絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

頑張れ小さな女の子~番外編3.誘拐!?

頑張れ小さな女の子シリーズ番外編3つ目。
とうとう紅魔館と接触します。
ほのぼのまったり~、そんな感じです。



 
「あの小さい女の子、貰ったから」
「は?」
「それじゃあね」
「ちょ、ちょっと待ったぁ!」

 霊夢が居間でお茶を飲んでいると、突然目の前に咲夜が現れて言った。
 言葉の意味が分からない霊夢は、慌てて咲夜を引き止める。
 今、ルーミアは境内の掃き掃除をしていた筈だった。

「私、忙しいから」
「小さい女の子ってルーミアのこと? 貰ったってどういうことよ!?」
「お嬢様がね、欲しいって。だからついさっき貰った。今頃は紅魔館ね」
「ルーミア、来なさい」

 いつもならば呼べば来るルーミアが、いつまで経っても来なかった。これで、咲夜の言っていることが真実だと証明された。ルーミアは誘拐されたのだ。
 すぐさま霊夢は戦闘体勢をとる。

「ルーミアをどうする気?」
「あの子の能力、役に立つのよ。お嬢様がそれを噂で聞いてね。興味を持ったの」
「相変わらず自分勝手な行動を……で? あんたは勿論、案内してくれるわよね?」

 右手に針を構え、鋭い目付きで睨む。

「十六夜咲夜個人としては、今回のお嬢様の我侭は割とどうでも良いのだけれど……」

 咲夜は溜息を吐き、手慣れた手付きで銀のナイフを複数空中に浮かす。

「従者としては主の邪魔をする者は排除が基本、ね!」

 霊夢を包囲していたナイフが一斉に動きだす。
 その気になれば、吸血鬼すらも滅することが可能な銀のナイフ。

「ま、あんたに訊かなくても良いか。紅魔館に行けば良いんだし」
「やっぱり、これくらいじゃあ負けてくれないわよね」

 霊夢は無傷だった。
 もちろん、この程度で散る相手では無いと咲夜も分かっている。傷一つ付けられたら儲けもの、といった感じだ。

「あなたの時間は私のもの。いくら避けるのが上手くても、攻撃させなければ良いだけの話。さぁ、あなたは何度も迫る銀のナイフに、どれくらい耐えられるかしら?」
「簡単ね。時間に縛られ無ければ良いだけの話。あんたじゃあ私を束縛出来ないってことを、教えてあげるわ!」

 互いにスペルカードを取り出す。
 そして、戦いが始まった。
 居間で。





◇◇◇





「ここ何処?」
「紅魔館内、私の図書館」

 縄でぐるぐる巻きに縛られたルーミアが、床に転がっている。
 薄暗い中、本を片手にルーミアを見据えるのはパチュリーだ。

「あなたは私をどうするの?」
「私はどうもしない。レミィの気まぐれだから」
「レミィ?」
「そう、紅魔館の主、吸血鬼レミリア・スカーレット」
「レミリア、ストーカー?」
「スカーレットよ。そして私はその友人、パチュリー・ノーレッジ。あなたの後ろに居るのが、小悪魔」
「え? ってきゃぅっ!?」

 パチュリーに言われて、ルーミアは初めて小悪魔の存在に気付いた。

「あはは、驚かせてすみません」

 人懐こい笑顔を浮かべる小悪魔を見て、少し警戒が和らぐ。
 ルーミアはちらりとパチュリーを見るが、パチュリーは何を考えているのかよく分からなかった。

「ノーレッジさん。私は何でここに連れてこられたの?」
「そっちで呼ばれたの初めてだわ。パチュリーで良いわよ」
「パチュリー、何で?」
「それはあなたの能力が、吸血鬼にとって便利な力だから」

 闇を操る程度の能力。それがあれば、行動がかなり広くなる。

「でも、私はそんなに強く無いよ?」
「それに、大きな闇を作り出すことは出来ない、ね?」
「うん。妹紅や輝夜たちに訓練されて、人二人分くらいは作り出せるようになったけれど……ってあれ? そこまで知っているのに、私必要ある?」

 パチュリーは分かっていた。
 ルーミアという妖怪の力、性格、攻撃方法など全て知識として知っていた。

「ううん、多分あなた要らないわ」
「だよね」
「多分、レミィは半分くらい期待はしてたでしょうけどね。でも、もう半分は別のことを期待している」
「別のこと?」
「そう。あなたを誘拐して、怒り狂う霊夢と戦いたかったんじゃないかしらね」
「霊夢、そんなことで怒るかなぁ」

 むむむ、と目を瞑って唸るルーミア。怒り狂う霊夢を想像しようとしているみたいだ。
 パチュリーは、ただ眠たそうな目でジッと見つめている。小悪魔も、笑顔でそれを見ていた。

「多分、怒らないと思う。というか、迎えに来ないんじゃ無いかなぁ」
「あら? 仲がとても良いと聞いたけど?」
「それはそうだけど。でも、霊夢だし」
「まぁ、あの博麗霊夢だもんね」
「霊夢さん、ですしねぇ……」

 三人が呟く。
 全員の脳内で、霊夢は面倒事は異変以外勘弁、といったようなタイプと認識されている。

「とりあえず、縄解いてくれる?」
「良いわよ」
「良いんですか? パチュリー様」
「レミィの暇潰しシナリオに素直に従うのも癪だしね」

 縄を解くのが面倒だからか、ナイフで切り捨てた。
 自由に動けるようになったルーミア。
 縛られていて鈍った身体を、軽く体操し、ほぐす。身体の骨が、小枝を踏んだような軽い音を鳴らした。

「せっかくだから、紅茶でも如何ですか?」
「え、でも……」
「遠慮はいりませんよ。ね? パチュリー様」
「そうね……あなたの能力について、より詳しく知りたいし。とりあえず、座って紅茶でも飲みましょう」

 小悪魔とパチュリーにそう言われて、素直に席に着く。
 テーブルを挟んだルーミアの向かい側には、相変わらず何を考えているか分からない表情のパチュリー。
 小悪魔は、笑顔で紅茶を淹れている。

「小悪魔、あなたも座りなさい」
「ふぇ? 良いんですか?」
「えぇ、せっかくだから三人で会話しましょう」

 小悪魔は紅茶を三つ用意し、テーブルの上に置いた。
 そして、パチュリーの隣りにちょこんと腰掛けた。
 ルーミアは目の前の紅茶に手を伸ばす。いつもはお茶ばかりを飲んでいるルーミアにとって、紅茶の匂いは不思議に感じられた。
 ティーカップに口をつけて、少しだけ飲む。

「んっ……不思議な味」
「お口に合いませんか?」
「ううん、美味しいよ!」
「それは良かったです」

 にぱっとしたルーミアの笑みに、小悪魔は安心したような表情を浮かべた。
 パチュリーも口に運ぶ。やはり、小悪魔の淹れる紅茶は美味しかったようで、口元を緩めていた。

「さて、何から訊いてみようかしら」
「何でも良いよ」
「あ、私訊いても良いですか?」
「うん」
「どんな生活してるんですか? 霊夢さんの所に住んでるのは知ってますが」
「あぁ、私もある意味興味あるわ。あのだらけている巫女と、どんな生活をしているのか」
「霊夢は優しいよ。だらけているけど、楽しいよ」

 楽しそうな談笑が、普段は静かな図書館に響き始めた。




◇◇◇





「あー!? 私の湯飲みがぁ!?」
「ふん、馬鹿ね」

 弾幕ごっこ中、湯飲みに被弾し、見事に砕け散った。
 居間で弾幕ごっこをすれば、こんなことになるのは当たり前だ。
 咲夜は馬鹿にしたような目で霊夢を見る。霊夢は膝をついて、涙目になっている。

「もう許さない! あんたの主に弁償して貰うんだから!」
「まず、あなたは私に勝てるのかしらね? って危なっ!?」

 霊夢の飛び蹴りが顔面に迫ってきていた。
 慌てて避ける咲夜。

「ちょ、ちょっと! 弾幕は!?」
「湯飲みの無念を晴らしてやるわ! くたばれぇ!」

 霊夢の回し蹴りが綺麗な放物線を描き、咲夜の脇腹に直撃した。





◇◇◇





「何をしている?」
「見て分からないのレミィ? お茶会よ」
「そういうことを訊いているわけじゃ無い!」
「はいはい、怒りっぽいわね」

 はぁ、と溜息を吐くパチュリー。
 レミリアは、捕らえてきたルーミアの様子を見に来た。すると、楽しそうに己の友人と談笑しているではないか。その友人、パチュリーも満更では無いような、楽しそうに笑っている。
 レミリアは、親友の自分でさえパチュリーの笑顔を作るのは難しいのに、とよく分からない嫉妬をしていた。

「あ、あの!」
「ん?」
「こんにちは! お邪魔してます!」
「……は?」

 そんな複雑な気持ちを吹き飛ばすような、ルーミアの挨拶。誘拐相手に、お邪魔してますなどという、ずれた挨拶だ。
 レミリアは、思わずぽかんとしてしまう。パチュリーも小悪魔も、笑っていた。

「ルーミア、あなたを誘拐しようと考えたのはレミィよ?」
「え? この人がスカーレットさん?」
「そっちで呼ばれたのは初めてね。レミリア様で良いわよ」
「レミリア?」
「様を付けなさい」
「様レミリア?」
「どこに付けてるのよ!」

 わざとやってるのか本気なのか、ルーミアの笑顔を見るとどっちか全く分からない。
 なんとなく、レミリアは溜息を吐く。

「はぁ……なんかやる気が無くなってきた」
「レミィも座る? ほら、隣り」
「あぁ、そうさせてもらう」
「あ、じゃあ私紅茶淹れますね~」

 パチュリーが、自分の空いている方の隣りを、ぽんぽんと叩く。そこにレミリアは座った。小悪魔は、紅茶を淹れる。

「中々面白いわよ。この子」
「まぁ、暇潰しになれば良いわよ」

 あまり期待はしていない、といった表情でレミリアはルーミアの話を聞き始めた。
 ルーミアは笑顔で語る。
 お茶会が再開された。





◇◇◇





「どきなさい」
「な!?」

 紅魔館の門前、美鈴の前にボロボロになった咲夜と、目立った傷は無い霊夢が現れた。
 すぐさま戦闘体勢を取る美鈴。
 拳に気を練り集め、しっかりと前の霊夢から視線を離さない。

「咲夜さん、大丈夫ですか?」
「割と無理。相変わらずむちゃくちゃよ、この巫女」
「さぁ、素直に退くか、咲夜の数十倍ボコボコにされたいか、どっち?」
「どちらでもありませんよ。私が勝ってあなたが素直に帰る、という選択肢を作ります!」
「あんたに作れるかしら?」

 面倒そうに溜息を吐いて、霊夢も構える。咲夜は戦闘には参加出来ないが、ふらふらとした足取りで霊夢から離れた。美鈴の邪魔になると考えての行動だ。

「行きます!」
「遅い」
「はへ?」

 気付いたら、ふわりと霊夢が目の前に居た。
 咲夜は、あぁ終わった、と呟いていた。

「必殺! 八連デコピン」
「へぁっ!? デコピン!?」
「さらに八連デコピン!」
「いたた! だ、弾幕は!?」
「そしてさらに八連デコピン!」
「きゃうんっ!?」

 美鈴の綺麗な額が、真っ赤になった。





◇◇◇





「それでね、霊夢はいじわるだけど優しいんだ」
「本当、楽しそうに話すわねぇ。なんか和むわ」
「でしょう? 面白い子よ、この子」
「ですねぇ」

 ルーミアが話す内容は大半が霊夢とのことだった。いじわるだとか、でも温かくて優しいだとか、他人が聞いてもそんなに面白く無いような話。
 だが、一生懸命に話すルーミアを見ていると、パチュリーもレミリアも小悪魔も、何故か笑えてきてしまう。

「お姉様、ここに居たんだ」
「あら、フラン」
「みんなで遊んでるの? ずるいよ~……ってその子は誰?」

 フランドールは、ちょこんと座るルーミアに気付く。

「レミィが誘拐してきた幼女よ」
「レミリア様が誘拐してきた美幼女です」
「ちょ!? お姉様、見損なったよ!」
「違う! 私はルーミアに興味があったからで――」

 ルーミアの能力に興味があった、がレミリアの言いたいことだったが、能力という単語が抜けてしまったせいで、明らかに怪しい発言になった。
 笑いを堪えているパチュリーと小悪魔。全力で引いているフランドール。何が何なのか、よく分かっていないルーミア。

「えと、初めまして。ルーミアです」

 とりあえず、フランドールに挨拶をする。

「あ、私はフランドール・スカーレット。残念だけど、そこの変態犯罪者の妹だよ」
「だから違う! あぁーもうっ!」

 とうとう堪えきれずに笑い出す、パチュリーと小悪魔。フランドールも、あははと笑い出す。
 何がおかしいのか分からないけれど、みんなが笑っているからルーミアも笑った。

「何なのよ、もうっ!」

 不貞腐れたように、レミリアは言った。





◇◇◇





「ルーミア! いるなら返事しなさい!」

 結局、咲夜も美鈴もルーミアが何処にいるかを言わなかった。
 仕方無いから、怪しいと思う場所や紅魔館の主要な場所を探す。

「レミリアの部屋にも居ないって、どういうことなのよ。というか、レミリアも居なかったじゃない」

 戦闘やらここまでの疲労で、大きな溜息が出てしまう。

「ん?」

 地下をふらふらと歩いていると、図書館から笑い声が聞こえた。複数の笑い声だ。

「もしかして、ここ?」

 戦闘体勢をいつでも取れるように、警戒しつつ扉を開く。
 すると、そこには――

「な!?」

 物凄く楽しそうに笑い合っている紅魔館メンバーとルーミアが居た。

「あ! 霊夢だ! 迎えに来てくれたの?」
「あら、本当」
「もう戦う気は失せちゃったんだけど」
「霊夢久し振りだね~」
「霊夢さんも紅茶いります?」

 予想外の展開に、ぽかんとしたまま動けない霊夢。

「えーと……何これ?」
「とりあえず、座れば?」
「え、あ、うん」

 レミリアにそう言われて、未だに疑問だらけの霊夢がゆっくりと座る。
 とりあえず事情説明が始まった。





◇◇◇





「つまり……私、無駄足?」
「さぁ?」
「……ふ、ふふ」

 ゆらりと立ち上がる霊夢を見て、嫌な予感がしたパチュリーは魔法障壁を全開にする。小悪魔も、何か不穏なものを感じ、少し離れた。

「ルーミア、おいで」
「ふぇ?」

 素直に霊夢へと歩み寄るルーミア。
 ルーミアをギュッと抱き寄せた。強く、強くギュッと力を込める。

「心配したんだから」
「……ありがとう」
「ルーミア……」
「ん?」
「八連デコピン! 八連デコピン! 八連デコピン! 八連デコピン! 八連デコピン!」
「ふぇ!? ほわぁっ! はぅあぅう! やぃっう!? みゃぁっ!?」

 突然抱き締めていたのを止めたと思えば、一気にデコピンだった。
 ルーミアの大きな瞳がじわりと涙を滲ませている。

「うわぁ……容赦無いわね」
「あれが霊夢の必殺技か」

 パチュリーとレミリアが、そう小さく呟いた。

「く……くたばれいむ!」
「お仕置が足りないようね」
「あはは、本当に容赦無いわね」

 笑うレミリアの方向を、霊夢は見る。

「そういえば、元凶はレミリアよね」
「え?」
「パチュリー、小悪魔、フラン、ルーミア、手伝って」

 そう霊夢が言うと、みんながレミリアを押さえ付けた。
 慌てて振りほどこうとするが、大勢、しかも同じ吸血鬼の力を持つフランドールまでいるため、振りほどけない。
 近寄る霊夢。怪しい笑みを浮かべながら。

「ちょっと! あんたたちはどっちの味方なの!?」
「お姉様には悪いけど」
「今の霊夢さんには逆らいたくないし」
「レミィの自業自得だしね」
「ごめんね、レミリア」
「う、裏切り者ー!」

 目の前にはデコピンを構える霊夢。
 レミリアはひっ、と声を上げてしまう。

「ご、ごめん霊夢! 謝るから!」
「悪い子はいねーかぁー!?」
「いたーい!?」

 紅魔館に、レミリアの叫び声が響いた。



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