絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

ドキドキは止まらない

創想話投稿作品『ドキドキは止まらない』
『ドキドキあやややや』の続き的作品。投稿した際に続きがみたいという声が少しあったため、書き上げた作品。一応エイプリルフールSS。
れいあやを流行らせるべく、この続きを書こうか悩み中。どうしましょうかね……






「はぁ……」

 風を纏い、空を飛ぶのは射命丸文。
 いつもなら、空を飛ぶことに心地良さを感じる文だが、今はそれを感じている余裕が無かった。それ以上に、心を占めているものがあったからだ。

「うぅ~……」

 思い出すだけで、顔に紅葉を散らしてしまう。
 そう、思い出すのはつい最近の出来事。
 霊夢に膝枕をされたこと、そしてその日、事情により一緒の布団で眠ったこと。正直なトコ、文はあの日全く眠ることが出来なかった。それもそうだろう。肩と肩が触れ合う距離、少し顔を横に動かせば、穏やかに眠る霊夢。その霊夢から、ほのかに香るシャンプーの匂い。

「うゎぁぁぁぁ!? これじゃあ私変態さんじゃない!?」

 一人勝手に、その時を思い出し、頭を抱えながら空中でゴロゴロする。傍から見たら非常に滑稽なシーンだ。

「あんた頭大丈夫? 鳥インフルエンザなら近寄らないでね」
「ふぇ……?」

 文が声のした方向――下へ向くとそこには、悩みの原因、博麗霊夢が居た。
 というか、無意識で神社へ来てしまっていたようである。
 その事実に、文はまた顔を赤らめる。

「どうしたのよ? 本当に病気?」
「違うわよ!」

 怒りながら霊夢の眼前へと降りる。

「……文」
「はい?」

 と、急に不穏な空気。
 霊夢が凄い笑顔で、文を見つめる。目の前の笑顔に、文は思わず顔を背ける。
 それは恥ずかしいからでは無い。霊夢の声に帯びた、微かな怒りを感じたからだ。

「私が手に持っているのは、何だか分かる?」
「えーと……箒ですね」
「私が今してたのは、何だったと思う?」
「箒を持っているということは……落ち葉集めでしょうか」
「流石ね文。よく分かったわねぇ」
「あ、あはははは……」

 文は直感的に感じていた。逃げろ、今の霊夢は危険だ、と。
 身体が感じ取る恐怖に、文の口調は取材モードと同様、敬語になってしまっていた。
 逃げなきゃ。そう思えど、身体が動かない。

「あ、文の腹部に御札貼ったから。動けないでしょ?」
「ちょ!? いつの間に!?」
「文がぐへぐへ言ってる間によ」
「言ってません! 誰がこの状況でそんなこと言いますか!」
「はいはい、射命丸射命丸」
「どんななだめ方ですか!?」
「煩い黙れ」
「はい」

 ぴたりと静かになる文。
 もう霊夢は笑顔ですらなかった。かなりキツく睨んでいる。今の霊夢相手なら鬼も裸足で、いや、全裸で逃げ出すだろう。

「問題~誰のせいで集めた落ち葉がまた散ったのでしょう?」
「正解したら許してくれたり……」
「正解したら半殺しを二回で許してあげる」
「私、殺されるー!?」

 落ち葉が散ったのは、文が風を纏いながら勢いよく降りて来たから。
 それが分かっている文は、喚く。

「煩いわね。じゃあ妥協案」
「ふぇ?」
「あんたがちゃんと落ち葉を集めなおしたら許してあげる」
「え?」

 まさかそんな簡単なことで許してくれるとは思って無かった文は、気の抜けた声を出した。
 それを見て、霊夢が不機嫌そうな表情に変わる。

「なによ? それとも眼球五つに増やして欲しかったの?」
「怖っ!? いえ、やりますから! 是非やらせて下さい!」
「それじゃあ、ほら」

 文に箒を手渡し、境内から縁側へと歩く霊夢。
 恐らくはいつもどおり、お茶でも飲んでゆったりまったりするのだろう。
 文は手渡された箒をギュッと掴む。先程まで霊夢が握っていたからか、温かい。

「って私また変になってる!?」
「あ、文。サボったらあんたの下着の色、大声で言うから」
「は?」
「白くて可愛らしいショーツを形とか具体的に」
「うゎぁぁぁぁ!? 何故知ってるんですか!?」
「さっき下から見上げたときに見えたわよ」
「くっ……」

 不覚、と地面に膝と手をつく文。
 それを無視して縁側へとそのまま向かって、霊夢は境内から姿を消した。

「あーもう! やってやりますよ!」

 目に涙を浮かべながら、必死に掃除をする。
 誇り高き烏天狗がこんなに全力で掃き掃除をする姿など、今後一切見れないだろう。



◇◇◇



「ふぃ~やっと終わった!」

 文がバンザイのポーズで叫ぶ。
 散らばった落ち葉を集めるだけ、ただそれだけのことで、簡単に終わるだろうと甘くみていた文は、予想外の落ち葉の多さに、疲労が溜まった。
 身体を大きく伸ばして、骨を鳴らす。

「お疲れ様」
「ひゃっ!?」

 すると突然、労いの言葉と共に頬に冷たい何かがあてられた。
 慌てて文が後ろを向くと、そこにはコップを持った霊夢。

「はい、麦茶」
「あ、ありがとうございます」

 霊夢に手渡されたコップを口に運ぶ。
 疲労した身体に冷たい麦茶は、心地良かった。
 文は一気にコップの中身を空にして、それを霊夢に返す。

「生き返りました。ありがとうございます」
「どう致しまして。とりあえず中に入りましょう」
「え?」
「だって何か用事があって来たんでしょう?」
「あ、あー……はい」

 無意識の内に霊夢の元へ会いに来てたなんて、恥ずかしいことを文が言える筈も無く、とりあえず嘘を吐く。

「そ、そうなんですよ。取材したいことがありまして」
「ふーん、また? 随分暇なのね。じゃあとりあえず入りましょ」


 霊夢に案内されて、茶の間に着く。前回来た時同様、相変わらず簡素な物しか置いておらず、いくら部屋を見渡しても年頃の少女が暮らしているようには思えない程だった。
 卓袱台前に、ちょこんと座る文。
 霊夢はお茶を入れに行った。

「う~ん……前回は箪笥を開けて酷い目にあわされたし……」

 前回来た時は、霊夢がお茶を入れに行っている間に箪笥を開けて、霊夢に熱いお茶を頭からかけられた。
 しかし、おとなしく待っているのは、性に合わない。そう思って立ち上がる文。

「んー何かないですかね」

 ふと文が目をつけたのは、箪笥の裏の隙間にある一冊の薄い冊子だった。

「こ、これは!?」

 手に取り表紙を見ると、そこに書かれていたのは――

『爆発、しちゃうぞ? てへっ☆』という文字。

「ぐはぁっ!?」

 その瞬間、手に持っていた冊子が爆発した。
 もろにくらった文は、それなりのダメージを受けて吹っ飛ぶ。

「あーあー、やっぱり前回同様、何かしようとしてたわね?」
「れ、霊夢さん……これは一体?」
「ちょっと対策に作ってみたの。あれ御札で出来てて妖怪が触ると爆発する仕組み」
「何物騒な物作ってるんですか!?」
「部屋で何かしようとしてたあんたの方が私には物騒よ」
「う……」

 確かに原因は文だ。
 それを突かれて、何も言えなくなる。

「はぁ……ほら、お茶」
「あ、はい」

 霊夢は呆れたように溜め息を吐きながら、文に入れてきたお茶を手渡す。それを素直に受け取る文。

「……」
「……」

 妙な沈黙が生まれる。
 別に霊夢はもう怒っていない。ただ、文が用件を切り出すのを待っている。
 だけど文は、霊夢が怒っていると勘違いしているため、何も話せないでいる状態。文の背中に、嫌な汗が伝う。
 霊夢のお茶を啜る音だけが、室内に響く。
 文も、沈黙に耐え切れずに、誤魔化すようにお茶を口に運ぶ。がしかし、

「熱っ!」
「ちょ、大丈夫!?」

 予想外のお茶の熱さに、驚く。
 文は、自分の唇が段々とヒリヒリするのを感じた。少し、火傷したようだ。
 霊夢はそれを見て、慌てて文の心配をする。文は大丈夫、と言うが、唇をおさえて隠している。

「文、見せなさい」
「だ、大丈夫ですって! 少し熱かっただけですから」
「いいから見せる!」
「いや本当に大丈夫ですから! お騒がせしてすみません」

 かたくなに拒む文。
 文の心情的には、霊夢に迷惑ばかりかけているから、これ以上迷惑をかけたくないというものがあった。
 だけれど霊夢は、それを許さない。

「あ~もう! 人が心配してやってんだからおとなしく言うこと聞きなさい!」
「ふぇ、ちょ!?」

 文の手を取り、唇を見る。しかし、烏天狗の力は強く、すぐに手を払われそうになる。

「あんたの下着のこと、大声で叫ぶわよ!」
「理不尽な!」
「神社では私がルールよ!」
「さらに理不尽です!」
「あんたのことが心配なのよ!」
「ふぁっ!?」

 受け取り方によっては、凄く恥ずかしい台詞に、文は顔を赤くして、抵抗を止めた。
 霊夢はその隙に文の唇を見る。見たところ、軽い火傷のようだが、腫れているかは正直よく分からなかった。

「文、少しゴメンね」
「へ? ゃぅ!?」

 文の唇をそっと人指し指の腹で撫でる霊夢。ふにゃりとした柔らかさ、それでいてしっかりした弾力さが、霊夢の指に伝わってきた。軽い火傷のせいか、唇は少しだけ、熱い。触れた感じでは、腫れてはいないようだ。

「一応、氷持ってきてあげる。待ってなさい」
「は、はい」

 もう文は従うことにした。とりあえず、霊夢が戻って来たら、迷惑ばかりかけた謝罪をしよう。だから今は素直に従おう、と文は思った。
 少ししたら、氷袋を持った霊夢がやってきた。

「この前みたいに膝枕してあげましょうか?」
「け、結構です!」

 からかわれて、少し怒る文。
 霊夢から氷袋を受け取り、軽く唇にあてる。ひんやりとした心地良さが、ヒリヒリした痛みを和らげる。
 ふと、先程のことを思い出す。霊夢の指、冷たくは無かったけれど、何故かあれも少し心地良かったなぁ、なんて考えた文は、

「ぬぁぁぁぁ! 私は馬鹿ですか!?」

 恥ずかしさのあまりに、卓袱台に思い切り頭をぶつける。霊夢が文の突然の奇行に驚いている。

「ちょ、文!?」
「あはは、大丈夫です。持病の自虐ですから」
「嫌な持病ね。というかそれは持病とは言わないわ」

 とりあえずは落ち着いた文は、謝らなければいけないと思い出す。
 正座をしながら、しっかりと霊夢の方へ向く。

「霊夢さん、本当にすみません」
「んー? なにが?」
「なんか私、迷惑ばっかりかけてるじゃないですか」
「あー別に気にしないわよ」
「でも! でも……やっぱり、すみません」
「んー……」

 文はなんだかんだでしっかりしている。
 普段はふざけているが、新聞のときではちゃんとした信念やこだわりを持っていたり、真面目な時は真面目だ。それに、仕事も公私をしっかりと区別して行う。
 周りからは、お調子者のように思われてはいるが、実はかなりしっかりとした人物である。
 そう思われないのは、あまり人前では真面目なトコを見せないからだろう。

「あんたのそんな真面目な態度、なんか違和感があるんだけど」
「失礼な。私は本当に申し訳無いと思ってですねぇ」
「あー分かった分かった」

 軽くあしらうような霊夢の態度に、あまり納得のいかない文。

「でも私は別に迷惑だなんて思ってないわよ」
「それは嘘でしょう」
「嘘じゃない」

 交わる視線。
 文は真剣な瞳だが、霊夢はいつもと変わらない様子だ。

「それに私、文のこと、結構好きよ?」
「なっ!?」
「気軽に話せるし、一緒に居て楽しいし……って文、聞いてる?」

 文はたった一言、好きという言葉に頭がぐるぐるしていた。
 常に記者として客観的立場にいた文は、他人と深く関わることが無かった。もちろん、ちゃんと友人はいるが、他人に好きと言われたのは初めてだった。
 胸が高鳴り、ドキドキする。
 しかし、文はそこで今日がある特別な日だと思い出した。

「う、嘘ですね!?」
「は?」
「今日はエイプリルフールです。わ、私をす、好きなんて嘘に決まってます!」

 霊夢に人指し指をビシっと立てて、そう言う文。興奮しているせいか、頬が赤い。
 そんな文を見て、霊夢は笑った。

「あははっ! 文、あんた可愛い!」
「なっ!?」

 文の態度一つ一つが、あまりにも可愛らしくて、霊夢は目に涙を浮かべて笑う。
 文は馬鹿にされているように感じて、少しだけ怒る。

「ば、馬鹿にしないで下さい!」
「いや、そんなつもりじゃなくて……ゴメンゴメン」

 ポンと文の頭を撫でる霊夢。
 子ども扱いされてるみたいで、恥ずかしさや怒りやらで、文はそれを払う。

「文、私本当にあんたのこと、好きよ? 別に嫌ってないわよ?」
「嘘です! だって、エイプリルフールです!」
「んー文、今何時くらいか分かる?」
「な、何ですか突然?」

 突然話が変わって、戸惑いの色を浮かべる文。
 霊夢は、いいから言ってみなさい、と文に言う。

「えーと……1時ちょいですね」

 文は、知り合いの河童に作って貰った腕時計を見て、答えた。

「文、あんた知らないの?」
「だから何なんです?」
「エイプリルフールは、午前中だけ嘘吐いていいのよ。午後からはアウト」
「え? つまり……」
「さっきの私の言葉は本心よ」

 悪戯っぽく笑う霊夢に、文は顔に紅葉を散らした。
 文の胸の鼓動は加速していく。だけれど、文はこのドキドキがどうして起きているのか、理解していない。

「しっかしあんたがこんなに可愛いとはねぇ……」
「わ、忘れて下さい! お願いしますから!」

 霊夢が文をからかって笑う。それに文が顔を赤くして拗ねたように怒る。
 霊夢と居る限り、文のドキドキは、止まらないだろう。
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