絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

さとられいむ

通りすがりさんリクエストSS、さとりと霊夢の絡みです。
ジャンルはほのぼのかな。



「こんにちは」
「珍しいわね」

 どこか面倒そうな目付きで、霊夢を見据えるのはさとり。
 さとりは地霊殿からこの地上へと、積極的に来るような性格では無いだろう。だからこそ、今博麗神社に居ることが珍しい。
 その目付き、気怠い表情は、仕方無いから訪れたというような感じだ。

「何の用かしら?」
「お燐を迎えに……だったのですが、入れ違いでしたか」
「む、心を読んだわね」
「すみませんが、これが私ですので。それでは……」
「ちょっと待ちなさいよ」

 踵を翻して、戻ろうとするさとりを呼び止める霊夢。しかし、さとりは無視して行こうとする。

「ちょっと、心読めてるのなら分かるでしょう? 私が言いたいこと」
「……だから聞こえないふりをして帰ろうとしたのですよ」

 やっぱりどこか面倒そうな表情で、霊夢の方へ向き直る。

「ほら、たまにはお茶でも飲んで行きなさいよ」
「私は暇ではありませんから。ん? 付き合い悪い、ですか……こういう性格ですから」
「ま、良いから飲んで行きなさいな」
「……逃げられそうにはありませんね」

 大きな溜め息を吐く。
 縁側に座っている霊夢が、空いている自分の横をぽんぽんと叩く。座れということだろう。
 さとりは、素直にそれに従いちょこんと横に座る。霊夢よりも、少し小さい身体。さとりは霊夢をちらりと見て、その事実に小さなショックを受け、また溜め息を吐く。

「何よ、人の方見て溜め息とか失礼じゃない?」
「いえ、ちょっと悔しくて」
「よく分からないけど、とりあえずお茶入れてくるわ」

 お茶を入れに立ち上がる霊夢。
 霊夢の姿が見えなくなった瞬間、さとりは立ち上がろうとしたが――

「さて、逃げますか……あれ?」

 身体が動かなかった。
 自由が効かない身体に、焦るさとり。
 座りながらもじもじと身体をよじる姿は、傍から見たらトイレでも我慢してるのかといったようだ。焦りのせいからか、額からは玉の様な汗が流れている。余計にトイレを我慢してるようにしか見えない。

「お待たせー……って何? トイレ我慢してるの?」
「違います! その、おかしな話ですが、身体が動かないんです」
「あぁ、背中に付けたお札ね」
「って貴女のせいですか!?」
「嘘だと思うなら心を読んでみなさい」
「そんなことで胸を張られても……って本当ですね。なるほど、逃げないようにするためですか」
「そういうこと」

 白い歯を見せて笑う霊夢に対して、さとりはただ溜め息を吐く。

「とりあえず、外して下さい。もう逃げませんから」
「本当に?」
「本当です。それにこれじゃあ、お茶が飲めません」
「飲ませてあげようか?」
「何の罰ゲームですか。絶対顔にかかるでしょう。というか心に出てますよ、顔にかけてやる、って」
「仕方無いわね、今回だけよ」
「今回だけって……次回からは飲まされるのですか。絶対に二度と来たくありませんね」

 お札を剥がされて、身体に自由が戻ったさとり。感覚を確かめるように、両手をわきわきと動かす。

「うわ、手つきがえっちぃわね」
「捻り潰しますよ?」
「やってみなさいよ」
「……やめておきます」

 溜め息を吐いて、お茶を啜る。

「もう、大分暑くなってきたわね」
「地霊殿に居る私には、あまり関係ありませんが」

 暑い陽射しが二人を照らす。眩しくて目を閉じても、光を感じる。それほどに、強くて暑い。

「暑いですね。地上は」
「地霊殿は寒いの?」
「比較的年中涼しいですよ。慣れてない人には寒く感じるでしょうけど」

 柔らかい風が髪を撫でる。
 くすぐったさに、少し目を瞑るさとり。

「で、何で私をお茶に誘ったのですか?」
「あら、分かってるでしょう? 心読めてるのなら」
「……そうですね。お燐ですか」
「そ、あいつが言ってたからね。さとり様は無愛想で淡々としてるけど、実は凄く可愛くて話してみると楽しいから仲良くしてね、って」
「か、帰ったらお燐にお仕置です」
「あれ? あんた顔が赤いけど、もしかして照れてる?」
「照れてません!」
「ぷにぷにー」
「ほ、頬をつつかないで下さい!」

 意地悪な表情で頬をつつく霊夢を、顔を赤くしながら軽く手で払いのける。

「あ、あとお燐が言ってたんだけど」
「はい? ……って嫌な予感を受信しました」
「受信って……まぁ、良いからさ、ちょっとそこ動かないで」
「嫌です。というか、やめて下さい」
「あ、心読んだわね?」
「読めちゃうものは仕方無いのです」

 座ったまま、じりじりと後ろへ下がるさとり。
 ニヤニヤとしたまま、じわりじわりと距離を詰める霊夢。

「やめて下さい。本気で。お燐が言ったことは嘘っぱちですから」
「いやいや、私は自分で確認したことだけを信じるわ。だから、ね?」
「ね? じゃありません!」
「良いじゃない。ちょっとギュッてするだけだから。減るものじゃないし」
「精神がすり減ります!」
「だってお燐が、さとり様の身体に抱き締められている時は幸せを感じられる、って」
「それは猫の姿の時に私が抱き抱えているだけです! 人型の時ではありません!」
「まぁまぁ、落ち着きなさい。あんたはさとりでしょう」
「関係無いでしょう!」

 背中に壁がぶつかる。もうこれ以上、逃げることは出来ない。
 さとりには心が読めるからこそ、霊夢が本気で抱き締める気だというのが分かっていた。分かっているからこそ、怖いこともある。

「それじゃあ、ギュッと」
「ひっ!?」
「そんな怯えなくても……失礼ね」

 ふわりと、抱き締められる。
 ペットを抱き締めることはあっても、自分が抱き締められることは今まで無かったさとり。
 温かくて、優しくて、不思議と不快感は無かった。どちらかというと、安心感があった。

「うわ、あんた細いわね。見た目以上に」
「え、あ、はい」
「ちゃんと食べなきゃ倒れるわよ」
「私、妖怪ですし」
「妖怪でも、お腹は空くでしょう?」
「少食ですから」

 霊夢が抱き締めたさとりの身体は、見た目以上に華奢だった。
 なのに、ちゃんと柔らかくて心地良い。温かい。

「うん、確かに心地良いかも」
「そう、でしょうか? 自分では、分かりませんが」
「なんていうか、ちょうど良い」
「ちょうど良いって……」

 満足したのか、さとりを解放する。

「あっ……」

 離れたぬくもりに、思わず小さく声を上げるさとり。
 抱き締められるということは、さとりにとっては珍しい体験だった。

「ん? もっとして欲しかった?」
「ち、違います!」

 ニヤニヤと意地悪な笑みを浮かべて言う霊夢に、顔を赤くして反論するさとり。
 立ち上がって、縁側からひょいと降りる。

「帰ります」
「そんな怒らなくても」
「いえ、ただペットたちの世話がありますから」
「あー、そっか」
「それでは」

 一礼をした後、踵を翻して、霊夢に背を向けた。

「さとり」
「はい?」
「またいつでも来て良いわよ」
「……何でちょっと上から何ですか」
「神社では私がルールだから」
「……」

 さとりは何も言わずに去った。
 ただ、霊夢が本心で言ってくれていたことは伝わっていた。
 この日以降、さとりがお燐を迎え神社へ来る姿が何度か目撃されるようになったとか。




あとがき
リクエストSSでしたー。
意外に難しかったですが、書いていて楽しかったです。
リクエストありがとうございましたー。


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