絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

未来と静香と志保のお話

ついったーでよく垂れ流してる妄想の中から、一つ小ネタを。未来と静香と志保のお話。

その1~『静香と志保が未来を泣かせてしまうお話』



「はぁ……」

 誰にだって、ツイてない日というものがある。
 未来にとっては今日が、まさにそういう日だった。何もかもが上手くいかないし、朝から夕方に至る現在まで不調続きだ。レッスンでは失敗ばかりだし、道を歩けば勢いよく横を通り過ぎたトラックによって水たまりをぶちまけられたり、服が汚れたからお気に入りのジャージに着替えたら膝のあたりに穴があいてしまっていたり。とにかく、ツイていなかった。
 珍しく、暗い顔でため息をなんて吐いてしまうレベル。

「戻りましたー」
「し、静香さん~……喧嘩は、その」
「志保ちゃんも、ほ、ほら落ち着いて」
「星梨花、ごめんね。ちょっと今は引けないわ」
「可奈、私は充分落ち着いているわよ」

 シアターの事務所へ戻ってくると、そこには明らかに不穏な空気。睨み合っている静香と志保の傍で、困ったようにわたわたしている星梨花と可奈が居た。普段なら、奈緒や美奈子といった年上組の誰かが止めに入ったりもするものだが、あいにく今は他に誰も居ない様子だった。
 ただでさえ暗い気分の中、喧嘩している姿なんて見せられてしまっては未来の気分はより下がる。可奈と星梨花は未来に気付いたようで、助けを求めるような視線を投げてくる。
 未来も勿論、無視しようなんて思っていなかった。それに二人が助けを求めているわけで、それを放置するほど未来は非情でもない。
 だからわざとらしく、志保と静香の間に体を割り込ませて、まずは自分の存在を認識させる。
 静香も志保も、突然現れた未来に邪魔をされたように感じ、不快そうな顔を見せた。けれど、未来は負けない。こほんと一つ、咳払い。

「もうっ、志保も静香ちゃんも、可奈と星梨花が困ってるでしょー。だめだよ、いつもいつも喧嘩ばっかりしちゃ」
「何よ、突然出てきて……事情も知らないくせに」
「そうよ、引っ込んでて未来。これは私と志保の問題なの」
「そうは言っても――」
「何度も言わせないで。これは私と志保、二人の問題。未来は黙ってて」
「大体、いちいち私たちのことに首を突っ込んでいる時間があるなら、レッスンの一つでもしてた方が有意義よ」
「い、いやでも――」
「あぁもうっ、本当放っておいて!」
「そうね、こればっかりは静香に同意見だわ。静香と一緒とか、気持ち悪いけど」
「っ! 志保はそうやっていつも……!」

 静香にしろ志保にしろ、未来には関係ないと一蹴。そして何事もなかったかのように、未来を間に挟んだまま、口喧嘩を再開した。
 両隣から聞こえてくる、お互いを殴り合うような言葉の掛け合い。そして止めようとしたけど、失敗したという事実。今日何度目かわからない、失敗だ。ここまでの不運の積み重ねだけでも、心がボロボロだったのに。ダメ押しかのように、友人たちの喧嘩を止められず、さらにはその友人たちから関係ないだろとの突き放し。
 未来はもう、限界だった。
 そして――
「うえぇぇぇぇ……ひ、っぐ、ぁあぁぁあ!」

 めっちゃ、子ども泣きだ。
 瞳からはぽろぽろと大粒の涙を零し、ひっくひっく肩を震わせて泣き始めた。目の前で突如泣き始めた未来に、静香も志保も驚き固まる。星梨花と可奈にしても、それは衝撃的なものだった。

「も、ゃだぁ……よぅ…………うぐっ、ぇえぇぇっ!」
「ちょ、ちょっと未来、どうしたのよ? え? 私たちのせい?」

 静香からすれば、未来が泣いた原因は自分たちにあるのではないかと思ってしまう。未来の今日の不運を知らないと、そうなってしまうだろう。実際、たまりにたまった結果、こうなってしまったわけだが。それでも静香と志保がとどめを刺したことは、事実である。
 その場に居る誰もが、おどおどとしてどうすれば良いのかわからない。こんなことは初めてだった。
 そんな中、真っ先に動いたのは静香だ。
 泣きじゃくる未来に、そっと手を伸ばし――
「その、ごめんなさい未来。言い過ぎたわ。本当ごめ――」
「えぐっ、しず、かちゃ……や、だぁ……」

 けれども、その手は未来に弾かれた。弱々しく、けれども明確な拒絶の意を持って、手をぺしっと弾かれたのだ。

「っ!?」

 普段、割と誰にでも大好きだの笑顔を振りまいたりだの抱き着いたりだのをしている未来だからこそ、その未来に泣きながら拒絶されるという事実は、静香の心を削った。凄まじい破壊力だった。

『でへへー大好き、静香ちゃんっ!』
『だって、静香ちゃんが頑張ってるから』
『静香ちゃんは、私にとっていちばんのアイドルだもん』

 まるで走馬灯のように、静香の脳内を未来との思い出が駆け巡る。
 いつも笑顔で笑いかけてくれた、落ち込んだときは励ましてくれた、傍にいるだけで安心感を与えてくれた。そんな未来からの、拒絶。嫌われたかもしれないという、思い。そこまで考えて、静香は――
「がふぁっ」

 その場に崩れ落ちた。
 慌てて可奈と星梨花が駆け寄り、倒れた静香を支えようとしている。
 その様子を見ていた志保は、少しだけ嫌な汗を流す。未来と一番の仲良しであろう静香でさえこの結果、一体何を言えばこの場は正解なのか、志保にはわからなかった。
 けれど、このまま無言でいるわけにはいかない。
 意を決して、志保は口を開く。

「な、なんで未来が泣くのよ。たしかにちょっと、言い過ぎたかもしれない。そのことは謝るけど……結局は私と静香の二人のことで、未来が泣く必要はないじゃない」

 志保にとっては、謝罪をしつつ未来に泣く必要性はないと説く、無難かつ悪くない言葉をチョイスした。しかも静香みたいに手を伸ばしたりなんてしないことで、拒絶を防げる。そのはずだった。

「うぇ、ぐ……しほ、ぅ、きらぃ……」

 しかし、言葉による拒絶で、そんなものはいとも容易く崩れ去った。
 涙を浮かべながら、弱った声で、至近距離で嫌いを言われた。その破壊力は、オーディションで十連勝するよりもずっと凄まじかった。

『ねーねー志保! これ志保に似合いそーだよ! 私とお揃いで買おうよ!』
『志保、お誕生日おめでとー! せっかくだから、どっか寄り道して帰ろうよ!』
『お願い聞いてくれるの!? えっとね、えっとね!』

 まるで走馬灯のように、志保の脳内を未来との思い出が駆け巡る。
 人懐こい態度に救われた、その無邪気さを羨ましいとさえ思ったこともある、たまに甘えられるのも嬉しかった。そんな未来からの、嫌いという言葉。もう二度と、自分には笑顔を見せてくれたりしないんじゃないか。失って初めて気付く、その存在の大きさ。そこまで考えて、志保は――
「かふっ……」

 膝から崩れ落ちた。
 静香を介抱していた可奈と星梨花は、焦りながらも志保の方にも手を伸ばす。

「戻ったよー」
「ただいまー……って、なんやこの状況」

 そこで、奈緒と美奈子が戻ってきた。

 泣きじゃくっている、未来。
 倒れている、志保と静香。
 それをなんとか介抱しようとしている、可奈と星梨花。

 事情を知らない者からしたら、わけのわからない空間がそこには広がっていたわけで。
 結局その後、未来にちゃんと謝罪をし許してもらった志保と静香は、二度と未来の前では喧嘩をしないと誓ったそうな。





 その2~『志保と静香のその後のお話』



「まったくもう、志保は」
「……いや、やめましょう、静香。この前のときみたいになったら、どうしようもないわ」

 口喧嘩が始まりそうな空気だったが、志保がため息交じりに切り上げた。その言葉に、静香もハッとして反省した表情を見せる。
 今は二人しかいないが、誰が戻ってくるかもわからない。この前みたいに、未来が戻ってきて、喧嘩をしている姿を見せるなんてしたら何も反省していないことになる。二人は未来の泣いている姿、拒絶されたときのことを思い出し、胃が痛くなった。あれから時間は経っているものの、未だに二人の心にはあの傷が残っている。もう二度と、あんな過ちは犯さないと思うくらいには。

「けど、意外ね」
「何が?」
「以前までの志保なら、あのとき未来を放っておいてどっか行っちゃいそうなイメージだったもの」
「それは……最初の頃なら、そう、かもしれないけど。未来には、いろいろ助けてもらったから。それに……」
「それに?」
「と、友達が泣いているのに、放っておけるわけないでしょ……」

 言い辛そうに、ぼそぼそとした声で志保は零した。
 そんな見たことのない志保の姿に、静香は驚く。随分とあの狂犬が丸くなったものだ、なんて自分のプロデューサーへの態度は棚にあげて、そう思った。しかし、静香は正直、あんまり志保と未来が一緒に居る姿を目撃したことない。だからこそ、より意外に感じられたわけだが。
 黙ってぽかんとしている静香に、気恥ずかしさを誤魔化しながら「何よ、悪い?」と睨み付けながら言う志保。

「ううん、そんなことはない。むしろ仲良くするのは良いことだと思うし。ただ志保と未来が一緒に居るところ、ほとんど見たことなかったから」
「そういえば、私と未来が一緒のときって、静香を見かけない気がするわね。結構未来には、オフに誘われたりするのよ」
「なんというか、未来が誰かを誘うっていうのは想像がつくけど、それに志保が付き合うっていうところがあんまりイメージできない」
「失礼なやつね。私だって、普通に誰かと遊びに行ったりするわよ。未来とはショッピング行って、お揃いのアクセ買ったり」
「なっ!? 私は未来と翼とで、一緒にクリスマスイブを過ごしたわよ?」
「いや、なんの張り合いよ……」

 よくわからない反応をしてきた静香に、呆れる志保。
 未来と静香の仲が良いことなんて、志保も分かりきっている。けど、以前未来が他の誰かと楽しそうにしているところを、捨てられた犬のような寂さを纏って見つめていたのを知っている。
 普段、コミュニケーションやら仲間としての絆やらを主張するくせに、自分の一番大切な相手が他の誰かと仲良くしていると嫉妬するなんて。本当、面倒なやつだ。志保は心の中で、そう愚痴った。
 しかし、何故かどや顔の静香に、心がイラッとするのも事実だ。

「そういえば静香、クリスマスイベントのときに可奈とデュエットしてたでしょう? 仲良く、腕組んで楽しそうに」
「そ、それが何?」
「実はあのとき裏で、未来がちょっと拗ねたように私にデュエットせがんできたのよ。頬をぷくって膨らませて、私に抱き着いてきて。不覚にも、あのときの未来の態度は珍しいものもあって、可愛いって思ってしまったわ」
「くはっ!?」

 イラッとしたから、志保はちょっと反撃してやった。
 だが思ったよりも静香の心にダイレクトアタックだったようで、アイドルがしてはいけないような顔をしている。ちょっと考えれば、拗ねていた理由は静香が可奈とデュエットをしてことに対してなのだから、想われているということで良いことではあるのだが。今の静香には、そこまで頭を回す余裕がなかった。
 頬を膨らませて拗ねた様子の未来というものを見たことがなく、なおかつそんな状態の未来に抱き着かれたこともない。ただただそのことに対して、志保に負けたと感じてしまっている。ここに第三者が居たなら、いやそもそもそんなことで勝ち負けを争うなよとツッコミを入れているだろう。

「わ、わ、私は……未来に大好きって言われたわよ」
「あの子、結構いろんな人に大好きって言ってない? 私も言われたことあるし、プロデューサーさんも言われてたし、なんなら社長にも牛乳にも言ってたわよ」
「うぐっ……で、でも! そうよ、未来にとっていちばんのアイドルだって言われたわ!」
「尊敬の対象ね。友情とかはともかく」
「んなふぅっ!?」
「どんな鳴き声よ」

 ただでは終わらないとばかりに、反撃をする静香。だが、ことごとく志保の言葉に斬り捨てられていく。
 俯いてぷるぷる震えている静香を見て、少しやりすぎたかしらと思う志保だが――
「し、志保のばかぁっ!」

 顔を勢いよくあげたかと思えば、そんな子どものような言葉。
 これにはさすがの志保も苦笑いを零さざるをえないわけで、からかいすぎたわごめんと謝ろうとしたそのとき。

「志保も静香も、まぁったく反省しとらんっちゅーことで、いい?」
「あ」
「え」

 ドアのところに、引き攣った笑みを浮かべた奈緒が居た。
 固まる志保と静香。

「えっと、その、いつから?」
「志保のばかって叫んだとこからやけど」
「うわぁ……」

 なんてタイミングの悪いところで、と志保は軽率に静香を煽ってしまったことを後悔した。
 志保に牙を向けるかのような顔で、さっきの台詞だ。何をどう訂正しても、喧嘩にしか思われないだろう。
 その後、他のみんなが来るまで、二人とも正座にさせられ奈緒にこっぴどく叱られることになった。
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