絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

case3:『ホットミルク』

霊夢さんとルーミアのちょっとした夜のお話。




『ホットミルク』



 秋頃になると、霊夢の元へルーミアが頻繁に訪れるようになる。きっかけは二年ほど前、秋の冷える夜、土砂降りの雨に打たれながら「雨宿りをさせて欲しい」と博麗神社へルーミアが逃げ込んできたのがきっかけだ。
 普段なら厄介事はごめんなので「帰れ」の一言で済ますのだが、さすがに実年齢はともかく自分よりも体の小さい見た目少女の子が、涙目かつびしょ濡れの姿で現れたら、見過ごすわけにはいかない。一部では鬼だの人間やめてるレベルだとと噂される霊夢だが、それでも情というものはあるわけで。
 その際、霊夢はルーミアをまず風呂に入れた。体の芯から冷え切っていたのだろう、最初は熱いお湯を心地良いというよりは痛がっていた。しかし、次第に解れてきたのか、はふぅ……と緩いため息を零すくらいに、ルーミアは温まった。
 そしてお風呂上がり、霊夢が渡した飲み物。それこそが、ルーミアが霊夢の元へと頻繁に訪れるようになった最大の原因だ。
 程良い温度に調整した、ホットミルクだ。
 甘い、温かい、何故か心の芯からホッとする。ルーミアにとって、その飲み物は衝撃的だったのだ。
 そのせいで、ルーミアは秋から冬終盤にかけて、夜冷える日は霊夢の元へとホットミルクを飲みに来る。
 最初は「たかりにくるな」と言っていた霊夢だが、次第に「まぁ一杯くらいはいいか」となっていった。その代わり、ちょっとした暇潰し、話し相手になってもらっている。

「こんばんは、霊夢」

 そしてルーミアは今日もやってくる。
 毎回ほぼ同じ時間に来るため、霊夢はもはや定番となったホットミルクを既に用意しておいた。
 ルーミアは居間まで通し、卓袱台を挟むようにして座る。

「ほら、ホットミルク」
「わぁ、ありがとっ。えへへ、あったかいなぁ」

 コップに両手を添えて、じんわりとした温かさをありがたそうにしているルーミア。
 そんなルーミアを、頬杖をつきつつ眺める霊夢。

「あんたさぁ、いいかげん金取るわよ」
「とか言いつつ、毎回ちゃんとホットミルクを出してくれる霊夢なのであったー」
「……変なのに懐かれたわねぇ、私も」
「あぁ安心して、霊夢のことはそれなりに好きだけど、ホットミルク目当てで来てるだけだから!」
「あんたの頭からホットミルクかけてやろうか」

 霊夢の言葉にけらけら笑いながら、ルーミアはホットミルクを口に運ぶ。ルーミアにとってはまだ熱かったのか、小さく「つっ!」と声を漏らし、コップの中に広がる雪のように白くけれども熱い世界を、ふーふーと息で揺らす。ゆらりゆらりと揺れるホットミルクを、零さないよう慎重に息をかける。そしてぺろっと舌で一舐め。さっきよりもちょうど良い温度になったのか、満足そうに口をつける。こくりこくりと喉を鳴らし、ゆっくりと味わい、一口一口飲んでいく。
 そんなルーミアの姿を「こいつ、本当幸せそうに飲むなー」とか思いながら、霊夢は眺めていた。ふにゃっとした笑顔で、幸せそうにホットミルクを飲むその姿は、まるで見ている方にまで幸せを与えるようなものだ。
 事実霊夢も、ルーミアを追い出さず受け入れている大きな理由として、その姿を見るのが好きだからという理由がある。

「ん、美味しいなぁ。また明日来ても良い?」
「毎日来る気か、お前は」
「とか言いつつ、そんなに嫌じゃない霊夢なのであった」
「よし、デコ出しなさい。デコピンするから、本気で」
「ひぅっ!? ちょ、やめて! せめてホットミルク飲み干すまで待って!」

 ルーミアの来る夜だけは、秋の物寂しい空気とは無縁である。
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