絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

千早と真美の共同生活。5

5話目。

 
「千早お姉ちゃんに、お返しをしようと思うんだけど」
「えっ、仕返しって真美、そんな陰湿な……」
「お返しだよ! その、普段からお世話になっているから」
「冗談だよ。そういえば真美は今、千早ちゃんと一緒に住んでいるんだっけ? もしかして、それでお返し?」
「そうそう! 改めて考えると、ちょーお世話になってるから、ここは一発サンライズなお返しをしてしたいって思ったんだ!」
「サプライズ、ね。うん、いいことだと思うよっ」

 わざわざはるるんを仕事終わりに、事務所の屋上へと呼び出した。理由はもちろん、他の誰にも聞かれたくなかったから。特に今回は、サプライズな分、千早お姉ちゃんには絶対に聞かれちゃいけないし、誰かから千早お姉ちゃんに伝わってもいけない。
 サプライズは悪戯とかと似たようなものだけど、お返しっていうのは不慣れだ。それでも、千早お姉ちゃんには何かお礼をしなきゃいけないと思う。
 亜美と仲直りできたのも、今の生活ができているのも、千早お姉ちゃんのお陰なんだから。

「で、真美がわざわざ私にそれを伝えた理由は?」
「悔しいけど、めちゃ悔しいけど、めちゃめちゃ悔しいけど、はるるんが一番千早お姉ちゃんのこと知ってそうだから。千早お姉ちゃんに何をしてあげれば、喜ぶかなって」
「そ、そんな物凄く睨まれながら言われても……たはは」

 おっとと、そんな目をしている気はなかったんだけど。はるるんが割と本気で引いているっぽいから、両手で自分の顔をむにむにもにもに。
 うっし、これで少しは柔らかくなったはず。

「けどね、真美。千早ちゃんならきっと、真美からのその心遣いだけで、すっごく喜んでくれると思うよっ! 特別何かをするよりも、その心が大切なんじゃないかな」
「あーそういう普通の回答いらないです」
「酷いっ!?」
「ほらほら、千早お姉ちゃんの好みの一つや二つ、知ってるんでしょ~? さっさと吐いて楽になっちまいなよ!」
「えぇー……そもそも千早ちゃんの好きなものとか、一緒に住んでるんだし真美だって知ってるでしょ?」
「そりゃそうだよ! 一緒に暮らし始めて一ヶ月以上なんだから、当然じゃん!」
「今更歌が好きだよとか言ったら」
「真美を馬鹿にしてるのかーって、はるるんのリボンを糸こんにゃくに変えるまであるね」
「嫌がらせだよねそれ!?」

 うーむ、さすがはるるん。はるるんとお話していると、ついつい話が逸れちゃう。それはきっと、はるるんと一緒に居るとリラックスしきっちゃうというか、楽しいからの一言に尽きる。千早お姉ちゃんがはるるんと仲良いのも、多分はるるんのこういうところが千早お姉ちゃんの固いところとマッチしているんだろうなぁって思う。
 さて、はるるんがちょぴっと疲れた表情をしているから、そろそろ弄るのはやめにしよう。せっかくお仕事終わりに時間を割いてくれているんだから、本当お人好しだと思う。メールや電話でも良いって、思われても仕方ないのに。

「もち、冗談だよ?」
「いや私も、本気にはしてないけど。もし本気だったら、どう反応すればいいのか困惑する未来しか視えないし……。えっと、千早ちゃんのことについてだよね? 千早ちゃん、アイスクリーム食べるの好きだったり、可愛いものも結構好きだって言ってたよ? 子犬とかも好きだし、あとぬいぐるみとか小さい人形とかね」
「ほほう、それは知らなかった! というか千早お姉ちゃん、部屋に可愛いものなんて置いている記憶ないけど」
「前に私には似合わないからって言ってたよ、そんなことないよって言ったんだけど……」

 はるるんがハの字眉で、そう言った。あー……なんかめちゃ簡単に想像できちゃう、その光景。
 可愛いぬいぐるみを手に取るけど、買わないで、少し寂しそうな目で、そんなことを言っちゃう千早お姉ちゃん。いかにも、らしいなぁって思う。別に千早お姉ちゃんが可愛いぬいぐるみ持っていたって、良いと思うのに。
 それにしても、これは良いかもしれない。アイスクリームはさすがに買ってくるだけになっちゃうけど、人形やぬいぐるみなら、頑張ればもしかしたら。
 そういえば、やよいっちのべろちょろははるるん作だったはず。となればこれは……!

「はるるん、お願い!」
「えぇっ!? と、突然何!?」

 人にお願いするときはしっかりと頭を下げて、誠意を示せ。って、りっちゃんが亜美に気持ち悪いくらいの笑顔で言っていたのを見た。
 だから真美も、しっかりと頭を下げる。

「真美に人形作りを教えて! やよいっちのべろちょろを生み出した、はるるんの腕を見込んで! お願い!」
「え、えぇ、うえええぇぇぇ!? む、無理だよぉ! べろちょろと人形はまた違うし、そもそもべろちょろだってお母さんと一緒に作ったものだし……」
「いーやっ、はるるんならいける! できるって信じてる! だからお願いします!」
「ぅ、あーもうっ! せめて! せめて私たち以外にも助っ人を! 助っ人を呼ぶことを許可して!」
「うぅむ、よろちい。許可しよう」
「ははーありがたき幸せ……って何この流れ!?」

 おぉぉ、弄るのはやめたと思っていたのにまたこんな空気になるなんて、はるるんの魔力恐るべし。
 でも、はるるんが言う助っ人って誰だろう? 正直、はるるんも手先器用なイメージがあるから、はるるんだけで充分な気がするけど。いやまぁ、はるるんはドジだけどさ。ドジだけど、うん。
 携帯を取り出して、誰かに電話をし始めるはるるん。

「あ、もしもし? ごめんね、突然。今大丈夫かな? 実は――」





◇◇◇





「いやしかし、ふーん、へー、ほーう……」
「うっ、な、何?」
「別に? ただ真美が千早にお返しをしたいから、人形作りを教えてくれなんて。可愛いなあって思っただけさー」
「うあうあー! ひびきんの生温かい視線で、体がむずむずする~!」
「たはは……」

 にやにやした表情のひびきんに文句の一つでも言いたくなるが、教えて貰う立場だから強く言えない。うぐぐ……まさか弄られキャラのひびきんに、逆に弄られてしまう日が来るなんて。
 はるるんが助っ人と言っていたのは、ひびきんのことだった。
 言われてみると、確かにひびきんは最適だと思った。ひびきんは器用だから、基本なんでもできるイメージがある。料理も掃除も、家庭的なものは特に。実際、人形作りについても訊いてみたら、幼い頃やったことあるとのことだったし。
 ひびきんとはるるん、この二人とか超強力な家庭的メンツって感じがするね!

「ちゃんと千早には、泊まること伝えてきたのか?」
「もちのろんだよ! ちゃんと目的は伏せてね」
「ごめんね、響ちゃん……私まで」
「なんくるないさー。むしろ、大丈夫か二人とも? 自分は動物好きだし慣れっこだけど、この空間」
「ひびきんが信頼している家族っしょ? 別に嫌だとか怖いとか、ないよん」
「うん、私も」
「そっか、それなら良かった! えへへ、二人が泊まるとか、なんだか家族が増えたみたいで嬉しいぞ」
「ひびきんは寂しがり屋だもんね!」
「よし、真美は帰ってもいいぞ! お疲れ様!」
「ごめんなさい冗談です」
「たはは……とりあえず、始めよっか?」

 さてさて、正直こうやって三人が集まれる機会は限られている。もちろん今日一日で完成するなんて、思っていない。けど、あんまり時間をかけすぎても千早お姉ちゃんに感付かれちゃうかもしれないし、それに時間をかけたくてもかけられない。時間は大切にしなきゃっしょ!
 よし、やるぞー!

「それで真美は、一体何の人形を作るんだ?」
「んっふっふ~それはね――」





◆◆◆





「真美が最近何をしているかって?」
「えぇ」

 亜美は首を傾げて、疑問符を浮かべている。少し唐突すぎる質問だったかしら。
 真美はここ二週間ほどの間、数日だが何故か我那覇さんの家に泊まることが多い。今日も泊まりとのことだ。別にそれ自体は構わないのだけど、最近の真美の態度は何かを隠している気がした。どこか私に対して、少しだけよそよそしさがある気もする。だからこうやって、亜美を自宅に招いて訊いてみたのだけど。
 亜美は腕を組んでうんうん唸り、小難しい顔をしている。

「亜美でも分からない?」
「ううん、知っているよん? けど、どーしたらいいかなって思って……そうだね、もうちょっと待ってあげて欲しいかな」
「どういうことだか、分からないのだけど」
「むしろ分かっちゃったら、真美きっとがっかりしちゃうよ。千早お姉ちゃんの寂しいよーっていう気持ちは分かるけど、多分あとちょっとだと思うから」
「べ、別に寂しがっているわけじゃ……」
「でもそこは、安心して欲ちい! 何故なら今日、亜美がお泊まりをするからだー!」
「それ、あなたが泊まっていきたいだけでしょう」

 胸を張る亜美に、思わずため息が零れそうになってしまう。
 結局、真美が何を隠しているのかは分からなかった。いや、そもそも本当に知りたいのなら、こうやって亜美に訊くのではなくて、真美に直接訊けば良いだけのことでもある。それをしなかったのは、きっと……。臆病ね、私は。
 けどもちろん、変なことに巻き込まれているんじゃないかという心配もあった。それは亜美の反応を見た限り、心配のないことだろう。
 結局、真美が話してくれるのを待つしかない、か。

「千早お姉ちゃん」

 亜美の、私に呼びかける声。それがさっきとは違って、珍しく、真面目な声で。俯いていた顔を上げて、亜美を見つめてしまう。
 すると亜美は笑顔で、私をジッと見ていた。

「真美を信じてあげて。真美は今、めちゃ頑張ってるからさ。何をとは言えないけどねー」
「そうね、亜美がそう言うのなら」

 真美が私に何も話さないということは、きっと話す必要のないことなのだろう。あの子はちゃんと話すべきことは話してくれる、そういう子だ。
 一緒に暮らしているうちに、分かったことだけどね。

「亜美に言われなくても、実は信じてたくせに~」
「……さあ、どうかしらね」

 すると私の心を読んだかのように、亜美がさっきまでとは違う意地悪い笑みを浮かべてそう言ってきた。
 思わず、目を背ける。

「んっふっふ~、ダメだよ千早お姉ちゃん! そこはしっかりと、自信満々に勿論信じているわって返さないと! じゃないと真美を任せられないよ!」
「じゃあ真美を引き取ってもらっても、構わないのだけど?」
「ちょちょちょ!? ちゃんと、真美をお嫁さんに下さいって言わないとダメっしょ! そういう流れでしょ!」
「どういう流れなのよ……」





◇◇◇





 緊張する。よくよく考えたら、誰かにこうやってお手製のプレゼントをあげるなんて、初めてのことだったから。「これだけ真美が頑張って思いを込めたんだ、絶対に伝わるって思うぞ!」「千早ちゃんなら絶対、喜んでくれるよっ」頭の中で、手伝ってくれたひびきんやはるるんの言葉と笑顔を思い出す。
 うん、いける、大丈夫。絶対! 多分! きっと! て、どんどん弱気になってるじゃん!?

「あの、真美?」
「ふぉおぉいっ!?」

 そうだ、弱気になっている場合じゃない。
 テーブル越しの目の前には、何故か正座の姿勢で真美を心配そうに見つめてくる千早お姉ちゃん。うぅ、はっずい。変な声を上げてしまった。
 後ろ手に隠した人形を指先で弄りながら、うぅんどうしようなんて言って渡せばいいのだろう。
 何度も何度も脳内でリハーサルしたはずなのに、いざ直面すると、自分でもらしくないって思うけど、緊張しちゃってる。
 そうしている間にも、千早お姉ちゃんの表情はどんどん真美を心配する顔になっちゃう。あぁ違うんだよ、真美が見たいのはそういう表情じゃなくて、あーもうっ!

「ち、千早お姉ちゃん! はいこれ!」
「えっ?」

 こういうのは勢いっしょ!
 両手を前に突き出して、渡すのはもちろん、お手製の人形。手のひらサイズの、小さいものだけど。
 千早お姉ちゃんは一瞬ぽかんとした後、それを両手で包み込むように受け取ってくれた。けど、意味が分かっていないようで、未だ口を開いて真美を見つめてくる。説明をしてくれ、ということだろう。

「えっとね、亜美と仲直りできたことも含めてなんだけど、千早お姉ちゃんにはいろいろお世話になってるなーって思ったから。それでね、はるるんが千早お姉ちゃんは可愛い人形とかぬいぐるみが好きだって聞いて。あ、あとひびきんにも手伝って貰ったりして」

 あーもう、言葉が全然纏まらないよぅ!
 普段ならもっともっと、上手く喋れるのに。お喋り大好きなのに。うぅ、なんか顔も無駄に熱くなってきた気がする。
 千早お姉ちゃんの顔を直視できないから、顔だけは横を向けて、話を続ける。

「この人形、真美?」
「そ、そうそう! ほら、真美ってば可愛いっしょ? だからそんな真美を人形にしたら、千早お姉ちゃんも大感激するって思ったんだー!」
「……ふふっ、なるほどね。真美、ちゃんとこっちを見て」
「っ?」
「ありがとう、真美。嬉しいわ」
「~っ!?」

 真美が恐る恐る千早お姉ちゃんを見ると、ふわっとした、柔らかい笑顔で、そう言われた。
 たった一言、それと見たかった笑顔が見れて、嬉しくて嬉しくて体が震える。うぅ、千早お姉ちゃんを喜ばせようと思ったのに、真美が嬉しくされてる!
 いやでも、千早お姉ちゃんも嬉しいって言ってくれてるし、良いのかな?

「千早お姉ちゃん、改めて、本当にありがとう」
「……こちらこそ、ありがとう、真美」

 大切にするから、と千早お姉ちゃんは人形を胸にぎゅっと抱き寄せた。
 えへへ、これだけ喜んでもらえると、真美も同じくらい嬉しい。

「千早お姉ちゃんは寂しがり屋だから、寂しいときはいつでもその真美人形を頼っちゃってよ!」
「別に寂しがり屋ではないのだけど」
「あれ? 亜美が千早お姉ちゃんめちゃ寂しがってたよーって」
「は、ちょ、あ、あの子!?」
「んっふっふ~ごめんね千早お姉ちゃん、寂しい思いをさせちゃって。大丈夫、これからは真美も真美人形もいるんだからね! 寂しくないよ!」
「今日も我那覇さんの家に泊まってくるといいわ」

 今度は千早お姉ちゃんが、ぷいっと顔を背ける番になった。
 素直じゃないなーもう!





 第5話『贈り物』



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