絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

ドキドキあやややや

創想話投稿作品『ドキドキあやややや』
文と霊夢のれいあや話。この組み合わせはかなり好きです。
やっとこの二人を書けて、満足。







 霊夢の目の前に、手のひらサイズの小さな萃香が3人。
 無邪気にケラケラ笑っている。
 霊夢は、その小さな萃香を1人、掴む。
 ジタバタ暴れるミニ萃香。
 他の2人が、助けようと必死になっている。

「きゅ~!」

 ゆっくりと、霊夢は己の口に運ぶ。
 涙目のミニ萃香を、口に運ぶ。
 他のミニ萃香が、泣いている。
 そして、霊夢は、ぱっくんちょ。








「角が口内に刺さる!?」

 勢いよく布団から起き上がる霊夢。
 嫌な汗を大量にかいているのに、それを全く気にしない様子で、とにかく周りを見渡す。

「……夢?」

 どうやら霊夢は先程の出来事が夢だと理解したようだ。
 安心したのか、小さく息を吐く。
 そして、寝間着からいつもの巫女服に着替える。
 障子を開くと、天気は良好だ。眩しい陽射しが寝起きの霊夢には少し厳しい。
 そのまま霊夢が縁側へと向かうと、いつも自分が座っている場所にある人物が居た。

「あ、起きましたか?」
「何であんたがいるのよ?」

 にへらとした笑顔で、霊夢に話し掛けてきた人物は、射命丸文だった。

「いやぁ、ちょっと強制取材……じゃなかった、取材しにきました」
「今強制って言ったわよね?」
「いえいえ、ただ八意永琳さんの新しい薬品を試してみたくて」
「薬品? お断りよ」
「あ、もう試しちゃいました~」
「……は?」

 物凄い良い笑顔の文とは対象的に、何を言っているのか分からないといった表情の霊夢。

「夢見が良くなったり悪かったりなんやかんやあったりしちゃうとかいう薬です」
「あれあんたのせいか!? 寝ている私に飲ませたの!? ていうか何そのアバウトな薬!?」
「いえいえ、飲ませてませんよ。塗り薬ですから」
「塗ったの!?」
「……霊夢さんって、意外と着痩せするタイプなんですね。私ときめいちゃいましたよ」
「あぁぁぁぁ消えてしまえ! あんたは消えて無くなってしまえ!」

 わざとらしく頬を手で抑え、きゃーきゃーしている文。霊夢が顔を真っ赤にしているのは、怒っているだけが理由ではないだろう。博麗の巫女といえど、まだ少女だ。身体を寝ている間に触られたとなれば、恥ずかしいことこの上ない。
 霊夢のポカポカ殴る攻撃を、文は笑いながら余裕で受け止める。
 そんなやり取りを、霊夢が息切れになるまで続けた。

「で、どんな夢を見ましたか?」
「ここで教えたらあんたの一人勝ちになるから絶対言わない」

 不機嫌な色を浮かべて、そう言い放つ霊夢に対して、文は妖しく眼を光らせた。よく見ると、口元も歪んでいる。

「なら、仕方無いですねぇ……」
「な、なによ?」

 ジリジリと近寄る文。
 嫌な予感がした霊夢は、速攻逃げる。がしかし、幻想郷最速の文から逃れることなんて出来るわけが無く、

「つ~かま~えま~したっ!」
「きゃぁ!?」

 背後からギュッと抱き締める文。

「離せ変態!」
「予想外の攻撃っ!?」

 霊夢は思い切り頭を後ろに、文の顔面に後頭部をぶつけてやった。
 文は痛みのあまりに、顔を抑えながら床をゴロゴロ転げ回っている。

「いたーい!」
「煩い!」

 霊夢は、転げ回っている文に対してさらに蹴りを入れた。

「うぐぅ! 普通心配しませんかぁ!? 追加攻撃は無いでしょう!?」
「あんたはこれくらいでやられるタイプじゃないって、私信じてるわ。文はとっても強いもの!」
「それ別の状況で聞きたい台詞でしたよ!? 今の状況じゃ、さらに追加攻撃がくる予感しかしませんよ!」

 それなりに本気で喚く文を、笑いながら蹴り続ける霊夢。
 とはいっても、そんなに本気で蹴っているわけではない。足を振り回しているといったような感じである。

「痛い痛い! だから、痛いですって!」
「あはははは」

 それを文も分かっている。だからこそ文は、わざとらしく喚く。霊夢も文も、この状況を適当に楽しんでいる様子だ。端から見れば霊夢が文をいじめているように見えるが、二人にとっては、ただのじゃれあい程度にしか思っていない。

「はぁ……ほら」
「へ?」

 しばらくして、蹴りがやむ。そして霊夢は、蹲っている文へ手を差し出した。

「せっかく来たんだからお茶の一つくらいは入れるわよ。ほら、立ちなさい」
「あ、はい」

 文は差し出された手を握って、立ち上がる。霊夢の手のひらは、まだ若い少女そのものの手で、ぷにぷにとマシュマロのように柔らかく、それでいて心地良い温かさだった。

「ちょっと」
「はい?」
「いつまで握ってるのよ?」
「ふぇ?」

 霊夢にそう言われ、文は今の状況を確認する。
 既に立ち上がった文だが、未だに繋いでいる手。そんな文をじっと、見つめる霊夢。

「わわっ! す、すみません!」

 状況が掴めた文は、振り払うような勢いで、慌てて手を離す。

「別にそんな謝んなくてもいいけど……」

 霊夢は、珍しく慌てた様子の文を、少し不思議そうに見る。文は、あはは、と笑って誤魔化す。

「ほら、中に入りましょう」
「別に私は縁側でもいいですけど」
「私が嫌なの。寒いから」
「あーはいはい。分かりました」

 霊夢が茶の間に向かって歩きだす。それを追うようにして、文も歩く。

「あ、私なんだかんだで茶の間入るの初めてな気がします」
「あーそうかもね。ていうかあんたと2人きりっての自体珍しいわね」

 文が博麗神社へやってくる時は、大体が宴会時だ。なので、こうして霊夢と文、2人だけでゆっくりとした時間を過ごしたことは無い。
 卓袱台前に、ちょこんと座る文。
 霊夢は、お茶を入れに行った。
 文は室内を見渡す。
 部屋には最低限暮らしに必要な物があるだけで、少女らしい物は何一つ無かった。木製の箪笥や、目の前の卓袱台など、簡素なものである。

「う~ん、何か面白い物はないかな~」

 文は、こっそりと箪笥の一番上を開けてみる。

「こ、これは!?」

 中にはさらし、ドロワーズ、ショーツなど下着が入っていた。

「よし!」

 文は、『霊夢の下着』を手に入れた。
 手に入れた『霊夢の下着』にニックネームを付けますか?

「う~ん、何にしよう……トンヌラなんて名前はどうだろうか……って、これ私変態じゃない!?」

 下着を右手に握りしめ、叫ぶ文。
 我に返ったようだ。

「あんた……」
「はっ!」

 背中に感じる異様な殺気に、文は振り向こうとして――やめた。振り向いたら、鬼より恐ろしいものが、あるような気がしたから。

「こ、これは違うんですよ?」
「……」

 文の背中に嫌な汗が伝う。これは、純粋な恐怖からくるものだ。
 霊夢は無言である。それがまた、恐ろしい。

「霊夢さんが誤解してるようなことは一切なくてですね……」
「とりあえずさ」
「ひゃ、ひゃい!?」

 やっと言葉を発した霊夢。猫を撫でるような優しい声が、文にとっては気味が悪くて、恐ろしくて、思わず変な声を上げた。

「言い訳するなら、せめて」

 霊夢が動くのが、文には分かった。
 見なくても、分かった。
 けれども、文は動けない。

「その右手に握ったままの私の下着を置いてからしろ!」

 霊夢は持っていたお茶を、文の頭に、かけてやった。
 入れてきたばかりのお茶は、それはそれは熱いもので。

「あっつーい!? 殴ってくれた方が良かったんですけど!? 熱い熱い!」
「いや、殴って文の綺麗な顔に傷残したら、私最低じゃない?」
「むしろ火傷のあと残す方がタチ悪いです!」

 文は熱い熱いと喚きながら、転げ回る。

「分かったわ。じゃあ殴ることにする」

 拳を振りかぶる霊夢。凄い笑顔で、振りかぶる。

「ちょ! ギブアップですって!」
「幻想郷最速なら大丈夫よ」
「それ今関係無いでしょう! 速さ関係無い!」

 ちょっと涙目になって必死な文を見て、霊夢は拳を下ろす。

「もう、冗談半分に決まってるでしょ」
「半分本気だったんじゃないですか!?」

 とりあえず文のために氷を持って来る霊夢。
 ひんやりとした冷たさが、文にとっては今最高の幸せだった。

「お茶入れ直して来てあげるけど、いる?」
「いりません。熱いのもう勘弁です」
「いや、今度はかけたりしないわよ?」
「いりません。今はひんやりとしていたいです」

 文はまだ寝転がったままで、立ち上がる気配は無い。よほど効いたのだろう。
 少し罪悪感が沸いた霊夢は、

「よいしょ、っと」
「れ、霊夢さん!?」

 文に膝枕をした。
 畳にずっと寝転がったままでは、痛いだろうと思ったからだ。
 霊夢は、文を仰向けに、膝の上に乗せる。
 文の後頭部に、柔らかい感触。長い年月を生きてきた文だが、こんなことをされたのは初めてだった。少し、ドキドキする。

「んー少しやり過ぎたかしらね。ゴメン」
「い、いえ、元は私が悪いんですし……」

 妙な沈黙。
 霊夢はやり過ぎたかという罪悪感、文は今この膝枕されている状況に緊張。
 互いに、何も話せない。
 文の頭部には、霊夢が氷を入れた袋をあててくれている。
 十分に冷えた氷が冷やしてくれているのに、文の顔は熱くなっていた。
 恥ずかしいから膝枕をやめて欲しいという気持ちと、もう少しこのままでいたいという気持ちが、文の中にある。

「えと、霊夢さん」
「な、なに?」

 沈黙を破ったのは文からだった。

「えーと、そのですねぇ……」

 だけど、気まずいから声を発しただけで、何を話すかは考えていなかった。
 しかも、文は仰向けだから必然的に霊夢としっかり目が合う。そのせいで、また顔に熱がいってしまう。

「あ、あはは」

 文は、笑って誤魔化してみた。

「何笑ってんのよ? ていうか今さらだけど、あんた何で敬語なのよ?」
「え、あ、一応今日取材で来てましたから」

 霊夢の方から適当な話題が出たから、文はそれに乗っかる。

「今は別に取材してないんだからいいんじゃない?」
「う~ん、いちいち切り換えるの面倒ですから今日一日はこれでいきます」
「あっそ。まぁ好きにしなさい」

 普段のような会話のおかげで、文はなんとなくリラックス出来た。

「ふぁ……」

 しかし、今度はリラックスしたせいで、眠くなってきた。
 色々疲れた上に、膝枕が気持ち良いから、思わず欠伸をしてしまう。

「ちょっと、あんた寝る気?」
「すみ、ませ……」

 瞼が重いのか、ウトウトしている文。霊夢はそんな文の髪を、そっと優しく梳く。その心地良さに、文は完全に眠りについた。

「寝顔は、ただの可愛い少女ねぇ……」

 瞳を閉じて、安心しきった表情を浮かべながら眠る文は、とても強い力を持つ妖怪には見えない。
 文の穏やかな寝息を見て、霊夢は笑みを浮かべた。



◇◇◇



「えーと……すみません」
「んー? 別に良いわよ」

 文が目を覚ました時には、もう外は闇に染まり、星と月だけがあかりの役割を持つ時刻となってしまっていた。

「どうせなら泊まっていけば? あんた鳥目でしょう?」
「え!? 流石にそこまで迷惑をかけるには……それにそんな鳥目と言う程でも……」
「何遠慮してるのよ? らしくないわね」

 霊夢にそう言われ、結局泊まることになってしまった文。

「あ、客人用の布団は干してなくて、使える布団一つしかないから一緒に寝ることになるけどゴメンね」
「あ、あはははは……」

 膝枕でさえあんなにドキドキしたのに、一緒の布団で眠るなんて出来るだろうか、と文は渇いた笑いを浮かべながら、そう思った。

「あ、お風呂はいつ入る?」
「え!? 一緒にですか!?」
「そんなわけ無いでしょう」
「ですよね」

 文は、ホッと息を吐く。

「何? 一緒に入りたかったの?」
「ち、違います!」

 ニヤニヤしながら、からかう口調で言う霊夢に対して、文は少し顔を赤くしながら、否定する。
 文のドキドキは、まだまだ続くようだ。
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