絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

素直じゃないから

プチ創想話投稿作品『素直じゃないから』
アリスと魔理沙のお話。いつもとは違う雰囲気を目指して書いたのを覚えています。





「どうしよう……」

 窓から差し込む光は良好な天気を表していたが、私の心はそれとは対照的に曇り空だ。
 目の前には、フリルが揺れるスカートを着け、赤が特徴の服を着た人形が横たわっている。
 素人目でも、繊細に作られたことが見るだけで分かる、一級品の出来だ。
 ただ一つ、服の布地が裂けていることを除けば。

「うぅ~」

 どうしてこうなってしまったのかを、再び思い出す。
 今日は、朝早くにアリスの家に遊びに……じゃなかった。魔法研究に使う材料が切れたから、わけにもらいに行った。
 そうだ、決して遊びに行ってなどいないぞ。うん。
 その時に、アリスが部屋に置ききれなくなった人形を、しまっていて――

「あー、あの時に触んなきゃ良かった……」

 箱の中にある沢山の人形。それを少し弄ったら、嫌な音がして。

「こう、なったんだよなぁ……」

 思わず持って帰って来てしまった目の前の人形に軽く触れる。
 アリスは気付いてるだろうか。でも私の家に来ないということは、気付いて無いのだろうか。

「うぅ~」

 ちゃんと直して謝ろう。それしかない。
 でも裁縫なんてした事無いしなぁ。

「どうしようかな……」

 誰かに習うか。
 その時ふと、霊夢なら出来るのではないかと思った。和のイメージ的に。それに器用だし。

「よし! 行くか!」

 私は、直ぐに側に立て掛けている箒を掴み、家から飛び出した。



◇◇◇



「出来るわよ」
「本当か!?」

 事情を説明すると、霊夢はそれくらい当たり前に出来るといった感じで言った。

「というか魔理沙、やっぱりアリスと仲良いじゃない」
「は?」

 霊夢がニヤニヤしながら言ってくる。
 私とアリスは異変解決も共にして、良いトコも見つけ、最初の様な犬猿の仲では無くなっていた。
 周りから見ても、仲が良さげに見えるらしい。だが――

「そ、そんなわけ無いだろ!」

 私は必ず否定する。
 何と言うか、よく分からない妙な意地が働いて、いつも認めない。
 それに、アリスがどう思っているか分からないし。
 一人で勝手に友達だと思い込んでいて、実は違ったなんていう、そんなピエロに私はなりたくないから。

「でも、仲良く無かったらわざわざ直して謝ろうなんて思わないんじゃない?」
「いや、謝るのは大事だぞ?」
「わざわざ慣れない裁縫を習ってまで?」
「う……」
「普段は図々しくて、他人のことをあんまり考え無い魔理沙がねぇ……へぇ~」

 くそぅ、ニヤニヤ顔をやめろ。それに私は図々しくない。お淑やかな少女だ。

「えぇい煩い! 私に裁縫を教えてくれるのか、教えてくれないのかどっちだ!」
「別に教えてもいいけどさ、完璧に元に戻すのは不可能よ」
「え、何でだ!?」
「だって、アリスの技術に敵うわけがないじゃない。上手く出来ても多分縫合箇所に違和感は残るでしょうね」
「くっ……」
「どうする? やめておく?」

 そうだ、普通に考えてみれば分かることだ。
 なら、直したところで私の技術じゃあアリスを逆に嫌な気分にさせることになるかもしれない。
 でも――

「それでも……私は直したい。謝りたい」
「ま、私にとってはどっちでも良いから教えてあげる」
「ありがとう、霊夢」
「お賽銭でも入れときなさい。それと一緒に上手く謝れるようにお祈りでもしといたら?」

 本当に世話になるから、今回ばかりはお賽銭を入れてやっても良いかもしれない。

「しかし、あんたが本当にアリスをそこまで深く思ってるなんてねぇ」

 前言撤回。別に嫌われたくないから謝るとかそういうのじゃないぞ。

「それじゃ、色々教えてあげるから奥に行くわよ」
「おう!」

 茶の間へと、とりあえず向かった。



◇◇◇



「ぬぁ~!」

 霊夢から教えてもらって5日。
 霊夢は、「私の教えれることは全て教えたから後は自分でやりなさい」と言った。
 だから私は今、アリスの人形を直すのに取組んでいたが――

「私、どんだけ不器用なんだ」

 器用な方では無い自覚はあったが、まさかここまで出来ないとは思って無かった。
 出来上がった物は、明らかに歪な形をしていて、縫合箇所に皺が出来てしまっている。
 しかし、何度もやり直しをしたら、布地の皺が大きくなってしまうため、これで出来上がりということになってしまった。

「よし、謝りに行こう!」

 とにかく、精一杯謝ろう。日もしばらくが経ってしまっているし、早めに謝りに行かないと。
 人形を丁寧に私の帽子の中に入れる。そして被る。よし!

「準備完了!」

 箒に跨がって、アリスの家へ向かった。



◇◇◇



 アリスの家の前へ着いた。
 ここまでは良かったが、いざとなったら勇気が出ない。

「ぅう~頑張れ私! よし!」
「人の家の前で何してんのよ」
「ひゃうっ!? あ、アリス!」

 アリスの家の扉をノックしようとした瞬間、背後からアリスに話しかけられた。
 驚きのあまり、おかしな声をあげてしまった。

「あ、アリス出掛けてたのか?」
「ええ、ちょっとね。魔理沙入る?」
「え、ああ」

 アリスと共に家に入る。
 いつもと同じ様に、木製のモダン的な椅子に腰掛ける。小さく軋む音が耳に響く。

「で、何の用?」

 テーブルを間に挟み、目の前にアリスが座る。

「その、何て言うかだなぁ……」
「何よ、気持ち悪い。ハッキリ言いなさいよ」
「本当にごめんアリス!」

 私はそのまま全てを謝った。謝る原因も話し、謝罪が遅れたことまで全てを話す。

「それで、これ……」
「これは?」
「私が直したんだ。当たり前だけれど、アリスみたいに上手くいかなかった」

 アリスは差し出した人形を手に取り、見つめる。

「下手ね」
「う……」
「荒いしなってない」
「うぅ……」
「でも、許す」
「ふぇ?」

 アリスのあまりにも簡単に出た許しに、耳を疑った。
 アリスがどれだけ人形を大切にしているか、知っていたからこそ、こんな簡単に許されるとは思って無かった。

「許すって言ったのよ」
「直ぐに謝りに来なかったんだぞ?」
「でも、謝りに来たじゃない。それに私は魔理沙が謝りに来るって信じてたし」
「へ? ってもしかして気付いてたのか?」
「当たり前でしょ。どれだけ私が人形を大切にしていると思っているのよ」

 ならアリスは、私を信じて謝りに来るのを待っていたのか。
 何だろう、謝る立場なのに嬉しい。
 アリスが私を信じてくれていたのが、嬉しい。

「まぁ、まさか直して来るとは思って無かったけど。だから直してくれてありがとう、魔理沙」

 私が謝る立場なのに、ありがとう、と言うアリス。
 優しすぎる、だろう。目頭が熱くなる。

「本当に、ごめん」
「もう良いわよ。ほら、紅茶」
「……ん」

 私はもう何も言えなかった。震える手で紅茶のカップを口に運ぶ。
 一口飲むと、口の中に心地良い味が広がった。
 窓から差し込む陽射しが、私には眩しすぎた。
 だから帽子を深く被る。そうさ、陽射しが眩しいから深く被るんだ。
 何も見えない、何も見せない様に。
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