絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

頑張れ小さな女の子~4.初めてのお使い。前編

『頑張れ小さな女の子』4話。霊夢の出番が少ない回です。




「霊夢~?」

 博麗神社を訪れると、そこに居るはずの人物が居なかった。

「神社留守にしてて大丈夫なのかしら?」

 とりあえずは、いつもどおり縁側までフラフラと闇を纏いながら行き、陽射しのあたらない場所まで来たら、それを解く。
 闇を解くと、見た目幼い女の子が現れた。リボン(本当はお札である)と両腕を広げたポーズが特徴的な少女、ルーミアだ。

「どうしよう……」


 ルーミアはとりあえず、霊夢が帰って来るのを待つことにした。
 仰向けに寝転がる。

「まぁまだそんなにお腹減ってないから待つのも良いけどね~」

 ん~、と体を伸ばして、大の字になる。
 目を閉じると、木々が揺れる音、柔らかい風、小鳥の囀り。なんとも言えない素晴らしい環境がそこにはあった。
 霊夢がいつも縁側でお茶を飲んでいるのは、こういうのを感じているからなのかもしれない、とルーミアは思った。

「わはぁっ!?」

 突然、ルーミアの顔を何かが覆った。
 慌てて目を開くが、視界は黒に染まっていて、何が起きたのか理解できなかった。

「なになに!?」
「気持ちよさそーに寝てんの見たら何か苛めたくなったから」

 霊夢の声がする。

「前が見えない~霊夢助けて」

 霊夢は、ジタバタ暴れるルーミアの顔から、覆っていた物を取る。
 ルーミアの世界に色が戻った。

「もうっ! 一体何するのよ!」
「怒るな怒るな。ほらこれ、あげる」
「わっ!」

 立ち上がって非難の声を上げるルーミアの頭に、さっきまでルーミアの顔を覆っていた物を被せる。それは――

「何これ?」
「麦藁帽子」

 麦藁帽子だった。
 ごく普通の一般的なデザイン。
 ただ少し大きめで、ルーミアが被ると言うよりは、ルーミアが覆われていた。

「何で私に?」
「あんた日光苦手なんでしょ? これなら平気かなって。闇を纏うよりも視界が良いだろうし」

 確かに麦藁帽子なら日光を遮りつつも、目の前が見える。自分から上を向いて日光を見ようと馬鹿な真似さえしなければ。

「それにこれなら外で仕事も出来るでしょう?」
「そうだけど……でも」
「んー何よ? もしかして嫌だった?」
「ううん! そんなことない! ただ、こういうの貰ったりするの初めてだから……その……本当に貰っていいの?」

 ルーミアは人から物を貰ったりするのが初めてだった。
 だから霊夢から麦藁帽子を貰ったが、どう反応していいか分からなくなっている。
 それを察した霊夢は、麦藁帽子を被ったルーミアの頭に手をポンと置き、

「私がわざわざあんたのために買ってきてやったんだから、あんたは受け取ればいいの」

 と言った。

「でも……」
「あんたはそれを被って、より働いてくれれば良いの。分かった?」
「……うん。あ、霊夢、その」
「何よ? まだ納得できないの?」
「違くて、その、ありがとう!」

 少し顔を赤くして言うルーミアに、霊夢は最初きょとんとしたが、すぐに優しい笑みを浮かべて、

「どういたしまして」

 とだけ言った。



◇◇◇



「では、今日の仕事を言い渡ーす!」
「おー!」

 朝ご飯を食した後、ルーミアは麦藁帽子を被った状態で外に居た。霊夢が目の前で腕を組んでいる。
 霊夢もルーミアも微妙にふざけた口調なのはわざとだろう。

「傷薬が先日切らしちゃったから永遠亭へ貰いに行って欲しいのよ」
「おー!」
「本当は私が行ければ良いんだけれど、一日に何度も神社を留守にするのもいけないから」
「おー!」
「永遠亭は分かり辛い場所だから、まずは人里から離れた場所にある妹紅ってやつの家を訪ねなさい。案内してくれるわ」
「おー!」
「理解した?」
「おー!」
「……私の名前は?」
「おー!」

 数秒の沈黙。そして、

「おらぁっ!」
「痛い!?」

 麦藁帽子ごと頭を殴った。

「冗談よ~」
「あんただと冗談に見えないのよ」

 へらっと笑うルーミアに霊夢は言う。

「ま、最後に確認。知らない人には?」
「ついてかない!」
「一人でも?」
「大丈夫!」
「永遠亭で貰ってくるのは?」
「妹紅って人!」

 スパーンと軽い音を立てて霊夢が殴る。

「妹紅貰ってどうすんのよ!」
「冗談よ~」
「だからあんただと冗談に見えないのよ」

 溜め息を吐く霊夢。不安はやはり拭えない。
 ルーミアは、にぱっと笑顔を浮かべている。麦藁帽子を被っているせいか、本当にただの少女にしか見えない。

「それじゃあ行ってくるよ」
「気をつけて行きなさいよ」
「うん!」

 ルーミアの遠ざかる背中を見ながら霊夢は、

「無事に着くかしら……不安しかないわ」

 小さく呟いた。



◇◇◇



 妹紅の家は案外すぐ見つかった。
 人里から離れた場所に、ぽつんと庵があったから。恐らくはそれだろう。

「妹紅さーん!」

 ルーミアは、とりあえず大声で呼んでみることにした。しかし、何の反応も無い。

「妹紅さーん! もこもこもこもこもこもこもこもこもこもこさーん!」
「えぇい! うっさいわ!」

 ルーミアは霊夢から教えられた、もこもこ叫んでいれば出てくるということを実行した。
 ただし、怒った様子の妹紅が出てきた。
 モンペと頭につけた紅い大きなリボンが特徴的な人物。ルーミアが霊夢に教えられた人物と一致していた。

「妹紅さん?」
「あぁ、私は確かに妹紅だ」
「永遠亭に連れてって?」

 突然呼び出され、永遠亭に連れてけと言う。妹紅としては何なんだこいつは、と言った感じだ。

「あのなぁ、まずお前は誰なんだ」
「ルーミアよ」
「……あぁそう。で、ルーミアとやらは何で永遠亭に行きたいんだ?」
「霊夢のお使い! 傷薬を貰いに行く!」
「あの巫女の?」

 霊夢の名前を聞いた妹紅はピクッと反応した。かつて妹紅をボロボロにした人物だから、かなり印象に残っていた。

「……分かった。案内しよう」
「ありがとう妹紅さん」
「妹紅でいい。さん付けは慣れない」

 ここで案内しないで後々あの巫女から文句つけられても困る、そんな気持ちで妹紅は溜め息を吐いた。

「何で溜め息吐いてるの?」
「いや……別に」
「迷惑だったら永遠亭の場所教えてくれるだけでも良いよ。そうしたら私一人でも大丈夫だし」
「お前良いヤツだなぁ。ま、でも案内はするさ。ついてきな」
「うん!」

 妹紅の後についてくルーミア。
 妹紅は、先程からの態度といい、そんな純粋なルーミアを見て不思議に思った。

「あの巫女との接点が全く分からない……」

 と小さく呟く。
 ルーミアが「どうしたの?」と訊いてきたが、妹紅は「何でもない」と返した。

「永遠亭はここさえ抜ければすぐさ」
「ふぇ~」

 見渡す限り竹林。迷いの竹林と言われるこの場所は、確かに案内がなければ迷うのは必至だろう。
 しばらく歩いていると、建物が見えてくるのが分かった。

「あれが永遠亭?」
「あぁ、そうだ。後は用件を言えば傷薬をくれるだろう。帰りは永遠亭のやつが案内してくれる」

 永遠亭前まで来ると、妹紅が説明をする。
 ルーミアは素直にそれを頷きながら頭に入れていた。

「それじゃあな」
「ありがとう妹紅」

 説明を終えた妹紅がその場から立ち去ろうとすると、

「先手必勝よ妹紅!」

 長い黒髪の着物を着た少女――蓬莱山輝夜が突然飛び出してきた。

「なっ!? 輝夜!」
「くらいなさい!」
「え? なになに?」

 輝夜が手始めに軽い弾幕を放つ。
 不意打ちとはいえ、簡単に避けられるであろう軽い弾幕。

「ふんっ」

 妹紅は軽く避ける。そして反撃のための弾幕を張ろうと構えるが――

「きゃぅ!?」
「え?」
「は?」

 ルーミアは避け切れず被弾してしまった。突然の事態に状況を飲み込めないルーミアは、突っ立っていただけで、輝夜の弾幕に巻き込まれてしまった。

「お、おいルーミア!?」
「きゅう……」

 運悪く頭部に被弾してしまったため、ルーミアは気絶していた。

「おいこら輝夜!」
「だって普通避けるでしょう!? あの程度なら! 大体一発被弾で気絶って何よ!?」
「知るか! 無防備だったんだろ! あ~もう喧嘩してる暇じゃない! 輝夜、運ぶの手伝え!」
「わ、分かったわ」

 頭部だから下手に衝撃を与えないように、二人で丁寧に運ぶ。
 こうしてルーミアは、無事ではないが永遠亭に到着した。
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