絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

からかわれて

ゆかえーき。
糖分25%くらいかな。



   


「八雲紫、貴女は少し雑すぎる。結界修復などは即座に対応すべきですし。大体貴女は……」
「はいはい、すみませ~ん閻魔様」
「真面目に聞きなさい! 今日という今日は許しませんよ」

 霊が送られて来ないことに、また小町がサボっているのだろうと説教をしに来た映姫。しかし、そこには小町と仲良くお酒を飲む紫が居た。
 紫曰く、気まぐれで死神と飲んでみたかったとか。それが意外と話も弾み、仲良くきゃっきゃっ飲んでいる二人を見て、映姫はもちろんぷっちんときたわけで。
 言い訳をする小町をどこか遠くへ吹っ飛ばし、その間に逃げようとした紫は捕まった。
 そして、現在に至る。

「閻魔様は牛乳を飲むべきですわ」
「何ですって?」
「すぐ怒るからカルシウム足りて無いのでしょう」
「大きなお世話です! 大体元凶の貴女が――」
「胸も大きくなりますよ?」
「ほ、本当ですか!?」
「まぁ嘘ですけどね」
「う……嘘は大罪です!」

 映姫は涙目で紫を睨む。
 口元を扇で隠しながら、ニヤニヤと笑う紫。

「あ、笑ってますね!? 閻魔を笑うとは、地獄行きです!」
「裁判に私情を挟むのはどうかと思いますわ」
「くっ……八雲紫」

 恨めしそうに紫の名を呟く。
 紫は正直、映姫を苦手としていた。会えば即長い説教が始まる。しかも、説教中はほぼ逃げられない。そんな苦痛。
 弾幕勝負でも、紫は幻想郷でトップクラスの実力者ではあるが、映姫はジョーカー的存在なのだ。
 だが、そんな映姫相手に今日は初めて紫のペースに巻き込むことが出来た。

「意外に楽しいかも……」
「は? 何がですか?」
「いえ、こちらの話ですわ」

 慌てる映姫、涙目の映姫、赤くなる映姫、どれも初めて見るものだった。
 それらは新鮮で、紫の悪戯心をかなりくすぐる。

「うふふ……」
「ひぅっ!?」

 思わず、笑いが込み上げてくる紫。
 物凄く嫌な予感を感じ取った映姫は、びくりと身体を震わせた。

「と、とりあえず今日はここまでにしておいてあげます。ちゃんと善行を積むのですよ?」

 背を向けて、さっさとこの場を去ろうとする。
 が、しかし――

「つーかまーえたっ!」
「ひゃあ!?」

 背後から両肩に手を置かれ、がっしりと掴まれた。
 映姫はびくっと身体を震わせた。

「閻魔様が逃げるなんて珍しい」
「に、逃げてなどいません!」
「閻魔様が嘘を吐いて良いのですか?」
「ぅ……嘘ではありません! ただ、嫌な予感を感じ取ったので立ち去ろうとしただけです」
「それを人は逃げと言うのですわ」

 一歩を踏み出そうとするが、肩を掴まれたまま動けない。

「うぎぎ……!」
「うふふ……」

 一体どこにこんな力があるのか、というくらい紫の力は強かった。映姫は足を前に出すが、進めない。
 これはおかしい、と思った映姫が後ろを振り向くと、自分の肩に手が六つ、乗っかっていた。

「ひ……」
「ひ?」
「ひゃぁぁぁぁ!?」

 映姫は一瞬、ぴたりと停止し、その後大声で叫ぶ。
 自分の肩にありえない数の手が乗っていたら、それは立派な怪奇現象だから仕方無い。

「あーあ、ばれちゃった。藍、橙、ありがとう」
「へ?」

 よく見ると、腕が伸びてる先は隙間。
 中から、藍と橙が協力していたらしい。
 それに気付いた映姫は、ほうけた表情を浮かべていた。

「閻魔様ー?」
「……」

 反応が無い。
 紫が目の前で手を振ってみるが、それでもぼーっとしている。

「四季? 映姫ちゃーん? やりすぎたかしら……私、本当に地獄行きかも」
「……」

 未だに、ほうけたままでいる映姫。
 考える紫。
 刺激を与えたからこうなったのではないか、という結論に至る。
 ならば、より強い刺激を与えれば動くのではないだろうか。

「ということで、映姫の唇をいただきまーす」
「あなたは何をしようとしてるのですか!」
「っ!」

 直前で我に帰った映姫が、手のひらで紫の顔を押し戻した。
 むぎゅ、とでも聞こえそうなくらいに滑稽なシーンだった。

「いや、閻魔様を戻すためにキスを」
「んなぁ!? き、キス!?」
「あら、キスじゃあ分かりません? 接吻、口付け、とか言った方が分かるかしら?」
「キスくらい知ってます!」
「あらあら、意外にえっちですね」
「っ! や、八雲紫!」

 顔を真っ赤にして怒る映姫に対して、紫は扇で口元を隠して笑う。
 小さく笑いつつ、紫は思っていた。凄く楽しい、と。

「でも、経験はしたこと無いんじゃない? 慌てっぷりから見て」
「そ、そそんなことは……!」
「私で、経験してみます?」
「~っ!?」

 映姫の顎に手を添えて、くいっと上を向かせる。
 視線が交わる。
 こうして改めて相手を見ると、今まで分からなかったことが良く分かる。映姫は思っていた。紫の白い肌、長い睫毛、そして柔らかそうな唇が目に入る。

「な、何を!?」
「キスをするときは暴れないで、目を瞑って」
「だ、だから何故私があなたと――」
「映姫、静かになさい」
「~っ!?」

 真面目な表情と、名前で呼ばれること。
 映姫は、ただそれだけで顔が熱くなる。
 紫の真面目な態度なんて、滅多に見たことが無かったから、より新鮮に感じられた。

「ほら、目を瞑って」
「え、あ、ぅ?」
「大丈夫、肩の力を抜いて」

 紫が少し屈み、次第に顔が近付く。
 映姫は拒絶しようにも、この空気が、そうさせてくれなかった。
 反射的に、目を瞑る。強く、強く瞑った。震える身体を、紫がそっと片腕で抱く。

「あっ……」

 紫の腕の中は温かくて、柔らかかった。身体から強張った力が抜けた。
 甘い匂い、顎に添えられた指、映姫はそれらの全てを敏感に感じ取ってしまう。
 紫は、リラックスした映姫に気付き、片腕で抱くのを止めた。

「ふっ……」
「んっ……」

 そして、映姫の唇に柔らかい何かが触れた。
 その事実にまた、ぷるぷると震えてしまう。
 どれくらい、経っただろうか。映姫の顎に添えられた指が、何故か震えていた。疑問に思った映姫が、ゆっくりと目を開くと、そこには笑いを堪えている紫。

「んなっ!?」
「あぁ……あなたがこんなにも可愛いなんて……くっ」

 映姫が唇だと思っていたものは、紫の人指し指だった。
 つまり映姫は、人指し指を唇にあてられてまま、目を瞑り、小動物のようにぷるぷると震えていたわけだ。

「や、や~く~も~ゆ~か~り~!」
「また、お会いしましょう。可愛い閻魔様?」
「ま、待ちなさい!」

 にっこりと爽やかな笑みを浮かべて、隙間を出現させる紫。逃げる気満々だ。
 しかし、それを見過ごすわけが無いのが映姫である。

「逃がしませんよ!」
「あらあら、そんなに私と離れたく無いのかしら?」
「ぬぁ!?」

 普段の映姫ならば、動揺などしなかっただろう。だが、今の映姫は乱れすぎていた。
 紫の言葉に、一瞬戸惑ってしまう。
 それが、いけなかった。

「またね、映姫~」

 紫はうふふと笑い、消えてしまった。
 この溜まった怒りをどうすれば良いのだろうか。
 映姫はぷるぷると肩を震わせて、とりあえずは叫ぶことにする。

「絶対地獄行きですっ!」

 次会ったら、問答無用でいきなり攻撃をしようと心に誓う映姫だった。



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