絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

頑張れ小さな女の子~2.意外に器用なんだよ

『頑張れ小さな女の子』2話目。
ルーミアは頑張ります。そしてちょっとずつ成長します。






「お、来たわね」

 朝日が昇り、少ししてから境内に黒い物がやってきた。ふよふよ不安定に浮いていて所々ぶつかりながらも、霊夢の前へなんとか近付いて来る。

「姿見せなさいよ」
「嫌だよ。日光があるから」
「……とりあえず見てて危なっかしいから引っ張るわよ」

 霊夢が目の前の闇に手を突っ込む。柔らかい何かを掴んだ。

「ひゃぅ! どこ触ってるさ!?」
「え? 私どこ触ってるの――って痛!」

 突然手に痛みが走った霊夢は闇から手を引っこ抜く。手のひらには歯形が付いていた。つまり……噛まれた。

「あんた何すんのよ!」
「霊夢が変なトコ触るからでしょ!」
「だからどこ触ったのよ私!?」
「ぅう~くたばれいむ!」
「あんたがくたばれ! 私は雇ってやってるのよ!」
「あ、そっか! じゃあ朝ご飯早く頂戴?」

 霊夢はルーミアの纏っている闇を散らして、日光にあててやろうかと考えたが、ギリギリ理性が押し止めた。

「くっ……朝ご飯食べるわよ」
「わーい♪」


 茶の間に着くと、ルーミアは纏っていた闇を散らし、少女の姿を現す。

「おぉー! 霊夢本当に料理出来るんだね」

 卓袱台の上には、焼き魚と味噌汁と白米が並んでいた。

「ま、簡単なものだけどね。とりあえずほら、座りなさい」
「うん!」

 向かい合わせに座る。ルーミアは、まるで玩具を買ってもらった童のように目をキラキラさせていた。

「はい、いただきます」
「いただきます!」

 両手のひらを合わせていただきますをする。
 料理は温かくて、優しい味がした。空腹感を満たすと同時に、他の何かも満たされていくのをルーミアは感じたが、それが何かは分からなかった。ただ、温かかったのだ。


「ごちそーさまでした!」
「はいはいお粗末様。どう? 美味しかった?」

 霊夢が尋ねるとルーミアは笑顔で、そう、凄い笑顔で言った。

「微妙!」
「くたばれこんちくしょう!」

 霊夢が針を投げようと構えると、ルーミアが慌てる。

「わ、わ、嘘だよ! 美味しかったよ!」

 勿論、霊夢だって冗談で構えただけで本当に投げる気は無かった為、スッと腕を下げる。ルーミアは、本当に投げられると思ってたようで、安堵の色を浮べる。

「さて、食べたからには働いてもらうわよ?」
「うん!」
「よし、まずは境内を箒で掃いて来なさい」
「無理!」
「……何でよ?」
「日光が出てるから!」

 使えねぇ、こいつ使えねぇよ……と霊夢は思った。日光が苦手というのなら、ルーミアが外で働けるのは夜か天気が悪い時のみになる。

「じゃああんた何出来るのよ?」
「ご飯残さず食べれるよ」
「……もうクビにしていい?」
「だーめっ!」
「だめ?」
「めー!」
「めー?」
「めー!」
「めー!」
「めー♪」
「めー♪」
「霊夢、頭大丈夫?」
「突然の突き放し!? ていうか元はあんたでしょう!」

 霊夢が何を言っても、あはーと笑うルーミア。この無邪気過ぎる笑顔を泣きっ面に変えてやろうかと霊夢が考えていると、突然ルーミアが立ち上がった。

「どうしたのよ?」
「ん? 働くのよ」
「境内掃けないんでしょ?」
「確かに外で働くのは無理だけど、陽があたらないこの空間なら大丈夫だから」

 この空間、つまり茶の間をルーミアは掃除する気のようだ。霊夢としては、ルーミアが掃除している姿が全く想像出来なかったため、不安でいっぱいだった。

「あーなんか不安しか無いんだけど」
「大丈夫、私器用だよ! 針に糸を一回で通せるくらいに!」

 物凄く微妙な器用さだった。ルーミアがやる気になっているのだからとりあえずはやらせてみるか、と霊夢は割烹着とはたきを渡す。ルーミアは受け取り、割烹着を身に着ける。いつもは黒い服のルーミアが真っ白い割烹着を身に着けると、とても新鮮な感じがした。霊夢の割烹着だから少し大きいのか、ルーミアはダブッとした着方になってしまっていた。しかし、行動するのに支障をもたらす程では無いようで、ルーミア自身も嫌な顔一つしてはいなかった。

「それじゃあ掃除するから霊夢はどっか行ってて」
「私が見て無いと不安なんだけど……」
「少しは信じてよ~」

 少し不貞腐れたような表情を浮かべる。霊夢はそれを見て、小さく溜め息を吐く。もうとりあえず一度自由に任せることにしたのだ。

「じゃあ私は境内の掃除してるから、あんたは部屋の掃除ね?」
「りょーかい!」

 笑顔で箪笥をはたき始めるルーミアを見た後、霊夢も境内の掃除をしに行った。



☆☆☆



 霊夢が境内を掃除している間、特に何かを壊すような音を聞こえなかった。霊夢は、少し安心して、落ち葉を全て集めた後、掃除を切り上げた。そして、まだ掃除を終えていないであろうルーミアの元へと戻った。
 そこで衝撃的な光景を見た。

「あ、霊夢!」

 ルーミアは卓袱台前にちょこんと座っていた。

「あれ、あんた掃除は?」
「終わったよー」

 霊夢はルーミアの言葉に呆然とした。が、すぐに我に帰って部屋の埃や塵を確認する。サボって埃まみれだった箪笥の裏まで綺麗になっていた。

「予想外だわ……」
「失礼だなぁ」
「ちゃんと隅にあるゴミ箱に捨てた? 食べたりしてない?」
「どこまで失礼なのよ。いくらなんでも食べないよ。ちゃんと捨てたよ」
「そう……驚いたわ。ああ、驚いたわ」
「繰り返して言わないでよ」

 霊夢はルーミアの頭を無言で撫でる。わしゃわしゃと荒っぽく、撫でる。

「わ、わ、何するのさ!」
「ルーミア、偉いわ。うん、良い子良い子」
「子ども扱いしないでよ! わ、わ、撫でないで。痛い痛い荒いよ」
「あぁ、ゴメン」

 手を引っ込める。ルーミアの髪は少しボサッと乱れていた。もちろん、御札は外れていないが。

「次は何すれば良い?」

 ルーミアの言葉に霊夢はしばし考える。そしてルーミアの姿をふと見ると、割烹着で服は汚れていなかったが、額や頬、手足が汚れていたのが分かった。
 そこで霊夢は一つの結論に至る。

「そうね、とりあえずルーミア」
「何?」
「お風呂入って綺麗にしましょうか」
「……え?」

 朝でも無ければ昼でも無い中途半端な時間だけれど、ルーミアを風呂に入れることに決定した。

「何よ、嫌なの?」
「嫌ってわけじゃないけど……怖い」
「怖い?」
「うん。私普段は川とかで水浴びするから、普通のお風呂入ったことない。お風呂って凄く熱いお湯なんでしょ?」
「あーそっか。まぁ別にそこまで熱く無いと思うけど、自分で調整もするし」
「う~ん」

 悩んでいるように俯くルーミア。未知の体験が怖いのは生き物として当然だろう。

「仕方無い……じゃあ私も一緒に入るか」
「え!?」
「大丈夫よ。ギリギリ二人でも入れると思うし」
「いやいや、別にそこまでして入りたくないよ」
「入らなきゃお昼抜きよ。汚いんだから黴菌が付くわ」
「うっ……」

 お昼抜きという言葉に、詰まるルーミア。うーうー唸って悩んでいるルーミアの腕を無理矢理引っ張る霊夢。

「はいはい。覚悟決めなさい」
「わわっ!? 引っ張らないでよ~!」

 ルーミアの訴えも虚しく、結局風呂場へと強制連行されてしまった。
東方SS | コメント:0 | トラックバック:0 |
<<ねむねむ | ホーム | 頑張れ小さな女の子~働く場所は博麗神社>>

コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

| ホーム |