絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

神様だってひきこもります

諏訪子様や神奈子様や早苗さんや霊夢。
プチ投稿作品。




「神奈子様が引き籠もりになりました」
「あっそ」

 博麗神社の縁側で、お茶を啜るのは博麗霊夢。
 霊夢は境内にある落ち葉を箒で掃くという、異変が無い日常では唯一の仕事を終えて、お茶を飲む。今日みたいな陽射しが強い日でも、熱いお茶を飲むのは変えない。
 そんな霊夢の時間を、いつもの時間を壊したのが冒頭の一言だ。

「ちょ! それだけですか!?」
「うん。とりあえず帰れば? わざわざ山からお疲れ様」

 霊夢は、目の前に立つ早苗に不機嫌さを含んだ声で言い放つ。

「酷いです!」
「神奈子が引き籠もりになったからって私興味無いし」
「異変ですよ!?」
「私にとっちゃお茶飲む方が重要。ていうか私に何を求めて来たのよ? 神奈子の引き籠もりを直せってこと?」
「いえ、そういう訳では……」

 しゅんと俯く早苗を見て、少し言い過ぎたなと反省をする。しかし、霊夢にとっては本当にどうでもいいことだ。神奈子が引き籠もりになったトコで、だからなんだよ、である。

「あ~言い過ぎたわ。とりあえず座りなさい」
「……はい」

 霊夢が横のスペースを手のひらでポンポン叩き、早苗を座らせる。未だにしゅんとしている早苗。無言の間が、少し痛かった。

「で、どうして神奈子が引き籠もりになったの?」
「え、でも霊夢さん興味無いんじゃ」
「相談しに来たんじゃないの?」
「あ……はい。でもやはり迷惑では」
「私にとっちゃ早苗の暗い顔見せられてる方が迷惑なの。解決すれば笑顔になるでしょ? だから話してみなさい。力になれるか分からないけど聞いてはあげれるわよ」
「霊夢さん……ありがとうございます」

 霊夢は早苗のことは嫌いでは無い。むしろ仲は良い方だ。だからこそ、少しは協力してあげようと思った。

「原因は分かってるの?」
「諏訪子様の一言で……」

 諏訪子と神奈子、喧嘩したりもするが、なんだかんだで仲が良い。しかし、諏訪子の一言が神奈子を引き籠もりにさせたということは、よほどのことを言ったのだろう、と霊夢は考える。

「で、諏訪子は何て言ったの?」
「諏訪子様は神奈子様を友達じゃないって」
「……は?」
「だから、神奈子様は敵で友達なんかじゃ無いって」
「あ~何か私が諏訪子と弾幕する直前にもそんなこと言ってたわ」
「それでショックを受けた神奈子様が泣きながら部屋に引き籠もり、それ以来出て来なくなりました」
「ちょ! それだけで!?」

 どんだけ純朴な神様だよ、と心の中でツッコミを入れる。
 諏訪子の本心からくる言葉では無いことは容易に分かる筈なのに、神奈子は信じてしまったらしい。

「諏訪子は謝ったの?」
「はい。でも神奈子様は毛布を体にくるまった状態で、聞いてくれません」

 毛布にくるまって泣いている神奈子を想像する。しかし、霊夢は途中で想像を止めた。何故か想像したら残念な気がしたから。
 苦笑い気味の霊夢に対し、早苗は本当に困っているといった表情を浮かべていた。

「早苗」
「はい?」
「信仰やめたら?」
「何故!?」
「こんなことで悩ませられているあんたが不憫でならないわ」

 霊夢にとっては、こんなことで引き籠もる神様に尽くしている早苗が、本当に不憫に感じられた。むしろ私に尽くせば良いのになぁ、と思っていたり。

「いえ! 私は信仰を集める為に幻想郷に来たのです! やめるわけありません!」
「あんた本当に良い子だわ。私が知ってる範囲でもかなりの良い子よ」
「わ、何ですか!?」

 早苗の頭を優しく撫でる。さらさらした髪は、柔らかくて気持ち良かった。早苗は顔を少し赤らめて、霊夢の手を払う。

「ぅー……と、とにかく! とりあえず見て見ます?」
「何を?」
「神奈子様のご様子を」





☆☆☆





「諏訪子様、神奈子様は?」
「全然駄目。聞いてくれないよ」

 障子の前で諏訪子がうなだれていた。霊夢は、何で私ここまで関わってるんだろうと思ったが、横を見たら早苗がしょんぼりしていたから仕方無いか、と無理矢理に自分を納得させた。

「とりあえず、厳しく言ってみたら?」
「どういうこと?」

 霊夢のアドバイスに疑問符を浮かべて首を傾げる諏訪子。早苗も同じく首を傾げている。

「優しく謝っても駄目なら厳しく叱って出してみなさいよ」
「そうか! その手があったか!」
「いや、それはマズいと思いますけど……」

 早苗が一人が止める中、諏訪子は障子を開ける。

「あ、障子は開くのね」
「はい、でも神奈子様は……」

 部屋の中心に毛布があった。
 直立不動の毛布があった。
 無駄に大きい毛布があった。
 つまり中に神奈子がくるまっているのだろう。というか部屋の中心に毛布が立っているのは非常にシュールな光景だ。

「神奈子! 私も悪かったけどいつまでもそんな態度じゃ付き合ってらんないよ! この貧弱貧弱! ヒャッハー!」

 諏訪子が霊夢に言われた通りに厳しく言い放つ。
 毛布がプルプル震え始めた。
 小刻みに、震え始めた。
 普通に怖い。こんな光景を子どもが見たら、泣いて逃げ出すだろう。

「そうよね……こんなんだから私、諏訪子と友人とか勘違いする馬鹿なのよね……うぅっ」

 毛布越しだからぐぐもっていたが、神奈子の声が聞こえてきた。どうやら泣いているようである。
 諏訪子は予想外だったらしく、あたふたしている。
 早苗は想像通りの結末に溜め息を吐いていた。
 霊夢は欠伸をしながら一人ジャンケンを楽しんでいた。

「ちょ、どうすんのさ! 神奈子もっと傷付いちゃったじゃん!」
「いやぁ、まさか本当に言うとは思わなかったわ」

 諏訪子が霊夢の腕を掴んで揺らす。霊夢は、あははと笑って全く堪えていない。早苗は頭を抱える。

「霊夢さん、どうしましょう……」
「よし、早苗が困ってるから協力するわ」

 霊夢は、腕を揺らしていた諏訪子をベリッと引き剥がして毛布の神、神奈子に近付く。

「神奈子」
「……」
「そんなにショックだったの?」
「……だって長い間一緒に居たのよ。色々あったけれど、私は一番の友人だと思ってた。それを否定されたのよ? これほど悲しいことは無いわ」

 神奈子の言葉に諏訪子は、勢いで言ってしまった言葉を、神奈子をここまで傷付けた言葉を後悔していた。

「あんた馬鹿よね」
「な!?」

 霊夢が呆れながら放った一言に、諏訪子が驚く。これ以上神奈子を傷付けてどうするんだ、と。

「あんたが友人だと思ってた諏訪子はそんなことを本気で言うやつだと思ってるの?」

 ぴたりと小刻みに震えていた毛布が止まる。
 諏訪子も早苗も黙っている。

「諏訪子を信じなさいよ。そんな薄っぺらい関係じゃ無いんでしょう?」
「……」
「神奈子」

 大きな直立不動の毛布をきゅっと抱き締める諏訪子。

「ゴメンね、神奈子」
「諏訪……子」
「さて、お邪魔みたいね。私たちは」

 神奈子と諏訪子を二人きりにするため、霊夢は早苗の手を引いて部屋を出た。





◇◇◇





「霊夢さん、ありがとうございました」
「んー別に良いわよ」

 守矢神社縁側に、二人寄り添うように座る。

「神奈子様も諏訪子様も、仲直り出来て本当に良かったです」
「まぁ元がくだらない原因だったし」
「でも、喧嘩はやっぱり嫌ですよ」
「ま、そうね」
「わ、私たちは……」
「ん?」

 早苗が少し恥ずかしそうに、言葉を紡ぐ。

「私たちは、これからも喧嘩しない友達でいたいですね」
「え? 私と早苗って友達だったの?」
「……え?」
「私はてっきり……」
「う、うわぁぁぁぁぁん!」
「ちょ、早苗ー!?」

 早苗は物凄い速さで、自室に引き籠もった。

「……私はてっきり、友達以上で親友かと思ってたんだけど」

 そうぽつりと霊夢が呟いたが、もう誰も聞いていなかった。


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