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絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

もしもレッスン

とってもとっても久し振りに、自由すぎる感じの小ネタで。ミリオン小ネタ。
「もしもレッスン?」
「何それ?」

 スタジオを借りて自主レッスンを行っている中、翼が提案した。もしも○○だったら、というお題に即興で演技をしてみせるというもの。なんでも、プロデューサーに遊び感覚でもやれるレッスンだとアドバイスされたらしい。
 その内容を聞いて、百合子と杏奈、そして未来と茜は面白そうだと乗り気になる。志保と琴葉も演技と聞いて、少しだけ興味を示した。静香は正直、ダンスレッスンをしたかったためあまり気分の乗るものではなかった。けれども、みんながやる気を出している中、水を差すのもどうかと思い、少しくらいならとやってみることにする。

「けど、誰からやるの?」
「そもそもお題どうする?」

 未来と茜の疑問に、翼はどこからかボックスを一つ取り出した。翼曰く、この中にはいろんな人物名とお題の組み合わせが書いてある紙が入っているとか。それを引いて、考える時間も与えずに即興で演技を行うという。
 ぴりぴりっと、謎の緊張感が走る。
 まず誰から引くのかという空気に、みんなが視線をやり合う。
 そんな中、ほぼ同時に手を挙げた者がいた。志保と静香だ。お互いに同時だったことがやや気に喰わないのか、睨み合う。
 だが、既に手を挙げてしまったのだから、引き返せない。二人同時だったため、二人で一つのお題を演じることになった。
 志保が引いたお題は――


『もしも本当は姉妹だったら』



「志保、私たち……同じユニットとしても活動したし、時には喧嘩もしながらお互いライバルとして切磋琢磨してきたって、個人的には思ってる。もうそれなりに親しいって、私は感じてるんだけど……どう思う?」
「何よ急に、気持ち悪い。何が言いたいの?」
「今だからこそ言える、きっと志保なら受け入れてくれるって思う。実は私、志保にずっと隠していた………………クイズがあるの」
「は?」

 静香が珍しく神妙な面持ちで言葉を紡ぐものだから、志保はどこか警戒していた。しかし、静香の口から発せられたのは、予想していたよりはるかにくだらないものだった。
 拍子抜けして、気の抜けた声が漏れてしまうくらいに。

「くだらないわね、どうでもいいわよ」
「じゃあそのクイズ、出してもいいのね?」

 目を輝かせて喜ぶ静香に、心底どうでもいいと言わんばかりの志保の態度。対照的である。
 けれど、そんな志保を気にすることなく、静香はクイズを出し始める。

「それじゃあ、第一問。私と志保は、実は血のつながった姉妹である。マルかバツか?」
「……頭おかしくなったわけ? 何よ、そのクイズ」
「持ち時間は十秒よ。ほら、答えなさい。それとも何、志保は降参するわけ?」

 わざとらしく挑発され、志保はわかりやすいくらい苛立つ表情をしてみせた。

「バツよ。バツに決まってるでしょ。気持ち悪いこと言わないで」
「残念、不正解!」
「はぁ!?」
「ペナルティとして、志保の弟が一人増えます」
「どういう意味よ!? あと人の弟をキングボンビーみたいな罰的な存在に扱わないで!」
「続いて、第二問! 志保のいつも大切に持っている、その黒猫のストラップは……一体いつどこで入手したものでしょうか?」

 志保の動揺をスルーし、なおクイズは続く。
 静香の考えがまったく読めない志保は、明らかに余裕なんてなくなってきているのがわかる。
 しかも新たに出題されたクイズ、それは志保にもわからない問題だ。志保が幼い頃から、物心ついたときからいつの間にか持っていた、黒猫のストラップ。それを志保は「わからないけどきっと大切なもの」として認識し、大切にしてきた。

「……そんなの、わからないわよ。私だって、知りたいくらいなのに」
「ライフライン使う?」
「何よ、ライフラインって!?」
「テレホンしかないけど。はい、もう電話繋がってるから」
「……もしもし?」

 スマートフォンを手渡され、志保は納得いかない表情のまま通話に出る。すると電話越しに、やや低い男の声(CV:最上静香)のようなものが聴こえてきた。「元気にしていたか」なんて言葉とともに。(注:あくまで静香)
 この流れで、知らない男性。志保はある一つの結論に、至る。

「も……もしかして、お父さん?」
「いや、志保ちゃんのお祖母ちゃん家のお隣の人だよ」
「誰よ!?」
「覚えてない? これでも昔はよく、志保ちゃんの遊び相手もしてたんだ。実はその黒猫のストラップなんだけどね、昔に私が近所の駄菓子屋で買ってあげたものなんだよ。それじゃ、元気でね」
「あ、ちょっ、ま!」

 一方的に会話を打ち切られ、しかもいらん事実を明かされて今までに見たことのない顔になっている志保がそこにはいた。

「志保? 続いて第三問いくわよ? 志保がもし男の子だったら、どういう名前にしようとご両親は思っていたでしょうか!」
「……まだあるの? もう充分すぎるんだけど」
「ゴンザレス、ブラックハヤテ、ゴローニャ、さあどれ?」
「…………その中に、正解があるの?」
「この中に正解があるわ」
「知りたくなかった事実がどんどん……。どれも嫌だけど、ぶ、ブラックハヤテ?」
「残念! ゴンザレスでしたー!」
「うあああああああ!? よかった、私今ほど女の子に生まれて良かったって思ったことないわ」
「続いて、最後の問題――」
「っ! いいかげんにして!」

 声を荒げ、静香の手をはたく。
 嘘か本当かわからない、でもわざわざこんな嘘を吐く理由もない、そんなクイズに志保はもう限界だった。

「志保、最後まで聞いて」
「嫌よ! もうたくさん!」
「最後の問題はね……最近志保にどうやったらもっと構ってもらえるか、志保と仲良くなれるかを考えた結果不器用なクイズを作ってしまった。つまりは今までのクイズはすべて、志保に構ってもらいたくて吐いてしまった私の嘘である……マルか、バツか?」
「っ!?」

 静香の申し訳なさそうな、そしてどこか気恥ずかしそうな表情を見て――志保は察した。
 まったくこのうどんはどこまでもバカなんだから、なんて心の中でぼやきながら、答えのわかりきった最後のクイズに答える。

「マル!」
「残念不正解!」



◇◇◇


「どうだったかしら」
「静香の無茶振りに付き合った割には、やりきったと思うけど」
「なんで二人は、コント始めちゃったの? 逆になんでそんな即興でできちゃうの?」

 無駄にやり終えた顔をして終わりを告げた静香と志保に、茜としてはツッコミを入れざるをえなかった。
 しかしそんなツッコミも虚しく、静香も志保も無駄に満足気な様子のままだ。

「次、杏奈……やります」
「あっ、杏奈ちゃんがやるなら私も!」
「それならわたしもやっちゃおうかな~」

 続いて手を挙げたのは、杏奈と百合子、さらに翼だった。
 翼が楽し気にお題ボックスから引いたのは――


『もしも幼い頃に出会っていたら』



「いやーでもまさかこうしてアイドルになって、二人と再会するなんて思わなかったよ。最後に会ったのって、八年くらい前だっけ」
「よく言うよねー百合子ちゃん。あたしと杏奈のこと、最初はわからなかったくせにー」
「杏奈、ちょっとショックだった……よ?」

 昔を懐かしむ百合子だが、二人からのジト目に露骨に目をそらした。
 もう八年も前のこと、しかも少しの間だけしか一緒に居なかった三人だ。それなのにアイドルになって、同じ事務所で出会うというのは一つの奇跡のようなものだろう。

「ぐっ、で、でもさ! こうやってまた会えるなんて、凄く運命的だって思わない? しかもみんな、アイドル目指してるだなんて。二人はどうして、アイドルに?」
「うーんとね、なんだかきらきらしてて、楽しそうだな~って思ったから」
「あはは、翼は昔から変わらないね」
「杏奈は……歌、好きだから」
「杏奈ちゃんも、変わらないね」

 たとえ成長しても、根本は変わらない二人に、どこか安心感を覚える百合子。

「そういう百合子ちゃんは?」
「私も変わらないよ。そう、あの日の約束を果たすため」
「……約束?」

 杏奈は首を傾げ、頭に疑問符を浮かべる。てっきり自分だけが忘れているのかと思いきや、同じように翼も思い当たることがないような顔をしていた。

「忘れちゃったの? 三人で約束したでしょ、あの土砂降りの雨の中無力さに打ちひしがれて、みっともなく涙を流しながら私言ったじゃない。絶対にアイドルになって、この世界を変えて見せるって。こんな悲しくて辛いこと、この世界から失くしてみせるからって」
「……そ、そうだったね」
「ゆ、百合子さんも……変わらない…ね」

 翼と杏奈の口元が、少しだけ引き攣った。
 けれども百合子は、止まらない。

「今はまだまだアイドルとしてのレベルが低すぎて、あの日の約束を果たせそうにないけど。それでも私は! あの日の悲劇を繰り返さないために! この生まれ持った、風を身に纏う特殊能力とともに、世界を絶対に変えて見せるから――」



◇◇◇



「はい、ストップ。強制終了だよ、ユリッチ。翼ちゃんと杏奈ちゃんの顔を見てみよう? 物凄く、余計な設定付けたしやがってみたいな顔してるから」
「……へ? あ、あれ? 私もしかして、妄想が暴走してました?」
「百合子ちゃん……」
「百合子さん……」
「や、やめて二人とも! そんな目で私を見ないでぇ!」
「途中までは良かったのに、惜しかったわね」

 茜に止められ、琴葉には苦笑い気味に惜しかったなんて言われて、さらには翼と杏奈の何とも言えない目である。百合子は本で自らの顔を隠すしか、できなかった。
 そんな中、既に未来が勝手にお題ボックスへ手を突っ込んでいた。

「じゃあ次、私いきまーす!」

 未来が周囲を気にせず、勝手に引いたお題は――


『もしも自分が犬だったら』





「わぉーん! くぅ~ん……」





◇◇◇



「でへへ、どうだったかな? 上手くできたと思うんだけど」
「それで終わりっ!? 確かに物真似としてクオリティは高かったし、未来の可愛さが増していたけど……お遊戯じゃないんだから」
「茜ちゃんとしては、真っ先にコントに走ったモガミンが言えたことじゃないって思うよ、その台詞。そしてしほりんが小さな声でかわいいって呟いたのを、茜ちゃんは聴き逃さなかったよ?」

 未来は静香に頭を撫でられ、志保に顎を撫でられるという完全に小動物のような扱いを受けている。しかも未来が別に満更でもなさそうな表情なので、周囲の誰も止める気にならなかった。
 思わず、天を仰ぐ茜。やべえ、ツッコミが圧倒的に足りない……と。そもそも最初は単独でやる流れだったのに、未来以外は団体参加。それに加えて、複数人用のお題っぽいのも都合よくでるわけで。もはやどこからツッコミを入れて良いのか、わからなかった。

「仕方ない、ここは茜ちゃんがバシっと決めるしか」
「ごめんなさい茜ちゃん、私もうお題引いちゃって」
「えぇー……唯一の良心だと思ってた、琴葉ちゃんまで自由行動しちゃうの」
「でも一人用のお題っぽくなかったから、もしよかったら茜ちゃんも一緒にどうかな?」
「もうっ、仕方ないなぁ。ここは茜ちゃんが一肌脱いであげるとしよう」
「ありがとう、茜ちゃん。ちなみにお題はね――」



『もしも相手に熱すぎるくらいの恋心を抱いていたら』



「ごめんね、茜ちゃん。こんなところに呼び出しちゃって……」
「ううん、大丈夫だよ。なんせ茜ちゃんは優しいからね! どんなとこにだって、琴葉ちゃんのためなら出向いてみせるさっ!」
「それでも、こんな既に鍵を閉め終えてる私の部屋にいきなり呼び出しちゃって、本当にごめんね」
「待ってちょっと茜ちゃんの心に困惑が生まれたよ?」
「どうしても二人きりで話をしたかったの」
「そ、そっかぁ……それなら仕方ないのかな」
「ふふっ、そういうなんだかんだでなんでも許してくれちゃう茜ちゃんの優しいところ、私は好きだな」

 穏やかに笑う琴葉につられて、茜も笑う。
 するとそこで茜は、気付いたことがあった。いつの間にか、腰に腕を回されているということに。抱きかかえられるように、体が近い。
 ふわりとした琴葉からの良い匂いに、思わずそのまま身を任せたくもなってしまう。

「……ちょ、ちょっと近いかなーって」

 けれどそこは、理性が勝利する。茜は笑いつつも体を動かして、脱出をしようと試みた。だがそれよりもずっと、琴葉の抱き寄せる片腕の方が力強かった。
 近いって琴葉ちゃん少しだけ離れよう。
 たまには私も茜ちゃんを見習ってスキンシップを。
 それはいいことだよでも茜ちゃんも照れ屋さんだからこれくらいで。
 照れてる茜ちゃんって可愛いわよね。
 茜ちゃんはいつでも可愛いからねでも待ってホント琴葉ちゃん胸が。
 離れようとする茜と、引き寄せる琴葉のバトル。
 ぐいぐい。
 ふにゅむにゅ。
 じたばた。



 数分後、そこにはいつの間にか本気のやりあいになって、息切れしてる二人の姿が!


◇◇◇



「ぅっはぁ! さ、さすがの茜ちゃんも、もう……体力が」
「ふぅ、はっ……茜ちゃん、覚悟を決めてくれたのね」
「え、ゃ、そこお尻だから! 茜ちゃんのキュートなお尻だから! やめっ……!」

 腰に回していた腕が、少しだけ下に。
 慌てる茜だが、目の前の琴葉はいつの間にか役に入りきってしまっている。元から完璧を追求し続ける琴葉だからこそ、なりきってしまっているのだろう。
 抵抗しようにも、抱き寄せられる側の茜の方が体力の消耗が激しくて。思うように動けない。

「ちょ、誰かヘルプ! 茜ちゃんに救いの手を――って、みんないつの間にか居ないし!?」

 気が付くと、周囲には誰もおらず。一枚の紙に『お腹が空いたのでお昼先に行きます。あと巻き込まれたくないので』とだけ。
 危険察知能力高い子たちだなこんちくしょう、と心の中で叫ぶ茜。

「さあ、茜ちゃん。今はそんな紙切れよりも、私を見て」
「琴葉ちゃん正気に戻ろうか! そしてまずは、茜ちゃんのお尻を揉み続けるのはやめようね!?」
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