絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

ドキドキパチュリーさん

パチュアリですよ。アリパチュなのは気のせいです。パチュアリです。



「あら、アリス。珍しいわね」
「ちょっと手持ちの資料じゃ手詰まりでね。それにパチュリーの方が知識豊富だから意見が聞けるし」
「そう……でもあまり参考にはならないと思うわよ。私と貴女じゃ魔法の扱い方や価値観が違うから」
「それでも、パチュリーの話や意見はためになるわ」

 博麗神社で開かれる宴会。そこでアリスとパチュリーは言葉を交わす仲になった。
 なるべく静かな場所でチビチビお酒を飲むアリスの近くに、消極的なパチュリーが居たのだ。
 最初は目が合おうとも会話すらしなかったが、宴会の回数を重ねるうちにいつの間にか普通に話せる仲になっていた。
 そして、アリスはそれ以来ちまちまとだが、図書館に来る。
 パチュリーも、アリスの人形を扱う技術、自分自身と違う価値観の魔法を興味深く思っていたから互いに意見交換をする、このアリスの来訪を毎回楽しみにしていた。

「まぁとりあえずは本を読むでしょう?」

 アリスは簡単に用件の本を告げる。
 パチュリーは小悪魔にそれを用意させて、アリスに渡した。さらに小悪魔は、淹れてきた紅茶をアリスとパチュリーに渡す。

「ありがとう、小悪魔」
「いえ、ごゆっくり」

 人懐こい笑顔を浮かべながらそう言う小悪魔は、悪魔らしさが全く無かった。
そんなことを考えて、アリスは苦笑いを浮かべる。

「あなた、悪魔らしくないわよねぇ」
「な!? 失礼ですよ!」
「いや、だって……あなたが悪魔らしいことをしている場面、見たこと無いわよ」
「むむむ……」

 俯いて唸る。何かを考えているのだろうか。
 しばらくして、突然顔を上げた。

「ぎゃおー! 悪い子はいねぇかー!」
「……それ、悪魔じゃないわよ」
「ひゃうんっ!?」

 必死に考えた結果の行動を、アリスは冷静に斬った。
 小悪魔は悲痛の叫びのような、おかしな叫びのような、まぁなんかよく分かんない声を上げて、膝から崩れ落ちた。パチュリーは背後で大爆笑。

「えーと、小悪魔……」
「うぅ……」
「小悪魔は確かに悪魔らしくは無いけれど」
「あびしっ!?」
「でもね、私はそんな小悪魔嫌いじゃないわよ?」
「ほ、本当ですかぁ?」
「もちろん」

 小悪魔に手を差し伸べる。
 その手を、小悪魔が取ろうとした瞬間――

「さぁ、アリス。本を読みましょう」
「え、ちょ、パチュリー?」

 パチュリーが、アリスの手を引っ張った。

「ほら、早く。日が暮れちゃうわよ」
「え、あ……ってちょっと痛い。そんなに引っ張らないでよ」
「煩いわね……燃やすわよ」
「何怒ってるのよ?」
「別に怒ってない」

 明らかに不機嫌なパチュリーに、戸惑うアリス。私、何か怒らせるようなこと、したかしら、と考える。
 そんな二人を見て、最初きょとんとしていた小悪魔だが、すぐに状況を把握した。

「あぁ……そういうことですか」
「え? 何が?」

 ニヤニヤとしている小悪魔に、アリスが訊く。

「えーとですね、パチュリー様はヤキモ――」
「小悪魔、魔界に帰されるのと、土に還されるの、どっちが良い?」
「すみませんでした! アリスさん、言えません!」
「な、何よ。ちょっと、私だけ分かって無いのって何か嫌じゃない。教えてよ」
「アリス、くだらない情報を頭に入れる暇があるなら、本を読みなさい」
「な、何よぉ……ってパチュリー、顔赤いわよ? 体調悪いの?」
「な、何でも無いわ!」

 顔が赤くなっているパチュリーを見て、アリスが心配そうに顔を覗き込む。

「動かないでね、パチュリー」
「な、何を――」

 アリスとパチュリーの顔が、吐息を感じるくらいに近くなる。
 そして、アリスは自分の額をパチュリーの額にくっつけた。

「う~ん、熱は無いみたいね。あれ? でも、パチュリーの顔どんどん赤くなってる……」
「な、な……あぅ」
「アリスさん、それ逆に熱与えちゃいますよ」
「え? どうして?」
「あ……アリス、あんまり喋らないで」

 アリスが喋るたびに、吐息がパチュリーの顔をくすぐる。さらに、密着に近い状態なためか、アリスのどこか甘い匂いが、脳をくらくらさせる。その匂いは、今のパチュリーにとって、どんな香水よりも刺激が強い。
 小悪魔は大爆笑している。

「とりあえず、一応ベッドに寝かしましょう」
「だから、熱なんか……無いわよ」
「だぁーめっ! 小悪魔、手伝ってくれる?」
「あーすみません。私、仕事溜め込んでますので」
「え、でも……」
「パチュリー様を運ぶ時は、お姫様抱っこが良いですよ。体に負担もかかりませんし」
「……分かったわ」
「ちょ、小悪魔!?」
「パチュリー、あんまり叫んだら駄目よ。喉を壊すわ」
「それじゃあ、私は仕事に戻りまーす!」
「ま、待ちなさい小悪魔!」
「にはは~」

 物凄く楽しそうな笑みを浮かべて、小悪魔は仕事に戻って行った。しかし、今日パチュリーが小悪魔に与えた仕事など、無い。つまり、わざとこの状況を作ったのである。
 パチュリーは、小悪魔を追いかけて潰してやろうかと物騒なことを考えたが、出来なかった。動こうとしたら、アリスに止められたのだ。

「あ、アリス……私は大丈夫だから」
「駄目よ。ほら、大人しくしなさい」
「きゃ!? や、やめ」
「恥ずかしいのは分かるけど、私はパチュリーが体調不良なのを放っておけないの。お願い、我慢して」
「だ、だから体調不良なんかじゃないって言ってるのに。自分の体調は、自分が一番分かってる」
「パチュリーは無理することが多いじゃない。今も無理してるんでしょ」
「あーもう……話を聞いて……」
「はいはい、ベッドに行ったら聞いてあげるから」

 必死に暴れるパチュリーに、足払いをかけて、転びそうな瞬間にお姫様抱っこをする。
 お姫様抱っこをされたパチュリーは、恥ずかしそうに腕の中で暴れるが、実は力はアリスの方が断然強い。全ての抵抗が軽くあしらわれて、無になる。
 しばらくすると、パチュリーも抵抗を諦めた。

「パチュリーのちゃんとした自室は……図書館を出てすぐだったわよね」
「図書館内の簡易ベッドで良い」
「だぁーめっ! せっかくだから、ちゃんとしたベッドに行きましょう」
「むー……」

 図書館を出て、廊下をちょっと歩く。
 ただ、そのちょっとの間にも、いろんな人に会う。妖精メイドが働いているからだ。
 パチュリーは、噂話やおしゃべりをするのが大好きな妖精メイドたちに会うのが嫌だった。目を瞑り、妖精メイドが居ませんようにと祈る。

「あら、珍しいわね。妖精メイドが一人も居ない」

 ホッと息を吐くパチュリー。

「それ以上に珍しい、レミリアが居るわ」
「ちょ!?」

 思わず目を大きく見開いて、驚くパチュリー。
 すると、確かにそこにはレミリアが立っていた。

「おい、自称都会派魔法使い」
「何かしら?」
「私の親友を、何処へ誘拐する気?」
「失礼ね。パチュリーの部屋に行くのよ」
「ほぅ、何で?」
「パチュリーが体調不良でね。ベッドに寝かしに」
「ふーん……」

 レミリアが近寄り、パチュリーをじっと見つめる。パチュリーは目をそらす。
 しばらくして、レミリアがニヤニヤとし始めた。

「そう、ありがとうアリス。パチェをよろしくね」
「えぇ、それじゃあ」
「あ、それとパチェー」

 レミリアの横を通り過ぎる直前、パチュリーが呼ばれる。アリスが振り返る。

「パチェ、頑張ってね。私は親友として、応援してるよ」
「な!? ち、ちが……」
「アリスーちゃっちゃっと連れてってあげて」
「え、あ、うん」

 違うー、というパチュリーの叫び声が聞こえた。
 レミリアは思わず笑う。アリスとパチュリーが居なくなった廊下で。

「そっか、パチェは仮病使ってまでアリスに看病して欲しいほど、アリスがお気に入りなのか。あー面白い」

 思いっきり誤解してたが、それを弁解出来る小悪魔は、今仕事という名目でお昼寝。
 パチュリーが弁解したところで、誰も信じないだろう。
 結局、この後パチュリーはアリスに一日中看病されるはめになった。

 それを、レミリアと小悪魔から、からかわれ続けたのは言うまでも無い。


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