あやみこラジオ~第6回放送~2012-05-09 Wed 00:33
あやみこラジオシリーズ!
「みここここー! さあ始まりました、あやみこラジオ! パーソナリティーは私、射命丸文と?」 「程良い眠気に負けそうな私、博麗霊夢でお送りするわ」 オープニング曲の『恋風綺想』が流れる。 元気いっぱいの文に対して、ふぁ~と大きく口を開けて欠伸をする霊夢。少し気だるそうな印象が、ラジオ越しでも伝わってくる。 「ちょっとちょっと、どうしたんですか冒頭から」 「いやね、もうすっかり春じゃない。寒い日も少なくなってきて、暖かい日がこうも続くとね」 「眠くなる、と」 「そうそう。正直、今日は昼寝してたかったし」 「お仕事なんですから、割り切って頑張ってください。さぁ、まずはいつも通り、普通のお便りのコーナーですよ」 文は机の下から、お便りボックスを取り出した。 その中から適当に選び、一枚取り出す。 「さて、最初のお便りいきましょー! PN山彦さんからいただきました。『おはよーございまーす!』はい、おはようございます、今は夜ですけど」 「おはよう、夜だけど」 「それじゃあ、続いてのお便りです」 「ちょっと待った! それだけ!?」 「はい、それだけですね。まぁ良いんじゃないですか、元気があって」 「え、いいの? なんか納得できないんだけど……」 「ほら、次霊夢さん読んで下さい」 「ぇ、あ、うん」 文に急かされ、仕方なくお便りを一枚取り出す。 「えっと、PN山に住む者さんからね。『お二人ともこんばんは。私の住む妖怪の山では、上下関係が厳しい世界です。そこには尊敬する先輩も居たりします。お二人は、どういうタイプを尊敬しますか?』だってさ。尊敬ねぇ……あんたって、心の中では常に誰かを見下してて、尊敬とかしないようなタイプに見えるわね」 「失礼な。そんなことを言ったら、霊夢さんだって誰かを尊敬するなんて姿、全くイメージできないです」 文も霊夢も、互いに誰かを尊敬している様子を想像してみようとする。 だがどちらも、全く想像がつかなかった。 「私はほら、一応紫とか藍の結界技術は尊敬してるわよ」 「私だって、大天狗様とか天魔様を尊敬してますよ」 「本当は?」 「天魔様は見た目幼女ながらもカリスマありますけど、大天狗はロリコンだし同期だしロリコンだし私より弱いしロリコンだし正直さっさとくたばれば良いのに――って何言わせるんですか!?」 「あーあ、生放送だからカット出来ないわね。どんまい」 「誰のせいだと思って!?」 「そうやってなんでもかんでも人のせいにするの、文の悪い癖だと思う」 「まるで原因が私みたいな言い方!? やめてくださいよ! ここから聴き始めた人に、あぁ射命丸のやつまたなんかやらかしたのか、って思われるじゃないですか!」 「はいはい、私が悪い私が悪い。あ、そろそろゲストコーナーね」 「さらっと流された!?」 ぎゃあぎゃあと騒ぐ文を無視し、そのまま番組を進行する。 「その前にいつも通り、一旦CMね」 「なんか色々納得いかないまま終わったんですが……」 ~少女CM中~ 「レミリアさんレミリアさん、私たちは何をすれば良いんでしょうかね?」 「そりゃあアレだろ? 宣伝すれば良いんだろう。さとり、なんであんたと一緒にやるのかは分からないけど、まぁ渡された台本通り進めれば良いだけよね」 レミリアはふっと余裕の笑みを浮かべ、台本を広げる。 その様子をジッと見つめて、さとりは口を開いた。 「凄いですね、レミリアさんの演技力。心では動揺しまくってるのに、態度はいかにも余裕たっぷり。私なんて今いっぱいいっぱいで……見習いたいです」 「は、はぁ!? 私が動揺してるとか、そんなこと――」 「あ、はい、すみません。そうですよね、こういうこと言うべきでは無かったですよね」 「や、ちが――」 「えっ、許して下さるんですか。さすが、紅魔館の主は器が大きいのですね。そうだ、今度是非うちにいらしてください。歓迎しますから」 「そ――」 「あぁ確かに、そんなことを言ってる場合ではないですね。そうでした、今はCM中でした」 「あぁもう言葉で会話させなさいよ! 思ってたよりもずっと面倒臭いわねその能力!」 マイペースなんてもんじゃないレベルのさとりに対して、レミリアがうがーっと声を上げたところで、CMの時間は終わってしまった。 ~少女CM終了~ 「さぁゲストコーナー! 本日のゲストは、霊夢さんと長い付き合い! 博麗の巫女でもないのに、異変解決に乗り出しちゃうそのアグレッシブさは、ただの無謀かそれとも勇気か! 普通の魔法使いこと、霧雨魔理沙さんです!」 「なんかテンション高いな、お前。とまぁ紹介にあった通り、霧雨魔理沙だ。よろしく」 「まさかあんたがゲストに来るとはねぇ」 霊夢は頬杖をつきながら、ジトっとした目つきで横に座る魔理沙を見る。すると魔理沙が霊夢の肩に腕を回し、ぐいっと顔を近付けた。 「おいおいゲストに向かってなんだその態度は? もっと愛想良くしてくれても、良いんじゃないかぁ?」 「じゃああんたは、私に笑顔で『うわー魔理沙さん大好きですーお会いできて嬉しいですっ!』とか言ってもらいたいわけ?」 「うん、気持ち悪いから絶対にやめてもらいたいな」 愛想が良すぎる霊夢を想像したところ、軽く頭が痛くなる程だった。もしそんなことがあったなら、ある意味異変レベルのことである。 文も同じことを思ったのか、引き攣った笑みを浮かべていた。 そんな二人の様子を見て、いくらなんでもちょいと失礼じゃないかと思った霊夢だが、実際に自分のそんな姿を想像してみて、自分自身でも寒気がした。 「と、ところで魔理沙さん! お便りが届いてますよ!」 「お、おう! そうか! 一体どんな内容だ!」 「あんたたち、露骨に話変えてきたわね。まぁ良いけど」 文がお便りを一枚、取り出した。 「PN名無しBさんからです。『魔理沙さんは霊夢さんと仲が良いようですが、一体どのくらいの付き合いなのですか?』とのことです。あーこれは私も気になりますね」 「私たちの付き合いかー別に仲が良いってわけじゃあないんだけどな」 「ただなんとなく、昔から交流があるって感じなだけね」 「大体こいつ、最初今以上に愛想悪かったからな。印象最悪だったぞ。遊ぼうぜって言っても、『あんたと遊んで私に何か利益あるの?』って返してくるような子どもだったからな」 「うわ、可愛くない子どもですね」 「……そ、そんなこと言ってたかしら?」 「他にも、私が空を飛ぶコツを訊いたら『空を飛ぶのは私にとって、呼吸をするみたいに当たり前のことなの。つまりあんたは、呼吸の仕方を訊いてるようなものなのよ。馬鹿なの?』って。あれはかっちーんと来たな」 「なんというか、魔理沙さんよく友達やってこれましたね」 「やめろ! 私の昔の話はやめなさい! それ以上はやめろ!」 色々と思い出したのか、霊夢は顔をかぁっと赤くして、魔理沙の胸倉を掴む。 しかし魔理沙は、にやにやと笑いながら話を続ける。 「しかも何が凄いって、霊夢はこの態度を私だけじゃなく、そこらの妖怪や大人相手にもやっていたことだな。普通なら一発くらい殴られてもおかしくないが、霊夢の鋭い目つきと子どもとは思えない威圧感に、妖怪も大人もびびって逃げるだけだったんだぜ」 「やーめーろー! 大体あんただって、今と昔でだいぶ違うじゃない! 昔はもっと女の子女の子してたくせに!」 「おまっ!? 私の昔の話を出すのは反則だろう!」 「あんたが今みたいな感じになったのって、魅魔の影響でしょう? 魅魔とつるみ始めてから、やんちゃになったというか活発になったというか――」 「おい馬鹿やめろ! それ以上口を開くと、その口に八卦炉を咥えさせるぞ! そしてそのままマスタースパークを放つ!」 魔理沙と霊夢は互いに頬をびよーんと引っ張り合い、暴れ出す。どたばたと騒がしい音が続き、収拾がつかなくなりそうな気がした文がどうどうと二人を宥める。 「はいはい、落ち着いて下さい。ほら、次のお便りいきますから」 「……そうだな、次いこう次」 「そうね、さっさと次いくわよ」 「まったく……仲良さそうで、微笑ましい通り越して少し妬ましいです」 「え? 何か言った、文?」 文がぼそっと何かを言ったが、霊夢は聞き取れなかった。魔理沙は聞こえたのか、少しにやついている。 なんでもありません、と文はそう返して、次に進む。 「さて、続いてのお便りです。PN哨戒天狗さんからですね。『毎度毎度侵入禁止と言っているのに、山へ来ないで下さい。』だとか。これ完全にただの苦情ですね」 「むしろそろそろ、正式に通行許可をくれても良いと思うんだ。毎度毎度、吹っ飛ばされるのも嫌だろう?」 「あんたそんなことばっかりしてると、いつかしょっぴかれるわよ。天狗って割とヤバイ連中なんだから。ほら、あんたの目の前に居る天狗を見てみなさい。ヤバイでしょう、色々と」 「……あぁ、確かにヤバイな。すまない、今後はちゃんと控える」 「それはあれですよね、私が強くて格好良い的な意味でのヤバイですよね?」 「魔理沙、今日はゲストとしてやって来たわけだけど、どうだった? 最後に何か言いたいことあるなら、言ってもいいわよ」 「うーん、そうだなぁ……」 「露骨に無視された!? ちょっと、そういういじめは良くないと思います!」 笑顔でスルーした霊夢と魔理沙に、ビシッと人差し指を突きつける。 「ったく、しょうがないなぁ。文、この際だから、ハッキリ言わせてもらうぞ」 「な、なんですか?」 「さっきからぱんつ見えてる」 「なんでこのタイミングでそんなことを!? しかも魔理沙さんの位置からじゃ、私の足も見えませんよね!?」 「まぁちょっとした冗談だ。本当はラジオ始まる前に、ちらっと見えただけだ、気にするな」 「気にしますよ!」 「それで? 魔理沙、文のぱんつは何色だったわけ?」 「何くい付いてるんですか霊夢さん!?」 「いやまぁ、この流れは乗っておくべきなのかなって」 「あぁもうっ! いいからさっさと締めましょう!」 げふんげふんとわざとらしく咳をして、文は強引にコーナーを終わらせようとする。 霊夢がちらっとガラスの向こうを見ると、にとりがカンペでそろそろ締めてと出していたのが見えた。その為、霊夢も仕方なく締めに入ることにする。 「はい、それでは今日のゲストは霧雨魔理沙さんでした。何か最後に一言あるなら、どうぞご自由に」 「文のぱんつは白だった!」 「わざわざ最後になんてこと言ってるんですか!?」 「はい、それじゃあ魔理沙、またね。一旦CMよ」 ~少女CM中~ 「およ、どしたの鈴仙?」 「いやまぁ、最近ちょっと疲れが溜まっててねぇ」 はぁとため息を吐く鈴仙に、てゐはふむと考える。 「疲労の溜めすぎは長生きできないよぉ?」 「そうは言っても、やるべきことはやらないといけないし」 「じゃあそんな頑張る鈴仙に、これをあげよう~」 「……何これ?」 てゐに渡された錠剤を見て、首を傾げる。 「お師匠様のお薬に、私の幸運パワーを詰め込んだもの」 「……飲むとどうなるの?」 「ばっ、ちょ、私の口から何言わせようとしてるのさ! 恥ずかしいなぁもうっ! 鈴仙の馬鹿!」 「ちょっと待って何が起きるのよ!?」 「さぁ、飲んで」 「飲めるか!? 今の流れで誰が飲むか!」 『風邪薬から幸せになれるお薬まで幅広く扱ってます――永遠亭』 ~少女CM終了~ 「はい、エンディングですね。なんか今日は私にしろ霊夢さんにしろ、いろいろと掻き乱された感じがしますね。いつも以上に、疲れた気がします」 エンディングが流れる。そろそろ放送終了ということだ。 いかにも疲れていますといった感じの文に対して、霊夢は苦笑いを零す。 「まぁ魔理沙だし……」 「まるで嵐のようでしたね。いやー早く帰って、軽くお酒でも飲んで寝たいところです」 「疲れてるくせに、お酒は飲むのね」 「そりゃあ仕事終わりの一杯は、また格別ですからね」 「分からないでもないけど……。次は誰がゲストで来るのかしらねぇ」 「さぁ、どうでしょう? そもそも、ゲスト無しかもしれませんし」 「まぁどっちでも良いけどね。面倒なことには、変わりないわけだし」 「とりあえず今日はこの辺で終わりですね。じゃあ霊夢さん、いつものアレお願いします」 「あややややー!」 「……もうそれ言う羞恥心、ほとんど無くなってますね」 いつの間にか羞恥心が無くなり、慣れた霊夢の言葉で、今回は幕を閉じた。 |
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