絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

ぐだら

さとりんこいしのお話。
思いついてから30分で書き上げました。
地味にお気に入りです。


「やっほ! お姉ちゃん、元気?」
「こいしは元気そうですね。私はだるい」

 こいしが久し振りに地霊殿へ訪れると、机に顎を乗せてだらけているさとりが居た。見てる方まで脱力しそうな、そんな状態のさとり。

「お姉ちゃん、せっかく可愛い妹が帰って来たんだからシャキッとしてよ」
「シャキッ」
「口だけじゃない」
「シャキシャキッ!」
「それも口だけじゃない」

 顎を乗せた状態のまま、口でシャキッと言う。
 あまりのだらけっぷりに、こいしは額に手をあてて溜め息を吐いた。

「もう~だらけすぎ。そうだ、おくうは?」
「あまりにも暑いので、閉じ込めておいたわ」
「何してるの!?」
「いや、だって暑いのよ? 年中涼しい地底が、こんなにも暑いのだから」
「夏バテ?」
「さぁ?」

 さとりの言う通り、暑い。しかも中途半端な暑さ。雨が降っているときのような、じめじめとしたいやらしい暑さなのだ。
 こいしも暑いのか、服をぱたぱたとさせている。

「そうだ、お燐は?」
「閉じ込めました」
「だから何で!?」
「おくうだけ閉じ込めては、寂しいだろうと思ったので。一緒の部屋に閉じ込めてるわ。これで寂しく無いでしょう」
「うわぁ……」
「こいし、お願い」
「何?」

 さとりがお願いをするなんてことは珍しい。
 一体どんなお願いなんだろうかと、こいしは首を傾げる。

「麦茶を入れて」
「自分で入れなさい」

 即、突き放した。
 甘やかしてはいけないと思ったからだ。
 こいしは、このままでは姉が駄目になる。ぐーたら的な意味で。と思い、心を鬼にしてお願いを却下した。

「お願い、こいし」
「だぁーめっ!」
「お願い……お姉ちゃん、干からびちゃうわ」
「それくらいで干からびないよ」
「実はもう五日間、何も飲んで無いの」
「その横に置いてある水差しは何?」
「水差しよ」
「それは分かってるよ」

 全く動く気配の無いさとりに、また溜め息を吐くこいし。

「夏は、弱いのよ」
「うん、知ってる。お姉ちゃんのことだもの」
「夏に麦茶は欠かせないでしょう?」
「身体の芯まで染み渡るように感じるもんね」
「だから、麦茶を」
「だぁーめっ!」
「こいし、私が知らない間にいじわるになったわね」
「お姉ちゃんのためを思って言ってるの。ぐーたらしてたら太るよ?」
「痩せすぎな方ですから」
「身体が鈍るよ?」
「地霊殿から出る気無いです」
「むぅ~いい加減にして! ほら、立って!」
「やー」

 さとりの後ろに回り込んで、両脇に腕を入れ、無理矢理立たせる。
 こいしが思っていたよりも、ずっと小さな身体だった。幼い頃の記憶では、こいしよりも大きかった筈のさとりの身体を、こいしはいつの間にか抜かしていた。

「お姉ちゃん、小さいね」
「こいしが大きくなったのよ」
「胸も私より小さい」
「言わないで、ヘコむから」

 脱力していた身体が、ヘコんだことにより、さらに脱力した。
 それでもこいしは軽々と支える。

「ほら、麦茶まであと少しだから」
「こんな引っ張るくらいなら、こいしが持ってきてくれれば良いのに」
「そういうこと言わない」
「こいし」
「何?」
「力、強くなったわね」
「……うん」
「いつの間にか、私を超えちゃってて……お姉ちゃんはびっくりよ」
「……今の私と昔の私、どっちが好き?」
「両方。過去も現在も未来も関係無い。こいしという、たった一人の妹を大切に想うだけ」
「そっか……」

 それ以上、言葉を紡ぐことは無かった。
 ただずるずると、さとりを引きずるこいし。
 さとりの踵が床を伝う。
 相変わらず、さとりは脱力しきっていた。目を瞑って、ただ引きずられている。

「はい、麦茶の前に到着!」
「麦茶!」

 その瞬間、脱力していたさとりの身体に力が込められた。
 硝子のコップを二つ、用意してテーブルの上に並べる。
 それに、麦茶を入れる。なみなみと注いだ。

「お姉ちゃん、零れるよ?」
「はい、こいし。こいしには特別に氷も入れてあげます」
「わ!? だからこぼれるって!」
「あー美味しい。生き返るわ」
「もう、仕方無いなぁ」

 ギリギリまで注がれた表面張力状態の麦茶に、零さないよう唇だけを寄せて、ちょっとずつ吸って飲むこいし。ある程度減ったところで、普通に飲む。
 さとりは麦茶を飲んで元気が出たのか、目がさっきよりもしっかりと開いていた。

「こいし、生き返ったわ」
「それは良かったね」
「そして、今さらだけど一言良いかしら?」
「何?」
「おかえりなさい」
「うん、ただいま」

 なんとなく、さとりもこいしも笑った。





以下投稿時のあとがき。


『ぐだぐだだらだら』略して『ぐだら』です。そんなお話。
私もぐだら中。
暑いですねぇ。麦茶は良いです。喉だけでなく、心も潤してくれます。麦茶に改名したいくらい。
少しでも楽しんで下さったなら、嬉しいです。





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