絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

頑張れ小さな女の子~5.初めてのお使い。後編

『頑張れ小さな女の子』5話。この前編後編では妹紅や輝夜が登場しました。






「んっ……」
「あら、目が覚めた?」

 ルーミアが目を覚ました直後、視界に入ってきたものは見たことの無い天井だった。周りを見ると、ルーミアには理解出来ないような物が大量にある。
 そして部屋中に何か独特な匂いが漂っていた。その匂いに慣れていないルーミアは顔を少ししかめる。

「あぁ、薬品の匂いよ。慣れてない子にはちょっとキツいかしらね」
「……お姉さん、誰?」

 先程からルーミアに話し掛けてくる人物は、ルーミアに対してクスッと柔らかい笑みを浮かべる。
 銀色の長髪に、特徴的な帽子、綺麗という言葉が当て嵌まるタイプの女性だ。

「私の名前は八意永琳。うちのお姫様が迷惑をかけたようでごめんなさいね」

 八意永琳、ルーミアが傷薬を貰いに行く相手だ。
 ルーミアは今までの経緯を思い出した。
 突然輝夜の弾幕に巻き込まれ、頭部に被弾して気絶したことを。

「そうだ! 麦藁帽子は!?」

 頭部ということは、被っていた麦藁帽子に被弾したということだ。
 ルーミアはそれに気付き、周りを見渡す。

「はい、これね。少し傷は付いてるけれど、壊れては無いわ」

 永琳がルーミアに麦藁帽子を渡す。
 麦藁帽子は、少しだけ傷付いてはいたが、被るのに問題は無い程度だ。
 ルーミアはそれを受け取り、被る。
 ちょっと傷が付いたのは悲しいけれど、壊れてないだけ良かったとルーミアは思った。

「妹紅から話は聞いたわ。お使いで傷薬を貰いに来たそうね?」
「うん!」
「はいこれ。姫が迷惑をかけたからお代はいらないわ」

 眼を細めて柔らかい笑みを浮かべながら、ルーミアに傷薬を渡す永琳。
 ルーミアはそれを受け取る。

「それと帰る前にちょっと来て欲しいのだけれどいいかしら?」
「んー? 何処へ?」
「お姫様のお部屋よ」



◇◇◇



 畳の上品な匂いが漂う。障子や掛軸などが目に入る。まさに和という言葉が似合う部屋だった。

「えと、ルーミアだっけ?」

 輝夜が部屋の真ん中に座っていた。そしてルーミアに話し掛ける。

「うん。そうよ」

 ルーミアはそれに答えた。

「私は蓬莱山輝夜。ルーミア、ごめんなさいね。巻き込んでしまって」

 永琳がルーミアを輝夜の部屋に連れてきたのは、輝夜自身が謝罪をしたいと申し出たからだ。
 いつの間にやら永琳は消えていた。気をきかせて二人きりにさせたのだろう。

「お、ルーミア目を覚ましてたのか」

 障子を開いて妹紅が入ってきた。妹紅はルーミアが目覚めるまで待っていたのだ。

「ちゃんと謝ったのか輝夜?」
「失礼ね。今謝ったわよ」
「許してくれたか?」
「まだ……だけど」

 妹紅は、ついっとそっぽを向く輝夜の頬を引っ張る。

「ちょっと! 痛い痛い!?」
「ルーミア、こんなやつ許す必要は無いぞ」
「な!?」

 柔らかい輝夜の頬を引っ張るのを止めないで続ける。妹紅は意地悪な笑みを浮かべていた。

「むしろルーミアも一発当ててやれ」
「離しなさい妹紅!」
「ルーミアが許したらな」
「ルーミアが許すのとあなたが引っ張ってる関連性は?」
「特に無い」
「なら離しなさい!」

 輝夜と妹紅のやりとりを見ていたルーミアは、

「っく、あはははは!」

 笑った。無邪気に声を上げながら。
 突然ルーミアが笑い出したことに妹紅と輝夜は驚いた表情を浮かべている。妹紅か輝夜の頬を引っ張る手を思わず止めていた程だ。

「ははっ。いいよ、別にそんなに怒ってないから」

 しばらくぽかんとしていた輝夜が妹紅の手を払う。

「ほら見なさい! ルーミアは許すって」
「くっ! ルーミア、素直すぎるのは損するぞ!」
「あはは、二人とも仲良いね」

 ルーミアの何気無いその一言に、

「は?」
「え?」

 輝夜と妹紅は、ぴたりと止まった。そして、

「ルーミア、永琳に眼を見てもらうと良いわ。無料にしとくから」
「あぁ、私もそう思うよ」

 と真剣な表情で言ってきた。
 それがルーミアにはおかしくて、小さく笑う。

「おかしいね。私、眼は凄く良いんだけど」

 ルーミアは笑顔で言った。
 ルーミアには純粋に二人のやりとりが楽しそうに見えたのだ。
 少しだけ、羨ましく感じるくらいに。

「ちょっと……妹紅、なんなのよこの色々な意味で厄介な子。純粋すぎて扱い難いわ」
「知るか……」

 輝夜と妹紅は小さな声でぶつぶつ言っている。
 ルーミアには聞こえないため、ルーミアは首を傾げて疑問符を浮かべていた。
 その仕草は幼い外見と相俟って可愛らしい。

「まぁ良いわ。ルーミア、晩ご飯食べてく? お詫びの意味も込めてご馳走するわ」
「え?」

 ルーミアが障子を開け、外を見ると、陽が沈みかかっていた。

「妹紅も食べてく? 人参だけ」
「いるかっ!」
「そう。ならルーミアだけね。妹紅はさっさと帰りなさいな」
「言われなくてももう帰る」

 妹紅が輝夜に背を向けて去ろうとする。

「あ、私も帰る! 妹紅、帰り案内して」

 ルーミアがそれに続いて背を向けた。

「あら、食べていかないの?」
「うん、待ってくれてる……かもしれない人がいるから」

 ルーミアのへらっとした笑顔に輝夜は柔らかい笑みを浮かべる。

「そう……分かったわ。妹紅案内してやりなさい」
「ふん、言われなくてもするさ」
「ルーミア、いつでも来なさい。まだお詫びをしていないしね」
「うん! 分かった!」

 輝夜の言葉に、振り返り笑顔を浮かべて返事をしたルーミアは、本当に、純粋だった。
 そして妹紅もルーミアも居なくなった部屋で、輝夜は考えていた。
 あんな純粋さを見たのは久し振りだった、自分が永い時を過ごしている中で忘れ去っていた何かを、思い出した気がした、と。

「はぁ……」

 輝夜は深い溜め息を吐いた。
 輝夜自身、溜め息を吐いた理由は分からない。
 ただ、そんな気分になったからだ。
 そして輝夜は、部屋を出た。



◇◇◇



「忘れ物は無いな?」
「当たり前よ!」
「よし、なら行くか」

 永遠亭からルーミアと妹紅が出発しようとするその瞬間、

「ルーミア!」

 輝夜が走って来た。急いで来たため、息は絶え絶えで、美しい黒の長髪は乱れていた。
 妹紅もルーミアも驚いた様子だ。

「どうしたんだ輝夜?」
「えと、その……絶対にまた来なさい!」
「え、うん」
「それと妹紅! その、次は客人としてちゃんと迎えるわ……」
「は?」
「話は終わり! さぁ帰りなさい!」

 一方的に話し始めたと思ったら、突然真っ赤になって必死に帰れと言う輝夜に対して、ルーミアも妹紅もついていけてない。

「痛っ! 叩くな叩くな! 帰るから!」

 妹紅がルーミアの手を引き、永遠亭から出て行った。
 ルーミアがきっかけで、輝夜は何かが変わったかもしれない。
 ほんの少しの変化かもしれないけれど、それは多分良い変化。



◇◇◇



 またな、と言われ無事案内してくれた妹紅と別れた。
 ルーミアも、またね、と言った。
 空は黒に染まり、星だけが灯の役割を果たす時刻になっている。
 闇を纏わなくても、麦藁帽子を被らなくてもいい空だが、ルーミアは麦藁帽子を被ったままでいた。

「あ、霊夢!」

 境内に入ると、賽銭箱の前に霊夢が立って居た。ルーミアを待っていたのだろう。

「あ、やっと帰って来たわね」
「うん、ただいま!」
「おかえりなさい。で、お使いは?」
「ん!」

 傷薬を誇らしげに差し出すルーミア。

「よくできました」
「えへ~」

 霊夢は、麦藁帽子を取り、おどけた口調でルーミアの頭を撫でる。
 ルーミアも、おどけた霊夢に合わせた。
 しばらくして、二人同時に笑う。

「よし! ルーミア、お疲れ様。それじゃあ」
「ご飯!」
「食べましょう!」

 二人ともお腹を可愛らしく鳴らして、それをまた笑う。
 そんな二人を、満天の空が照らしている。
 星の光は優しさを帯びて、二人を包んでいた。
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