絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

素直じゃないなぁ

ゆかてん。そんな甘くは無いはず。微ほのぼの。





「八雲紫! 勝負よ!」
「また我侭娘……いい加減諦めたら?」
「あんたをボコボコにするまで諦めない!」

 緋想の剣を紫に向けて、宣言をする天子。紫からすれば迷惑なだけな宣言だが。

「はぁ……ちゃちゃっと終わらせましょう」
「な!? なめるなぁ!」

 天子の体術も弾幕も強力なのは確かだったが、荒い部分も多く、勢い任せな感が否めなかった。
 そんな攻撃では、紫を倒すことなど到底無理なわけで。

「はい、終了~」
「ゃぅっ!」

 見事、一撃でやられた。
 一撃といっても、天子の背後に隙間を出して、そこからの強烈な一撃。完全な不意打ちとも言える。
 しかし、いつもならばこの一撃は挨拶代わりみたいなもの。天子ならば避けれた筈。
 紫は不審に思い、天子に近寄る。
 天子は唸って倒れていた。

「どうしたの、我侭天人。動きが鈍かったじゃない」
「煩い、わよ……頭がふらついてただけなん、だから」
「頭?」

 よく見ると、天子の顔は赤かった。
 紫は手のひらを天子の額にあててみる。天子が触るなとかギャーギャー騒ぐが、全く気にしない。

「あら、貴女凄い熱じゃない?」
「天人は、熱なんか出さないわよ……」
「風邪かしらね。天人なのに」
「風邪なんか引かないって……」
「家で養生してなさいな」
「嫌よ。まだ……勝負は終わって、ない」

 頑固で意地っ張り、厄介な性格だと紫は溜め息を吐く。
 天子はまるで警戒している犬のように紫を睨む。がるる、と唸り声が聞こえてきそうだ。

「仕方無いわね……」
「うわぁっ!? は、離しなさいよ!」
「はいはい~暴れない暴れない。一名様ご案内~」

 ひょいと天子をお姫様抱っこし、隙間へと消えた。天子は抵抗しようにも、熱のせいで思うようには動けなかった。
 そして、そのまま紫の家へと連れて行かれる。



「わぷっ!」

 布団の上にべしゃっと捨てられ、枕に顔から突撃した。紫はとても楽しそうにその様子を見ている。

「何するのよ!? ていうか、ここは何処!?」
「良いから寝てなさい。ちなみにここは私の家」
「うわ、最悪」

 紫の家と聞いて、露骨に嫌な表情を浮かべる天子。

「私が嫌いなのは分かったから、早く寝なさい」
「嫌!」
「……この我侭娘は」

 額に手をあてて、わざとらしく溜め息を吐く。天子は、無理矢理立ち上がろうとしているが、足元がふらついていて、随分と危なっかしい。

「あーもう、私がここまで世話をすることなんて無いのよ! 良いから寝てなさい!」
「やーだー!」

 無理矢理にでも寝かそうと、天子の肩を掴んで倒す。しかし、天子は布団に倒れ込んだ後、弱々しくも足をばたつかせて抵抗する。それを押さえるのに、紫はさらに力を込めた。
 その瞬間、

「紫様、騒がしいですよ……って」

 藍が襖を開けた。
 藍の視界に映るものは、頬を熱で赤く染め、息荒く暴れて押し倒されている天子と、それを無理矢理押さえるようにして、天子を押し倒している紫。

「あー……お楽しみの最中でしたか?」
「な!?」
「ええ、お楽しみの最中よ。だから藍はお粥を作って来なさい」
「……なるほど、分かりました」

 なんとなく、状況を把握した藍はお粥を作りに行った。
 部屋には暴れ疲れて、動けなくなった天子と、その天子を布団に寝かす紫が残る。

「ぅー、風邪なんて引いて無かったら、あんたを倒してやるんだから」
「はいはい、分かったから大人しくしてなさい」
「大体何でそんな嫌いな相手を気遣えるのよ」

 その言葉にきょとんとした様子の紫。

「ん? 誰が誰を?」
「あんたが私を」
「嫌いじゃあ無いわよ。大体あの時に言ったじゃない」
「何をよ?」
「投我以桃、報之以李ってね」
「……どういう意味か、分かんない」

 小さくそう呟く。
 紫は、そんな天子を見てクスッと笑う。

「教えてあげない」
「むぅ……いじわる」
「それくらい自分で分かりなさい」
「別にあんたの言うことなんて分からなくても良いし」
「あらあら、嫌われたものね」
「……嫌いなわけじゃ、ないもん」

 小さく呟く天子。

「ん? 今何か言った?」
「何も言って無いわよ」
「んーでも我侭娘に好かれてもねぇ。私、貴女のこと嫌いじゃないとは言ったけど、実は嫌いじゃなくて大嫌いなのよ」
「聞こえたたんじゃない! 最悪……っ!?」
「ああほら、そんな大声出すから」

 叫んだせいで頭が痛いのか、顔を歪める。
 そんな天子に触れようと手を伸ばすが、天子は拒絶する。

「私に……触るな。今日は、大人しく帰るわ」

 立ち上がろうと、精一杯の力を手足に込めるが、中々上手くいかない。

「ほら、無理しないの」
「無理矢理にでも、帰るわ。体に鞭打ってでも」
「却下~」

 せっかくと立ち上がったのに、紫によってまた押し倒される。立ち上がることに力を使い切った天子は、何の抵抗も出来ずに元の位置へ寝かされた。

「ぅ~」
「無駄な体力使わないの。また無理しないように、手足を縛っておこうかしら」
「ちょ、止めなさいよ馬鹿!」
「お粥をお持ちしました――って」

 お粥を持ってきた藍の視界に入ってきたものは、先程よりも疲れて脱力している天子と、それを縄で縛ろうとしている紫。

「あぁ、お楽しみ中でしたか」
「そうよ、だからお粥を置いて出て行きなさい」

 藍はお粥を置いて、速攻消える。
 天子に向き直り、笑顔の紫。
 その笑顔に何か恐怖を感じて怯える天子。

「さぁて、縄で縛ってお粥を私が食べさせてあげる」
「ひっ!?」
「……なぁんてね、冗談よ。縄で縛ったりなんかしたら余計に体力を浪費するわ」
「良かった……」
「その代わり、はいあーん♪」
「……え?」

 横になったままの天子の口の前に、熱いおかゆを乗せたスプーンが差し出された。
 突然の展開に、しばらくフリーズする天子。

「あ、ふーふーして欲しかった?」
「なぁ!? ななな……」
「ふーふー、はいあーん♪」
「そんな恥ずかしいこと出来るわけないでしょ!」
「我侭が過ぎると口移しにするわよ」
「うぅ……何よ、この究極の選択は……」

 あーんをされるか、口移しをされるかの二択。天子からすると、両方とも人生初。その相手が紫。恥ずかしいこと、この上ない。

「あ、あーん」
「素直でよろしい。はいあーん」
「んっ……熱い」
「食べていけば慣れるわよ」
「ってそれ全部食べさせるの!?」
「当たり前じゃない。それより味は如何?」
「え、あ、美味しいわ」
「そう、藍に伝えておくわ。はいあーん♪」
「……紫、絶対楽しんでるでしょ?」

 天子の言葉に、紫はただニコッと笑った。
 そして、まだたくさん残っているお粥を再び天子に運んだ。もちろん、ふーふーすることは忘れていない。
 天子の顔がずっと赤かったのは、決して熱のせいだけではないだろう。



「ご馳走さまでした」
「あら、意外」
「何がよ?」
「そんなことをちゃんと言えるなんて」
「当たり前でしょ」

 ちゃんと完食した天子を、紫は心の中で褒めてやる。食器を襖の外の廊下に置いておく。藍が後で取りに来るだろう、と考えての行動だろう。

「眠くは無い?」
「少しだけ……」
「なら寝ちゃいなさい。寝るのが一番よ」
「う、ん……紫」
「んー?」
「ありがとう」

 お粥を食べて、いろいろと吹っ切れたのか、天子が素直にお礼を言った。
 紫は少し驚いた表情を浮かべたが、すぐに柔らかい笑みになる。
 手を伸ばして、熱のせいで少し汗をかいた髪を撫でる。

「おやすみなさい、天子」
「……すぅ」





◇◇◇





 天子が目覚めた時、既に外は満天の星とまんまるお月様だけが灯の役割を果たす時刻になっていた。

「寝過ぎちゃった……どうしよう」
「泊まっていけば良いじゃない」
「ひゃうっ!? ゆ、ゆゆ紫!」

 部屋に一人だと思い込んでいた天子は、驚く。

「何で居るの!?」
「私の部屋だし。それに、ほら。貴女が手を離してくれなかったのよ」

 紫は右手をひょいと上げる。すると、天子の左手もひょいと上がる。その理由は、天子が紫の手をギュッと握っていたからだ。
 いくら寝ている間の無意識とはいえ、恥ずかしい行動に天子は慌てる。

「あ、ゴメン!」

 バッと素早く手を離す。
 ちらりと紫を見ると、ニコニコとしていた。天子は、それが何か恥ずかしくて、顔を赤くする。

「ま、今日くらい泊まっていきなさいな。今は一時的に熱が下がってるだけということもある」
「えと、本当に良いの?」
「えぇ」
「……ありがと」
「どう致しまして。まだ寝てなさい。本調子じゃないでしょう」
「別に眠くは無いけど」
「はいはい、いいから横になってなさい」
「ぅー暇」
「風邪なんだから仕方無いでしょう。暇なら、投我以桃、報之以李の意味でも考えてなさい」
「あー! 結局その意味なんだったのよ」
「だから、天子自身が考えなさい」
「いじわるー」

 結局、紫が意味を教えることは無かった。
 その代わり、ずっと会話をしていた。くだらないような内容だけれど、二人は楽しそうに話していた。
 なんだかんだで、仲が良いと思われる。
 それを藍が指摘したが、二人揃って、否定した。

「そんなわけないじゃない!」
「藍、目が悪いのかしら?」

 藍じゃなくても、この二人の反応を見たら誰もがこう思うだろう。
 素直じゃないなぁ、と。






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コメント

これでそんな甘くは無い・・・だと?
じゅうぶん甘々です。ごちそうさまでした!
こういう微妙な距離感っていいですね。
ゆかりんの手を握って離さないてんこが可愛すぎですw
2009-06-29 Mon 18:49 | URL | ひの [ 編集 ]

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