、怒りの赤か、いや両方だろう。

「か、帰る!」

 立ち上がり、帰ろうとするアリス。

「ええ、またいらっしゃいアリス」
「誰が来るか!」
「でも、本まだ読み切って無いでしょう?」
「う……」
「もうからかったりしないから、ね?」
「……分かったわ」

 しぶしぶと言った感じのアリス。そして帰ろうとする――が

「あ、待ってアリス」

 また止められた。

「はぁ……何よ?」

 思わず溜め息が出るアリス。

「貴女は私のこと綺麗って言ったけど、私は貴女のこと――」

 パチュリーが滅多に見せない笑顔で、

「可愛いと思うわよ?」

 と言った。

「~~っ! 帰る!」

 ダッシュで帰るアリス。
 最後まで弄ばされて悔しかった。そして何より、最後のパチュリーの笑顔に胸が高鳴った自分が悔しかった。
 アリスがいなくなった図書館でパチュリーは一人クスッと笑った。

「もうからかわないって言ったから、最後のは本心よ」

 一人そう呟き、また本を読む作業に戻っていった。



◇◇◇



 後日、改めて図書館前に立っているアリス。
 大丈夫、私強い子。と心に言い聞かせて、入る。

「あ、アリスさん」
「貴女、仕事に復帰したのね」
「はい。そんな休んでいられませんから」

 小悪魔に会ったアリスは少しホッとしていた。パチュリーじゃなくて良かった、と。

「それよりアリスさん。先日は可愛かったですね~」
「……は?」
「クールなアリスさんがパチュリー様にからかわれて、あんなに真っ赤になって」

 ニヤニヤしながら言ってくる小悪魔。

「なんで貴女が知ってるのよ!?」
「だって見てましたもん」
「貴女あの時バラバラだったんでしょ!?」
「パチュリー様、私の眼球片付けるの忘れてまして、そこから全て見てました」
「怖っ!? 目茶苦茶怖いわよ! いや、もうくちゃくちゃ怖っ!」

 パチュリーに会う前から既に茹蛸状態のアリス。まさか見られてたとは思わなかったのだろう。そこに――

「あら、アリスいらっしゃい」

 パチュリーが登場をしただけで、アリスは限界を越えた。

「こ、これで勝ったと思うなよ~!」

 そして、ダッシュで逃げた。

「何しに来たのかしら?」

 突然のことに呆然としたパチュリーと、全てを理解している小悪魔だけが図書館に残った。
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