絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

好きになる人

ついったーの『12時間以内に2RTされたら星井美希に天海春香がふざけて喉に欲求のキスをされるところを描き(書き)ます』というものから。 はるみき喉キス小ネタSSです。
 



「春香って、恋したことある?」

 ミキの質問に、春香は何とも言えない表情をしている。なんだろ、唐突過ぎたかな?
 そこまで重要な話でもないから、正直さらっと流してくれても良かったんだけど。ただスイーツを食べている間の、ちょっとした話題程度のものなのに。まるで春香は難題を吹っ掛けられたかのように、うんうん唸っている。春香が口に運ぼうとしていたショートケーキのイチゴは、フォークに刺さったまま行き場を失ってしまっていた。

「えっと、春香?」

 声を掛けてみても、目を瞑って唸るだけ。むむぅ、無視されているようで気に入らない。
 こうなったら。
 口をあーんって大きく開け、春香が手に持ったままのフォークに――その先についたままのイチゴをぱくっと。
 春香が「ふぇ」と気の抜けるような声を上げた。一瞬ぽかんとした後、何をされたのか気付いたみたいで、ミキの方をジトッと睨む。ふふーん、そんな目をしてもイチゴはもうミキの口の中なの。

「み、美希ぃ! 酷いよ、せっかく楽しみに取っておいたのにぃ!」
「春香は最後にイチゴを食べる派なんだ? ミキはその日の気分による派だよ」
「その話に興味はないよ!」
「そもそも春香がミキを無視するからいけないの」
「えぇぇ……美希の質問の意図を考えていただけなのに」
「意図なんてないの。少し気になったというか、甘いものを食べてるときに甘いお話できたらもっと甘く美味しくなるかなって思っただけで」

 そう、別に深い意味はない。ただ、ふと気になっただけ。
 春香は誰にでも優しい。今だって結局、ミキに対して本気で怒ったりしない。ため息交じりにしょうがないなぁなんて言いながら、最後は許しちゃう。春香らしいっちゃ、春香らしいの。
 今回の元も、そうだ。事務所に来たらたまたま仕事の日程がずれちゃって、ミキが暇そうにしていたのを見て、こうしてスイーツの美味しいお店へ誘ってくれた。春香は午前の仕事が終わって午後がオフと言っても、貴重なオフだもん、きっとゆっくりしたかったはず。
 これだけ優しい春香が、もし一人の人を好きになったら、その人にどれだけ尽くすんだろう。そう思った。

「春香さんとしてはですね、てっきり、恋の一つもしたことないんじゃないのーデートのデの字も知らなそうだけど大丈夫、って思われたのかと思って焦ったんですよ」
「捻くれすぎなの」
「いやーだって美希に言われると、よりそう思っちゃうっていうか」
「春香がミキのこと、嫌な奴だって思っているってことはよーく分かったの」
「うわわ、嘘だよ冗談冗談ごめん!」

 わざとらしくちょっと拗ねてみると、慌てたように立ち上がってわたわたしだす春香。その様子をもう少し眺めていても良かったけど、周りの目もあるし、とりあえず落ち着いて貰わないと困るの。

「じゃあ今すぐ座ってくれないと、許さないの」
「はいっ、座りました!」

 ミキの言葉に、春香はすぐさまきっちりと席に着いた。

「素直でよろしいの。で、お話の続きなんだけど、春香って今恋してる?」
「なんか微妙に質問変わってない?」
「細かいことは気にしちゃヤ。どうなの?」
「うぅん、なんで唐突にそんなこと気になるのか分からないけど……今はしてないかなぁ。あ、もちろん恋をしたことはあるよ? 幼稚園くらいのときだけど」
「それはミキ的には、ノーカンだって思うな」
「えぇっ、じゃあどれくらいからならカウントしていいの?」
「うーん、やっぱり小学校高学年とかじゃない?」
「そ、それだと私、恋したことないことになるんだけど……」

 苦笑い気味に言う春香に、ちょっと驚く。アイドル活動をし始めてから恋をしていないなら、まだ分かる。けど、中学校くらいからずっと恋してないってことなのかな。少しだけ、意外。
 ミキから見ても、春香は可愛い方だと思う。正直、それこそ告白の一つや二つ受けてそうなものだ。それでも恋をしていないということは、周囲がよっぽどダメな子ばっかりなのか、はたまた春香の趣味が壮絶に悪いかのどっちかなの。

「ねぇ、春香ってどういう人がタイプなの?」
「えーなんなの、今日は春香さんのこともっと知りたいタイム?」
「うん。みんなに優しい春香が、みんなから好かれるような春香が、そんな春香が好きになるような相手ってどういう人なのかなって」
「そ、そうまっすぐに返されると恥ずかしいんだけど……たはは」
「あとは春香ってなんとなくだけど、尽くすタイプっぽいし。ただでさえ優しい春香が、好きになった人にはどれだけ尽くすのかな興味あるの」
「わ、私そんなタイプかなぁ」

 少し照れくさそうに、目線を逸らす春香。春香は結構、ストレートな言葉に弱い。たまに照れ臭いのか誤魔化そうとふざけてくるけど、それすらもストレートに返すと、恥ずかしそうにちっちゃくなる。
 そんな春香が、一体誰をどんな風に好きになるのか。興味があると同時に、なんかその光景を想像するとムカっとするの。普段はミキたちに向けられているもの以上の特別を、誰かが受けているところを考えると、ちょっと嫌な気持ちになる。

「それで? 結局、春香は誰が好きなの?」
「また質問変わってるよね!? というか、恋してないって言ったじゃん!」
「ほら、周囲でいないの? この人が理想に近いーっていうの、ない?」
「そんなこと言われても……」
「むむぅ、ならミキを好きになればいいんじゃない?」
「どういう発想!?」
「ミキね、男の子に告白されること多いけど、女の子に告白されることも結構あるんだよ?」
「そりゃあ、美希みたいなキラキラしてる子だったら、男女問わず人気だろうけど……」
「春香もミキのこと、好きになっちゃっても良いよ?」
「いやそんな、スイーツ一口食べても良いよ的なノリで言われても」

 困ったように笑う春香。うん、こんなこと言ったらきっと春香は困るって、分かってるの。
 ちょっと困らせてみたかったっていうのもあるけど、それ以上に春香の反応を見てみたかった。困りつつも、春香がなんて返答をするのか気になった。
 なんだろう、気軽に訊き始めた質問なのに、少しムキになってきた。実際に想像したからかもしれない、ミキの知らない顔を春香が他の人に見せているところを。
 それを悟られないよう、誤魔化すように食べかけのケーキを口に一欠けら運ぶ。

「それともミキじゃ不服?」
「それ不服って答えたら、世界中の美希のファンを敵に回す気がするんだけど。美希のことは好きだけど、そういう目で見たことないからなんとも……」
「じゃあこれから、そういう目で見ても良いよ?」
「そう言われても、突然そんな風に意識できないでしょ」
「キスしてあげようか? そしたら意識しちゃうと思うけど」
「さらっと何言ってるの!?」
「あー春香のえっち。口にはしないよ?」
「あぁそうなんだそれなら――って、どこにする気!?」
「まぁまぁ」
「宥めるように言われても、不安しかないよ春香さん!」

 また立ち上がろうとする春香の肩に手を伸ばすようにして、落ち着かせる。
 春香は本当にキスする気なの、といった視線を送ってくる。うーん、どうしよ。冗談のつもりだったけど、そういう目で見られると本当にしたくなっちゃうの。
 けどもちろん、口にする気はない。冗談で済まなくなっちゃいそうだし、ミキもそれはまだダメだって思ってるから。ん、まだ? なんかおかしい気もするけど、今はおいておくことにしよう。
 無難にほっぺなんていいかもしれない。もしくは真くんが劇でやりそうな、手の甲にキスなんてのも格好良いかも。
 そうやってキスについて考えていると、以前どっかで得た知識が蘇ってくる。えっと、あれはいつだったか、そう! 雑誌に書いてあったやつなの! キスはする場所によって、意味を変えるって!
 こういう場合に、ぴったりな場所ってどこだろう。ミキを意識して欲しいっていう、思い? こういうの、なんて言うんだっけ。

「あ、思い出したの! 春香にキスするのに、ぴったりな場所!」
「えぇっと、キスすることは確定みたいな流れに、私はどうすればいいの?」
「おとなしくキスされれば良いの。はい、目を瞑ってー」
「わわっ!? ちょ、み、美希ぃ! わ、私、実はキスって初めてだからそのなんていうかあのねこういうのってもう少しムードとかが大切だって思うし――」
「だーかーらー、口にはしないってば。それにミキだって初めてだよ?」
「うえぇ!? そういう大切なものは、とっておくべきだって春香さん思う!」
「ん~春香なら良いかなって、思っちゃったの」
「~ッ!? み、みき――」
「あんまり騒がないで。他の人に見られちゃうの」

 ミキが音を立てないようそっと立ち上がると、春香はびくりと大袈裟に体を震わせた。明らかにテンパっている春香に近付く。そして座ったままの春香に合わせるよう、ミキも中腰くらいに構える。
 そっと春香の肩に右手を置いて、左手は左頬に添える。春香の肌から、体の熱さが伝わってきた。緊張しているのか、焦っているせいか。そんな春香が可愛くて、面白くて、ミキは逆に思ったより冷静になれている気がする。
 不覚にもちょっとドキドキしちゃっているのは認めるけど、それでも春香ほどじゃない。春香はミキを止めようと、いろいろ言葉を紡いでいるけど、正直もう止まれないの。

「春香」
「っ!?」

 名前を少しだけ低く呼んだ。それだけで、春香は空気に呑まれちゃったのか、反射的に目を瞑った。
 よし、この瞬間だ! ここしかないの!

「ぁ、ふ!」

 ミキがキスをすると、春香はぴくんと震え声を漏らした。その反応が思ったより可愛くて、そして今まで見たことのない春香の一面に、少しだけミキの心がざわっとした。冗談交じりだったはずのキスなのに、本気になっちゃいそうな。
 キスをしたのは、喉。喉は欲求のキスだって、書いてあった気がするから。ミキを意識して欲しいっていう、欲求。
 本当はすぐに唇を離そうと思っていたけど、ちょっとだけ名残惜しい感じもして、二度三度と口付けちゃう。ちゅって、音を立てて。そのたびに見たことのない反応をしてくれる春香を見るのが、なんだか心地良い。

「っ、ぁ、ら、こら美希!」
「春香、あんまり大声出しちゃ他のお客さんに迷惑なの」
「そりゃ声も出すよ!」
「ちょっとえっちぃ感じの声だったの」
「~っ、怒るよ! 本気で怒るよ!」
「怒った春香も、見てみたい気がするけど。怒られるのは嫌だから、ミキは退散するの」
「は? え、ちょ、ま、待って!」

 残っていたケーキをさらっと平らげて、春香から逃げるように去る。ミキの背中に向かって、春香がこらーって言っているけど気にしない。
 せっかくいいものを見せてもらった気がするから、ここはミキが奢ってあげることにするの。
 お会計を済ませて喫茶店から出ると、ちょっと遅れて慌てた春香が出てきた。
 何か言いたそうにこっちを、睨むような責めるような、そんな目でミキを見てくる。顔が赤いのは、慌てて出てきたせいかな? それとも、別の理由なのかな。

「ねぇ春香、意識してくれた?」

 春香はとたんに、分かり易いくらいに真っ赤になった。そしてミキに決して目を合わせず、小さな声で「反則だよぅ……」って零してた。
 こんなことされたら、意識せざるをえないよね。きっと。
 それがなんだかおかしくて、楽しくて、思わず笑みが零れちゃう。

「うわー……この子サドだよー」
「春香限定だから安心して欲しいの」
「それ私が安心できる要素ないよ!?」

 春香が好きになる人は、どんな人なのか。
 結局それは分からないけど、もしそれがミキだったら。

「ほら、事務所に戻ろう!」
「わわっ、危なっ!」

 そんなことを思いながら、まだミキの方をちゃんと見てくれない春香の手を引いて、事務所への道を走った。
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