絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

小悪魔の休日

5000HITリクエストSS第一弾。小悪魔とパチュリーの甘い話です。電光石火轟龍さん
リクエストでしたー。……あんまり甘くないかもです。すみません。




「小悪魔、あなた少しは休んでみたら?」
「……はい?」

 パチュリーの記した魔法研究書を、せっせと分類、そして保管をしていた小悪魔にそんな言葉がかけられた。

「何故ですか?」
「あなたにちゃんとした休みというものを、与えたことが無かったから」
「別にいりませんけど」
「労働基準幻想法に反するわ」
「だとしても、凄く今さらですね」
「私を訴える?」
「まさか、ありえません」

 そんなことはありえない、と当たり前のように言う。
 確かに小悪魔だろうと疲労は感じる。だが、やわではない。例え毎日ほぼ一日を働いたとしても、疲労困憊にはなるが、倒れたりはしない。
 そして、紅魔館内でほぼ一日働くことなんて、滅多に無い。パチュリーのために紅茶を淹れたり、実験に付き合って爆発させられたり、本の整理をするくらいだ。
 もっとも、本の整理は小悪魔のように慣れた者で無ければ、一日を費やすかもしれないが。

「ま、良いからたまには休んでおきなさい」
「はぁ……そこまで言うなら」

 こうして、小悪魔にとって初めての休日が始まった。



 小悪魔の休日:AM7時。



「ん~! 良い天気!」

 大きく伸びをして、太陽の光をさんさんと浴びる。
 小悪魔は今、紅魔館の裏庭に来ていた。
 美鈴が手入れをしている花壇は、どれも綺麗に咲いていた。
 ふと空を見上げれば、いつもの図書館とは正反対の明るさ。

「んっ! 眩しい」

 眩しさに、手のひらで目を軽く覆う。

「久し振りにあれをやろう」

 ラジオを持ってきて、スイッチを押す。

『ラジオ絶望第2ー!』

 音声が流れる。
 小悪魔がまだ幼い時、悪魔の世界で毎朝させられた健康体操だった。

『両手のひらで顔を覆いながら、頭を激しく動かし、叫び声を上げる発狂の体操~』

 小悪魔は懐かしそうに、その体操を行う。

「うわぁぁぁ! ひっ!? きゃぅあああ!?」
『いっちに、さんし♪』

 発狂の体操をする時は、近所迷惑にならないように気をつけることが重要だ。

『続いて、両手両足を小刻みに震わせながら、絶望に満ちた表情で相手に命乞いをする運動ー』

「ま、待ってください! あ、わ、私お金ならあるんです! だ、だから命だけは。あ、あいつがやれっていったから! お、お願いです!」

 朝の清々しいラジオ絶望の時間は、まだまだ続く。



 小悪魔の休日:AM11時。



「んー……暇です」

 特に行きたいところがあるわけではない。
 何かしようかと考えても、頭に浮かぶのはパチュリーのことだけだった。

「……心配だなぁ。ちょっと見てみるくらいなら」

 パチュリーには休めと言われたが、気になってしまうものはしょうがない。
 小悪魔は、こっそりと図書館へと戻る。

「いたいた」

 暗い中、アルコールランプだけを頼りに本を読んでいる。

「あぁ、もう! 目が悪くなりますよ、っていつも言ってるのに……」

 注意したいけど、出てくわけにはいかない小悪魔は、頭を抱えて唸っている。

「あぁ、注意したい! けど、出て行くわけには……う~う~」
「読書中に唸られると集中出来ないのだけど」
「ひゃうんっ! パチュリー様!? 何故!?」
「あれだけ背後でぶつぶつ呟かれれば気付くわよ」

 呆れ顔のパチュリーが、小悪魔に言った。
 小悪魔からすれば、いきなり目の前にパチュリーが現れて驚きしか無い。わたわたと両手を慌ただしく動かして、言い訳を探している。

「私は休めと言った筈」
「いや、えと、忘れ物を取りに!」
「…………そ、ならさっさと取って行きなさい」
「は、はいっ!」

 明らかに疑いの目で見られたが、なんとかやり過ごすことが出来た。
 小悪魔は慌てて図書館から飛び出した。



 小悪魔の休日:PM3時。



「ふへぇ」

 草原に寝転がり情けない声を上げて、空を見上げる。
 小悪魔の頭に思い浮かぶのは、パチュリーばかりだった。

「うぅ……」

 どうにも落ち着かないのだ。
 最初はこの気持ち、パチュリーを心配しているからだと思っていた。だけど、パチュリーはそこまで頼りない存在では無い。本の整理以外なら、何でも自分でこなしているだろう。
 それを分かっているからこそ、小悪魔は今の気持ちが分からなかった。

「心配なわけでは無い。なら、どうして……」

 何故こんなにも気になるのか。
 小悪魔は目を瞑って、考えてみる。
 思い浮かぶのは、やはりパチュリーのことばかり。
 小悪魔とパチュリーは、今までずっと一緒だった。出会ってから色々あったけれども、今は互いに信頼し、支え合うような関係だ。
 必要な、存在なのである。

「いつの間にか、空気みたいになってたのかな」

 側に居るのが当たり前。そして、居なければ苦しくなる。それは寂しいからか、違和感からか、小悪魔には分からない。
 ただ、分かったのは、パチュリーが居てくれないと、駄目だということ。

「やっぱり戻ろう」

 小悪魔は立ち上がって、紅魔館へ、図書館へと戻る。
 まだ、何故こんな気持ちになるのか、完璧には理解していないけれど、それでも良かった。とにかく今は、パチュリーに会いたくて仕方無いのだ。
 急いで、向かった。



 小悪魔の休日:PM5時。



 そっと図書館の扉を開く。
 奥へと進むと、そこにはパチュリーが居た。変わらずに、黙々と本を読んでいる。
 小悪魔は、そっと近付き――

「うわっ!」
「ふわぁ!?」

 大声で驚かした。
 普段は聞けないような、可愛らしい声を上げて身体を震わすパチュリー。小悪魔の悪戯は成功だ。
 パチュリーがすぐ振り向き、睨む。

「小悪魔、私は休みを出した筈よ?」
「えぇ、いただきましたね」
「なら、早くここから……」
「意味ありません」
「は?」
「私一人の休みなんて、意味ナッシングです! 私が休むならパチュリー様も一緒。二人一緒じゃなきゃ嫌です」
「意味が分からないわ」
「……寂しいんですよ」

 勢いで喋っていた小悪魔が、急に呟くような口調に変わった。

「パチュリー様が側に居ないと落ち着かないんです。離れていると、苦しいんです」
「えーと……小悪魔?」

 受け取り方によっては色々と変わる言葉に、パチュリーは戸惑う。
 そんなパチュリーに気付かず、小悪魔は続ける。

「それに休みをもらったからと言って、何故ここを出て行く必要があるのでしょうか。一日フリーと言うならば、私はずっとパチュリー様の側に居たいです」
「え、と……」
「ダメ、でしょうか?」

 不安そうな瞳が、パチュリーを捉える。
 小悪魔がここまでこんな感情を表すことは、珍しかった。
 いつもは、悪戯っぽく笑ったり、明るさを帯びた雰囲気が、今はすっかり落ち込んでしまっているように見えた。
 中々返事を返さないパチュリーに、小悪魔の瞳が潤む。

「あぁもう! 分かったから!」

 さすがにこれには焦ったパチュリーが、そう言った。

「迷惑では……ないですか?」
「あのねぇ……」

 未だに不安そうな表情を浮かべる小悪魔の額を、パチュリーは軽く小突く。

「あなたが居て迷惑だったことは、一度も無い。私だって小悪魔が居てくれて、助かっているし嬉しいのよ」
「本当ですか?」
「しつこい」

 慣れないことを言ったせいか、少し頬が赤いパチュリー。
 小悪魔は、その言葉を聞いて、みるみるうちに明るい表情へと変わる。

「パチュリー様ぁ!」
「ちょ!?」

 勢い良く抱き付いた。
 突然の行動に、パチュリーはふらついて倒れてしまう。パチュリーが倒れても、小悪魔は抱き付いたまま離れない。
 パチュリーが文句を言おうと、小悪魔を見る。

「えへへ~パチュリー様」

 満面の笑みだった。
 叱るに叱れない。

「はぁ……随分と甘えん坊な悪魔ね」
「えへへ~」

 溜め息を吐きながら、小悪魔の髪をそっと撫でる。
 互いに密着した身体から伝わる心音が、心地良かった。
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