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絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

あやみこラジオ~特別放送~

合同誌とかの原稿除くと、4ヵ月振りのSS、9ヵ月振りのあやみこラジオなんですって(他人事のように
というわけで、久し振りなのでとりあえず軽いノリで! いつも以上に軽く!

「みここここー! さあ、始まりました、あやみこラジオ! 本日は特別編ということで、いつもとはまた違った感じでお送りする予定の私、パーソナリティーは射命丸文と!」
「何がどう特別なのか全く聞かされていない、私、博麗霊夢でお送りするわ」

 オープニング曲の『恋風綺想』が流れる。
 やる気満々な文に対して、霊夢はいまいち乗り気ではない。いつものことではあるのだが、今回はより一層やる気がないようだ。
 それもそのはずで、今回は予定になかった放送である。詳しい理由を聞かされることもなく、ただ半ば無理矢理気味に連れてこられたのだ。
 そんな霊夢の不満を察してか、文がわざとらしく咳を一つ。

「こほん、霊夢さんがわけわからんって様子なので、簡単に説明してあげます」
「そうしてもらえると、助かるわ」
「まず特別編ということで、通常とは違う点がいくつかあります。一つは、CMがないという点です。その分、僅かではありますが、いつもより私たちだけの時間が伸びます」
「ふぅん、面倒そうね」
「二つ目は、本日はお便りメイン! これにより、一つのお便りに対して、通常よりも時間をかけることができます。濃密な時間になりますね」
「面倒に面倒を重ねてきたわね」
「そして三つ目、これは正直大したことではないのでさらっといきます。CMがないのでスポンサーなしにより、今回私たちに金銭的なものは発生しません。さて、というわけで、今日も元気にいきましょー!」
「ちょっと待てこら一番重要でしょうがそれ!」

 霊夢が声を張り上げる。
 ただでさえ面倒なのに、ギャラが発生しないというのは聞き捨てならなかった。明らかに不満オーラを放っている霊夢に、文はまぁまぁと宥める。

「ほら、自由度が増した今回で、より霊夢さん自身をアピールできるかもしれませんよ? そうしたら、お賽銭が数倍になるのも夢じゃないかもしれないですよ?」
「えっ」
「まぁ元がゼロなので、数倍になったところでゼロのままですけど」
「おいこら」
「というわけで、はい、まずは基本的なお便りから!」
「無視するんじゃないわよ!」

 うがーっと声を荒げる霊夢だが、もうそれなりの付き合いだ。文はこれしきのことで、乱されたりしない。特に気にすることなく、進行を続ける。

「さて、PN実家が甘味処さんからです。『文さん、霊夢さん、こんばんは。私はつい先日、誕生日を迎えました。その際両親に、お前は結婚しないのかと訊かれました。私は正直、今のところ結婚願望はありません。お二人は、そういった願望はありますか?』とのことです」
「結婚ねぇ……面倒そう」
「でも、よくないですか? 家に帰ってきたら、迎えてくれる人がいるって。なんか、温かい気持ちになるというか、胸にきゅんってくるものがあります」
「へぇ、あんたでもそういうの憧れるんだ」
「そうだ、せっかくですし、ちょっとシミュレーションしてみましょう! 私が家に帰ってくるので、霊夢さんは迎えてください」
「はぁ?」

 何言ってんのあんた、といった顔をする霊夢。
 しかし、文はわざとらしく咳払いをし、無理矢理演技へと突入する。

「はぁー今日も疲れました。ただいまー」
「……おかえりなさい、文。ご飯にする? お風呂にする?」
「んー三つ目の選択肢が欲しいですね」
「は?」
「ほら、定番のあれですよぉっ」
「……ご飯にする? お風呂にする? それとも、あの土砂降りの日に果たせなかった約束を今こそ果たしに行く?」
「定番どころか一度も聞いたことない重そうな背景漂うフレーズ!?」
「ツッコミが長い。もう無理離婚しましょう」
「それだけで!? いやいや、一回ストップ!」
「何よ、勝手に始めたかと思ったら今度は勝手にストップ? ちょっと我儘すぎない?」

 机の下から蹴ってやろうかこの巫女。そんなことを思いながらも、文はなんとか笑顔を作り堪える。

「分かりました、突然始めた私にも非があったことは認めましょう。そうですね、突然お迎えなんて言われてもしっくりこないですよね。では、今度は仕事に行く私を見送ってください。そしてその後、改めて帰ってくる私を迎えてみてください。さっきみたいにいきなり夜からではなく、朝から夜といった感じです。お願いできますか?」
「仕方ないわねぇ、分かったわよ」

 霊夢は大きなため息を零した。

「文、今日は何時に帰ってこれるの?」
「ちょっと遅くなると思うので、先にご飯食べちゃってていいですよ」
「元からあんたを待つ気なんてないけど?」
「わーお、なんというか、さすが霊夢さんですね。でもそんなところも、好きですよ」
「ほら遅れるわよ、逝ってらっしゃい」
「なんかニュアンスが違う言い方をされた気がしますが、気のせいだと思うので行ってきますね。っとと、そうだ忘れ物が」

 あちゃーとわざとらしい演技をする文に、霊夢は軽く苛立ちを覚えた。

「何よ、仕事場で必要な資料とか?」
「いいえ、もっと大切なものです。いってらっしゃいの、ちゅーです」
「は? もう一度、あえて言うわね。は?」
「さあ、私にちゅーを! 今すぐ、ちゅっと!」
「仕方ないわね、まったく。それじゃ、いくわよ。……ッ! はい、満足した?」
「いやいやいや、それ舌打ちですよね!? 欲しかったのは、ちゅっであってチッっていう舌打ちじゃないですから! 響、似てるようでそんな似てないですからね!?」
「はいはい、お帰りなさい文。ご飯にする? お風呂にする?」
「もう朝のイベント省略されて、一気に夜になってる!?」

 もう付き合うのも面倒になったのか、霊夢の態度が普段よりも雑になってきた。
 ラジオなので姿は見えず声だけなのが救いか、今の霊夢は頬杖をついていてやる気がないというレベルじゃなくなっている。

「それとも、お風呂でご飯にする?」
「嫌ですよそんな特殊な食事形式。普通に、まずはお風呂にします」
「そう……って、あんた何よそれ!」
「へ?」
「あんたのシャツ、赤い唇付いてるじゃない!」
「それを言うなら口紅ですよね!? 唇がまんま付いてるって、それ怪奇現象もいいところですよ!」
「離婚しましょう」
「これは違――」
「はい、というわけで新婚生活終了ね。どうだった?」
「新婚生活の甘さがまったく感じられなかったんですが……」

 思っていたのと違う! 文は心の中で、そう叫んだ。
 疲れた表情の文とは対照的に、霊夢はさっきまでとは違って笑顔である。明らかに確信犯だ。

「はぁ……まぁ霊夢さんなんかにときめきを期待した私が馬鹿でしたね」
「ちょっと、それじゃまるで私に魅力がないみたいな言い方じゃない」
「少なくとも、さっきのやり取りで魅力は感じないですね。あぁこの人と恋人になると、面倒そうだなーくらいにしか思えないです」
「む、そこまで言われたら、引き下がるわけにはいかないわね。文、ちょっと手を出しなさい」
「はい?」

 文は目の前にいる霊夢へと、右手を伸ばす。一体何をする気なのかと首を傾げつつ、霊夢の反応を待つ
 霊夢は目を瞑り、すぅはぁと呼吸を何度か繰り返す。そしてそっと両手を伸ばし、差し出された文の手を優しく包んだ。

「好き。あんたが好き」
「~っ!」

 滅多に見せない、真面目な瞳。面倒そうな声ではなく、透き通るような声。文は思わず、息を呑んだ。
 包まれた手のひらから、じんわりとした熱さが伝わる。これが体温によるものなのか、はたまたそれとも別の何かが原因なのか。文にはよく分からなかった。というよりも、理解が追いつかない。

「さっきのだって、そうよ。好きなやつほど、からかってみたくなる。いろんな表情が見たいからこそ、いじわるしたくなる。けど、それであんたに意識してもらえないっていうなら、それもやめるわ」
「え、ゃ、その……み、巫女? 冗談はやめ――」
「それ以上言わないで。冗談なんて、私の気持ちを否定するようなことを言わないでよ。受け入れてもらえなくたっていい。けど、私の気持ちをなかったことにするのは、やめて」
「ぁ、う? れ、霊夢、えっと嬉しいっていうか、あ、あははー意外に演技派ね。不覚にも、ちょっぴりどきっとしちゃいましたよ?」

 余裕を失っているのが丸分かりなくらい、文の口調は崩れていた。ぎこちない笑みを浮かべて、なんとか平静を保とうとしている。
 しかしそんな文とは違い、霊夢は揺るがない。異変を解決する際に弾幕ごっこをしているときのような、そんな真剣な眼差しのままだ。
 どうせ芝居だということは分かっている。そう、頭の中でははっきりと分かっているのだ。けれども、文はこの空気に、目の前の霊夢にどう反応していいか分からなかった。何かを言おうとしても、それは言葉の形を成さずに萎んでいく。そしてなんでもいいから喋ろうと思うほど、焦りが生まれてより思考が正常に働かない

「文、私はあんたのことを」
「ちょ、ちょちょちょっと待って今放送中だしそういうのは後で、ってそういうことでもなくて――」
「心底弄りがいのある、面白いやつだと思ってるわ」
「――へ?」
「どう? 私も中々、捨てたもんじゃないでしょ? と言っても、前に早苗が見せてくれた、外の世界の恋愛漫画っていうものを真似てみただけなんだけどね」
「……あぁうん、分かってましたよ超分かってましたよ? 霊夢さんが必死に演技しているもので、私も合わせてあげたんですよ本当」
「さて、そろそろ次のお便りいくとしますか」
「スルーはやめてください辛いです」

 頭を抱えて凹んでいる文をさらっと無視して、霊夢はお便りを一枚手に取る。

「えっとPN頭巾さんからね。『お二人ともこんばんは。自分は長い付き合いの友人がいます。その友人にどうして名前で呼んでくれないのかと訊ねられました。私としては、苗字呼びに慣れてしまっているせいで、今更呼び方を変えるなんて気恥ずかしいのです。お二人はそのような場合、どうしますか?』だってさ」
「あー確かにそういうのってあるかもですね」
「そういうものかしら」
「霊夢さんは基本的に、最初から名前呼びだからじゃないですか? 霊夢さんの場合、誰かをあだ名で呼ぶとかだったら、気恥ずかしさが分かるんじゃないですかね」
「魔理沙のことをマリマリーとかってこと? うわ、確かに恥ずかしい」
「霊夢さんのセンスが恥ずかしいですね」
「そぉーい」
「両目が痛い!?」
「さて、軽く目潰しをしたところで、実際こういうのってどうすればいいのかしらね。相手がそう呼んで欲しいって言うなら、よっぽど恥ずかしくない限りは呼び方を変えても良いと思うけど」
「じゃあ試しに、ちょっとの間互いに呼び方を変えて呼び合ってみましょう」
「なんでそうなるのか、まったく分からない」
「博麗さん」
「っ!」

 にこっと笑顔で呼び方を変えてきた文に、霊夢はぴくっと震えた。なんとも言えない違和感で、もやっとするものがあった。

「何よ、射命丸ちゃん」
「~っ!?」

 今までに味わったことのない気持ち悪さ、不快感が文を襲った。
 霊夢は霊夢で、してやったりといった表情だ。

「あはは、やっぱり結構恥ずかしいですね、レムレム」
「ぐ、き……っ、そ、そうねぇ恥ずかしいわ。文ちゃぁん」
「おふっ……」
「どうしたの、あーやーちゃぁん?」
「い、いえ別に」
「あぁやぁ茶碗」
「茶碗ではないです。あと、段々とねっとりした感じになってきてるせいで、気持ち悪いですよ」
「今度からあんたのこと、そこの人って呼ぶことにするわ」
「やめてください地味に傷付きますから。それにほら、私って人じゃなくて妖怪ですし!」
「さて、結論としては、無理に呼び名を変える必要はないんじゃないかしら? あなたなりの信頼の表し方は、他にもあるでしょうし。呼び方が仲の良さ全てを表すってわけでもないから、そこまで気にしなくてもいいと思うわ。相手が強く望むのなら、そこは二人でちょっと話し合いでもしてみたらいいんじゃないかしらね」
「流された上に綺麗に纏められた!?」
「いいからほら、次はあんたが読みなさいよ」
「痛い痛い! 机の下ですねを蹴らないでください! 地味に痛いですから!」

 げしげしと見えないところで蹴る霊夢。もちろん、本気で蹴ってはいない。足をぶらぶらっとさせて、ぶつけている程度だ。
 文ももちろん、それは分かっている。けれども、あえてオーバーリアクションを取る。二人の慣れた、じゃれ合いのようなものた。

「では次のお便りっと、これでどうやら最後みたいですねー時間的に」
「やっと解放されるわけね」
「PNにゃるまんでぃさんからですね。『お二人とも、みここここー! 私は将来なりたい職業というものが、まだありません。お二人はもしなんでもなれるとしたら、何かやってみたい職業はありますか?』だそうです」
「面倒だから、博麗の巫女のままで構わないわ。だって、依頼が来るか異変が起きるかとかじゃなきゃ、基本的にだらだらしてても構わないし。そうそう頻繁に異変も依頼もあるわけじゃないから、必然的にお茶飲んだりお煎餅齧ってるだけでいいのよねぇ。私にとっては、最高に楽な職だわ」
「歴代に博麗が泣きますよ、それ聞いたら。大体、異変解決や依頼だって、普通の人間ならできないですからね。やっぱりそれ相応の、力がないと」
「ちょこっと練習すれば、なんとかなるわよそんなもん」
「出ました、天才の発言。怖い怖い」

 やや引き気味の文に、霊夢は何がおかしいのか本気で分からないといった顔をしている。やはり、どこかずれているなと思う文だった。

「ちなみに私も、今のままで割と満足しているので。安定してますし、新聞も書けますし」
「新聞屋だけで、とは思わないの?」
「趣味を仕事にするっていうのは、ギャップがありますからねぇ。自己満足でやるならともかく、収入のことを考えたりすると売れる書き方にシフトしなきゃいけなかったり。細かい研究も必要になるでしょうしねー。私は自由気ままに、好きなことを書きたいので」
「ふーん、そんなものなのかしらね」
「もし現状以外のものでなりたいのはって言われると、甘味処なんかやってみたいかもしれません」
「あんた、お菓子作れるの?」
「洋菓子は無理ですが、和菓子なら中々のものですよ? ちょっとしたときに作って、食べたりしています。息抜きにもなりますし、甘いもので疲れも癒されますし。霊夢さんも、和菓子作れましたよね?」
「あーまぁ一応ね。滅多に作らないけど」
「それじゃあ互いに職を失うようなことがあったら、一緒に甘味処でも経営しますか」
「何それ、一種の告白?」
「……いやいやいや、そんなことは」
「顔赤いわよ?」
「あ、あーあー! 残念! もう締めろって合図が出ていますんで、時間ですね! では最後に、軽くまとめに入りましょうか!」

 突然わたわたし始めた文を、霊夢はジトっとした目で睨むが、目を合わせようとしない。



「さ、さぁ霊夢さん! どうでした、いつもと違う流れの今日は?」
「そうねぇ、CMとかがないせいで、休憩できないのが辛かったわ」
「そこはプラスな感想が欲しかったのですが……」
「あんたはどうだったのよ?」
「もちろん、楽しか――」
「あ、時間おしてるって。はい、あややややー」
「せめて最後まで言わせてもらえませんかね!?」

 疲れたのか、どこか面倒くさそうな霊夢の声と、文の叫びで、今回は幕を閉じた。
小ネタ・未投稿SS | コメント:2 | トラックバック:0 |
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コメント

霊夢の対応が雑すぎるwww
これってお葉書の内容、募集してましたっけ?
2013-05-31 Fri 19:30 | URL | ロドルフ [ 編集 ]
>>ロドルフさん
常に募集してますよっ。書くのが遅いので、いつ採用になるかは不明すぎますが(
2013-06-01 Sat 18:32 | URL | 喉飴 [ 編集 ]

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