絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

厄と花

厄の日、花の日SSでした。
ゆうひな(幽香と雛)です。



「ちわーっす! 鍵山でーす! 厄回収しに来ましたー!」

 珍しく私の家に誰かがやって来た。というか、本当に誰だ。何で新聞の集金に来ました、みたいな感じなんだろうか。
 開けなくて無視していれば良いかな。

「風見幽香さーん! 居るんでしょ? 入るわよ?」

 いやいや、鍵閉まってた筈。無視よ、無視。

「鍵山の鍵は~どんな鍵でも開ける鍵~♪」

 玄関から、ごとりと鈍い音がした。
 まさか……いや、ありえない。大体、相手は私を風見幽香と知っているようだし。最凶最悪と噂される私に、近付くやつなんて普通は居ない。
 まぁ、その噂はただの噂で、実際に私が誰かを潰してたり、暴れてる姿を目撃した者は居ない。当たり前だ。私はそんなことしてないのだから。
 つまり、噂だけが一人歩きしている状態。
 別に私は危険じゃあ無い。なのに、姿を見せただけで避けられる。少し、寂しい。

「どうも、鍵山雛よ」
「……誰?」

 いつの間にか、私のリビングにあるテーブルに座っている。

「ってテーブルの上はおかしいでしょ!?」
「あら、これ椅子かと思ったわ」

 どんな目してるのよ。私がジッと目を見つめると、彼女も見つめ返してくる。
 大きくて綺麗な瞳が、私を捉えている。

「あなた、どうやって入って来たのよ?」
「不用心ね、あなた」

 不用心?
 もしかして、鍵を開けっ放しだったのかしら。

「鍵穴に硫酸流したら開いたわよ?」
「は?」
「まったく……不用心ね」
「明らかに強硬突破じゃない!」
「眠いわぁ」

 私には関係無い、といった感じに欠伸をしているこいつ。一体何なんだ。

「あなたに言ってんだけど」
「え! 私? ごめんなさい、独り言かと」

 わざとらしく驚いた様子を浮かべる。え、本気で何なんだろうこいつ。喧嘩売っているのだろうか。

「喧嘩売ってるのかしら?」
「いくらで?」
「殺す」
「そんな言葉軽々しく使っていたら、弱く見えるわよ?」

 不敵に笑うこいつ。
 よほど力に自信があるのか。面白い。
 最近は私を見るだけで、みんな避けるから、身体が鈍っていたところ。そんなに自信があるなら、相手してもらおう。

「それじゃあ、やりましょうか」
「え? 何を?」
「何って、もちろん弾幕勝負よ」
「え、ちょ、ちょっと待って!?」

 両手をぱたぱたと上下に振って、慌てている。
 何を慌てているのか。挑発をしてきたのはそちらではないか。

「問答無用!」
「やぁっ!?」

 私はとりあえず、様子見。手加減レベルで殴りかかった。



 少女、戦闘中。



「……よわっ!?」
「きゅぅ~」

 いや、まさかこんな弱いなんて。
 目の前でボロボロになった鍵山雛とやらが、涙目で倒れている。

「待ってって言ったのに……」
「喧嘩を売ってきたのはあなたでしょう?」
「……そんなつもりじゃなかったわよ」

 あれで、そんなつもりじゃなかったのか。どんなお気楽な頭をしているのだろう。

「いや、そんな恨めしそうに睨まれても。というか、あなたその程度の実力で誰かを挑発なんてしないことね」
「あなたが強すぎるのよ!」

 あぁ、確かに私は力には自信あるわね。
 そうか、こいつが特別弱いわけじゃなくて、私が強すぎるのか。いや、でもかなり手加減したんだけど。

「手加減した筈よ。かなりね」
「ぅ……噂通り、あなたは凄く強いのね」
「噂?」
「そう。目が合ったら半殺しにされる。かなりの性悪などなど」

 あーやっぱりね。
 そういう噂か。
 というかこいつは、本人目の前にして言うなんて、また喧嘩売ってるとしか思えないのだが。

「それで? そんな嫌われ者の私に、一体何の用かしら?」
「あなただけが嫌われ者じゃないわ。私も、好かれる存在では無い」

 どこか、寂しそうに俯く。ん? 確かこいつ、鍵山雛って名乗ってたわね。
 もしかして、あの鍵山雛か。

「あなた、厄神の?」
「そう、厄神の鍵山雛。通称、雛っち」
「いや、聞いたこと無い」
「気軽に鍵山って呼んで良いわよ?」
「そこは雛っちじゃないのね」
「雛っちって何?」
「あなたが言ったんでしょうが!」

 傘を手に取り、腕を振りかぶる。
 さっきボコボコにやられた恐怖が蘇ったのか、怯えた表情で頭を押さえた。まるで、雷を怖がっている子どもみたいだ。

「いじめる?」

 潤んだ瞳で、そんなことを言われると、弱い者苛めをしているみたいで、嫌な気持ちになる。

「いじめないわよ」

 溜め息を吐いて、傘を投げ捨てる。
 やる気がすっかり削がれてしまった。

「いじめない?」
「いじめないって」
「本当に本当?」
「本当に本当よ」
「本当の本当に本当?」
「えぇいしつこい!」

 首を傾げながら、何度も訊いてくる。鬱陶しいわ。
 膝を抱え、丸まるような姿勢を取る雛は、どこか小動物みたいだった。

「で、その厄神様が何の用かしら?」
「あなたの厄を回収しに」
「なら、さっさと回収して帰りなさいな」
「いえ、あなたは特別なタイプなのよ」
「は?」
「友達居ないでしょう?」

 いきなり失礼なことを言う。
 本気で殴り飛ばしてやりたい。いや、確かに居ないけど。

「それがあなたの不幸! つまり私と友達になれば良いのよ!」
「だが断る。意味分からないわ」
「……え?」

 雛が物凄く悲しそうな表情になる。
 え、ちょ、何故だろう。
 まてよ、確か雛も好かれる存在では無いと言っていた。もしかして、さっきのは。

「あなた、友達が欲しいの?」
「な!? ち、違う!」

 顔を真っ赤にして慌てている。どうやら図星のようで。
 しかし、何故私なんだろうか。

「何故私なの? あなたが好かれない存在だとしても、他にそんなこと気にしない奴等が居るでしょう」

 赤くなったまま俯いて、うーうー唸っている雛に訊く。
 そう、気にしない奴等だっている筈。
 例えば、博麗霊夢。嫌がる表情を浮かべながらも、受け入れてくれるだろう。
 例えば、霧雨魔理沙。厄すらも、面白そうだと言って、笑いながら受け入れてくれそうだ。
 例えば、八雲紫。あいつは何を考えているか分からないやつだけど、なんだかんだでで面倒見が良い。

「私、ある新聞を読んだの。清く正しくholidayとか叫んでいる天狗の」

 あぁ、あの烏天狗か。確か射命丸文といったか。そして、holidayは言ってなかった気がする。まぁ、どうでも良いけど。

「その新聞に、友達居ないランキングが載っていて、あなたと私が同率一位だったの」

 よし、今度あったらあの烏天狗を捻り潰そう。

「それで、同じ寂しさを理解してくれるのは、あなたしかいないと思って!」

 まぁ、確かに寂しい時はある。
 分からないことは無い。
 だからといって、傷の舐め合いみたいな関係は御免だ。

「友達っていうのは、そんな動機でなるものじゃ無いと思うわ。それに、時間をかけて信頼関係を築きあげてから、初めて友達と言えるんじゃないかしら」
「そう、かもね……」

 悲しそうな表情を浮かべながら、ぽつりと言う雛。
 思い出してみると、悲しい表情ばっかりをさせてしまっている気がする。
 だけど、同情みたいなものから友達になるなんてのはおかしいと思うから。
 心の中で、ごめんねと謝る。

「なら!」
「ん?」
「それなら、これから互いに知り合っていけば……友達になれるかしら?」

 これから、か。
 なるほど、確かに知り合っていって、互いを好きになれたら、信頼関係が築けたのなら、それは立派な友達だ。

「そう、ね。なれるかもね」
「な、ななら! 改めて、鍵山雛です」

 雛が顔を赤くして、勢い良くお辞儀をした。
 こういうことに慣れていないのだろう。そんな様子が可愛らしくて、思わず小さく笑ってしまう。

「風見幽香よ、よろしく」

 私がそう言って、手を差し出す。
 すると、雛は今日初めての笑顔を見せてくれた。
 太陽みたいに、明るくて眩しすぎる笑顔。

「よ、よろしく!」

 そう言って私の手を握った。
 雛と私が、果たして友達になれるのか分からない。けれども、上手くやっていける気がする。仲良くなれる気がする。
 雛は、未だに私の手を嬉しそうに握ったまま、離さなかった。







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コメント

お久しぶりでございますwメッセのほうに登録されて、こちらに招待メールまで送ってくださったのにもかかわらず、私用により放置しておりました。大変申し訳ないです。
リクをとっていただと・・・!うぁあ、見つけるのが遅すぎた。orz
話すこともない気がしますが、夜にはメッセのほうにインしているかも・・・しれないので、そうだったら気軽に声をかけてくださいませ。SSについて語れといわれたら、そりゃあもう喜び勇んで語りますww
それでは長文失礼しました。
2009-08-11 Tue 15:33 | URL | あか。 [ 編集 ]
お久し振りですw!
また勝手に心配してました。
メッセ以外にも連絡手段の一つとしてサイト内にチャットも設置してみました。リンクの『あめだまチャット』から行けます。お気軽にどうぞw
メッセ、了解しました。比較的、携帯からの参加になりますので長時間参加は厳しいですが……と、とりあえず挨拶くらいはしたいと思いますw!
2009-08-11 Tue 16:08 | URL | 喉飴 [ 編集 ]

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