絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

星空レター

未来ちゃんの誕生日記念に書いたSSでした。みらしずです。
 
 自分の情けなさに、正直泣きたくなってきたところだ。
 隅っこで頭を抱えて縮こまるこの状況、これが雪歩さんの言っている穴を掘って埋まりたいという感覚なのだろうか。いやむしろ雪歩さんに穴を掘ってもらいたい、そしてそこに埋まっていたい。あぁもうホントだめだ……。

「だ、大丈夫ですよ! 未来さんは、そんなことで怒ったりしませんから!」
「そうだよ~こんなときまで静香ちゃん真面目すぎ!」
「それに、おめでたいときだっていうのに、そんな顔しないでよね」
「そんな顔って、どんな顔よ」
「五日間連続でガムを踏んでしまったときみたいな顔」
「本当にどんな顔よそれ!?」

 いつの間にか、隣には星梨花と翼、真正面には呆れた表情の志保が居た。
 励ましてくれる星梨花や翼と違って、こんなときでも喧嘩を売ってくる志保はやっぱりさすがというべきか。けどそれに少しだけ、気持ちが救われる気もする。もしかしたら志保は、そこまで考えてくれてのことなのかもしれない。そう考えると、こいつにも中々良いところが――
「ちなみに私はもう、さっき未来にプレゼント渡してきたわ。おめでとうの言葉と一緒にね。未来、凄く喜んでくれてたわよ。抱き着かれたわ。良い笑顔だったわ」
「~っ! こ、の!」

 やっぱり志保は志保だった。いつぞやの仕事のときに見せたような、腹立たしいどや顔とともに煽ってきやがった。
 そう、今日は六月二十八日、未来の誕生日。そして今はまさに、シアターメンバー勢揃いのサプライズパーティー中だ。





『星空レター』



 パーティーが始まって、もう一時間くらいは経った。そこまで時間が経つとみんな誕生日プレゼントもおめでとうという言葉も贈り終えていて、既に主役の未来に絡むというよりはもはやただのパーティーになりつつある。もちろん、未来に話しかけている子もまだいるけど、それでも各々が好き勝手やってるような感じだ。
 みんなが明るく過ごしている中、私だけ場違いな暗さ。その理由は至ってシンプルで、未来に誕生日プレゼントを用意できなかったから。
 もちろん、未来の誕生日を忘れていたわけではない。プロデューサーにもわざわざ今日この日の夜だけは、フリーにしてもらうよう頼んだくらいだ。もっとも、プロデューサーはみんなで祝うためにも随分と前から全員分のスケジュールを調整し、このパーティーを作りだしたのだけど。

「はぁ……」

 本日何度目かわからない、ため息が零れた。
 未来のことを大切に思っているからこそ、プレゼントを選べなかった。正直私の我侭も入っているけど、誰かと被るようなプレゼントは絶対に嫌だったのもある。悩みに悩んで、みんなにも相談をした。けれども、返ってくるのは「静香が選んだものなら、なんだって喜んでくれるだろう」といったようなものばかり。結局、悩みに悩んで当日がきてしまったわけで。
 これじゃあ本当、志保にばかにされても仕方ないわね。
 と、ここで気付く。さっきまでいた星梨花や翼、志保が居ないことに。けどそれもそのはずよね、ここで暗いやつの相手なんかしているより他のみんなと話していたりする方が、よっぽど有意義な時間よ。

「ありがとー志保! 星梨花! 翼!」
「別に、お礼を言われるほどのことじゃないわ」
「えへへ、それじゃあ私たちは」
「このへんで~」
「……え?」

 声がする方向へ顔を向けると、そこには未来の姿が。
 いなくなったと思った三人が、まさかの主役を連れてきた。え、ちょ、え? 何? あ、やばい、こっち向かってくる。と、とりあえず立ち上がって、どこか別のとこへ――
「つーかまえたー!」
「きゃっ!?」

 立ち上がって背を向けたところで、未来に腕を掴まれた。これではさすがに、逃げられない。
 そもそも逃げること自体、おかしなことなのよね。
 観念して未来の方へと体を向けると、そこには笑顔の未来。

「もう~静香ちゃんに会えなさ過ぎて、静香ちゃん居ないのかと思っちゃったよ。志保たちが教えに来てくれたんだよ? 静香ちゃんの場所」
「あの子たち……っ! はぁ、私が居ないわけないでしょう? 未来の誕生日なんだもの」
「えー? その割には、私まだ静香ちゃんから重要な言葉聞いてないよ~? 静香ちゃんは私の誕生日、お祝いしてくれないのかなって不安だったんだよ?」
「ぐっ……ごめんなさい、言うのが遅くなってしまったわね。未来、誕生日おめでとう」

 本当に、言うのが遅くなってしまった。今この会場に居る中で、一番最後だろうな、きっと。
 それなのに、一番遅かっただろうに、未来は嬉しそうに笑った。眩しいくらいの笑顔だ。思わずこっちも頬が緩んでしまいそうになるけど、そこは我慢する。まずは未来に、ちゃんと謝らないと、ね。

「ごめんなさい、未来。実はね、未来へのプレゼント……まだ用意できてないの。何がいいのか、ずっと考えてたんだけど、結局何も思いつかなくて。本当にごめんなさい」
「えぇっ!? そんな頭下げないでよぅ! いいよいいよ、別に! こうやって静香ちゃんがお祝いしてくれるだけで、嬉しいもん」
「けど――」
「それに静香ちゃんが私のことを思って悩んでくれて、時間をかけてくれたってだけで、それだけで幸せだよ?」
「未来……」
「ん~それでも静香ちゃんが納得できないどうしてもって言うのなら、一つ、お願いしても良い?」
「え?」



◇◇◇



「もうそろそろ夏だからかな、夜でも暖かいね」
「そうね」

 シアターの出入り口から、少し歩いたところ。夜、そして屋外と言っても、確かに暖かい。それに雲も少なく、星がきらきら輝いて充分に明るい。
 未来のお願いは、こっそり一緒にパーティーを抜け出そうというものだった。せっかくの主役が会場から消えるのはどうかと思ったが、久し振りに二人きりで一緒に居たいと言われたら断れるわけがない。それにもう各々好き勝手やっている状況だったのだから、少しくらい離れても気付かれないかもしれないし。
 私だって、未来と一緒に居たいのは同じだったのもある。
 定例ライブはともかく、お互い同じユニットになることもないから。最近じゃ仕事も増えてきて、電話でしか話していなかった。

「でへへ~静香ちゃん独り占め!」
「それを言うなら、私の方じゃない? 今日の主役を独り占めって感じね」
「静香ちゃん」
「何?」

 左腕にぎゅうっと抱き着いてきた未来の頭に、なんとなく右手を添えてみる。小動物を撫でるように、未来の頭を撫でてみた。くすぐったかったのか、目を細めて少しだけ身じろぎをする。けれど、抱き着いたまま離れる気配はない。ふにゅりとした柔らかさと、温かさが腕に伝わってくる。
 未来は私の名前を呼んでから、何も話さない。喋らない未来なんて、珍しく感じる。
 だけどそれはそれで、良い。この沈黙も、心地良いから。
 目が合うと、お互いに笑う。何がおかしいのか、わからないけど。なんとなく、笑いたいから笑う。

「ねぇ、静香ちゃん。空、凄いね」
「そうね、まるで星も未来を祝ってるかのよう」
「うわー静香ちゃん恥ずかしい」
「ぅ、うるさいわね!」
「でもあれだね、まさに星屑のシンフォニアだね!」
「……未来、シンフォニアの意味わかってる?」
「でへへ」
「笑って誤魔化さない。まったくもう」
「そうだ! 静香ちゃん、誕生日プレゼントとして欲しいものがあるんだけど」
「お願いなら聞いたはずよ?」
「それとは別で~」

 瞳をきらきらと星空に負けないくらい輝かせる未来に、一体何を思いついたのかちょっと不安になる。
 この期待に応えられる欲しいもの、プレゼントって私に用意できるものなのか。そう思うと、頬が引き攣る気がする。でも未来に喜んでもらいたいし、プレゼント用意できなかった情けなさもあるから、できるかぎり応えたい。

「歌って欲しい!」
「へ? 歌うって、今?」
「うん」
「ここで?」
「ここで」
「何を?」
「うーん、なんでもいいや。静香ちゃんが歌ってくれるなら」

 てっきり物かと思ったら、予想外の要望だった。
 えーと、歌って言われても……どうすればいいの?
 未来は抱き着いていたのをやめて、私の目の前に膝を抱えるように座り込んだ。期待のまなざしで、じぃっと見つめてくる。

「歌って、本当に歌うだけでいいの?」
「うん、だって私、静香ちゃんのファンだもん! 歌っているときの静香ちゃん、格好良いし! 歌っているときの静香ちゃん!」
「そこ強調しなくていいわよ! でも、未来がそれでいいのなら。そうね、未来のために……うん、私も未来のために歌ってみたい」
「やったぁ! でへへ~、ひゅーひゅー!」
「もうっ、茶化さないで。それじゃあ……聴いてください」

 マイクもない。音楽もない。
 それでも、目の前に一人のお客さんがいる。私の一番大切な、大好きな。
 この星空が照明器具の代わり、アカペラだって上等だ!
 未来が聴いてくれる、それだけで全力で歌える。手紙に綴るかのように、歌に想いを乗せて。
 未来、誕生日おめでとう。いつもありがとう。隣りに居てくれるだけで、安心する心地良い。
 伝えたい言葉は、山ほどある。
 でも今はそれを全て、歌に込めればいい。言葉にしなくても、別にいい。きっと未来なら、わかってくれると思うから。なんて、未来に甘えちゃってるかしら?
 ふと未来に視線をやると、笑ってくれた。
 だから私も、笑顔で歌う。

 結局、私の歌声に気付いてか何人かのシアターメンバーが出てくるまで、歌い続けた。

「でへへ、ありがとう静香ちゃん」
「こっちの台詞よ、未来」
 
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