絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

微妙な関係

久し振りの文と霊夢の組み合わせ。
書いてて楽しかったですー。



「月が……綺麗」

 博麗神社縁側に座り、夜空を見上げながら、そんなことをぽつりと呟く文。
 私は、そんな文を思わず殴った。

「痛い!」
「あんたの存在が?」
「違います! 何で殴るんですか!?」

 文がギャーギャーと私の目の前で喚く。
 ふと見上げた夜空は、どこまでも眩しくて、美しかった。

「ねぇ、文。月が綺麗よ」
「それさっき私が言いましたよね!?」
「いや、何かあんたがそんなこと言うなんて、珍しくて気持ち悪かったから」
「酷っ!」

 ぼんやりと、ただ夜空を見上げる。
 あぁ、何だろう。酔っ払ってしまったのかな。さっきまであんなに綺麗に見えた満天の星が、鈍く光る鉄屑をばら蒔いただけのように見える。
 ゆらりゆらりと、遠くから夜雀の歌が流れているのが聞こえた。

「どうしました、霊夢さん?」
「んー……ちょっと酔っ払っちゃったみたい」

 心配そうに文が見てくる。そんな目で見ないで欲しい。心配されるのは、好きじゃない。
 月は相変わらず綺麗だ。だけど、そんなまんまるお月様も歪んで見える。綺麗なのは分かるけど、ただ、歪んで見えた。
 本当にどうしたのだろう、私。

「ゴメン、私もう休むわ。他のみんなに伝えておいて」
「え?」
「何よ?」
「他のみんなって……今日は二人で飲む約束をしたじゃないですか。みんなは、居ませんよ」
「え……あれ? 宴会じゃ、無かったっけ?」
「ちょっと本当に大丈夫?」

 本格的に文が私を心配する。
 あれ、そうか。今日は文と二人で飲む約束してたんだっけ。
 あぁ、本当に何だろう。
 ゆらりゆらり、月。
 ふわふわとした感覚。

「大丈夫よ。ちょっと酔っ払っただけ」
「いや、私のせいかもしれません。最近霊夢さんが疲れているのを分かっていたのに……」

 文がしゅんとする。
 私が疲労しているのを知っていたのに、お酒を飲もうと誘ったことを申し訳無く思っているのか。
 別に気にしなくて良いのに。

「文、気にしないで。あんたのせいじゃないわよ」
「いえ、私のせいですよ! 私が、私が……霊夢さんのお酒に永琳さんから貰った新種の薬物を混ぜたから!」
「あんたのせいだ! くたばれ!」
「ぐほぇ!」

 全力で喉を突いてやった。
 文は変な声を上げた後、しゃがんだまま動かない。
 そんな文に私は、

「大丈夫?」

 と心配のあまりに蹴り続ける。
 蹴る度に、鈍い声を上げる文。あぁ、良かった生きてたみたい。安心のあまりに夢想封印を構えてしまう。

「ちょ!? さっきから言ってることと、やってることが違いますよ!」
「多分薬の効果じゃないかしら? あぁ、蹴るのがやめられないわ」
「そんな効果ありません! 永琳さん曰く、腕が七本に増える薬らしいです」
「あんた何危ないもの飲ませてるのよ!?」

 私の緩かった蹴りが、全力になる。
 流石の文も、痛い痛いと喚く。

「痛い痛い! 動物虐待だぁ!」
「私は天狗を虐待してるの」

 そう言って、私はお子様からお年寄りまで安心に滅することが出来る、簡易夢想封印を構える。
 この夢想封印は、従来の夢想封印よりも攻撃範囲が狭く、一部分を集中して狙える。ちなみに攻撃範囲が狭い分、威力は従来の数倍だ。

「むそーふーいん」
「何そのやる気の無い言い方!? って痛ぁぁぁ!?」

 文の脛に簡易夢想封印を放った。
 従来より数倍の威力が、文の脛だけを激しく襲っただろう。私はニヤリと笑う。

「くっ……ぉぁ」

 声にならない痛みだったのか、両脛を抱えるようにして縁側に丸まっている。

「生きてる?」
「なんとか……」
「よし、とどめを刺そう!」
「ちょ!? あなたそれでも人間ですか!? 情は無いのですか!?」
「情はあるわよ、失礼ね。ただ、あんたに対する情が無いだけよ」
「う、腕増えなかったんですからもう良いじゃないですか!」
「薬が成功してたらどうするつもりだったのよ?」
「え? そりゃあ勿論、スクープに……」

 私の投げた陰陽玉が、文の足の小指に直撃。
 小さく呻き声をあげている。

「反省した?」
「しました」
「本当に?」
「本当です」
「ごめんなさいは?」
「ごめんなちゃい」
「よし、くたばれ」
「嘘です! ジョークです! ほら、最近話題のあややややジョーク!」
「初耳すぎるわ!」

 何でこいつはちまちまふざけるのか。せっかく許してやろうかと思ったのに。思わず、針を投げ付けてしまうじゃないか。

「ひぃっ!? 危ないですよ!」
「まぁ、当てる気だったし。心臓に」
「即死!?」

 流石は幻想郷最速か。
 あの丸まった状態から、危険を察知したのか、私の針を避けた。

「文、今ならちゃんと謝れば、半殺しを八回で許してあげる」
「二回の時点で殺されてるじゃないですか!?」
「まぁまぁ、細かいことは気にしない」
「全然細かくありません!」
「はいはい、分かったから。とりあえず、謝るの? 謝らないの?」

 今謝ったら、まぁ許してやらないこともない。
 文は一瞬、外に目をやった。あぁ、こいつ逃げる気か。

「逃げるが勝ちです!」
「残念、負けよ」
「へ?」

 文が背を向けた瞬間、お札を投げ付けた。妖怪の自由を少しの間だけだが、奪う力を持つ。
 動けなくなって焦る文は、なんていうか可愛い。

「さぁ、お仕置の時間よ」
「あのー……今謝ったら許してくれたりは」
「ありえない」
「ですよねー」
「ねー」
「ねー?」
「ねー!」
「ねー!」
「ねー」
「ねー」
「はい、お仕置ターイム!」
「うわぁぁぁぁん!?」

 文をひょいと持ち上げて、部屋へと運ぶ。
 想像よりも遥かに華奢で、軽かった。





 少女お仕置中。





「うぅ……もうお嫁にいけません」
「誤解を招くようなことを言わない」

 私の隣りで、お仕置を受けた半裸の文がまた丸くなって泣いている。
 こうしてみると、烏天狗になんて全く見えない。

「これに懲りたら二度と薬を盛ろうなんて思わないことね」
「うぅ……」

 まだヘコんでいる文。
 少し、やりすぎただろうか。反省。
 どうしよう……あ、そうだ。

「文、翼出して」
「ふぇ?」
「出さなきゃ、さっきより過激なお仕置よ」
「ひゃあ!? わ、分かりました!」

 文は翼を出し入れ出来る。これはつい最近、文が教えてくれた。
 目の前に、漆黒の翼が現れる。大きくて、力強い印象。こういう姿を見て初めて、私たち人間と違うのがなんとなく感じられた。

「な、何する気ですか?」
「んー、お詫びかな」
「はい? にゃうっ!?」

 文の翼を、手で優しく梳く。ブラシにしようかと思ったけれど、人間の髪を梳くブラシが果たして良いのだろうかと思い、結局素手にした。
 柔らかくて、ふわふわしていて、温かい。

「んっ! くすぐった……ぁ、う」

 くすぐったいのか、身をよじる文。
 それでも私は、この手触りの虜になっていたようで、手を止めない。
 ぴくりと震える文が、可愛い。

「痒いとこは無い?」
「あり、ません」
「何で顔赤いのよ?」
「誰にも触られたこと無いので、その、くすぐったかったり恥ずかしいんですよ」

 こんなにおとなしい文は、初めてだ。
 私は、傷付けないように優しく梳く。たまに、爪が掠ってしまうのだが、その度に文が小さく声を上げる。そんなにくすぐったいのか。

「ふわぁ、はぅ……」
「眠いの?」
「う……」

 小さく頷く文。何だか、幼くなったみたいだ。
 目がポーッとしていて、眠そうなのが分かる。

「良いわよ、寝ちゃっても」
「んっ……」

 そう言うと、目を細めて穏やかな笑みを浮かべた。
 初めて見たその幼さを帯びた笑顔に少し、ドキッとしてしまう。
 しばらくすると、静かな寝息が聞こえてきた。
 もうしばらく触っていたかったが、横に寝かせてあげようと思い、布団の上に寝かせる。

「ふわぁ……私も寝よ」

 文の隣りに寄り添うように寝転がる。布団が狭いから、仕方無いのだ。
 目の前には、穏やかに眠る文の顔。

「おやすみ、文」
「んっ……」

 髪を撫でてみると、くすぐったそうに小さな声を発した。
 私はそんな文を小さく笑って、眠りについた。



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