絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

冬だからこそぐだら

ぐだぐだだらだら、略してぐだら。
2015年冬バージョン。
「残業代が支払われない私に対して、何か気の利いた一言をお願いします」
「朝からいきなりブラックな話をするの、やめてくれます?」
「閻魔だって不景気です、それに久し振りの休暇なんですよ、わかります?」
「あのですね? いくら私と映姫の仲とは言っても、さすがに早朝いきなり部屋に乗り込まれるのは気分が良いものではないです」
「もうお昼過ぎですけど? 玄関で某火焔猫燐に、あのねぼすけぐだぐださとり妖怪兼ご主人様を叩き起こしてくれって言われましたけど?」
「匿名性が守られていない!? まぁお燐へのお仕置きはまた今度にして、では改めて、いらっしゃい映姫。お帰りはあちらの扉から。冬だし外は寒いから、気を付けて帰ってください」

 ベッドで毛布にくるまり、顔だけ出しているさとり。無駄に腹立たしいくらいの、笑顔で帰宅を勧める。
 激務に激務を重ねてきてようやく休みを得た映姫からすれば、こいつどうしてくれようかといった気持ちである。そもそも、さとりはちょくちょく書類提出をさぼる。そのたびに映姫が直接、回収しにくる。つまりは映姫の忙しい理由の、一つでもあるわけで。
 だからといって、怒りのままに行動をするのは美しくない。映姫はそれを理解していた。
 理解しているからこそ、さとりの頭を踏みつけることにした。別にさとりの前で美しさなんて、求めてないから。

「ちょ、痛い痛いさすがに痛い! えい、映姫の小さな足でも、柔らかくてふにふにした足でも、体重乗せちゃだめです!」
「体重なんてほとんど乗せてないですよ、怠け者を踏ん付けているだけです」
「え? 体重乗せてないのにこの重さって、映姫太り――へぶんっ!?」
「あ、すみません、ちょっと足が滑ってお腹に閻魔キックしちゃいました」
「ぐおぉぉふぅううぅ……そのまま顔を蹴ったりしないあたりに、映姫の愛情を感じます」
「中々にポジティブですね」

 腹部を襲った痛みに悶えながらも、決してさとりは毛布から出ようとしない。ベッドに寝転がったままの姿勢を、崩さない。
 映姫はため息を零しつつ、ベッドに腰掛ける。ぽふんと柔らかい感触が、映姫のお尻に伝わる。ぐにぐにとした感触も、お尻に伝わる。まるで何か生物が動いているような、そんな感覚。

「この毛布越しでもわかる、映姫のお尻の柔らかさ」
「閻魔相手に堂々とセクハラ、いっそ清々しいですね」
「いやここに閻魔はいませんよ、居るのはただの私の友人、四季映姫です」
「さとりのそういうとこ、私嫌いじゃないですよ」
「まぁあれです、映姫も正直疲れているでしょうからね」
「も、ってあなた何疲れてるんですか」
「いやいや、これでも最近忙しいですよ。魔理沙や霊夢たちが旅行感覚で地底に来るようになってから、それにつられて地上の妖精やら妖怪やらまで」
「あー……」
「危ないからって直接注意しに行ったこともあったのに、読んだ心から伝わるのは『おーさとり妖怪だ! 心読むんだ! 凄い!』とか『ちっさ! さとり妖怪ちっさ! 噂だと三メートルはあるって聞いてたのに、がっかり』とか。なんで勝手に凄い言われたり、がっかりされなくちゃならないのか」

 一回痛い目見せた方がいいですかねと愚痴るさとりに、やめておきなさいと苦笑いを浮かべつつ宥める。
 さとりからしたら面倒なことだろうが、映姫からしたら少し嬉しいことでもある。
 それなりに長い付き合いだ。あのさとりが、誰かとコミュニケーションを取っているという事実が、映姫にとっては嬉しかった。
 そんなことを考えていると、今度はさとりが苦笑いを浮かべた。

「何を考えているんですか、あなたは私のおかんですか」
「おかんじゃないですよ、友人です。大切な」
「映姫のそういうとこ、私嫌いじゃないですよ」
「ありがとうございます、だけどそろそろ私のお尻を揉むのはやめてくれませんか?」
「疲れているであろう映姫に、マッサージです」
「なるほど、では私も疲れているさとりのお尻を揉んであげましょうか」
「私はどちらかというと胸を揉んで欲しいです」
「あ、なんででしょう、自然と右手の形が握りこぶしになってる」
「穏やかじゃないですね――って、映姫?」

 くだらない、なんてことないやり取りをしていると、映姫が大きな欠伸を一つ。

「すみません、少し眠気が」
「ベッドで一緒に寝ようなんて甘い展開はさせませんよ? 毛布は渡しませんからね?」
「誰も毛布を愛する会会長のさとりから、奪い取ろうなんて馬鹿な考え起こしませんよ」
「なんですかそれ初耳!?」
「んー帰って寝てもいいんですが」
「せっかく来たのに、もう帰るんですか?」
「もう、と言っても、実際はさとりの寝顔を一時間くらい鑑賞していたので」
「はい?」
「そしてここに、河童から貰った携帯型カメラがあります」
「え?」

 さとりにはもちろん、映姫の心の中を読めている。読めているからこそ、今自分が想像した最悪のことが、事実であることがよくわかった。
 だがあまりにも唐突なことで、頭が理解するまで愚かにも数秒の時間を要してしまった。
 そこがさとりの敗因である。

「ちょっとまてぇいっ!」
「遅いですよ、さとり」
「くっ……!」

 そう、映姫は既にベッドから立ち上がり、距離を置いていた。無駄に無駄のないこういうときのために鍛えておいた無駄すぎる対さとり用の走行術で、一気にベッドから七歩以上は離れた。
 さとりは毛布から両手を出したものの、それは何もとらえることはできなかった。

「私がこのベッドという領域から出られないことをいいことに、なんて卑怯な。それが閻魔のすることですか!」
「あなたがさっき言ったんですよ、今の私は閻魔じゃなくただの友人だと」
「過去は過去! 今は今!」
「そんな、よそはよそうちはうちって叱る親みたいに言われても」

 くわっと険しい表情で訴えるさとりだが、映姫は軽く受け流す。
 もしここに第三者が居たならば、いやベッドから出ろよというツッコミが入るであろう。

「……わかりました、一緒のベッドで寝ることを許可しましょう」
「いや、求めてないですけど」
「寝なさい! さっき欠伸してたじゃないですか! ほら、早く! 魅力的な提案でしょう? だからほら、カメラを寄越して一緒に寝なさい」
「なんで命令なんですか、まったく。けどまぁ、確かにこれは……」

 くぁ~と、また大きな欠伸。
 日々の疲れと、友人といる空間でなんだかんだ気が緩んでいるのも重なって、映姫はそろそろ限界だった。
 さとりがどや顔でぽふぽふとベッドを叩き、来い来いアピールしている。やや腹が立ったのは仕方ないとして、映姫はそれに従うことにした。
 失礼します、と一言だけ零してベッドに横になった瞬間――
「きゃっ」
「きゃっ、て映姫案外可愛らしい声で鳴きますね」
「人をペットみたいに言わないでくれます?」
「映姫がペットとか、飼える気がしないのでこっちからお断りですけどね。あー映姫の体気持ちいい、ぬくい、子ども体温」

 映姫は突然毛布に引きずり込まれ、抱き締められた。ちゃっかり携帯型カメラは、枕元に置かれた。
 わざとらしくため息を零してやろうかと思いながらも、出たのはまた欠伸。
 さとりから伝わるのは、程良い温かさ。それもそのはずで、さとりは今まで毛布にくるまっていたのだから、熱を持っている。さらにそれに加えて、さとり自身の柔らかさが映姫を包んだ。

「あ、まずい、これ本当に寝ちゃいそうなんですけど」
「いいじゃないですか、寝ちゃいましょう。おやすみなさい、映姫」
「ん、ぅ……おやすみなさい、さとり」

 数分もしないうちに、穏やかな寝息が聞こえてくるのがさとりにはわかった。

「ほんと、普段から少しくらい手を抜くことを覚えればいいのに……ばかですね、映姫は」

 呆れたような、けれど穏やかな笑みを浮かべて、さとりは小さく言った。
 そして映姫を起こさないよう、抱き締めるのに使っていた腕をゆっくり解いて、枕元の携帯型カメラへと手を伸ばした。
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