絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

頑張れ小さな女の子~6.ありがとう

6話です。




「霊夢~境内の掃き掃除終わったよ」
「お疲れ様。じゃあ休憩していいわよ」
「うん!」

 縁側にて茶を啜る霊夢。
 その横に、ちょこんとルーミアが座る。頭には陽射しを遮る麦藁帽子を被った状態で。

「あんたもお茶飲む?」
「う~ん、じゃあたまには貰おうかな」
「はいはい、ちょっと待っててね」

 霊夢が奥へと消える。
 ルーミアは一人、そよ風を浴びていた。
 柔らかい風、ぽかぽか太陽、木々の囁くような音、それらが生み出すハーモニーは、ルーミアを心地良くさせる。

「はい、どうぞ」
「ありがとー」

 霊夢が戻ってきて、ルーミアに湯飲みを渡す。
 受け取ったルーミアが、あっ、と小さく声をあげた。

「どうしたのルーミア? 熱かった?」
「見て見て! 茶柱が立ってるよ!」

 霊夢は、無邪気なルーミアを見て、思わず柔らかい笑みを浮かべてしまう。

「何か良いことがあるのかもね」
「えへ~」

 ルーミアは、にぱっと笑う。
 右手で湯飲みを持ち、左手は湯飲みの底にそっと添える。そして、ゆっくりと啜る。

「美味しい……」
「そ、良かったわ」

 今度は二人で一緒に啜る。
 湯飲みの持ち方や、啜る瞬間に目を瞑る仕草まで一緒だ。
 まるで姉妹のような二人だった。

「平和ねぇ」
「そうねぇ」

 お茶を啜る。そのとき、境内の方で何かが落ちたような、凄い音がした。

「何かが落ちたのかしら?」
「ま、どうでもいいじゃない」
「そうだね~」

 また、お茶を啜る。

「おーい霊夢。いないのか~?」

 呼ぶ声が響く。

「呼んでるよ霊夢?」
「幻聴よ」
「幻聴?」
「幻聴よ」
「そっかぁ……」

 霊夢はその声の主を分かっていたが、あえて幻聴だということにしといた。
 何故なら面倒だから。

「なんだよ、居るじゃないか」

 そんな二人の前に、箒を持った少女、魔法を扱う人間――霧雨魔理沙が現れた。

「ねぇ霊夢」
「んー?」
「魔理沙が居るよ」
「幻覚よ」
「そっかぁ」

 ルーミアが納得して、お茶を啜ろうとするが、

「痛い!」

 魔理沙に頭をはたかれた。

「お前らなぁ、露骨に私を無視するな。ていうか何でルーミアが居るんだ?」
「あぁ、それには色々浅い事情があるのよ」
「浅いのかよ!?」

 魔理沙と霊夢がそんなやりとりをしている間、ルーミアは関係無しにお茶を飲んでいた。

「ま、いいや。霊夢! 弾幕しようぜ!」
「えー……」

 魔理沙の用事は弾幕ごっこだった。
 霊夢は正直、今日はそんな気分ではなかった。まったりぬくぬくしたい気分だった。
 しかし、魔理沙は言い出したらきかない。
 霊夢は、どうしたものかと考えて、ふとルーミアが目についた。

「じゃあ代わりにルーミアとやりなさいよ」
「はぁ!?」

 魔理沙からすればルーミアは本気を出さなくても楽に勝てる相手。
 わざわざそんな相手とやるために来たわけではない。

「うん、いいよ」
「じゃあよろしくね、ルーミア」
「うん!」

 しかし、話は勝手に進んでいた。

「ちょ、ちょっと待てよ!」
「どうしたの?」
「何でルーミアとやらなくちゃならないんだよ!」
「あら、ルーミアをなめたら足元すくわれるわよ」

 魔理沙はルーミアを見る。
 ルーミアは相変わらず、にぱっとした笑顔を浮かべていた。
 魔理沙からすれば、自分が敗れるとは思わない。
 しかし、霊夢があまりにも自信満々に言ってきたから、何かがあるのかもしれない、と考える。

「……分かった。ルーミア、勝負だ!」
「うん! いくよ!」

 そこでふと、魔理沙は思う。

「ルーミア、日光出てるが大丈夫か?」
「麦藁帽子があるから大丈夫だよ」
「そっか。ならいくぜ!」

 互いに一定距離を作り、空中に飛ぶ。

「頑張れルーミア~」
「ルーミアの応援かよ!?」
「当たり前よ」

 友人の冷たさに微妙なショックを感じながら、魔理沙は弾幕を放つ。
 星型の弾幕は大きな隙間を決して作らず、ルーミアに迫る。
 ルーミアは冷静に隙間を探す。

「む!」

 魔理沙は少し驚く。
 今までのルーミアとは、違う。
 ルーミアは小さな隙間に己の弾幕を一発、放つ。
 それにより小さな隙間がこじあけられ、隙間が広がる。
 そして、そこをルーミア自身が通り抜け、魔理沙の弾幕を上手く避けた。

「へぇ……」
「今度はこっちの番だよ!」

 感心している魔理沙に対して、今度はルーミアが弾幕を放つ。
 さらに――

「うおっ!?」

 魔理沙の視界を闇が覆った。ルーミアの能力だ。

「夜符『ナイトバード』!」
「なっ!?」

 ここでさらにスペルカードを使用。
 視界が闇に覆われた魔理沙には、迫りくる弾幕が見えない。
 ミスティアのような鳥目にされる甘さじゃない。ルーミアのは『闇』そのものだ。
 大体の生き物が必ず恐れるのは『闇』である。
 魔理沙は今、その恐怖に加え、迫りくる弾幕という要素がさらに追加されているのだ。
 適当に動いたならナイトバードの餌食になるだろう。かといって動かなければ、ただ被弾するだけだ。
 そこで魔理沙が出した答えは――

「攻撃が最大の防御だ! 恋符『マスタースパーク』!」

 魔理沙が構え、見えない目の前に向けて放つ。
 マスタースパークは眼前に迫っていたルーミアの弾幕を全て飲み込み、進む。
 そして――

「あぅー!?」

 膨大な光はルーミアを包んだ。

「あっ……闇が消えた」

 魔理沙の視界に光が戻る。
 ルーミアが倒れているのが見えた。

「勝負あり、ね。やっぱり魔理沙にはまだ勝てないわよね」

 魔理沙がゆっくりと地に降りてくると、霊夢がそう言った。

「いやいや、驚いたぜ。能力の扱い方やスペルカードを使うタイミングやら判断力やら。以前のルーミアとは全く違ってたじゃないか」
「ていうかルーミア大丈夫?」
「う~一応。ただ、動けないけど……」
「はぁ……大丈夫じゃないじゃない」

 霊夢が立ち上がり、倒れたままのルーミアへ歩み寄る。そして優しくルーミアを背負う。

「よいしょっ、と」
「みゅ~」

 魔理沙はそれを見て、

「お前ら姉妹みたいだな」

 と笑いながら言った。
 霊夢は、はぁ? と顔をしかめる。

「どこがよ」
「なんか、よくわからんが……う~ん、雰囲気が」
「雰囲気?」
「そう。上手く言えないけどな」

 ふーんと呟いて、霊夢はルーミアを縁側にそっと降ろす。
 ルーミアはまだ動けないようだ。
 ちなみに麦藁帽子には、ルーミアの希望により、霊夢の護符が裏に貼ってある。それにより傷は付かない。

「で、何でこいつはこんな強くなったんだ? まさか霊夢が鍛えたのか?」
「私がそんな面倒なことするわけないでしょ?」
「そんなこと威張るな。じゃあ何でなんだ?」
「んー? 説明するのも面倒だわ」
「お前なぁ……」

 呆れた表情の魔理沙。

「妹紅や輝夜に教えてもらったんだよ」
「へ? あいつらに?」

 魔理沙がルーミアの言葉に驚く。
 一体どんな接点があるのかが、魔理沙には全く分からなかった。

「うん。たまに遊びに行くんだよ! その時に教えてもらってるのよ!」
「へぇ……どんな接点があったのか知らないが、そういうことか」

 輝夜も妹紅も強い。
 それに教えられたのだから、以前より強くなるのは当然だ。

「で、魔理沙」
「んぁ?」
「お昼食べてく?」
「あー……今日はいい。別にアリスの家にたかりに行くとか考えて無いぜ?」
「はいはい、分かったからさっさと行きなさい」
「家に帰るだけだぜ?」
「もう分かったから」

 魔理沙は箒にまたがり、凄い速さで飛んで行った。
 それを見送ったあと、

「ルーミア、お昼食べよっか」
「うん!」

 お昼にすることにした。



◇◇◇



「霊夢~」
「ん?」

 もうすっかり夜だ。
 お風呂から上がったルーミアが、霊夢に話かけてきた。

「どうしたの?」
「足が痛い」
「え?」

 霊夢はルーミアの足を見る。
 そこで、右足首が赤く腫れているのが分かった。

「ちょっと、何で今まで言わなかったのよ?」
「お風呂入って気付いたんだよー」

 結構酷い腫れだ。
 恐らくは、魔理沙と弾幕ごっこをした時だ。マスタースパークを浴びた後、着地が上手く出来ないで足首を痛めたのだろう。

「あんた、今日帰れるの?」
「大丈夫だよ、多分ね」

 ルーミアはそう言うが、明らかに痛いだろう。
 多分、歩かないで浮いていても、ズキズキと痛むのが容易に想像出来る。

「泊まっていきなさいよ」
「え、でも……」
「大体あんた、夜は何してんのよ?」
「しばらくぷらぷらして、疲れたら寝るくらいかな」
「じゃあ別に良いじゃない」

 ルーミアは戸惑う。
 人の家に泊まるなんて初めてだ。

「私が霊夢を食べちゃうかもしれないよ?」
「食べれるもんなら食べてみなさい。まぁあんたはそんなことしないでしょうがね」
「何で言い切れるの?」
「あんたはそんなやつじゃないって信じてるから」

 霊夢の言葉に、ルーミアは胸が熱くなるのを感じた。
 何故かは分からないけれど、嬉しかったのだ。

「えと、じゃあ……その」
「ん?」
「よ、よろしくお願いします!」

 凄い勢いで一礼をするルーミアに対して、霊夢は苦笑いを浮かべた。



◇◇◇



「ごめんねルーミア」
「いいよ、別に」

 あの後、布団を敷いたのだが、客人用の布団はしばらく使っていなかったため、ほこりを被っていた。
 そのため、霊夢と同じ布団で眠ることになった。
 布団の中で、互いに肩と肩が触れ合う距離くらいに近付く。
 暗闇の中、静寂が続く。

「ねえ霊夢」

 静寂を破ったのはルーミアだった。
 霊夢からは反応が無い。眠ってしまったのだろうか。

「ありがとう。本当に」

 それでもルーミアは続けた。
 相変わらず霊夢からは反応は無いが。

「私、すっごく感謝してるんだよ」

 ポツリポツリと言葉を紡ぐ。

「上手く言えないけど、だから、えっと、ありがとう」

 再び静寂が戻る。
 触れ合う肩から感じる微かな体温が、温かい。
 ルーミアはなんとなく、自分の手をそっと、霊夢の手に重ねた。
 ハッキリと感じる、伝わる、温かさ。
 それに安心して、ルーミアも眠りについた。
 微かに差し込むまんまるお月様の光が、二人を優しく包んでいた。
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