ぐだら、ぐだら2009-08-15 Sat 18:45
さとりんこいしで、ぐだぐだだらだら。
「だらだらしすぎだよっ!」 「ほわー」 「ほわー、じゃない!」 「ほわわー」 「ほわわー、でもない!」 こいしが、地霊殿へ帰って来てから二日目。 真夏で暑いとはいえ、地上に比べれば地霊殿はマシな方だ。 なのに、さとりは白いランニングシャツと黒のホットパンツ。 さらに、口には水色のアイスキャンデーを咥えている。 このだらしなさっぷりに、呆れつつあるこいし。 「お姉ちゃん、暑いのは分かるけどさ」 「はむはむ」 「もうちょっと、しっかりしようよ。というか、その服どうしたの?」 「先日、普通にお店で」 「珍しい。服の買い物なんて」 「あまりにも暑かったから」 「そういえば、お燐たちは?」 いつもならば、お燐が注意しているだろう。しかし、今は姿が見えない。 さとりはアイスキャンデーを口から離す。 「地上へ遊びに行きました」 「はぁ……」 「はむっ」 再びアイスキャンデーを口に咥える。 こいしは、自分自身を自由人だと認知していたが、地霊殿の住人も、同じくらいに自由人だと思った。 額に手をあてて、溜め息を吐くこいし。 「お姉ちゃん、せめて上は着よう? ランニングシャツだけじゃあ、風邪引くよ?」 「はむっ……あ、こいし!」 「え!? どうしたの!?」 「見て見て、アイスの棒にあたりの文字が」 「人の話を聞いて!」 棒にはあたりの『あ』の文字が見えていた。 いきなり大声を出すから一体何事かと思えば、そんなことだった。 「大体お姉ちゃんは――」 「はい、こいし」 「え? な、何?」 「半分あげる。暑いでしょう?」 こいしに、自分の食べていたアイスキャンデーを渡すさとり。 「い、いいよ別に」 「新しいのが無いの。ごめんね」 「だからいいってば」 「美味しいわよ? チルノ印の有頂天ソーダ味」 「う……」 こいしだって暑い。 目の前に差し出されたアイスキャンデーは、ひんやりと冷たい冷気を放っているのが分かる。 散々悩んだ挙句、受け取った。 「あ、美味しい」 「でしょう?」 ペロペロと舐める。さっぱりとした味と、冷たさが心地良い。 「あ、文字が」 「見えてきましたね」 『あた』まで見えてきた。 何故かよく分からないが、こういうときはアイスキャンデーを味わって食べるよりも、早く食べきってしまいたい衝動に駆られる。 「はむ、んっ……」 ペロペロと舐める。 アイスキャンデーが減って、棒に書かれた文字が次第に現れてくる。 『あたり』と。 「あたりだぁ」 「あれ? こいし、まだ文字が見えるわよ?」 「えっ?」 確かにまだ黒い文字の部分が見えた。 首を傾げる二人。 とりあえず、食べきることにする。 はむはむ、ペロペロ。 「ご馳走さまでした、っと」 「さて、書かれた文字は?」 『あたりだったら良かったのにね(笑)』と書かれていた。 「ウザッ! 何これ! しかも長いし!」 「まぁまぁ、こいし。こんなこともあるわよ」 「無いよ普通! わくわくを返して欲しい……」 棒を折って、ゴミ箱へと投げ捨てる。 「あ、そうそう」 「んー?」 「お姉ちゃんにお土産」 そう言って、ポケットをまさぐる。 あれでもない、これでもない、とこいしのポケットから様々な物が飛び出る。ハンカチ、ティッシュ、消しゴム、飴玉、などなど。 「たくさん入ってるわね」 「うん……あ、あった!」 小さな木箱を取り出した。 「これは?」 「じゃーん、風鈴!」 硝子に描かれた金魚、下半分は淡い水色に包まれている。小さな風鈴。 「風鈴とは……懐かしい」 「これ聞くだけで、涼めるよね」 「そうね」 りん、と響く音。 目を瞑る二人。 また、りんと鳴る。 「ありがとう、こいし」 「うん」 二人が言葉を交わす度、りん、りん、とまるで風鈴も会話をしているかのように鳴る。 「あぁ、夏だね」 「えぇ、夏ね」 夏は、まだまだ終わらない。 |
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