絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

ダイナマイトヘブン

プチ創想話投稿作品『ダイナマイトヘブン』
結構初期の作品で、今見ると黒歴史に近かったり……
幽香とアリスのアリ幽。





 家の扉をノックする音が響く。
 誰だろうか、と疑問を浮かべながらも扉を開くとそこには――

「はぁいアリス」

 アリスは全力で扉を閉めた。そして、脳内で何故奴がここに来たのか考える。クールになれ、アリス・マーガトロイド。私はやれば出来る子。

「開けないとこの家ごと壊すわよ」

 クールになれなかった。
 奴ならやりかねないから。仕方無く開けてやった。だって壊されたく無いから。

「そうそう。最初からそうしてれば良いのよ」
「何しに来たのよ……幽香」
「あら、ただ遊びに来ただけよ。大切なお友達の家へ」

 何が大切なお友達だ、とアリスは心の中で毒を吐いた。アリスにとって幽香は、嫌な想い出の象徴でしかなかった。

「ちょっと、客が来たのにお茶の一つも出さないの?」
「……くっ!」

 人形に紅茶を用意させる。その間に幽香はリビングのソファーに座っていた。

「へぇ、綺麗な部屋ね」
「そりゃどうも……」

 人形がテーブルの上に用意した紅茶を置く。

「それ飲んだら帰ってよ」
「じゃあ、ずっと飲まないわ」

 ニコニコと、腹の立つ作り笑顔を浮かべ、アリスをジッと見る。

「本当に何の用なのよ……」

 深い溜め息を吐き、額に手を当てながら困った様子で言う。
 幽香はその様子を見ながらクスクス笑う。

「貴女と一緒にお酒を飲もうと思って」
「はぁ?」
「良いお酒が手に入ったから、ね?」

 幽香はお酒を取り出して見せる。

「嫌って言ったら?」
「元祖マスタースパーク特盛りで」
「……分かったわよ」

 今日は厄日だ。そうアリスは思った。
 大体幽香がわざわざアリスと一緒にただ酒を飲みに来るわけが無い。つまり、何かしらの罠だろうと分かってはいたが、脅されてる時点で拒否権は無かった。
 人形にグラスを二つ用意させる。

「せっかく紅茶淹れたのに台無し……」
「あら、アリスが飲んだら帰れとか言うからよ」

 溜め息を吐きながら、酒をグラスに注ぐ。今日は溜め息を吐く回数が多いなぁ、とかアリスは考えながらも準備を済ませた。

「それじゃあ、二人の夜に乾杯」
「今まだ昼なんだけど」

 グラス同士が軽く触れ合い小さな音を鳴らす。
 しかし、幽香はまだ飲まない。ジッとアリスを見つめている。
 それに気付いたアリスは怪訝な顔をする。

「何よ?」
「良いから飲みなさい。ほら一気に!」
「怪しすぎるわよ!」
「なんならねっとりとした濃厚愛情口移しで飲ませて上げましょうか?」
「……分かったわよ」

 何かある。けど死にはしまい。と覚悟を決めて一気に飲み干すアリス。すると口には程よい甘さの口当たりの良い味が広がるだけであった。

「美味しい……」
「ほら、もっともっと」
「え、あ、うん」

 上等な味である酒。それを幽香が再びアリスのグラスに注ぐ。

「幽香は飲まないの?」
「飲むわよ。勿論」

 しかし、幽香はグラスに手をつけない。
 アリスは疑問を抱きながらも、注がれた酒を飲み干す。再び口の中に心地良い味が広がる。
 それを見て幽香が黒い笑みを浮かべたのに、アリスは気付かなかった。
 そして、10分程経った後、たったそれだけの時間でアリスは顔を赤く染め、完全に出来上がっていた。
 普段のアリスならここまで飲まない。だがこの酒は、癖になる味だった。しかも、幽香の持ってきた酒にはある効果があった。
 それは、飲んだ者の本性を無理矢理引き出すという効果。
 幽香はこれを入手した時、真っ先にアリスに飲ませようと思った。何故ならアリスの本性が気の弱い性格だと思い、苛めたら一番面白いと考えたから。

「アリス、気分はどうかしら?」
「あぅ~幽香ぁ」
「な!?」

 しかし、幽香の予想は大きく外れた。アリスは幽香に抱きついてきた。予想外すぎる展開に混乱する幽香。

「ちょっと、何よ突然!」
「んぅ~幽香温い~」

 幽香の胸元に頭をぐりぐり押し付けるアリス。
 アリスの本性は気弱では無く、甘えん坊だった。普段クールにしている分、色々溜まっているのだろう。さらに、口調まで子供っぽくなっている部分が少しある。

「ちょ、ふざけないで離しなさいアリス」
「やーだぁ」

 自業自得でこうなったとはいえ、幽香からすればうざったい。

「泣かされたいのかしらアリス?」

 しがみつくアリスの肩に手を置き、力を少し強く込めて脅す。

「幽香はそんなことしないもん」
「何を根拠に……」
「だって幽香優しいし」
「は?」

 何を言ってるんだこいつは、みたいな顔をする幽香。
 もう本気で泣かして帰ろうかしらなどと考えて力をさらに込めようとする。

「幽香はこんな私に今日お酒を飲もうって誘ってくれたし」
「いや、それは」
「それに花を守ってるなんて、優しくて素敵じゃない」
「~~っ!」

 幽香は思った。キャラ変わりすぎだろう、と。
 笑顔で、とても純粋そうな瞳から発せられた言葉は予想以上に幽香を惑わせた。
 泣かすのをためらう。しかし、この抱き付かれてる状況は脱出したい。

「アリス、貴女は私のことが嫌いでしょう? 甘えるなら魔理沙とか霊夢とかにしなさい」

 何とかして矛先を変えようとするが

「いーやだぁ。魔理沙とは犬猿の仲だし、霊夢にそんなこと恥ずかしいもの」

 私には恥ずかしくないのか、と幽香は心の中でツッコミを入れる。

「それに私、幽香のこと嫌いじゃないわよ」
「何言って……」
「意地悪な幽香は苦手だけど、別に嫌いなわけじゃないもん」

 幽香は驚きを隠せなかった。絶対に嫌われていると思っていたから。
 この酒は本性を引き出す為、今の言葉はアリスの本心である。

「そうよ! 幽香はいつも意地悪で……」

 今度は涙目になる。もう勘弁してくれと幽香は思っていた。

「もしかして、幽香は私のこと、嫌いなの?」
「べ、別にそういうわけじゃないけど……」
「じゃあ何で意地悪するの?」

 潤んだ瞳で上目使い、密着状態のこの状況。ドSな幽香でも、この状況は地獄に近かった。
 幽香は、ここで嫌いだからなんて言ってみたら、恐ろしいことになる。かと言って好きなんて言ったらいろんな意味でヤバイ。そう感じていた。

「そ、そこそこ好きだからよ?」

 絞り出して考えた唯一の妥協案。

「ふえっ……」
「ああ、好き! 好きだから泣こうとしない!」

 泣き出しそうになるアリスを前に、唯一の妥協案は一瞬で散った。

「本当?」
「本当だから、だから今日はもう帰らせて……」
「ダーメ」

 上機嫌で抱き付いたまま離そうとしないアリス。
 幽香は小さく溜め息を吐いた。ただ不思議なことに不快感は湧いてなかった。

「もう……貴女正気に戻ったら絶対後悔するわよ」
「なに?」
「なんでもないわよ」
「あっ……」

 覚悟を決めて、幽香もアリスの背に腕を回し、ギュッと抱き締めてあげた。
 アリスは最初驚いたのか、小さく声を上げたが、直ぐに満面の笑みでより強く抱き付いた。

「えへへ、幽香ぁ」
「あ~はいはい」
「ゆう……か」
「ん?」

 次第に大人しくなったアリスを不思議に思い、顔を覗くと幸せそうに眠っていた。
 もう脱出出来るが、今さら逃げる気は無かった。

「ここまできたら、寝起きにからかってやるわ」

 そんなことを小さく呟き、アリスの髪をそっと撫でた。くすぐったそうに身を動かすが、それでも幽香にしがみついたまま離れようとはしなかった。
 そしてアリスは起きた時、幽香におはようと言われたこと、自分が抱き付いてたこと、記憶がハッキリ残っていたことなど全てのことに対して顔に紅葉を散らしたのは、言うまでもない。
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