絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

風邪引き魔法使い

魔理沙とアリスで風邪ネタ。
ベタで王道、そんな内容です。



「アリス、大丈夫か?」
「……平気よ。私は妖怪なのよ?」
「だから何だ。妖怪だろうと、風邪を引いたらただの病人だろ」
「う……私は人形使いよ」
「人形扱う魔力が不安定だったら、意味無いだろう。人形に看病させるのは不可能だ。神経も魔力も精神力も、擦り減るぜ」
「だからって、あんたが私を看病する理由は無いでしょう? 分かったら帰りなさい」

 魔理沙がアリスの家に訪れたのは偶然だった。
 いつものように、数回だけ扉をノックし、返事を待たずに足を踏み入れた。
 すると、いつもならば溜め息を吐いて呆れた表情のアリスが出迎えるのだが、今回はそれが無い。
 不審に思った魔理沙が、アリスを捜すと、ベッドの上で寝込んでいる姿を発見したのだった。

「あー? 勘違いするなよ? 看病する理由は、アリスが心配なわけじゃあない。アリスが居なきゃ、目的の物が何処にしまってあるか分からないからな」
「いつもなら勝手に荒らして持って行くじゃない。今回もそうしなさいよ。特別に許可するから」
「あ、あー……いや、その、なんだ……」

 素直に心配だからと言えれば良いのだが、あいにく魔理沙はそんな素直になれない。
 目的の物を分けて貰いに来たのなら、それを勝手に持って帰れば良いだけなのだ。
 それに何度もアリスの家に訪れている魔理沙は、何処に何があるかくらいは、ある程度把握済みだった。
 つまり、ただ純粋にアリスを心配し、看病したいと思っていることが分かる。

「良いから黙って看病されろ! アリスに恩を売っておけば、今後いろんな物が借りれそうだからな」
「借りるじゃなくて強奪でしょうに……」
「代々伝わる魔理沙流、マスターおかーゆを作ってきてやるから大人しくしてろよ?」
「霧雨流ならまだしも、魔理沙流ってあんた一人じゃないのよ」
「腕は確かだぜ。安心しろ」
「はいはい、楽しみにしてるわよ……」

 何を言っても無駄だと感じたアリスは、大人しく看病を受け入れることにした。
 魔理沙がお粥を作りに部屋を出ると、アリスは激しくせき込む。

「はぁ……情けないわ。ま、何とか我慢出来たけど……」

 魔理沙の前では、せきを我慢していた。
 移してもいけないし、何よりも弱っている自分を魔理沙に見せたく無かったのだ。
 頬は赤く、汗ばんでいるから髪と額に玉のような汗。
 妖怪の回復力は、怪我とかならば異常な程のスピードなのだが、風邪といったような病気系は、基本人間とあまり変わらない。
 苦しいものは苦しいし、辛いものは辛いのだ。
 当たり前だ。生きているのだから。

「っ……永遠亭に行けば良かったかしら」
「そんな状態で向かっても、途中で倒れるだけだぜ」

 アリスは独り言のつもりで呟いたのだが、それは会話になった。
 いつの間にか、魔理沙が戻って来ていたから。

「あんたの気配にすら気付けない何て……重症かしらね」
「あぁ、さっきのせき込んだのも、明らかに重症だな」
「……見てたの?」
「いんや、聞こえた。辛いなら言えよな」
「言う必要が、無いわ」

 熱い息をはぁ、っと吐き、そう言うアリスに対して、魔理沙は少しムッとした表情になる。

「私が看病するって言ったろ。もう少し頼ってくれても良いじゃないか」
「私は、他人に頼る程弱くも無ければ、器用でも無いのよ」
「器用とか弱いとか、関係無いだろ」
「都会派魔法使いのプライドよ」
「そんなもん捨てちまえ」
「嫌よ馬鹿」
「馬鹿とは何だ」
「氷精と同レベル、いやそれ以下という意味よ」
「……やめよう」
「え?」

 互いに、喧嘩のような冗談のような、良く分からないやりとり。
 魔理沙がそれを、止めた。

「こんな時くらい、喧嘩はやめようぜ。アリスだって余計に体力消耗するだろ」
「珍しいわね。あんたがそんなことを言うなんて……」
「私は元から争いを好まないぜ」
「はいはい」
「それはそうと、お粥だ」
「随分早いわね……」

 お粥を作りに行ってから、戻って来た時間を考えて、明らかに出来上がる時間は無かった。
 魔理沙はアリスの言葉に、人指し指をピンと立て、悪戯っぽい表情を浮かべ――

「困った時の、魔法だぜ」

 得意気にそう言った。
 アリスはいつものように、呆れた表情を浮かべて、額に手をあてている。

「くだらないことに魔法使うんじゃないわよ……」
「アリスの体調だ。くだらなくは無いだろ」
「そもそも、どんな魔法よ?」
「そいつは秘密だぜ」
「秘密って……あんたねぇ」
「女は秘密を持ってこそ、一流の女なんだぜ?」
「なら私は超一流ね」
「むむむ、秘密はいけないと思うんだ。さぁ、私にその秘密を話すんだ」
「数秒もしないうちに意見変わってるじゃない」

 互いに、冗談っぽい口調でそんなやりとりをする。
 何かおかしくて、小さく笑う。二人で、笑った。

「ほら、お粥だ。熱いぞ」
「魔理沙、ちょっと体起こすの手伝ってくれる?」
「辛いのか?」
「ちょっと重いだけよ」

 アリスが一人では起き上がれないと聞いて、魔理沙は俯いて何やら考えている。

「……な、なぁアリス」
「何よ?」
「ん!」

 スプーンにお粥を盛って、アリスの口元へ差し出す。
 アリスは、ぽかーんとしている。

「は、早く食べてくれ」
「いや、私は……」
「こっちの方が楽だろう?」
「でも、えーと……」
「わ、私だって恥ずかしいんだ!」
「ご、ごめん!」

 口を開けて、お粥を運ぶ。温かい味が、アリスをリラックスさせた。
 魔理沙は恥ずかしいのか、無言かつ下を向いたまま、アリスに差し出す。
 アリスも何も言わずに、それを口に含む。
 別にお腹が減っていたわけでは無いのだが、美味しさにアリスはあっという間に平らげた。

「食器洗ってくる」
「良いわよ、そこに置いといて」
「ん、分かった」

 小さな箪笥の上に、食器を置いた。

「魔理沙」
「んー?」
「ありがとね」
「……早く」
「え?」
「早く、良くなれよな」

 ぼそっと小さな声だったが、確かにアリスに聞こえた。

「大丈夫よ。だって魔理沙流のお粥を食べたんだから」

 だからアリスは、そう言ってやった。
 魔理沙はいつもの黒い帽子を、深く被って、

「当然だ! これでアリスが良くならなかったら、むしろアリスがおかしいぜ!」

 そう、大きな声で言った。
 アリスは寝転んだ状態だから、魔理沙の表情が少しだけ見える。
 頬を赤くして、目は帽子で完全に隠してはいるが、照れ隠しにしか見えなかった。
 そんな魔理沙を、クスッと笑った。

「な、何笑ってるんだよ」
「いいえ、別に。本当にありがとう、魔理沙。もし、魔理沙が風邪を引いたら、私が看病してあげるわ」
「ふん、都会派魔法使いみたいに弱い体はしてないぜ!」

 魔理沙は、いつもの口調でそう返した。





 後日、アリスの風邪が移ったのか、魔理沙が風邪を引いた。

「う~……大丈夫だから帰れ~」
「はいはい、大人しく看病されなさい」
「ぅー……」




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