絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

凸凹コンビ

8月28日、絵描き様氷雨さんのお誕生日でしたっ。そのときにお送りした、マリアリ学園設定モノです。マリアリ書くのが、多分1年と6ヶ月以上振りでした。
 
「それではご注文の方繰り返す――予定でしたが、お客様如きに割いてやる時間が勿体無いのでしねぇよばーか」
「しなさいよばーか」

 とっても良い笑顔で、互いに気持ち悪いくらいに笑顔で、そう言った。
 ふりふりのエプロンに、淡い青色のロングスカート。可愛らしくも、落ち着いた雰囲気を漂わせるそのシンプルな制服を身に纏うのは、霧雨魔理沙だ。
 普段いろいろとはっちゃけている魔理沙が、こういう衣装を着ることはほとんど無い。だが今は、最近決まったばかりの喫茶店のアルバイト中。これが制服と言われたら、働かせて貰う身である魔理沙に、拒否権は一切ないのだ。
そしてそれを知っているからこそ、今この面白い状況を見に来なければと野次馬根性丸出しでやって来たのが、アリスだ。
 もちろん、魔理沙が嫌がることくらいは分かっている。分かっているからこそ、あえてやるのだ。普段おちょくられている分、ここで返してやろう。そんな思いが、アリスの笑顔から滲み出ているのが、魔理沙は分かった。

「かーえーれーよー」
「あら? お客様に対して、その態度はないんじゃないの? それに私なんかと話していて、怒られないのかしら?」
「別に今客ほとんどいないし」
「何処で誰が見ているか分からないのだから、しっかりやりなさいな」
「くっ……アリスのくせに、アリスのくせにぃ!」
「何よそれ」
「アリスなんかに……アリス如きに……たかがアリスに……っ」
「よーし、とりあえずあんたが普段私をどれだけ見下してるのかは、よーく分かったわ。先生にここのこと、告げておくわね」
「おい馬鹿やめろ」

 二人が普段通う学園は、基本的に自由な学園だ。制服でも私服でもどちらでも構わなかったり、お昼は屋上だろうと学園外だろうと何処で食べても良いし、廊下はゆっくり歩いて他の人の邪魔になるくらいならむしろ走れと貼り紙されてたりする。
 けれど、それでも明確に禁止されていることがある。それがアルバイトだ。やむをえない事情の場合のみ、申請を出して許可が下りれば、可能ではある。
 だが、魔理沙は申請などしていない。そんな面倒なことをわざわざしなくても、ばれないようにやってしまえば良いという考えだ。別にこういう考えは魔理沙だけでなく、学園内にはちらほらいる。発覚した場合は、もちろん叱られる。生徒指導の慧音先生は、融通が効かないことで有名なのだ。

「ほら、ばらされたくなかったら、さっさと注文したものを持って来なさいな」
「……アリスのパンツは淡いピンクー!」
「ちょ!? あんた何言って――」

 アリスはかぁっと顔を赤くして席から立ちあがるが、魔理沙はさっさと奥へ逃げてしまった。
 魔理沙なりの適当な仕返しだったのだろう。魔理沙がアリスの下着の色なんて、知る筈もない。なんとも幼い行動だろうか。アリスはきょろきょろと周りを見ると、さっと眼を逸らす客が何名か。
 いくら客が少ないとはいえ、これ以上目立つのは嫌だ。アリスはそ思い、わざとらしい咳払い一つ零し、再び座る。
 そしてぽつりと小さく、呟く。

「……当たってんのよこんちくしょう」

 偶然って怖い。
 アリスはそんなことを思いながら、ため息を吐いた。





◇◇◇





「お待たせしましたお客様。こちらが本日のシェフの気紛れランチ、マンドラゴラの煮付けです。そしてこちらがお飲物の、果汁120%水道水になります」
「とりあえず、歓迎されてないことはよく分かった。ちょっと店長呼んでくれるかしら」
「ああ、店長そのランチの中に入ってます」
「何トッピングしてんのよ」
「それではごゆっくりどうぞ」
「待て、逃がすか馬鹿」

 テレビなら余裕でモザイクがかかるであろう、物騒な料理を持って来た魔理沙。笑顔の裏に、くたばれという文字が見え隠れするのは、きっとアリスの気のせいではないだろう。
 もちろんそんな魔理沙を逃がすわけもなく、アリスは逃げる魔理沙のエプロンを掴んでやった。

「なんだよ、それ食ったら帰れよ。もしくはくたばれよ。安心しろ、骨は砕いてやるから」
「いや、まず食べないし。万に一つ食べたとしても、骨は拾いなさいよ。それと、まだ帰らないわよ」
「さっさと帰ってくれると、私がとっても喜ぶ。魔理沙さん、とっても感謝する」
「あんたがそれで喜ぶなら、私が取る行動は一つ。まだ帰らない」
「性格が悪いぜ、アリス」
「良いじゃない、せっかく頑張ってる魔理沙を見てあげようって思ってるのに」
「……待て、お前まさか、私が仕事終えるまで居る気か?」
「そのつもりだけど?」

 きょとんとした表情で言うアリスに、こりゃあ本気だと魔理沙は思わずため息を吐いてしまう。
 帰れと言っても、無駄なことは大体予想がついた。知り合いに働いてる姿を見られるのは、軽い羞恥プレイのようなものだ。それでもどうしようもないのなら、いっそ気にならないくらいに全力で仕事に集中してやる。魔理沙はそう考えた。

「はぁ……邪魔だけはするなよ?」
「はいはい、頑張ってね。ちゃんと頑張ってたら、ご褒美の一つでもあげるわ」
「言ったな? 約束だぞ? お前の命とか言っても、拒否するなよ?」
「大丈夫よ。魔理沙はそんなこと言わないって、私信じてるもの」
「っ……ふんっ、都合の良い言葉だな」
「割と本当だけどね」
「……ばーか」

 魔理沙はエプロンを掴んでいたアリスの手を払い、そのまま仕事へと戻って行った。
 そんな魔理沙を見て、アリスはくすくすと笑った。
 なんだかんだで、仲が悪いわけでもないのだ。

「まぁ、この料理は絶対食べないし、飲まないけどね」

 この危険物、どうすればいいのだろう。
 アリスはそんなことを思いながら、とりあえず別の店員を呼ぶことにした。

「すみませーん、この料理をあちらのお客さんに。私の奢りってことで」

 迷惑おすそ分けだ。





◇◇◇





「お疲れ様」
「本当に最後まで見てやがったな、このやろう」

 店から出てきた魔理沙は、ジトっとした眼でアリスを睨む。もうさっきまでの店の制服姿では無く、少しくたびれた黒いシャツにジーンズといった、いつものラフな私服姿だ。
 アリスは睨まれたのに対し、にこっとわざとらしい笑顔を返した。そして鞄の中から、デジタルカメラを取り出す。
 それを見た瞬間、魔理沙は嫌な汗がどばっと流れた。

「お前、もしかして……」
「可愛かったわよ、魔理沙の制服姿。心配しないで、ばら撒いたりはしないから」
「当たり前だ! つーか消せ! 今すぐ!」
「あぁ、分かってるわ、不安なのね。でも安心なさい、魔理沙は私服姿でも普段学園にいるときでも、いつでも可愛いと思うわ。別に制服効果で可愛いってわけじゃなくて、元が可愛いからであって――」
「そこじゃねぇぇぇぇぇぇぇ!? というか、外でそういうこと言うのやめろ! 恥ずかしいからやめろ!」
「あら? それはつまり、外じゃ無ければ言っても良いと」
「そうじゃねえよ! しかもお前に言われても、嫌味にしか感じない!」
「え?」

 別に嫌味を込めたつもりはないのだが、ときょとんとしてしまうアリス。

「だってアリスの方が、その、綺麗っていうか可愛いっていうか……」
「……え、ゃ、あー……あ、ありがとうございます?」

 アリスにとって、魔理沙の言葉があまりにも予想外だったので、不覚にも動揺して敬語になってしまった。その上疑問形だ。
 そんなアリスの反応に、魔理沙は右手で自分の髪をぐしゃぐしゃっとし、声を上げる。

「あーもうっ! いちいち言わせるなよ馬鹿アリスー!」
「いや、あんたが勝手に言ったんじゃない」
「うっせーピンク」
「っ!? よし、ご褒美を無しにしましょう」
「すみませんでしたごめんなさい」
「よし、許す」
「ははぁ~ありがたき幸せ」

 へへーと頭を下げる魔理沙と、腕を組み偉そうにしているアリス。
 数秒経って、互いにぷっと噴き出す。

「くっ、あはは! あー阿呆らしい」
「ははっ、本当馬鹿らしいな。さーて、帰るとすっかな。ととその前に、ご褒美ってなんだ?」
「んー?」

 並んでゆっくりと、二人は歩き出す。
 気が付くと既に空は夕焼けで、アスファルトが綺麗な茜に染まっていた。緩やかな風が、二人の髪を撫でる。夏の暑さには、心地良いくらいの風だ。

「これ、あげる」

 アリスは鞄から、手のひらサイズの可愛い装飾のされた袋を取り出した。
 それを見ただけで、魔理沙は何か分かった。既に何度も、見慣れているからだ。

「クッキーか」
「そう。家庭科室で作ったのよ」
「アリスの作るお菓子は美味しいからな。なるほど、こりゃあ良いご褒美だ。ありがたくいただくとするぜ」

 魔理沙は子どものような、無邪気な笑顔を浮かべた。ひょいと手に取って、歩きながら袋を開く。
 それをアリスが歩き食いは行儀が悪いと咎めるが、聞く耳持たない。
 袋の中には、星型のバタークッキーが入っていた。魔理沙は一つ手に取り、口に運ぶ。クッキー独特のさくっとした食感に、しつこすぎない甘さ。

「んっ、美味しいな。やっぱりアリスの作るお菓子は、市販のお菓子なんかよりも美味しい」
「大袈裟よ」
「大袈裟じゃないって。ほら、食べてみろ」
「んぐっ!?」

 魔理沙が人差し指と親指でクッキーを一つ掴み、アリスの口に突っ込んだ。その拍子に、魔理沙の指が一緒にアリスの口に触れる。
 アリスはかぁっと顔を赤くするが、魔理沙はそんなことを気にしていない様子だ。
 アリスの口の中にも、クッキーの味が広がる。味見したときよりも、ずっと甘く感じた。

「どうだ? 美味しいだろ?」

 ふにゃっとした笑みを浮かべて自信満々に言う魔理沙に、アリスはぽつりと一言だけ。

「甘すぎた、かしらね」

 そう、返した。

「そうか? 私はこれくらいが好きだぜ」
「まぁ、私も嫌いじゃないわ」

 魔理沙はまたクッキーを口に運ぶ。美味しい美味しいと、馬鹿の一つ覚えみたいに繰り返す。
 けれども、その一言が、アリスにとっては嬉しいものだった。
 緩やかな風が、また一つ、吹いた。
 
小ネタ・未投稿SS | コメント:2 | トラックバック:0 |
<<体力ってなんですか | ホーム | うとうとかきかき>>

コメント

飴さんのマリアリとは珍しい

そして糖分高すぎなのです
2011-08-30 Tue 16:27 | URL | 名無しさん [ 編集 ]
お誕生日の氷雨さんがマリアリ好きな方だったのでっ。
マリアリは、確かに私は滅多に書かないキャラ組み合わせですからねー。
2011-08-31 Wed 00:46 | URL | 喉飴 [ 編集 ]

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

| ホーム |