絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

憧れ、尊敬、大好き

創想話投稿作品『憧れ、尊敬、大好き』
えーりんとウドンゲのほのぼのほんわか話。
短く纏めようと意識しすぎて、少し短すぎた話。もうちょっと膨らませた方が良かったかな、と後で思いました。







「8時だヨ! えーりん集合!」

 師匠の掛け声と共に、手のひらサイズの小さな師匠がたくさん集まってきた。
 その数は計り知れない程で、今は師匠の目の前にきちんと並んでいる。

「ということなのよ、ウドンゲ」
「どういうことですか!? 意味が分かりません!」

 師匠に呼び出されたと思ったら、いきなりこれを見せられた。
 驚きのあまりに言葉を失っていたら、説明すらされなかった。もう意味が分からない。

「ちゃんと説明して下さい!」
「まぁまぁ、そんなにモリモリしないで」
「カリカリしてるんです! モリモリってどんな状態ですか!」

 師匠のことは尊敬している。だけど、思わずにはいられない。少し変人だ、と。

「ウドンゲ、今失礼なこと考えて無かった?」
「いえ、考えていません」
「まぁ良いわ。こうなった理由だけれど、非常に複雑な理由なのよ。言葉で上手く説明出来るか不安だけれど」
「分かりました。理解すべく、努力します。どうぞ説明を」
「薬品作ってる途中で、調合を間違えたの」
「……それで?」
「今に至るわ」

 どこらへんに複雑な場面があったのか。ツッコミたかったが、後が怖いから止めておこう。

「え、と……とりあえず私を呼んだ理由は何ですか?」
「このチビえーりんを面倒見て欲しいのよ」
「な!?」

 こんなたくさんの師匠を面倒見るなんて、私の肉体的にも精神的にも不可能だ。

「無理ですよ!」
「やる前から無理なんて言っちゃうと、道が開けないわよ」
「何の道ですか!?」
「永琳道」
「何ですかその道!?」

 私の必死の訴えも、師匠は笑顔で軽く流す。そういう人なのだ、この人は。
 私は小さく溜め息を吐く。私はたまに思う。
 何故私はこの人を尊敬してやまないのだろう。こんなにも掴み所が無く、どんなに一緒に居ても理解出来ない思考や態度。
 普通なら、尊敬はしないだろう。憧れることも無いだろう。なのに、何故――

「こら、ウドンゲ」
「ふぇ? 痛っ!」

 少し考えに集中していた為か、ボーッとしていたトコを、師匠に軽くデコピンされた。ちょっと痛い。

「人の話を聴きなさい。分かったわね。お願いするわよ?」
「ちょ、決定事項なんですか!?」
「ちなみに注意して欲しい点は、必ずチビえーりんを守ること。ちなみに、このチビえーりんは人語は話せないわ。あと、このチビたちは私の性格がそれぞれに入っているから」

 反論の隙も与えてくれず、師匠は一気に説明をする。
 私がチビ師匠の世話を見ているその間に、元に戻す薬を作っていると師匠は言った。

「大丈夫よ、数時間程度だから」
「……分かりました。失礼します」

 頭を下げて、師匠の部屋から出る。勿論、チビたちを引き連れて。
 ちゃんとチビたちは私の後ろをついてくるけど、やっぱり数が多い。
 それも見た目は師匠だから、たくさんの師匠が私を見張ってるみたいで怖いことこの上ない。


「えーと、とりあえず入ってね」

 私の誘導に従い、チビたちは私の部屋に入って行く。
 なんというか、この光景は――

「怖い……」

 無表情のチビ師匠たちが、ぞろぞろと私の部屋を埋めていく光景は、一種のホラーに感じられた。
 私も自室に入り、畳の上で横になる。
 ほのかに薫る畳独特の匂いが、私に安らぎを与えてくれる。そっと目を瞑ると、それをより感じられた。
 だけど、やっぱり視線を感じる。そっと目を開き、周りを見る。すると――

「怖っ! 怖すぎる!」

 いつの間にか、無表情のチビ師匠たちが、寝転がっている私を囲み、見つめていた。
 せめて無表情を止めて欲しいな。
 待てよ、確か師匠は性格がそれぞれに入っていると言っていた。ということは、無表情で大人しいのはリラックスしてないのかな。

「えーと、そんなに堅くならなくても良いよ?」

 とりあえず、言うだけ言ってみた。すると、それぞれが小さく息を吐いた瞬間、表情が変わった。
 ただ笑っている者や、何故か眠たそうな者、怒っている者から静かに泣いている者までそれぞれが違っていた。

「うわぁ……」

 師匠のこんな姿は見たことが無い。ちょっと面白いな。けど、そんなことを思っていたのも束の間。

「ちょ、痛い痛い。止めて」

 私の耳を引っ張るチビ師匠。表情と行動から察するに、暴力的な性格なのか。って痛い痛い。
 とりあえず引き剥がす。手のひらサイズだから簡単に引き剥がすことが出来たのが幸いだった。
 しばらくの時間をそんな風に過ごしていると――

「あ、ちょ、一体何?」

 私の腕を引っ張っているチビ師匠がいた。どうやら外に行きたいのか、このチビ師匠はやんちゃな遊びたがりな性格なのかな。
 でも、外に連れても大丈夫だろうか。一応師匠に許可を貰いに行こう。


「了承」

 1秒で了承された。

「良いんですか?」
「えぇ、でもあまり遠くへ行かないこと。あと決してチビを失わないこと。失ったら元に戻った時に、私の性格が欠落しちゃうから」
「分かりました」
「気をつけてね」
「はい」

 師匠の部屋から出ようとすると急に障子が開いた。

「あら、てゐ」
「あ、鈴仙――ってうわ!? 何その小さなお師匠さま!? キモっ! 怖っ!」

 そう言った刹那、てゐは目の前から消えていた。
 私は背中に嫌な汗が流れた。そっと師匠の方を見ると、師匠は笑顔だった。

「あの、師匠」
「行ってらっしゃい」
「てゐは何処へ?」
「行ってらっしゃい」
「えーと……」
「行ってらっしゃい」

 どうやら選択肢は出掛けるしか無いようだった。
 てゐの捜索は、選択肢には含まれていないようだ。ごめんね、てゐ。心の中で謝っておく。

「では、行ってきます」
「行ってらっしゃい」

 私が師匠の部屋を出た直後に、どこかで聞き覚えのある悪戯兎の悲鳴が聞こえた気がした。
 多分、気のせいよね。うん。


 とりあえず、竹林を散歩する。全てのチビ師匠は、楽しそうだった。
 何か小動物を飼っているような感覚だ。
 丁度昼過ぎくらいな為か、空は明るい。天気は良好。
 私自身も、散歩なんて久し振りだったから、少し楽しい。

「よし、おいでー!」

 私の声で集まってくるチビ師匠。慣れると可愛らしく見える。こんなこと、師匠に言ったら折檻されそうだけれど。
 さてと、どれくらい時間が経っているんだろう。
 結構長く歩きもしたし、途中で遊んだりもした。

「師匠にチビたちを任されたのは8時で、今は昼過ぎだから……」

 そろそろ薬が出来上がっただろうか。
 チビたちを連れて、戻ろうか。と考えていると、ふと殺気を感じた。

「みんな、私の後ろに!」

 チビたちは、私に従い、背後に回る。
 目の前を睨む。確かに殺気が感じられる。
 ここまで殺気を隠さないということは、低級妖怪の類だろう。大丈夫、なんとかなる。
 しばらくすると、予想通り獣型の低級妖怪が姿を現した。人語も話せない低級だが、一応弾幕は張れる。

「ふっ!」

 低級妖怪のデタラメな弾幕が迫る。いつもならば、避けられる。そう、いつもなら。
 しかし、今日は違う。私は愚かだった。チビ師匠が背後にいるのに、避けられる筈が無い。
 もし、避けた場合、チビ師匠が私と同じ様に避けなければならない。そんなこと、不可能だろう。

「くっ!」

 だから避けずに弾幕を張る。相殺すれば良い。倒すことよりまず、守らなければ。ただ、一歩も動けないのは辛い。
 しかも、デタラメな弾幕は、この場合ある意味厄介だ。デタラメだから無駄に数も多い。それにもし、変な曲がり方でもして、チビ師匠に被弾したら師匠に会わせる顔が無い。
 でも、やっぱりこんな不利な状況では長くは続かない。

「くぁっ!?」

 一発肩に被弾した。
 低級妖怪だから、威力はそんなに強くは無い。
 けれど、これだけでも状況はさらに悪化する。一瞬だが、弾幕を張る手が止まってしまった。
 迫る弾幕を相殺する手段は、無い。

「良く頑張りました」
「え?」

 弾幕と私の間に師匠が入ってきた。
 師匠は呆然としている私に、ニコっと微笑む。そして、弾幕を張る。
 師匠の弾幕は低級妖怪の弾幕を相殺するだけで無く、さらにその上をいく速さと数で、相手に被弾させた。

「あぁ、そうか……」

 私は、分かった気がした。何故、師匠を尊敬し、憧れているか。
 師匠の今の姿は、美しく、弾幕を張る手つきは非常に優雅だ。それでいて、ただ純粋に――強かった。
 表情は笑顔だけれど、緩みは全く無い。
 師匠の強さ、自信に溢れている堂々とした態度、そして――

「はい終わり。やっぱり低級ね。もう大丈夫よウドンゲ、怪我は無い?」
「はい、一発被弾した程度で、今は痛みもないので大丈夫です」
「そう、良かったわ」

 私はこの笑顔に、魅かれたんだ。

「薬は完成したのに、ウドンゲが帰るの遅いから心配したわ」
「わざわざすみません師匠」
「何言ってるのよ、弟子に何かあったら師匠失格でしょ? 当然のことよ」

 師匠が、手を差し出してきた。私はそれを無言で、でも笑顔で握った。師匠も優しい笑顔だった。

「さぁ、帰るわよウドンゲ。薬は永遠亭に置いたままだから早くね」
「はいっ!」

 手を繋いだまま、歩く。その私たちの後ろをチビ師匠たちがついてくる。

「今日は頑張ったウドンゲの代わりに私が夕御飯作ろうかしら」
「本当ですか? 何を作るんですか?」
「てゐの鍋」
「え!?」
「冗談よ」

 クスッと笑う師匠につられて、私も笑う。
 普段は少し変人かもしれないけれど、やっぱり私は、師匠が大好きだ。
 そうだ、尊敬や憧れという感情、全てひっくるめて師匠がただただ、大好きなんだ。
 しばらく歩いていると、永遠亭が見えた。
 でもまだ私は、師匠と手を繋いだままでいた。
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