絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

case8:『一瞬のウインク』

文さんと霊夢さんで、珍しく霊夢さんがデレるとき。



『一瞬のウインク』



 博麗神社で宴会が行われる場合、ある程度の時間が経つと射命丸文は輪から静かに離れる。酔っ払いたちにタチの悪い絡み方をされるのを避けるためでもあるが、それ以上に大きな理由として霊夢を探すためだったりする。
 毎度宴会は規模が大きく、たまに人里の一般人からそこらの野に住居を持つ無名の妖怪まで紛れることもある。そうなると、人が入り乱れ声が混じり合い、誰がどこにいるのかを探すのは難しい。
 文はため息を零しながら、一本の木に寄りかかる。ただでさえ酒に強い種族である天狗の中でも、文は滅法強い方だ。酔ったわけではない。しかし、これだけの人妖やらに長時間囲まれては、さすがに疲労する。
 体を休めつつ、目だけで霊夢を探す。
 ぎゃあぎゃあと騒がしい中、目を凝らして探した。すると目的の人物は、案外にあっさりと見つかった。魔理沙や早苗といった、同世代の人間(内一人は現人神でもある)と楽しそうに飲んでいる。それなりに遠いところにいるが、それでも文は細部まではっきりと見えていた。
 たとえば霊夢の頬、ほんのりと桜色に染まって、歳不相応な色気を醸し出している。お酒のせいか、会話に夢中になっているせいか、それともただ純粋に暑いのか、首筋にはうっすらと汗の玉が流れている。そして何より、お酒で気分が良いのだろう、珍しく上機嫌だ。
 文が何度か前の宴会で、このことに気付いた。霊夢が酔うと、普段の刺々しい態度が柔らかくなるということに。

「……霊夢」

 文が小さく、そう呟いた。
 この騒がしさの中、なおかつ霊夢までの遠い距離では、もちろん聞こえるはずがない。だがそれでも、巫女の勘なのか、毎度霊夢はそれで文の方を向くのである。それは今回も例外ではなく、霊夢は文と視線を混じらせた。
 互いに目が合い、数秒。
 次の瞬間――霊夢がふにゃっと笑った後、ウインクを一度だけした。

「~っぅ!」

 文はそれを見て、その場に蹲る。頭を抱えて、妙な奇声を零しつつ。文が宴会で毎回霊夢を探している理由が、これだった。
 普段はそんなことをしないくせに、お酒と宴会の空気で上機嫌になったときだけ、霊夢は目が合うとこうやってサインを送る。所詮はお酒の場によって行われた行動、深い意味はないのかもしれないが、それでも文にとってそれは最大級の破壊力を誇るものだった。
 しかし、文は気付いていない。
 いくら上機嫌で柔らかくなった霊夢といえ、誰彼構わずその仕草を見せるわけではなく、文と目があったときの僅かな瞬間にしか見せないということを。その仕草が、文にだけ、文のためだけに行われているということを。
 そんなことは知らずに、文はその場で悶え続けた。
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コメント

霊夢がデレる時...それは幻想郷の某新聞記者(+読者)が悶え苦しむ異変の始まりだった。

一瞬霊夢がウインクしてるシーンが余裕で回想できました。
2013-10-18 Fri 21:41 | URL | ロドルフ [ 編集 ]
>>ロドルフさん
普段とのギャップにやられる文さんでした!
2013-10-19 Sat 02:01 | URL | 喉飴 [ 編集 ]

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