絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

面倒が重なる日

ルーミアと霊夢さんのお話っ。

 
 面倒は重なるものだ。
 土砂降りの日だって言うのに、妖怪退治の依頼が舞い込んだり。さっさと済ませようと思いきや、場所が深い森の中だったり。そして依頼を終えて森から出る途中、見たことがあるような妖怪に出会ったり。
 いや、出会ったと言うより、倒れてるのを発見したと言うべきか。現在進行形で、目の前の地面に突っ伏したまま動かない。
 どうしようかと考えているこの間にも、空気を読まない雨はざぁざぁと私と目の前のこいつを叩き付けるように濡らす。

「……よし、見なかったことにしよう」

 見たことがあるっぽいだけで、実は全く知らない妖怪だったりするかもしれないしね。関わらないことが一番だ。
 そう思い、くるりと踵を翻すと、足首を強く掴まれた。首だけ振りかえると、そこには顔を上げ、けれども体は倒れたままのルーミアが居た。うん、やっぱりこいつだったか。まぁこんな黒い服にリボンのようなお札してるのなんて、こいつくらいだろう。
 しばらく、互いに視線を交わす。ルーミアの目が、しっかりと私を捉えて離さない。何かを訴えているようにも思える。

「離せ」
「酷い! 今私、明らかに、捨てられた子犬のような雰囲気出してたでしょっ!? 普通、助けるのが常識だよ!」
「それだけ大きな声出せるなら、元気の証ね。良かったわねルーミア、あんた超元気よ。私の助けなんて必要ないくらいに」

 なるべく笑顔を作って、そう言ってやる。
 しかし、こいつは私の足を掴んだまま離そうとしない。

「いやいや、見てよこの姿! 雨に濡れ、体は泥まみれ。おまけに寒さで震えてるんだよ? これ元気の欠片も無いよ。助けてあげるべきだと思うよ?」
「私はね、ルーミア……あんたは私の助けなんかいらないくらい、ずっとずっと強い子だって信じてるのよ。近所でも、ルーミアはとても強くて元気な子だって評判よ? だから、あー……うん、面倒臭い大丈夫」
「今面倒臭いって言った! 本音が出てた!」
「あーもう、うっさい! そこで寝てろ! 私は今から帰って、温かい布団で寝るから!」
「冷血巫女! くたばれいむ!」
「なんだとこら!? あ、ちょ、馬鹿! 服引っ張るな!」

 ぐいぐいとスカート部分を引っ張られる。くっ、こいつこんな見た目でも、妖怪だから力がそこらの人間よりも強い。
 まずい、このままだと破ける。このくっそ寒い中、破けた服で帰れって? ふざけるな。

「あーもう分かった! 分かったから! とりあえずあんたを、神社に連れてく!」
「わぁい霊夢大好きー」
「殴りたくなるくらい綺麗な笑顔ね。あんた、飛ぶ体力はある?」
「立ち上がる気力も体力も無いかな」
「……おんぶと抱っこ、どっち?」
「おんぶで」

 何が楽しくて、こいつを背負わなきゃならんのだろう。ため息を吐きつつ、なんとかルーミアを背負う。服が濡れてるせいで酷く冷たいが、それは私も同じだ。今更気にしない。
 ルーミアは思っていたよりも軽く、体は華奢だった。何も知らないやつからしたら、ただの幼い少女にしか思えないだろう。

「さて、と……それじゃあ帰りましょうかね」
「博麗神社へゴー!」

 耳元で元気かつ楽しそうな声で言うルーミア。こいつ、空飛んでる途中で落としてやろうかしら。
 そんなことを思いつつ、またため息を零す。
本当、面倒だ。



◇◇◇



「どうしろってんのよ……」

 びしょ濡れだったから、真っ先に脱衣所の方へと来たのは良いものの、ルーミアが寝てしまっていた。
 背中から降ろして、そっと床に寝かせる。さて、どうしたものか。
私としてはこのまま風呂に入ってしまいたいのだが、こいつをこのまま放っておくわけにもいかない。びしょ濡れのまま寝かせて放置だなんて、よろしくはないだろう。面倒だから、できればこいつも一緒に風呂に入れたいのだけど。

「ルーミア、起きなさいー」
「んぅ……みゅ、ぅ」

 頬を軽く突っついてみるが、起きる気配が無い。
 仕方ない、とりあえず濡れた体を拭いて、服を着替えさせておくとしよう。私もいつまでもびしょ濡れのままじゃ気持ち悪いし、ちゃっちゃと脱いでしまおう。
 あーあー……下着までぐっしょりだ。雨の匂いまで体に染みついていて、なんとも不快ね。

「さて、次はルーミアの方ね」

 ドロワーズ一枚になったら、だいぶ心地が良くなった。ルーミアも同じように、脱がせてやるとしよう。
 気慣れた自分の服ならともかく、他人の服を脱がすのは中々手間がかかりそうだ。あーでも、スカートは楽ね。上着は面倒だけど。真っ先にスカートを脱がしてから、上着に取り掛かる。
 無理矢理腕を上げさせる状態にし、ぐいぐいとひっぺがす。脱がした服は、洗濯籠へとポイだ。
 ふぅ、暴れたりしないから、思ったよりも楽に脱がすことができた。それにしてもこいつ、さらしもつけてないのね。いやまぁ、必要のない胸だとは思うけど。
 そんなことを思いながら、辛うじて膨らみが分かるルーミアの胸を、なんとなく指先で突っついてみる。うん、一応柔らかい。

「ん、うぅん……? ほぇ?」
「あ、起きた?」

 ルーミアがまだ眠たそうに、ゆっくりと目を開けた。起きてくれたなら、このまま風呂に入ってしまう方が良いわね。
 ルーミアは私をジッと見つめた後、自分自身の姿を見た。そして何やら、俯いてぷるぷると体を震わせ始める。あー……もしかして、寒かったか。確かに全裸に近いこの状態、しかもさっきまで容赦なく雨に打たれていたのだ。そりゃあ寒いに決まっているだろう。
 よし、さっさと風呂に入れてやるとしよう。

「そんじゃ、まぁ、温かい風呂にでも――」
「れ、れいむのえっちぃぃぃぃぃ!」
「ごふぁげふぅっ!?」

 突如、ルーミアの膝が私の顎を打ち抜いた。全く予想していなかった衝撃に、思わずよろめく。そしてよろめいたところを、さらにルーミアの拳が私の腹部を襲った。
 こ、こいつ……!

「けほっ、いきなり何するのよ!」
「それはこっちの台詞だよ! なんで私、目が覚めたら下着一枚だけなのさ!?」
「あんたの為を思ってのことよ! あぁもうっ、さっさと下着も脱ぎなさい! 温めてやるから!」
「温めてやるって何!? 何する気なの!? そもそもなんで霊夢まで下着一枚なの!?」
「ごちゃごちゃうるさい!」
「きゃあぁぁっ!? やぁーだぁー!」

 何故かジタバタと暴れるルーミアを、無理矢理押さえつける。両手首を片手で押さえ、頭の上にやる。それでも足をばたつかせるもんだから、鬱陶しい。
 空いている方の手で、ルーミアのドロワーズに手をかけた。暴れている足が邪魔だが、引き剥がせないことは無い。相変わらず見た目に似合わず、中々に力がある。だが、私が手のひらに霊力を込めれば、どうってことはない。
 しかしなんと言うか、よくよく考えると、暴れて嫌がってる子を無理矢理脱がしてるこの状況って……あーそっか、だからルーミアはこんなにも嫌がっているのか。勘違いしてるわけだ。少し、悪いことをしたかもしれない。
 まぁもう脱がし終わっちゃったんだけど。

「うぅ~……霊夢に汚された襲われた恥ずかしいとこ見られたぁ」
「現在進行形で見てるけどね」
「~っ!?」

 涙目でキッとこちらを睨み、腕を使って色々大切なところを隠す。もう見てしまったものは仕方ないし、女同士なんだから気にする必要もないと思うけど。
 というか、こいつにこんな羞恥心みたいのがちゃんとあるなんて、正直思わなかった。意外だ。本当、こうして見ると、ただの女の子にしか見えないわね。

「あぁ、私はきっとこれから、霊夢に酷いことされるんだ。やめてって言っても、やめてくれないんだ……」
「私はあんたを風呂に入れるだけよ」
「お風呂であんなことやこんなことを……うぅ」
「本当に襲うぞこら」
「ごめんなさい」

 睨んでそう言うと、速攻謝って来た。
 はぁ、これでやっと風呂に入れる。早く湯船に入らないと、このままだと本当に風邪を引いてしまいそうだ。
 そう思い、私もドロワーズを脱いで裸になる。よし、準備はおっけー。

「ほら、入るわよ」
「わわっ、腕引っ張らないでっ」

 風呂場に引っ張り、まずはルーミアを風呂椅子に座らせる。小さな体、そして小さなお尻を風呂椅子に預けているその姿は、ちょこんという擬音が当て嵌まりそうだ。うーん、どことなく小動物っぽいわよね、こいつ。

「ねぇ、霊夢。お風呂に入らないの?」
「まずはお湯を体にかけないと」

 洗面器にお湯を入れ、ルーミアの体にかけてやった。するとルーミアは「わぁっ!?」と、少し驚いたような声を上げる。
 あれ、熱かったからしら。そんな驚くほどの熱さじゃ、無いとは思うんだけど。
 疑問に思っていると、ルーミアがぷるぷると震えながら、こちらを向いた。

「何、熱かった?」
「……痛かった」
「は?」
「体が冷え切ってたみたいで、あったかーいよりも痛みが先に……」
「あー……なるほどね」

 じんわりとした痛みが走るやつね。あまりにも体が冷えてると、あることよねぇ。
けどまぁ、どちらにしろ冷え切った体を温めなきゃいけないわけだし、痛みは我慢してもらうしかない。

「ん、もう湯船入って良いわよ、ルーミア」
「ぇ、でも……」
「多少の痛みは我慢なさい。別に死ぬってわけじゃあないんだから」
「うぅー……」

 いまいち踏ん切りがつかないようで、ちらちらとこちらを窺ってくる。
 本当、手間がかかるやつだ。私もルーミアと同じように、体に湯をかける。私も体が冷えてはいたが、そこまで痛いとは思わなかった。
 さて、準備完了だ。

「ルーミア」
「ふぇ?」
「そぉい!」
「え、ちょ、きゃぁぁぁぁっ!?」

 ルーミアの腕を掴み、そのまま湯船に引っ張る。あわあわするルーミアを見て、思わず笑みが零れる。
 予想していなかったのだろう。抵抗らしい抵抗も無く、そのままルーミアは湯船へと落ちた。体勢を崩したようで、頭から突っ込んでしまったが。そこはほら、素直に入らなかったこいつが悪いってことで。
 数秒して、湯船からルーミアがぷふぁっと顔を出した。
 そしてこちらをジッと睨んでくる。目が濡れているのは、お湯のせいかそれとも涙か。別にどっちでもいいけど。

「熱いし痛いしびっくりしたし、死んじゃうかと思った! くたばれいむ! 馬鹿霊夢!」
「はいはい、騒ぐな鬱陶しい。ほら、もうちょっとそっち寄って。私の入るスペースが無い」

 二人で入るには、やや狭いくらいの湯船。けど、こいつの小さい体なら、そこまで窮屈にもならないだろう。
 まだ納得がいかないとばかりに、私を睨んでいるルーミアだが、ちゃんと端っこに寄ってくれた。
 ルーミアと対面するような形で、湯船に入る。足は伸ばせないから、体育座りみたいになっちゃうけど。
 程良いお湯の熱が、心地良い。思わず、ほぅっとしてしまう。それはルーミアも同じのようで、眼はまだこちらを睨んではいるが「はふぅ……」なんて情けないような、よく分からないため息を零している。

「はぁ~じんわりと芯から温まるこの感じ、まさに風呂は命の洗濯ね」
「……うん、気持ち良いね。最初は痛かったけど、今はなんて言うんだろう、幸せ?」
「あー幸せね。これは幸せだわ、確かに」
「お風呂って良いね」
「のぼせないようにしなさいよ」
「分かってるわよぅ。霊夢なんか、私を子ども扱いしてない?」
「子どもでしょうが、あんた」
「妖怪の見た目って、当てにならないんだよ?」
「風呂に一人で入れないでもじもじするようなやつは、見た目以前にお子様よ」
「うぐっ……」

 むむぅと唸って睨んでくるが、その姿さえ怖いと言うよりは可愛らしいという言葉が当て嵌まる。
 思わず、手を伸ばして頭を撫でてやった。すると「やーめーてー」と言われたので、もっと激しく髪をぐしゃぐしゃっとしてやることにした。濡れているせいもあって、髪がぼさぼさになったルーミア。なんていうか、面白い。

「ぅー……霊夢は意地悪だよね」
「何言ってるのよ。妖怪を拾って、しかも風呂にまで入れてやる人間なんて、まず居ないわよ。親切ってレベルじゃないわよ」
「霊夢の場合、親切のSがいきすぎてサドのSになってる気がするけど」
「サドだったら、今ここであんたのそのちっこい胸揉みまくって舐めまくって苛めまくってやってるわよ」
「霊夢その発想がもう怖い。それと、霊夢だって胸は小さいよね? 人のこと言えないよね?」
「お仕置きたーいむ」
「ふぇっ!? ちょ、え、ぇあぅっ!?」

 なんとも腹が立つことを言ってくれるやつだろうか。助けてやった相手に対して、言う言葉では無いわよね。
 というわけで、ルーミアの胸を触ることにした。大きさ確認の為に。ルーミアの胸は指が吸い付くような、そんな肌と触感だ。もちろんルーミアは、驚きやら羞恥やらで逃げようとするが、逃がすわけがない。足でルーミアの足を挟んで、逃げられないようにする。ふにゅりと柔らかい太股が、少しだけ気持ち良い。
 ルーミアはばしゃばしゃとお湯を立てて暴れるが、そんなことはお構いなしに揉んでやる。いや、揉むほどないから、撫でてやるというのが正しい表現か。指先でそっとなぞったり、手のひらで包み込むように撫でる。そのたびにルーミアは弱々しく震え「ゃあー……ぅ」と、よく分からない声を零している。
 そうして、私は確信した。私の方が、胸があるということに!
 そのことに満足して、足の拘束を解いて胸に置いた手も引く。

「うん、満足――」
「~っ!」
「へぶあっ!?」

 次の瞬間、涙目のルーミアから無駄に綺麗な右ストレートを顔面にいただいた。ルーミアの頬が赤いのは、羞恥かそれとも風呂の熱さか。
 そんなことを考えつつ、顔に走る鈍い痛みを素直に受け入れることにした。

「全く……女の子の顔殴るなんて最低よ」
「嫌がる女の子の胸を触ることの方が最低だよ!」

 がるると唸りこちらを睨むその様子は、いかにも警戒してますというオーラが滲み出ている。
 なんだか今日はルーミアに睨まれることが多いな、とかそんなことを思いつつ、改めて風呂の温かさをじんわりと感じた。





◇◇◇





「あんた、泊まっていくわけ?」
「生き物を拾ったら、最後までちゃんと面倒をみるべきだよ。無責任に放置しちゃ、ダメ」
「つまり泊まっていく、と。まぁ別に良いけど、布団は一つしかないからね。狭くても文句言わないでよ」
「言わない言わない」

 ルーミアはふにゃっと笑い、嬉しそうだ。結局こいつは、今日風呂も食事もいただいた後、寝床までいただこうとしているわけだ。全く、中々に神経が図太い。
 あぁもう、今日は疲れた。布団も敷いたことだし、さっさと寝るとしよう。

「ルーミア、その格好寒くない?」
「ちょっとだけ。けど、布団入っちゃえば大丈夫じゃないかな」
「そう、なら良いけど」

 うちにはいきなり訪れた客なんかに出せる、寝間着や布団は無いわけで。ルーミアの今の格好は、以前アリスたちがくれたワイシャツというものだった。たまには違う服を着てみたら、とアリスや早苗からワイシャツやらその他もろもろ何着か服を貰ったことがあった。白いだけでシンプルなデザインな上、薄くて動きやすいから本当たまにだけど、着ることがある。それをルーミアに貸した。
 ただ、ルーミアには少し大きかったようで、太股が見えなくなるくらいには大きかった。今のルーミアの格好は、ドロワーズとワイシャツだけである。下はサイズが合うものが無かったのと、ルーミアが動き易いからこのままで良いと言ったから。

「さて、私は寝るけど。あんたは?」
「あ、それじゃあ私もー」

 布団に足を入れると、ひんやりとした冷たさが伝わる。まだ温かくないが、それはこれから人肌で温めれば良い。幸い、今日はルーミアも居る。布団はすぐに、温かくなるだろう。
 布団だけでなく枕も一つしかないから、自然と顔が近くなる。部屋が薄暗くても、目が合うとそのことが分かり、ルーミアは少し照れ臭そうに笑う。

「霊夢」
「んー?」
「ありがと」
「うっさい。さっさと寝ろ」
「ん、おやすみー」
「……おやすみ」

 少しして、すぅすぅと穏やかな寝息が聞こえてきた。どうやらもう、眠ってしまったようだ。
 宵闇の妖怪のくせして、夜人間と一緒に寝るとか、それってどーなのよ。とか、そんなことを思ったけど、こいつの寝顔があまりにも穏やかだから良しとする。
 あぁ、今日は疲れた。本当に疲れた。
 疲れたのに、誰かと一緒に寝るなんて慣れないことをしているからか、まだ眠気は来ない。
 思わず、ため息が零れてしまう。

「……本当、面倒な」

 そうぽつりと零した言葉は、静かな闇にへと消えた。
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