絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

構って欲しくて

東方創想話投稿作品。
レミリアとパチュリー。


「パチェが冷たい」
「お亡くなりになられたのですか?」
「そういう意味の冷たい、じゃなくて」
「ということは……あぁ、態度がですか?」
「そうよ、態度」
「はぁ……そうなのですか?」
「えぇ、冷たいわ」

 紅い部屋。妙な威圧感を覚えるこのレミリアの部屋で、咲夜はティーカップに紅茶を注いでいた。
 そんな中、突然のレミリアの言葉に、咲夜はどう返してたら良いのか分からないといった感じだ。

「最近、フランとよく遊んでいる」
「そうですね」
「小悪魔とイチャついてる」
「あれは明らかに小悪魔からの一方通行ですが」
「美鈴の相談にも乗っている」
「よく知っていますね」
「なのに私が話しかけても、本ばっかり読んで目も合わせてくれない!」

 いきなり羽をパタパタとさせ、椅子から勢いよく立つ。その衝撃で座っていた椅子が粉々になったが、レミリアも咲夜も別に気にしない。

「咲夜! 私はどうすれば良い!?」
「私は交友というものが、よく分かりませんので……すみません。とりあえずはそんなにムシャムシャしないで、落ち着いた方が良いかと」
「ムシャクシャしてるのよ! ムシャムシャだと何か食べてるみたいじゃない!」
「ムシャムシャ」
「何食べてるのよ!?」
「パンです」
「……そう」
「はい」

 しばし無言。
 レミリアが落ち着くために紅茶を一口飲む。相変わらず、美味しい。咲夜は眉一つ動かさないで、凛とした様子で立っている。だけれど、口にはパンを入れながら。

「で、私はどうすれば良い?」
「先程もおっしゃいましたが、私には分かりません。ですが、そういう場合のアドバイスが載っている本を読んだことがあります」
「本か……よし、咲夜」
「分かりました。少々お待ちを」

 次の瞬間には、既に咲夜はレミリアの前から消えていた。時を止めて、本を取りに行ったのだろう。レミリアは、それが分かっているから、落ち着いて紅茶を口に運ぶ。

「お待たせ致しましたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「ハイテンションね。お前が本を取りに行く間に、何があったのか知りたいわ」
「こちらが、その本です」

 咲夜から『気になるあの子を引きつける・落とす千の方法~そして伝説へ』と書かれた一冊の本を受け取る。

「ご苦労。咲夜はもう今日一日フリーにしてて良い」
「はい。分かりました」

 視界から咲夜が一瞬で消えたのを確認し、レミリアは本を軽く捲る。
 目次を見てみる。

 1.2~50ページ『目次の見方説明』
 2.51~85ページ『目次の見方説明の説明』
 3.86~250ページ『引きつけ方法、落とす方法』
 4.251~252ページ『実践編』
 5.253~555ページ『成功後のしっぽりむふふ編』
 6.555~556ページ『著者、上白沢慧音、四季映姫、チルノの紹介』

「長いわねぇ……」

 とりあえずは引きつける方法を読むことにする。



 幼女読書中……



「こんなんで本当に大丈夫なのかしら……」

 約一時間で全て読み終え、暗記した。
 一抹の不安を抱えながらも、とりあえずはパチュリーの元へ向かうことにする。



「パチェー居る?」

 図書館内に響くレミリアの声。パチュリーが図書館から出ることはほとんど無いため、居ることは分かっているのだが、一応大声で尋ねる。

「喧しいよ、レミィ」
「出会って最初の言葉がそれ?」
「私は読書中なの」

 淡々とした口調で、目すら合わせない。レミリアは、この無愛想っぷりが好きでは無かった。パチュリーは平生こんな感じではあるが、それでも親友にそんな態度を取られるのは、気に入らない。
 だが、今回は作戦がある。あの本に書いてあった通りに行動すれば、パチュリーの無愛想を崩せるとレミリアは考える。

「ねぇ、パチェ」
「聞いて無かったの? 私は今忙しいのよ」

 作戦開始。

「うぅ……くっ」
「は?」

 レミリアが、突然倒れる。
 床に丸まり、呻く。

「ぱ、パチェ……苦しいの」
「珍しい。どうしたの?」
「胸が、苦しい……締め付けられる」
「呪いか何かをかけられたの? ちょっと待って、今確認してあげるわ」

 パチュリーが、読んでいた本を置いて、レミリアの様子をうかがおうとしゃがむ。

「呪いとかじゃないの」
「どういうこと? 原因が分かっているの?」

 レミリアの言葉に、首を傾げるパチュリー。

「えぇ、私の胸が苦しい原因はね……パチェ、あなたの瞳があまりにも美しいからよ!」

 顔を上げ、パチュリーの瞳をしっかりと見つめながら言った。
 無駄にカッコいい表情と、真剣な声で言った。
 白い歯を輝かせながら、言った。

「あまーい!」

 咲夜が一瞬現れて、そんな言葉を言った後、即消えた。

「レミィ……」
「パチェ……」

 パチュリーが穏やかな表情を浮かべながら――賢者の石をレミリアの額に投げた。

「痛い!」

 額にちょっとだけ刺さった。
 痛い痛いと言いながら、軽く抜く。傷口は既に塞がっていた。流石は吸血鬼といったところだろう。

「ちょっと! 痛いだろう、パチェ!」
「痛いのはレミィの言動。まったく、私の邪魔をしないで」

 作戦その1、『魔女の瞳に恋してる』失敗。


「くっ……失敗か。いや、でもまだ作戦はある」
「何だか良く分からないけれど、読書の邪魔だけはしないでね」

 パチュリーは溜め息を吐いて、再び椅子へと戻る。そして、読書を始めた。
 それを見て、レミリアは目を光らせた。

 作戦その2、開始。


「パチェ~」
「……何?」

 座っているパチュリーに、じわりじわりと笑顔で近寄る。
 少し、警戒しているパチュリー。

「つい最近発売したばかりのゲームをやりましょう」
「興味無いわ」
「あのドロワーズクエストの新作、ドロクエ9よ! ドロワの守り人、よ!」
「私は知識を得ることが幸せなの。邪魔をしないで、レミィ」

 頭に軽く手を置かれたレミリア。ちらりとパチュリーの目を見ると、見事に笑っていなかった。
 レミリアは友人だからこそ、パチュリーの恐ろしさを知っている。
 種族上弱点だらけの吸血鬼と、吸血鬼対処の知識と実力を備えた魔女。本気で勝負したら、互いにどうなるかは分からない。レミリアは、弱点を補うだけの力と能力もあるし、パチュリーは頭の回転が早い。
 まあ、親友同士の二人が本気で勝負することなど、普通は無いのだが。

「あまり邪魔をすると、怒るわよ?」
「ご、ごめん、パチェ。謝るから、その怖い目付きを止めてくれると嬉しい」
「はぁ……」

 わざとらしく盛大な溜め息を吐きながら、レミリアから離れた。
 レミリアは、数年振りくらいに冷や汗をかいた。博麗の巫女の異常さや、自称普通の魔法使いの火力より、親しい魔女の方が断然怖かったのだ。

 作戦その2、『子どもとの接し方が分からない不器用な親が取る手段』失敗。


「ま、まぁパチェはゲームに興味なんて無さそうだから。これは想定内ね」

 レミリアは決して挫けない。私、強い子。と自分に言い聞かせる。
 パチュリーの方へ向くが、やはり本を読んでいた。目を合わせてくれない。

「こうなったら、奥の手ね……」

 本に書いてあった方法の中で、一番強力な方法。これで駄目なら諦めろ、脈無しだ、アディオス。と書かれていたほどだ。つまり、この方法を失敗したら、レミリアにもう作戦は無くなってしまう。
 だが、レミリアには絶対成功する自信があった。何故なら、本に成功率99%と書いてあったから。

「いざ、出陣!」

 まずは気配を完全に消して、パチュリーの背後に回る。
 静かな図書館内に、パチュリーがページを捲る音だけが聞こえる。紙が擦れる音、そんな些細な音さえ、レミリアには喧しく聞こえた。
 気付かれないように、一歩、また一歩と近付く。
 緊張感で羽が勝手にぱたぱたしそうになるけれど、そこは我慢。
 そして、背後からパチュリーの両肩を力強く掴み、

「魅惑の甘噛み!」
「ひゃうんっ!?」

 耳たぶを甘噛みした。
 パチュリーは突然の刺激に、普通なら絶対出さないような声を上げて、椅子から転げ落ちた。
 レミリアは予想以上の効果に、驚いている。

 作戦その3、『身体は正直じゃないか』成功。


「れ、レミィ……ちょっとお話があるわ。大切なお話」

 目を妖しく光らせて、ゆらりゆらりと立ち上がるパチュリー。口元は歪んでいる。頬が少しだけ赤いのは、気のせいか。
 レミリアは初めて見るそんな友人の姿に、背筋がぞくりとした。吸血鬼の、いや、生き物としての本能が告げている。逃げろ、奴は危険だ、と。

「あ……あーごめんなさいパチェ。私、急用思い出した。フランと遊ぶ約束が……」
「妹様は今日、美鈴と遊ぶ約束をしていたわよ」

 逃げようと、パチュリーに背を向けた瞬間、周りを水柱が囲んでいた。

「パチェ~本が濡れちゃうわよ?」
「防水魔法を施してあるから、大丈夫よ」
「そ、そうなの? なら、安心ね。あ、あはは」
「うふふ」
「あはは」
「うふふ」
「あはは」
「うふふ、さよならレミィ」

 周りには水柱、背後から賢者の石大人用サイズを両手で持って、迫り来るパチュリー。

「ちょ、パチェ!? 賢者の石の使い方おかしいって! 痛い痛い!」

 賢者の石大人用サイズで殴られるレミリア。しゃがみガードでなんとか耐える。とは言っても、ちゃんと手加減はしてくれているのか、あまり痛くは無い。
 突然、攻撃が止まったかと思えば、パチュリーは溜め息を吐いてレミリアに手を差し出していた。
 しゃがみガードをやめて、その手を掴み立ち上がる。

「レミィ、本当にどうしたの? 疲れてるの?」
「何が?」
「明らかに今日のレミィはおかしい。言動が不自然。私の知っているレミリア・スカーレットは、そんなことしない」
「う……だってパチェが」
「私が原因なの?」
「パチェが構ってくれないから」

 不貞腐れたようにそんなことを言うレミリアを見て、パチュリーは一瞬きょとんとした後、すぐに笑い出した。

「そ、そんな子どもみたいな理由で……レミィが、くっ……」
「わ、笑うな! 友人に無視されたら、なんていうか……不快だろう」
「寂しい、の間違いじゃない?」
「違う!」

 レミリアは少し顔を赤くして怒る。それでもパチュリーは笑うのをやめない。
余計に不貞腐れた表情になるレミリア。

「大体、レミィってベタベタするようなことは好かないでしょう?」
「そりゃあそうだけど……せめてたまには、一緒に飲むの付き合ってくれないと……」
「寂しい、と」
「違う! あーもう! 友人なら一杯付き合ってよ」
「え、ちょっと、今から!?」

 パチュリーの手を引っ張って、無理矢理歩くレミリア。パチュリーは転ばないように、慌てて足を動かす。

「レミィ、まだお昼よ?」
「良いだろう、たまには。久し振りに二人で飲もう」
「何処で?」
「私の部屋で」
「拒否権は?」
「もちろん」
「無いわよね……」

 笑うレミリアに対して、わざとらしく溜め息を吐くパチュリー。

「ま、たまには良いか」
「そうこなくっちゃ! 朝まで飲むわよ」
「何時間飲む気よ……まだ読み終えていない本があるというのに」
「本より友人を取りなさい」
「はいはい、分かりましたー」
「む、感情がこもって無いわね」
「失礼ね。私なりの精一杯よ」

 二人、目が合って何となく笑い合った。クスッと小さく、笑った。
 そんなくだらないやりとりをしているうちに、レミリアの自室前まで着いた。
 扉を開き、中に入る。

「さぁ、飲もうか」
「えぇ、そうね」
「まだお酒の準備、してないけど」
「……戻る」
「待ってパチェ! すぐ持って来るから!」
「はいはい、私も一緒に取りに行くわ」
「お? 流石私の友人だね」
「馬鹿なこと言って無いで、ほら、行きましょう」

 二人並んで、また廊下へ出る。
 お酒を取りに行くまでの間、なんてことない会話をしながら歩く。
 その様子は、吸血鬼とか魔女とか関係無く、ただの楽しそうに会話する少女に見えた。







あとがき
この組み合わせが結構好きだったりしてます。
書けて満足。地味に気に入ってる作品です。

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