絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

ラバート3

未来ちゃ受けの静香攻めのみらしず、R-18です。ラバートは一応これで完結ですが、またいつかみらしずのR-18が書きたくなったら、番外編みたいな感じで書いたりすると思います。


 
 静香が未来から告白をされてから、既に二週間が経過していた。
 その間の二人は気まずくなるかと思いきや、実際は真逆で、今まで通りの態度に戻っていた。それを見た周囲の者、主に未来と静香を心配していた者たちは、一安心。何があったかは知らないが、きっと問題は解決したのだろう。そう思っていた。
 しかし、実際は解決していない。
 告白の返事は、先延ばしになっただけ。まだ決着はついていない。
 けれども、未来はそれなりに満足していた。拒絶されることなく、考えてくれているだけで充分嬉しかったから。それにもう未来としては、思いを伝えきった。あとは待つことくらいしかできないし、急かすつもりもない。
 それに対し静香は、誰かに相談することも考えたが、そもそも誰にも相談できるような内容でもなければ結局は自らがどうしたいかということが重要であることは自覚していたので、一人で悩む。幸い、未来の態度が普段通りのため、静香もその空気につられて普段通り接することができた。



「ちょっと未来、大丈夫? なんだか顔色、優れないけど」
「……え? そうかなぁ? 私はすっごく元気だよーってわわぁっ!」
「あ、ほら!」

 レッスン場を借りての自主レッスン中、静香は未来の異変に気付いた。
 運動をしているにしても、顔が赤すぎる。そんなに飛ばしてはいない、まだ始まって十数分なのに、汗だくであること。そして声をかけた今、未来は笑いながらも直後に足をふらつかせて、その場に尻もちをついてしまった。
 明らかに、おかしい。
 すぐに静香は倒れた未来に駆け寄り、心配そうに顔を覗き込む。

「で、でへへ、そんなに顔近付けちゃ、照れちゃうよぉ……」
「馬鹿言ってないで。まずはその汗拭くから動かないで」
「へーきへーき、自分でできわぷっ!?」

 大丈夫だから、と遠慮する未来の頬にタオルを無理矢理押し付けた。そしてそのまま、額や首の汗を拭いていく。未来は特に抵抗せず、むしろ気持ちよさそうに目を細めて、受け入れた。
 静香からすれば、普段は甘えてくるくせに、こういうときに遠慮なんてするなといった感じである。
 そこでふと、以前「静香は未来の保護者みたい」と志保や恵美にからかわれたことを思い出す。そのとき静香は否定をしたが、今こういう姿を見られたら、またからかわれるだろうな否定できないななんて苦笑いを零す。

「未来、今日はもう帰ったら? 体調不良のまま続けても意味ないし、体が第一よ」
「えぇー? でも帰っても、誰もいないし」
「え? ご両親は?」
「旅行で、帰ってくるの明後日なんだ」
「じゃあそれまで未来は?」
「ちょっとした独り暮らしを満喫、大人の階段だね! とか思ってたんだけど、うぅ……おとなしくしてないと、調子良くならないよね。はぁ、残念……」

 世間は土曜日から月曜日までの三連休、となればちょっとした小旅行に行く家庭もなくはない。だが、なんて悪いタイミングなんだと静香は頭を抱えたくなった。むしろ未来も連れて行っての旅行ならとも思うが、未来は未来でレッスンや打ち合わせがあったからそれは無茶だったわけで。
 静香はどうするべきか、うんうん唸り悩む。プロデューサーに報告こそ必要だが、看病含め全て任せるというわけにはいかない。真っ先に思い浮かんだのは、やはり静香自らが泊まりで看病すること。だがこれはこれで、両親が許すとは思えなかった。友達の家に泊まる、ならまだしも、看病するからなんて言ったら反対されそうである。
 そこで、気付く。簡単なことだ、それならばただ「友達の家に泊まる」とだけ告げれば良い。目的は違うが、嘘は言っていないのだから。それでも少し喧嘩になりそうではあるが、未来のことを思えばそれも仕方ないと思えた。やっぱりなんだかんだで未来に甘い自分自身に、静香は少し呆れもした。
 唸る静香を見て、未来が不思議そうに小首を傾げている。

「どうしたの、静香ちゃん。もしかして、私の不調が移っちゃった?」
「違うわよ。ちょっと待ってね、プロデューサーに連絡しておくから」
「私が――」
「未来はいいから、横になって」

 未来の言葉を遮り、静香は立ち上がって隅に置いてあった鞄に手を突っ込む。本来レッスン場内で電話なんてあまりよくないが、今はどうせ二人しかいない。静香は迷わずプロデューサーに、電話をかけた。
 未来の体調不良の件、そして一応静香が泊まって看病をすることまで報告。プロデューサーは反対をしなかった。静香の性格からして、電話越しに反対をしたところで効果は薄いだろうということと、未来に関することだからこそ静香は余計に強情になることが分かっていたから。だから一つだけ、風邪移されるなよということだけ注意した。

「はい……はい、私もこのまま自主レッスンは抜けます。私も未来も、明日予定していた打ち合わせは……わかりました、それでしたら連絡してくれれば。はい、いえ――え? 両親にはこの後、連絡しますから。はい、それでは」
「ちょ、ちょっと待って静香ちゃん! 今泊まるとかどうとか」
「あぁごめんなさい、未来、もう少し待って。今度は親に言わなきゃいけないから」

 未来からすれば疑問だらけである電話の会話だったが、静香は軽く流して親に連絡をし始めた。
 親の許可は、予想通りというべきか、プロデューサーよりもずっと面倒臭いことになった。突然の泊まり、しかもこのまま一度家に戻るわけでもなく友達の家へ直行ということ。中々説得が上手くいかず、予想していたとはいえ、静香の苛立ちが声に帯びてくる。その様子に、おろおろと困惑している未来。そんな未来の姿が視界に入ったことで、ハッと冷静さを取り戻す静香。
 結果、なんとか許可を得ることはできた。きっと帰ったとき、怒られるんだろうな。なんて思いながらも、静香にとっては自分が怒られるくらいで未来の看病ができるのなら、それでよかったとも思えた。

「静香ちゃん、説明!」
「あ、ごめんなさい。ただ未来の家に泊まって、看病するっていうだけよ」
「うえぇええぇぇっ!? な、なんで!?」
「なんでって、誰もいないんでしょう? これから悪化する可能性だってあるのに、今の未来を放っておけるわけないじゃない。それとも迷惑だった?」
「そ、その訊き方はずるいよぉ……迷惑っていうかむしろ迷惑かけちゃうの私っていうか」
「未来に迷惑かけられるのなんて、もう慣れてるわよ。ほら、立ち上がれる?」
「ちょ、それはひどーい! と、わっ、っ!」

 非難の声と共に立ち上がろうとした未来だったが、一瞬ふらつく。転んだりはしなかったが、今度はゆっくりと立ち上がり、なんとか起き上がることができた。
 静香が手を差し伸べてくれたので、それに甘えることにする未来。

「でへへ、やっぱりお願いしちゃおうかな」
「はいはい、お願いされなくても看病するけどね」
「うんっ! ありがとう!」

 こうして、緊急お泊り看病タイムという謎のイベントが発生した。





◇◇◇





「静香ちゃんって、うどん以外のもの作れたんだね」
「今この手にある熱いおかゆを、未来の顔にかけてもいいのよ?」
「冗談だよぅ。ありがとう、静香ちゃん」

 未来はベッドで座りながら、足をぷらぷらさせて笑う。未来の家に着いてすぐ、静香に横になれと言われたが、まずお腹が空いたから何か食べたら横になると言った。
 静香がおかゆを作っている間、未来はいつもの薄いピンク色のパジャマへ着替え、熱を測った。結果、38度に辛うじていかないくらい。高熱というわけではないが、個人差はあれど体に影響は出てくるレベル。その事実を、未来は伝えずにいた。そもそも、熱を測ったこと自体言っていない。優しいと知っているからこそ、伝えたら治るまで付きっ切りで看病をするなんて言い出しそうだから。

「大丈夫そう? 自分で食べられる?」
「えー何? 静香ちゃんが食べさせてくれるのー?」
「そういうこと言えるなら、大丈夫そうね」
「あっ、酷い! せっかく静香ちゃんに甘えちゃおうと思ったのに」

 わざとふざけたように、いつもの調子をなんとか作ってみる。少しだけ、無理した笑顔で。大丈夫、ばれない。未来はそう思ったのの、すぐに静香は訝しむ。

「ちょっと無理してない?」
「し、してないよ? 思ったより元気だし、実は熱測ってみたけど平熱だったし、多分疲れがたまってたのかな。あははー……って、あ、あれ? 静香ちゃん、顔が怖い」
「つまり熱もあって、体は思ったよりもしんどいってことね」
「静香ちゃんもしかして伊藤!?」
「何よ、伊藤って」
「あ、間違えた、エスパー!?」
「どんな間違い方よ!? 別にエスパーでもないし、未来がわかりやすすぎるだけ!」

 ただでさえわかりやすい未来のこと、仲の良い静香からしたら丸分かりだ。

「もうっ、看病することは決定なんだから、変に隠さないでよ。体調悪ければ悪いって言って欲しいし、熱があるならあるって言ってちょうだい」
「うぅん……やっぱりできれば静香ちゃんには帰ってほしいもん。自分でも熱があるなんて思わなかったし、ちょっとの不調なら看病で甘えちゃおうかなって思ってたけど」
「もう親にもプロデューサーにも言っちゃったもの、帰らないわよ」
「……風邪、移したくない」
「一緒に自主レッスンしてた時点で、もう手遅れじゃない? もちろん、移されるつもりもないけど」
「静香ちゃんが一緒に居たら、熱上がっちゃう気がする」
「えぇ、なんで?」
「す、好きな人と二人きりで居るって、それだけで……」

 どんどんと声が小さくなっていくが、至近距離にいる静香にはちゃんと全部聴こえた。
 弱っているせいで心が漏れたのか、それとも静香を帰らせようとしてか、はたまたその両方か、未来の言葉の真意は不明だ。さっきわかりやすいと言ったばかりなのに、静香にはわからなかった。
 そんなことを言われると、肩と肩がぶつかる今の状況も、意識してしまう。今まで未来が普段通りだったからよかったものの、まさかのここで未来が自分のことを好きだということを再度認識させられた。
 だが、それでもその距離を変えようともせず、帰ろうともしなかった。それは静香の意地っ張りな性格や責任感の強い部分もあるだろうが、それよりも未来が心配なのは事実だったからだ。

「そんなこと言われても、帰らないわよ」
「うん、静香ちゃんはそう言うって思ってた」
「ほら口開けて、食べさせるから」
「……あーん」

 右手に持ったスプーンにおかゆを乗せて、未来の口へと放る。美味しいと笑って見せる未来に、内心ほっとする静香。おかゆとはいえ、料理をすることは久し振りだったから。弱っているところに、不味いものを食べさせたくはなかった。口を動かして、咀嚼を終えると、未来はまた口を開く。静香がまた食べさせる。顔を少し赤くして、えへへと幸せそうに笑う未来に、一瞬手が止まった。だが、すぐまた食べさせる。
 結局、未来はおかゆをぺろりと完食することができた。
 静香が食器を片付けた後、戻ってくると、未来は言いつけ通りベッドで横になっていた。ただ寝てはおらず、目はぱっちりと開いている。床に敷かれているカーペットに腰を降ろし、未来と目を合わせ易い位置を取った。

「寝てしまった方が楽よ、きっと」
「風邪のときあるあるだよね、寝なきゃいけないってわかってるのにあんまり眠くないの。むしろ運動して汗流した方が、体に良さそう」
「むしろレッスン、運動中に不調だってわかったくらいなんだから絶対だめよ」
「だよねぇ。というか、汗で思い出したけど、レッスンしてたのに私シャワーで汗流してない」
「そりゃ熱出てるんだし、ダメでしょ」
「でもでも、汗かいたまんまって気持ち悪くない? それにその、なんていうか……」
「気持ちはわからないでもないけど、それでも――」
「静香ちゃんに汗臭いって思われたら、嫌だなぁとか、思っちゃったり」
「っ!? べ、別に病人なんだから仕方ないことでしょう」
「あーその言い方だと、やっぱり私汗臭いんだ!」
「あぁもう、そんなこと言ってないでしょう」

 布団から顔だけ出して、わざとらしく頬を膨らませる。そんな幼い態度に、思わず静香は自らの額に手をやる。一瞬、未来の言葉にどきっとした。けど、今はもういつもの未来過ぎて、特別何かを感じることもない。
 けど、時折見せる普段とは違う未来の姿に、先ほどから少し調子を狂わせられている。
 ただ静香にとってそれは、不快ではない。むしろ未来がそこまで想ってくれている事実は、嬉しくないわけがなかった。だからこそ、ちゃんと返事をしなければと悩み続けているわけで。
 ここしばらく、ずっと考えていたこと。嫌悪感のようなマイナスの感情を抱くことはなく、思えば思うほどプラスの感情ばかりが出てくる。とくれば、静香は自分自身が未来に好意を抱いていることを理解する。けどそれが、恋愛感情なのかは確信が持てないのだ。というのも、今まで恋愛らしい恋愛なんて、一度も縁がなかったのもある。

「あ、そうだ! 静香ちゃん、レッスン場で顔とか首の汗を拭いてくれたみたいに、体を拭くのならいいかな?」
「まぁそれくらいなら、いいんじゃないかしら。それならタオルがどこにあるか教えてくれれば、持ってくるわよ」
「わーい、じゃあ持ってきてもらおうかな」

 タオルの場所を伝えると、待っててと言って静香は部屋を出た。
 自室に一人なんて普通のことなのに、急に少し寂しくなってしまう。咳や鼻水が出るなんてことはないけれど、体がさっきよりも重くなっている感覚があった。未来は珍しく、大きなため息を零す。

「迷惑かけちゃってる、よね」

 頭がぼぅっとしているのもあってか、言わないつもりの言葉もぽろっと漏らしてしまっている自覚はあった。静香の空気から、悩んでいるのはわかりやすく伝わってきている。それに加えて、看病までしてもらう流れになっている現状。
 やっぱり優しいにもほどがあると思う、なんて心の中でぼやく。
 申し訳ないと思いつつも、自分のことで悩んでくれていること、本気で受け止めて考えてくれていることに嬉しさもある。
 いろんな感情が入り混じり、うーうー唸りながらベッドの上をごろごろ。おとなしく寝ていなければいけないのに、じっとなんてしてられない。ただでさえじっとしているのは、あまり得意なタイプではない。
 そんな感じでごろごろ暴れていると、タオルを手に持った静香が戻ってきた。

「こら、何を暴れているのよ」
「ちょっといろいろあって」
「よくわからないけど……ほら、タオル持ってきたわよ。ちゃんと熱くない程度に濡らしてきたから」
「うん、ありがとー」
「それじゃあ早速だけど、脱いでくれる?」
「……え?」
「もしかして、自分で脱げなさそう?」
「え、いや、そういうことじゃなくて。さ、さすがに自分で拭くよ?」
「……あ」

 自分が拭く気満々だった静香は、顔を赤くする未来にハッと気付かされた。つられて静香も、かぁっと赤くなる。
 のそのそゆっくり起き上がると、自らのパジャマに手をかける未来。静香は思わず、目を逸らしてしまう。ベッドに座ったまま黙々とパジャマを脱ぐ未来と、流れで突っ立ったままタオル片手に固まっている静香。ぷちん、ぷちんとパジャマのボタンが外れる音がやんだかと思えば、未来が口を開く。タオル、ちょうだいと。さすがに目を向けないまま渡せはしないので、おのずと未来の方を見てしまう。
 パジャマ同様、薄いピンク色のブラジャー。ほんのり赤くなった肌は、熱のせいか。細い腕、腰、一度視界に入るとじぃっと見てしまう。

「静香ちゃん?」
「あ、ごめんなさい。タオルよね、はい」
「うん、ありがとう」

 照れ臭そうに笑いながら、未来はタオルを受け取る。そして腕や首回り、鎖骨と丁寧に拭いていく。程良い温度のタオルが気持ち良い。
 静香はすることがないのもあって、ただ見ているだけ。顔を背けて見ないようにしようとも思ったが、それはそれで変に意識していますと言っているようで嫌だったから。別にいつも着替えで一緒になるときだってある、なんにもおかしくない。そう自分に言い聞かせた。

「あ、っと」
「ちょっと、大丈夫?」

 未来が背中を拭こうと腕を伸ばしたところ、体がぐらりと揺れた。ちょっと力を入れようとしただけで、体にかかる負担は大きかったのだ。
 困ったように、苦笑いを零す未来。

「大丈夫、多分」
「……背中だけは、私が拭く? 未来が嫌じゃなければ、だけど」
「うえぇっ、い、嫌じゃないよ全然! は、恥ずかしいけど、自分じゃできそうにないから……お、お願いします」

 誰も責めていないのに、まるで言い訳するかのように自分では無理だから仕方ないとぶつぶつ何度も繰り返す。
 そして心が決まったのか、静香にタオルを渡してバトンタッチだ。
 未来はくるりと背中を向け、静香はいい加減立っていることをやめて座る。
 目の前には、未来の背中がある。思ったよりもずっと小さな背中に見えて、意外。そっとタオルを肌につけると、ぴくっと震えた。どの程度力を込めて拭いていいのか、他人の肌を拭くなんて機会はなかったものだから、静香は恐る恐る上下に擦る。ほとんど力を入れずにすると、もぞもぞ未来が身じろぎをする。言葉には出さないけれど、きっとくすぐったいのだろう。もう少し力を入れた方が良いかもしれないと思い、今度はやや力を込めて擦ってみる。すると変に動いたりもしないため、これがベストなのだと静香は理解した。
 未来にしろ静香にしろ、こんな経験は初めてである。
 流れでお願いしたはいいものの、未来は内心どきどきしていた。タオル一枚越しに、肌を、好きな人に触られているということ。 一人でえっちなことをしていたとき、想像の中で静香に肌を触られてはいたものの、それは妄想にすぎない。心臓がいつもよりもずっとうるさかったり、体がやけに熱いのは、体調不良のせいだけではないだろう。
 汗で気持ち悪いから拭いてもらっているだけなのに、いつの間にか、タオルが煩わしく思えてきた。直接、触れてみて欲しい。そんな欲が、未来の中で生まれてきた。
 それと同時に、罪悪感も生まれる。静香が思いやりから体を拭いてくれているのに、そんな感情を抱いている。申し訳ないと思いつつも、それでもやっぱり体の疼きを抑えることはできなかった。
 もじもじと体を動かす未来。静香の手つきは優しく、未来にとっては焦らされているような感覚だ。タオルの感触がぞわぞわするくらいに、肌が敏感になってくる。
 思らず未来がふぅっと息を漏らすも、静香にはくすぐったかったのかなとしか思わない。

「し、ずかちゃん……ありがと、もう大丈夫」
「そう?」
「うん。それよりお願いがあるんだけど、私フルーツ食べたくなっちゃった」
「えぇっ、さっきおかゆ食べたばっかりなのに」
「デザートは別腹だし。それになんか、体が弱っちゃってると、フルーツ食べたくならない?」
「まぁわからなくはないけど……で、買ってこいってこと?」
「フルーツならなんでもいいからっ、お願い!」

 未だ上半身下着のみの姿で、未来は両手を合わせてお願いをする。食欲があることは良いことだし、今この状況で未来のそんなお願いを断るなんてことを静香がするはずもなかった。ここで嫌だと言うくらいなら、最初から看病をしようだなんて思っていない。
 静香はしょうがないわねなんて言いながらも、すぐに立ち上がった。

「たしか未来の家に来るまでの道に、スーパーあったわよね? ちょっとそこまで行ってくるから。もし寝れるようなら、寝ちゃっててもいいからね?」
「ありがとう、それじゃあ鍵渡しておくね」

 未来から鍵を受け取り、静香は手を振り行ってきますと部屋を出た。
 一人になった未来は、ごくりと喉を鳴らす。スーパーまでは、そう遠くはない。けれどどう見積もっても、戻ってくるまで十数分はかかるだろう。それまでに、なんとしてもこの体の疼きを鎮静させたかった。
 露出したままの上半身に、ゆっくりと右手を這わす。さっきまでここに静香が居たという事実が、未来の鼓動をより速めた。ぷちりと音を立ててブラジャーを外し、小振りな胸が僅かに揺れて露になる。
 まだ触れてもいないというのに、胸の先端は存在を主張するかのようにぴんと立っていた。

「んっ……」

 右胸をやわやわと揉み、時折突起を指先で突く。未来の手の動きに合わせて、ぐにゅりふにゅり形を変える。緩く伝わる刺激に、鼻から息が漏れる。
 声は出さないように、きゅっと唇に力を込めた。
 背中を丸め、刺激に堪えるように目も瞑る。頭の中は、さっきまでこの場に居た静香のこと。
 右手はそのまま右胸を弄り続け、左手はゆっくりとパジャマのズボンを下げる。片手で脱ぐのが中々上手くいかず、じれったさからか、結局膝上あたりまで下げたところでショーツの上からそこに触れた。

「ッ!」

 その瞬間、くちゅりと粘着質な音が耳に入った。それは確かに、未来の秘部からのもので、既に下着はじわりと湿っている。
 静香に背中を拭かれている時点で、むずむずしたものを感じてはいた。だが、それだけでこうも体は昂っていたのかと、未来は自覚した。恥ずかしい、そして静香に申し訳ない。そんな気持ちがぐちゃぐちゃと入り混じった中、けれども両手の愛撫は止まらない。止められなかった。

「はぁ、ん、っ……ぅ」

 乳首を強く摘むと、唇から抑えきれない声が漏れる。未来の呼吸はまるでダンスレッスンをしたかのように荒くなり、体の熱がより上がっていくのが分かった。
 指先で捏ねてみたり、爪を少し立てながら突いてみたり、あらゆる手の動きを使って胸に刺激を与える。びりびりとした刺激は、未だに慣れることがない。体の芯を直接触られているような、そんな強い感覚。
 そして左手は、ショーツの上をなぞる。布の上から擦る刺激はまた直接触れるものとは違う、独特な刺激をそこに伝える。くちゅぴちゃと音を立てながら染みが広がり、脳を震わすような快感が未来を襲う。喉が震え、うっすらと開いてしまった唇から漏れ出した唾液がつぅっと太股に落ちる。太股がぴくりと震えた。
 唾液が落ちたことが合図だったのかのように、左手はとうとうショーツの中へと潜り込む。意識して動かしたわけじゃない、無意識に体が求めてしまったのだろう。

「ゃ、あぁっ! んくっ、は、ぁ! うあぁっ、あん!」

 もう声を抑えることなんて、できなかった。
 秘部はもうすっかり蕩けていて、熱を帯びている。それでも容赦なく、未来の左手は動く。まるで手だけが、別の生き物になってしまったかのように。
 指先で往復を繰り返し、そこにある突起をくりくりと捏ね回したり。そのたびに未来は、喘ぐ。体が仰け反りそうになるものの、右手は胸を、左手は秘部を捉えて執拗に追い続ける。体を捩ろうが、頭でもう限界だと思いつつも、乳首にも秘部にも電気ショックのような刺激が生まれる。
 もはやせっかく拭いてもらった体は、再度汗にまみれていた。

「静香ちゃん、しず、か、ちゃん……あぁっ! んぅ、いやっ! もう、ぁ、もうっ、だめ、だめだめだめっ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 既に興奮を覚えていた体が果てるのは、早かった。
 未来は声を上げ、大きく体を震わせた。ぴくっ、ぴくっと何度も断続的に震え、呼吸はまだ荒いまま。ぼうっとした頭で、ずっと瞑っていた目をゆっくりと開くと――
「えっ、と……み、未来?」

 視界の端っこ、具体的には扉のあたりに人影。

「……え? しず、かちゃん? え、あれ?」

 声がした方向に顔を向けると、そこには顔を真っ赤にして、なんとも言えない表情をしている静香が突っ立っていた。
 そこで未来は、まだおぼろげな頭を、回転させる。
まず、今の自分の状況。膝上ちょいまで下がっているズボン、左手は下着に手を突っ込んだまま、口の端からは涎――
「きゃあああああああああああああああああああああ!?」

 そして、叫んだ。
 その大声に、静香はビクッとした。

「静香ちゃんのばかぁ! ばかぁ! なんで、なんでさぁ!」
「ば、馬鹿とは何よ! 財布忘れて戻ってきたら、苦しそうに未来が私の名前を呼んでて心配してドア開けたらこれよ! なんなのよこれ!」
「あぅ……ご、ごめんなさい」
「え、や、そこで素直に謝られても……はい、いや、私もなんかごめんなさい」

 とりあえず怒鳴ってみたものの、怒鳴り返されて、静香に悪いところは何もない悪いのは自分なのだからとへこむ未来。
 静香からすれば、何を言っていいのかすらわからない。おそるおそる未来に近付くと、未来は怯えたように少しだけ後退りした。

「ちょっと、なんで逃げるのよ」
「……だって、絶対嫌われ、うえぇぇぇ」
「あぁもうっ、泣かないの」

 じわりと涙を浮かべる未来に、そっと手を伸ばすが――
「ダメ、だよ」

 それを弱々しく、だけど強い意思を込めて拒否する未来。

「静香ちゃんは、優しすぎるよ。嬉しいけど、もうダメだよ。嫌いなら嫌いって、言ってくれていいんだよ? 気持ち悪いなら、そう言ってくれていいんだよ? じゃないと私、わたし……ぅ」
「ばか未来」
「ふぇっ」

 未来の両肩をがっしりと掴み、少しだけ怒ったような、それでいてちょっぴり苦笑い気味に、静香は言葉を紡ぐ。

「私、未来が思っているほど優しくない。嫌いなら嫌いだって、もうとっくに言ってる。気持ち悪いならそもそも、こうして看病なんてしてない。あのね、きっと、未来だからなのよ」
「どういうこと? 私は静香ちゃんみたいに、頭良くないから、わかんないよ」
「さっき私のことをばかって言ったくせに。とにかく、その……なんていうか、好きってこと!」
「……ええぇぇぇぇぇぇっ!? す、す、好きって!?」

 未来が一人でしているところを見て、そこから逃げ出すことも、見なかったことにしてやり過ごすことも、やろうと思えばできた。けれど、静香はそうしなかった。衝撃的すぎて、固まったというのも勿論ある。だがそれ以上に、未来の初めて見る表情に、目を奪われていたのだ。
 結局、最後まで見てしまった時点で、つまりはそういうことなのだろう。と、静香は自分の中でそう結論付けた。元から好きではあったが、これをきっかけに、あるいは一つのいいわけにもして、未来に対する好きを恋愛感情だと思うことにした。
 実際に嫌悪感は皆無であったし、未来のことが好きだということに偽りはない。
 開き直った静香は、目の前で慌てふためいている未来と真逆に、少しだけ冷静になれていた。前回未来に告白されたときと、立場が逆である。

「とりあえず未来、そろそろ服をちゃんと着ないと、風邪が悪化するわよ」
「っ!」

 静香に言われ、改めて自らの状況を思い出し、顔を赤くする未来。

「……こうなったのも、静香ちゃんのせいだもんっ」
「えぇ? 私?」
「そうだよ! 静香ちゃんに、好きな人に、背中をあんな風に拭かれたりしたら……」

 我慢できなくなっちゃったんだもん、と未来は半ばヤケクソ気味に不貞腐れたような、そんな態度である。
 静香からすれば、さっきから何もかもが新鮮で、不思議な気持ちになる。普段は明るく元気な未来が、こうして違う一面を見せている。その原因が、自分であること。他の誰もが、見たことないであろう未来の一面だ。
 そう思うと、静香は胸の奥が熱くなった。
 本来は、いつもならばそういうことに積極的ではない静香ではあるが、今は未来が弱っていることやギャップもあってか、もっと知らない未来を見たいと思った。

「それならもし、私が直接触れたら、未来はどうなっちゃうのかしら」
「え? ど、どうって……触れる、って?」
「ねぇ、未来はそういうことしてたってことは、私の名前を呼んでいたってことは、やっぱり私に触られたいとか? そういうこと、思ったりする?」
「ぇ、ぅ……はい」

 無駄にまっすぐな瞳で見つめられ、そう言われてしまっては、未来も嘘をつけなかった。元より、嘘は苦手であるが。
 静香をそういう対象として意識してから、何度も何度も妄想をした。望んでいないわけが、なかった。
 未来が恥ずかしそうに俯いて、小さく頷く。静香は「そうなんだ」と返して、両肩に置いていた手を滑らせた。
 右手は未来の首筋をそっと撫で、左手はつぅっとわき腹に触れる。ぴくんっと、やや大袈裟なくらい、未来は震えた。

「し、静香ちゃん?」
「嫌?」
「……ううん、静香ちゃんに触って欲しい」

 照れたように、笑う未来。

「あっ、でもそれよりも先に! えっとえっと、ちゅー……してみたい」
「っ!」

 いいかな、と窺うように静香を見る。その潤んだ目が、恥ずかしそうに笑う未来が、今の静香にとってとても愛おしく感じられた。
 静香も未来も、キスの経験なんてない。それでも噂やらなにやらで、キスの話は耳にしたりする。
 静香は両手を未来の頬に添えて、目を見つめ、ゆっくりと顔を近付ける。普段の静香らしからぬ、積極性。この空気が、春日未来という存在が、静香を狂わせた。

「い、いくわよ?」
「う、うん……よ、よろしくおねがいします」

 けれどそれでもお互い、やっぱり緊張はあって。
 わざわざ訊く静香も静香であれば、おねがいしますなんて返す未来も未来であった。
 どちらともなく目を閉じて、そっと唇を重ね合わせる。ふにゅりとした柔らかい感触。柔らかくて、温かくて、ただ重ねているだけなのに心地良くて。数秒、お互いに動けなくなってしまう。
 そこでふと、未来は思い出す。ディープキスという、存在を。以前ネットで調べたときに、載っていたものだ。確か舌を出すんだっけ、なんて思いながらおそるおそる口を少しだけ開く。そして舌をちょろっと出すと、静香の唇を舐めるような感じになってしまった。その刺激に静香は一瞬驚いたものの、同じように舌を出して、まるで反撃だと言わんばかりに未来の唇を突こうとした。だが、未来の唇は開いているわけで、しかも舌の先端を出している状態だ。その状況で静香が舌を出せば、お互いの舌がぶつかり合うのが必然である。
 ぬちゅりと音を立てて、二人の舌がダンスを踊るかのように絡み合う。くちゅ、ちゅ、ぴちゃり。いつの間にか、お互いに背中に手を回して、ぎゅうっと強く抱き締め合っていた。そうしないと、この刺激の波に、どうにかなってしまいそうだった。
 未来の半開きの口に、舌を侵入させる。未来はびくりと体を震わせたあと、すぐにそれに応えた。口の中を丁寧に舐めあげ、未来の舌と混じり合い、お互いの唾液が溶け合う。
「んふぅ、ふ、ぅ、んっ」
 未来はこくんこくんと喉を鳴らして、唾液を飲み込む。まるでお酒を飲まされたかのように、体の奥から熱くなるような感覚だ。未来が目を開けると、静香も目を開けていた。見たことのない、静香の熱のこもった目。その目には、自分自身が映っている。一度果てたはずの未来の体は、容易く熱を取り戻していた。
 しばらくキスを味わっていたが、静香の方から唇を離す。未来は小さく「あっ」と漏らし、舌を突き出したままぼぅっとした顔をしていた。すっかりキスに夢中になっていたのだろう。
 そんな未来の表情に、静香は背筋がぞくりとした。自分が未来を、こういう表情にさせていることに、興奮を覚えた。
 もっと、もっと見たい。その思いから、耳にした程度の知識をフル活用させる。
 耳たぶを甘噛みすると、それだけで甘い声を漏らす。首筋に軽くキスをすると、体を震わせる。胸を撫でると、はぁっと息を零す。静香はなんとなく、ピアノを弾いているときの気持ちを思い出した。

「あんっ、ふぁ、しず、かちゃ……」
「未来、可愛い」
「え? やぁん、あっ、あぁ!」

 未来の乳首を摘むと、ひときわ大きな声を上げた。右胸は撫で回し、左胸はくりくりと先端を弄る。刺激に耐え切れなくなった未来は、逃れようと体を反らすものの、そのままバランスを崩し仰向けになる。だがもちろん、静香は責める手を緩めることはしない。

「ふぁぁぁあぁっ!? ゃ、それっ、だめっ! あぁあっ!?」

 胸を弄る手を退けたかと思えば、静香は激しく自己主張をする胸の突起にキスをした。初めての感覚に、びくり震える未来。静香はそのまま、ぱくっと乳首を口に含んで転がしてみたり、舐めまわしてみたり、軽く歯を立ててみる。一人でするときには絶対に味わえない感触に、未来は体の震えが止まらない。
 温かい舌の感触、好きな人に弄られている状況、そしてちゅうちゅうと音を立てて吸われながら刺激を与えられ続ける。
 ぞくぞくとした感覚が、未来の背筋を走った。
 もう喘ぐことで開きっ放しの口の端からは、だらしなく涎が垂れる。

「静香ちゃん、だ、め、だめっ、おねがい! もう、ぁ、くぅ、ん……ふぁ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 びくっびくっと断続的に震える体は、未来が果てたことを表していた。
 静香は胸から唇を離し、改めて今の未来の姿を眺める。蕩け切った顔、上半身裸、可愛らしいリボンのついた水色のショーツはもはや大洪水というくらい役割を果たしていなかった。
 さすがに調子に乗りすぎてしまっただろうかなんて思ったのも束の間、未来と目が合ったその瞬間、未来が嬉しそうに笑った。

「……でへへ、静香ちゃん大好きぃ」
「~っ!」
「え、きゃあっ!?」

 ふにゃふにゃした笑顔と声で言われては、静香も止まれなくなる。
 一気に未来の下着とズボンを脱がし、ごくりと喉を鳴らす。他人のそこをまじまじと見るなんて、初めてのことだ。未来の秘部は既にとろとろと蜜を溢れさせ、静香を誘うかのような状態になっていた。
 強制的にM字のような形で足を開かれ、未来は羞恥で足を閉じようとする。けれども、太股に両手を添える静香が、それを許さない。
 妄想はしていたけど、実際に静香に見られるとなると、これほど恥ずかしいことはないというくらいに、未来は羞恥に染まる。それなのに、体はむしろもっと熱くなる。

「ふぁあっ、あっ!」

 くちゅっと音を立てて、静香の指が蜜を絡めとる。ぬめりを掬うように、何度も何度もそこを往復させて、ぷちゅぴちゃっと粘着性を帯びたハーモニーを奏でる。
 未来は自分で触るよりも、ずっとずっと刺激が強いことに熱を帯びた声を何度も発する。
 そんな未来の声に、聴いたこともない甘く熱のこもった声を、静香はもっと聞きたいと思った。
 だから、だろうか。さっき胸を触ったときも、手よりも口の方が反応が良かった。つまり、ここも口ならどうだろうか。そう思考したら、すぐに行動を起こしていた。

「~っ!? あぁぁぁぁぁっ!? しず、しずかちゃ、ぁんっ! そんな、とこ……舐めちゃぁあっ! ふぁああんっ! く、ぅ、あっあっ!」
「未来、可愛い。本当に可愛いわ」
「やめ、そこでしゃべっ…………ちゃ、そんなこと、いわら……い、でぇっ!」

 静香が舌でなぞるように、未来の秘所を舐め上げた。まるで子犬が甘えるかのように、ぺちゃぺちゃとそこを舐める。かぷっと口で覆い、じゅるじゅると音を立てて吸う。
 今までで一番大きな刺激、未知の快感に、未来は逃げるように体を動かす。だが静香ががっちりと太股を掴んだまま、逃がさない。びくっびくっと大きく震えるが、それでも静香は責める手を休めない。
 可愛いと言われるだけで、体が麻痺したようになる。それなのに、初めての膨大な快感まで加えられ、未来の体はもはや限界に近かった。

「はぁっ……ぅ、はぁっ、はー……ふぁっ、ぅく、あぁぁっ、あんっ!」

 それを感じ取ったのか、静香はこれがとどめと言わんばかりに、未来のそこにある肉芽に手をかけた。
 舌をそこに差し込み、肉芽を指先で捏ね繰り回した。
 その快感の嵐に、今の未来が耐えられるはずもなく――
「え、ぁ、あぁっ……んゃあっ! あ、あっ、ん、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 最後は悲鳴とも嬌声ともつかない声を上げて、絶頂を味わった。これ以上ないくらいの、心地良さ。
 何度も何度も波のように襲ってくる快感に体を小さく震わせて、乱れたままの呼吸は整うまでしばらく時間を要するレベルだった。





◇◇◇





「ねぇ静香ちゃん、私たち恋人同士になったんだよね」
「そうね」
「でへへーそっか。そっかぁ」

 嬉しそうに、本当に嬉しそうに笑う未来に、静香も思わず笑みが零れる。
 結局あの後、疲れ切った未来はそのまま寝てしまった。ただあのままでは風邪が悪化するだけなので、静香が体を拭いて下着やパジャマも替えて、ベッドに寝かせた。
 しばらくして目が覚めた未来は、静香と一緒に寝たいと言った。なので仕方なく一緒のベッドに入っている。

「風邪、移っちゃうかな」
「今更よ、きっと」
「あ、あはは、そうだよね」

 今日のことを改めて思い返したのか、かぁっと顔を赤くして笑う未来。

「あの、ね。静香ちゃん」
「何? そろそろ本当に寝ないと、悪化しちゃうわよ」
「今度は私が静香ちゃんに、してあげるね?」
「~っ!?」

 熱のこもった目で、少しだけ恥ずかしそうに言う未来に、静香は目を逸らした。
 なんとなく今更照れを見せるのも悔しいから、ばか言ってないで早く寝なさいと返した。顔が熱いのはきっと、風邪を引いている未来が真横にいるからに違いない。誰に訊かれたわけでもないのに、心の中でそう言い訳しながら、照れ隠しに未来の手を握った。
 それに応えるように、未来もぎゅっと握り返してきた。
 静香もまた、ぎゅっと返す。
 しばらくそれを繰り返して、お互いに声を漏らして笑い合った。
 
アイマス小ネタ+SS | コメント:0 | トラックバック:0 |
<<ミリオンライブ3rd福岡公演LV! | ホーム | ミリオンライブ3rd大阪公演2日目LV行ってきました!>>

コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

| ホーム |