絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

何事もほどほどに。

出演:小傘ちゃん、ぬえさん、早苗様


 
 

「っ! おい馬鹿! もっとスピード上げないと追い付かれるわよ!」
「で、でもっ! これが私の、全力で……っ!」
「悪い子はいねぇかぁー!?」
「やばっ、きた!? あぁもう、奥の手使うわ! 私に掴まれ、馬鹿小傘! ちゃっちゃと逃げるぞ!」
「う、うん!」

 小傘はぬえの手をぎゅっと握った。ぬえが「絶対に手を離すなよ」と言うと、小傘はこくりと小さく頷く。
 二人の背後には、こひゅーこひゅーと音を立てつつ口から煙を吐き、顔は笑顔なのに何やら背後には真逆の般若オーラが幻視出来る状態の早苗の姿が見える。まるで、どこぞのシンクロ率400%並みの迫力だ。それを見た二人は、ぞっとした。アレに捕まったら最後、二度と朝日を拝むことは出来ない。そう、肌で感じ取った。
 ぬえはごそごそとポケットから、小さな赤い石を取り出す。ぬえの手を握っている小傘は、徐々に迫り来る早苗に慌てる。

「ぬ、ぬえー、早くぅ!」
「分かってるっての! いくぞ!」
「あはは、にーがしーませーんよー?」

 小さな石に、僅かながらだが魔力を込める。そしてそれを、背後の早苗に向かって炸裂させた。その衝撃で木々はいくつか揺れ、大きな砂煙が舞った。
 早苗は砂煙に視界を奪われ、減速せざるをえない。

「っ、こしゃくなっ!」
「よし、今のうちに逃げるぞ小傘!」

 ぬえは握っている手を引っ張り、全速力を出す。小傘はわたわたしつつも、ぬえの手だけはしっかりと握って離すことは無い。
 そして、なんとか早苗から上手く逃げだすことが出来た。





 ~少女休憩中~





「はぁっ、はぁっ……あんたのせいで死ぬかと思ったわよ」
「でもでもっ、早苗驚いてたよね!」
「あぁんっ!」
「ひぅっ!?」

 鋭い目つきで睨むぬえ。小傘はびくっと震えた。
 ぬえは今、木を背にして荒い息状態だ。なんとか呼吸を戻そうとしている。それに対し小傘は、ぬえに引っ張られてただけなので、特に息切れとかはしていない。
 なんでこんなやつをフォローしてやらなきゃならんのだろうか、と心の中でそう零すぬえ。

「あんたねぇ、驚かせる方法が過激すぎるのよ! 何事もほどほどにしなさいよ!」
「で、でもぬえだって正体不明の種分けてくれて、協力してくれたじゃないっ」
「あんたのやり方をしっかり聞いてたら、絶対に止めたわよ! この馬鹿小傘!」

 小傘がしたことは、煙玉と正体不明の種を用いた悪戯だった。別に道具を用いることは、悪くない。むしろ相手を驚かすというのなら、効果的手段で賢い選択とも言える。
 だが、その使用方法が過激過ぎた。
 小傘はまず守矢神社に忍び込み、早苗が朝食の支度にお味噌汁を作ってるのを発見した。そしてそのお味噌汁の具である豆腐と、正体不明の種を加えた煙玉とすり替えたのだ。
 もちろん早苗には煙玉が豆腐にしか見えず、二柱に出す前に軽く味見。豆腐と味噌汁を口に含んだ。すると、どうなるか。早苗が豆腐だと思っていたものは、口の中で大きな煙と共に炸裂したのだ。
 そこに種明かしに小傘が登場。とても上機嫌で。
 早苗、状況把握。口から煙を吐きつつ、目が妖しく光る。
 小傘、状況把握。あぁ、私ここで死ぬかもしれない、と。
 そしてそのまま逃げてるうちに、成り行きでぬえも巻き込まれ、現在に至る。

「ったく……この魔石がなかったら、今頃私たち二人とも明日の朝日が拝めなかったわよ」
「あ、その赤いの魔石なんだ」
「この前ちょっと手伝いしたら、聖がくれたのよ。持ってて良かったわぁ」

 少しずつ、ぬえは呼吸を取り戻しつつある。

「でも、この後どうすっかねぇ」
「え? この後?」
「謝罪よ、謝罪。あんた、ちゃんと謝んないと、今度から早苗に会うたびに追いかけ回されるわよ?」
「ぅ……そ、それは嫌かも」
「でしょう? ま、そういうわけだから、ちゃんと謝りに行きなさいよ」

 それじゃあ、と立ち上がりその場を後にしようとする。だが、ぎゅっとスカートを掴まれて、先に進めない。
 ぬえが後ろを見ると、涙目の小傘。

「……」
「……」

 ぐいっと、一歩を踏み出す。
 しかし、スカートが引っ張られる。
 ぐいぐい、ひしっひしっ。

「えぇい離せっ! スカート破れるでしょぉ!」
「大丈夫、破れても私は困らない!」
「私が困るんだっての! 何さ、一人で謝りに行けないから一緒に来てーとか言うんじゃないでしょうね!?」
「凄いぬえ! どうして分かったの?」
「この状況で分からないわけがあるかぁ! ふざけんな、私はあんたの保護者じゃない!」
「助けてぬえお母さん!」
「誰がお母さんだ! 自分で撒いた種くらい、自分でどうにかしろ!」
「種はぬえがくれたじゃないー!」
「そういう意味じゃないわよ!」

 じたばた。
 ぎゃあぎゃあ。
 オラオラオラオラオラ。
 無駄無駄無駄無駄無駄。
 ぬえぬえぬえぬえぬえ。
 こがこがこがこがこが。
 そんな争いを軽く五分ほど繰り広げた後、これでは埒があかないと思ったぬえは一つ提案をすることにする。

「しゃーないなぁ。じゃあせめて、神社までは一緒に行ってやっても良い。ただし、その後お前がボコボコにされようが、何されようが、私は手出ししない。分かった?」
「う、うん! ありがとう、ぬえっ!」

 えへへ、と嬉しそうに笑う小傘を見て、自分は甘いなぁと頭を掻きながら思うぬえだった。

「けど、なんて謝れば良いかなぁ」
「普通に、ごめんなさいで良いじゃん」
「許してくれると思う?」
「さぁね。あんたの誠意次第じゃない?」
「うぅ、怖い……」
「大丈夫大丈夫、骨は拾ってやるから」

 けらけらと笑いながらぬえは言うが、小傘からすれば笑い事じゃない。

「ごめんなさい、ごめんなさいかぁ……ちゃんと言えるかなぁ」
「まぁ神社までは一緒に行ってやるから、それまでにちゃんと言えるように心を決めときな。あっちに着く頃には、さすがに早苗もきっとそこそこ落ち着きを取り戻して、話できる状態だろうから」

 そう言って、二人は歩き出した。
 目指すは神社。早苗が落ち着いていることを願いつつ、足を動かし始めた。




 ◇◇◇





「さて、神社が見える距離まで来たわけだけど」
「なんか凄く禍々しいオーラが……」

 視界には神社があるが、何やら妙な空気が漂っていた。二人は直感で、足を踏み込むのは危険だと感じていた。
 しかし、このままではどうしようもない。行かなければ、謝ることは出来ないのだから。

「よし、行け小傘」
「えぇっ!?」
「大丈夫だって、きっと取って食いやしないよ。捕まったら捕まったで、早苗は現れるだろうからそのとき謝れ」
「……わ、分かった、行ってくるね」

 草陰から立ち上がり、神社へ向かう小傘。
 そして小傘が、境内へと足を踏み入れた瞬間――

「きゃぁっ!? 何!?」

 大量のお札が小傘を襲った。突然のことで、対処など出来るはずもなく被弾する。
 きゅう、とその場に倒れる小傘。
 ぬえはそれを見て、思わず草陰から出て行きそうになる。だが、今飛び出しては自分も危ない予感がしたため、なんとか堪えた。

「ふ、ふふ……待っていましたよ、小傘さん」

 そこに登場したのは、案の定早苗。もう口から煙を吐いたりなどはしていなく、表情や様子はいつもの早苗だ。気味が悪いくらいに、笑顔ではあるが。
 早苗はゆっくりと、小傘の元へ近寄る。

「そういえば、ぬえさんの姿が見えませんね? 小傘さん、あなた一人ですか?」
「うぅ……」
「まぁ良いです。では小傘さん」

 早苗は右手、左手、そして口にスペルカードを咥えて、合計3枚のスペルカードをいつでも発動できるように構える。
 まだ体力が回復していなくて動けない小傘にとって、それはとてお恐ろしいものであった。
 ぬえは助けに行くべきか放っておくべきか、と悩む。元は巻き込まれただけのぬえに、わざわざ助けに行く義務はない。身の安全を第一に考えるならば、ここは見捨てて逃げることが賢明だ。
 だが――

「ちょっと待ったぁ!」
「ぬえ!」

 これから友人がボコボコにされるであろうことが分かっているのに逃げるなんて、ぬえには耐えられないことだった。なんだかんだで、放っておけないのだ。

「動かないでください、ぬえさん。動いたら、小傘さんが吹っ飛びますよ」
「待った、早苗。小傘の話を聞いてやってくれ! この馬鹿は、あんたに謝りに来たのよ!」
「……本当ですか、小傘さん?」
「う、うん。ちゃんと謝りたくって……」
「……三分間待ってあげましょう、その間に、言いたいことがあるならどうぞ」

 小傘は謝った。やりすぎたということを。ぬえもなんだかんだで、一緒に謝った。元はと言えば、自分が詳細を聞かずに正体不明の種を渡したことが原因だと。
 三分間、謝り続けた。その間、早苗は目を瞑ってただただ黙って聞いていた。

「お二人の反省のお気持ちは、よく分かりました。私も鬼じゃあありません」

 スッと、両手のスペルカードを降ろす。
 それを見て、安堵の息を吐く二人。

「ですが、やっぱりお仕置きは必要ですよね」
「えっ」
「や、ちょ」

 未だに口に一枚のスペルカードがある。それだけは、離さない早苗。

「ぬえさん、小傘さん、人生には四つの坂があるのをご存知ですか? 上り坂、下り坂、まさか、そして最後の一つは……八坂です!」
「いやいやいや、意味分からないから!?」
「早苗、本当にごめんって――」
「お仕置き、大奇跡『八坂の神風』です!」

 笑顔の早苗に対し、引き攣った笑みを浮かべている小傘とぬえ。もはや、避けられるとは思わないし、避ける気すら無いほどの、激しすぎる弾幕。
 一応結果的には、素直に謝罪したことにより、三枚のスペルカードから一枚のスペルカードを受けるだけに済んだ二人だった。
 だが、この後ボロボロになったまま、境内からしばらく動けなかったのは言うまでもない。
 



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